圧倒的なカリスマ性と日本人離れしたパフォーマンスが魅力の次世代ロックスター、ASH DA HERO。今年5月には“第2章”の幕開けを告げる2ndフルアルバム『A』をリリースした彼がその勢いに乗り、7/28に渋谷TSUTAYA O-EASTで自身最大規模のワンマンライブに挑戦する。「ロックンロールに夢と希望を。ロックンロールに栄光の光を。」という大いなる夢と野望へと向かう道のりの中で、1つのステップとなるワンマンを目前にJUNGLE☆LIFEでは2本立ての巻頭大特集を敢行。BARKS連載『TALKING BLUES』とのコラボレーションで、世界を股にかけ日本のトップを走り続ける本物のロックスター・HYDE(L'Arc〜en〜Ciel、VAMPS)との奇跡的なスペシャル対談が実現した。さらに新作『A』についての話を軸にしたASH DA HEROへの単独ロングインタビューの第2部も含め、撮り下ろし写真も満載でもはや永久保存版となること間違いなし!
「もっと面白くて楽しいことをファンやスタッフのみんなと一緒にやって、それを面白がってくれる世間の人たちが色々と言ってきてくれるような状況にしたいんです。そうやって日本のロックシーンをワクワクさせていきたいですね」
●メジャーデビュー以降で『THIS IS ROCK AND ROLL』、『THIS IS A HERO』、『THIS IS LIFE』という“THIS ISシリーズ”を3作を経てきたわけですが、そこまでがASH DA HEROの“第1章”だとすれば今回の2ndフルアルバム『A』は“第2章”の始まりを告げるような作品なのかなと感じました。
ASH:おっしゃるとおりです。そこで1つ完結するように、3部作は作りました。今回は“第1章が終わって、ここから第2章が始まるぞ”というアルバムですね。
●全15曲というボリューム感に加えて、音楽的にもすごく幅の広い作品になりましたね。
ASH:海外では今作みたいなジャンルの広さは、アルバムにおける普通のアプローチだと思うんですよ。だから“多様なジャンルが詰め込まれたアルバム”と紹介して頂けるのは嬉しいんですけど、ソロアーティストだからこそやっていいと思っていて。バンドは圧倒的なチームプレイの強さをまざまざと見せつけられるし、それは本当に素晴らしいことだと思うんです。でも自分はソロだからこそできる自由度の高さみたいなものをもっと体現していきたいですね。
●ソロだからこそジャンルや形態に囚われず、色んな音楽性を表現していける。
ASH:たとえば、ラップやヒップホップをやっても良いわけだから。そこでヒップホップをやっているヤツらにゴチャゴチャ言われたら、それに対してヒップホップで返せるようなスキルを磨けば良い。自分がレゲエをやった時に、元々やっているヤツらが“イェーイ! ピースだぜ”となったら、ジョイントして何かやれるかもしれないですからね。EDMのアーティストとレゲエシンガーが一緒にやったりとか、世界ではそういうことが普通に行われているし、“ジャンル”なんてものは存在しないんですよ。
●そういう意識がASHくんの中には元々ある?
ASH:僕の中にはそういうものが自然にあるので、“ジャンルってどういう意味?”みたいな感じですね。僕のことを愛してくれているファンのみんなには、ジャンルとかのセオリーや概念みたいなものは燃やしてしまって、もっと本質的に音楽を楽しむということや、純粋に歌を聴いて感動するということをして欲しいんです。
●実際に今作を聴いてみても色んな音楽的ルーツが垣間見えて、そこからリスナー自身でより深いところまで掘り下げたくなるような仕掛けがたくさんあるなと。
ASH:そこに気付いて頂けたのは嬉しいです。入口や仕掛けをいっぱい作っておくというところなんですよね。一番わかりやすい正面ゲートは、メッセージ性とかヴィジュアル面で良くて。入ってみたら“こんなところにも出口があったんだ!”とか“こんな新しいアトラクションに続いていたんだ!”と発見できるようなものを楽曲で表現していきたいなと思っています。そういう仕掛けみたいなものを表現するのが好きなんですよ。気付かなくても楽しめるけど、気付いたらより“おっ!?”という感じで楽しめるようなものを作っていますね。
●海外の様々な音楽を消化吸収しつつも、J-POPリスナーにも伝わるようなキャッチーさもちゃんとある。
ASH:日本人にしかできないようなスタイルというのは、追求していきたいと思っていて。海外のサウンドを全く同じクオリティでやることは難しいし、“英語で歌えばカッコ良い”という時代もとっくに終わっていると思うんですよ。だから自分は“日本人のストロングポイントはどういうところなのかな?”と探ってきた感じはありますね。
●M-6「JAPANESE ROCK STAR」は象徴的な感じがします。
ASH:色々と皮肉っている曲ですね(笑)。日本のことを外国人に対して紹介しているような歌によって、逆に日本人に気づかせるという逆説的なアプローチの曲になっています。
●日本のリスナーに自分たちのストロングポイントを気づかせるような曲でもあり、日本人にしか歌えない曲でもある。
ASH:もし「JAPANESE ROCK STAR」をもっと今っぽいヘヴィロックにして全部英語で歌ったら、「Nickelbackみたいでカッコ良い」って言われると思うんですよ。でもそれだと一生、Nickelbackには勝てないじゃないですか。スポーツみたいな勝ち負けの世界ではないんだけど、(音楽においても)精神性の中での勝ち負けはあって。そこは80年代から全然変わっていないと思っていて、30年以上経った今でも日本人の中で鬱屈とした海外へのコンプレックスが解消していないと思うんです。アメリカのMTVとかBillboard TOP40への憧れは昔から何も変わっていないから、僕らの世代でそこも変えていけたらなと思っています。
●そういう意志の強さが歌詞にも表れているというか。メッセージ性が強い曲もあるんですが、決してリスナーに押し付けてはいない感じがします。
ASH:そもそも押し付けてくるようなヤツらがファックだったから、ロックをやり始めたわけで。自分がステージの上や曲の中でメッセージを伝える時に、自然と(リスナーの)心が能動的になってもらえるようなスパイスにすることは心がけていますね。自分は親に対しての反抗期は全くなかったんですけど、学校のシステムとか国のあり方や政治家に対する怒りはものすごくあったんです。
●それはどういうところから?
ASH:たとえば「ズルをするな」と学校で言われるんですけど、実際にはズルをしたヤツのほうが評価されるんですよ。真面目にやっているほうが、逆に「何、真面目にやってんの?」ってバカにされたりもする。そこで何が正しいのかわからなくなった時に、僕はパンクロックを始めたんです。そういうものに対する“救いの手”が、パンクロックにはあって。
●パンクロックとの出会いが大きかった。
ASH:だから自分が伝える立場になった時に、そういう鬱屈とした何かを持っている子たちの救いの手になれるようにと思って。押し付けるわけじゃなく、「やるのはお前自身だからね」と背中を押すような存在ではあり続けたいと思いますね。能動的に動けるようなメッセージを伝えていくというか。
●自分の歌を聴くことで、能動的に動くようになって欲しい。
ASH:“やらなきゃ”と思わされるようなメッセージを聴いて、実際にやってみたら“あっ、できた!”みたいなことだったりとか。まず自分のファンに対してはそうさせる存在でありたいし、そういうふうに思ってもらえたら幸せですね。その輪が広がっていけば、ほんの少しずつでも自分が見たい世界に近づけると思うから。
●自分の音楽を通じて能動的に動ける人を増やすことで、理想の世界に近づけていく。
ASH:自分のことを愛してくれるみんなに対して、「俺たちと一緒に面白い国を作ろうよ」みたいな感じですね。今回やったインスタライヴのぞき見生中継も、元々は遊びから始まったことなんですよ。“ワンマンライブまで時間があるから、アコースティックライブを配信するか”と思ってやり始めたら、色んな人が観てくれるようになって。そしたらHYDEさんも「インスタライブ、ええやん」と言ってくれて、特別対談も実現したんです。だから僕はそういうやり方が良いのかなと思っていますね。
●楽しいから人が集まってくるわけですよね。
ASH:そうだと思います。だから自分が誰よりも楽しみつつ、スタッフも含めてまずは近くにいる人から楽しんでもらわないと。その中で面倒なこともあるだろうけど、“これは楽しいよね”ということをやっていたい。そこに売上げだったり、色んな実績がついてきたら超ラッキーっていう。もっと面白くて楽しいことをファンやスタッフのみんなと一緒にやって、それを面白がってくれる世間の人たちが色々と言ってきてくれるような状況にしたいんです。そうやって日本のロックシーンをワクワクさせていきたいですね。
●自分のやっていることを面白がってもらうところから、周囲にどんどん広げていくというか。
ASH:既成概念みたいなものは超えて、やっていきたいですね。万人が「イエス」と言うようなことはないのでどこかに歪みは生じてしまうんだけど、それを面白いと思ってくれる人たちのことを100%楽しませながら進んで行こうと思っています。まず自由にやることもすごく大事だと思うんですよ。“売れたいな”という気持ちはもちろんありますけどね。
●“THIS ISシリーズ”3部作を経て、変わってきたところもあるんでしょうか?
ASH:僕は毎週どんどん変わっていくんですよ。だから先週言っていたことと、今週言っていることは少し違っていたりして。どちらも同じASHくんから発せられる言葉なのでそこまで突飛な違いはないんですけど、同じラインの中でマイナーチェンジはすごくしています。変わり続けていくことは、この先も変わらないと思いますね。
●今回は、これまでと作り方を変えたそうですね。
ASH:“THIS ISシリーズ”からは変えましたね。トライすることをやめたら、もうそこで終わりだと思っているんです。何事に対してもトライ&エラーの繰り返しだし、失敗の数は多いほうが絶対に良いと思うんですよ。“これはやってみたほうが面白いな”というものにはどんどんチャレンジしていくべきだと思ったので、今回は作り方を変えてみて。その作り方を変えた楽曲たちに対して“今までとは違ったレコーディングの仕方をしてみよう”とか、そういうふうにして作っていきましたね。色々と新しいことは試みました。
●これまでも関わってきたレフティくん(宮田“レフティ”リョウ)以外に、茂木英興さんのチームと一緒に制作したのも新しい試みの1つ?
ASH:そうですね。まずレフティと一緒にやる強みというのは、俺が「こういうふうにしたい」と言ったことを阿吽の呼吸でわかってくれるところなんですよ。2人でのプリプロの作業って、殴り合いみたいな感じなんです。
●殴り合い?
ASH:「来いよ」と言われたから「おう行くよ」と言ってパンチするフリをして、蹴るみたいな。でもそれをレフティは「蹴りが来ると思ったんだよね」と言ってガードするというか。そういう永遠のしばき合いの中で、「あ〜疲れた。でも良い試合だったね」みたいな感じなんです。
●それができる関係性があるからこそですよね。
ASH:レフティとは、意外と長いですからね。お互いASH DA HEROやイトヲカシとして活動する前からのつき合いなので、そういう部分も大きいと思います。逆に茂木さんチームと一緒にやる強みというのは、圧倒的な音楽の理解度だったり、そこに付随する経験値がものすごくあるところで。僕だけのアイデアではなくて、メンバーみんなのアイデアを持ち寄って一緒にやったので、チームプレイならではの強みやグルーヴがすごく出ているなと。それはそれですごく刺激的だったし、普段は1人でやっているからメチャクチャ楽しかったです。
●複数人から成るチームでやることが良い刺激になった。
ASH:あと、茂木さんはすごく俯瞰的で、お茶の間に近い目線を持っていたりもするんです。でも同時にものすごくコアなサイドの美味しい部分も忘れず、全体を俯瞰的に見ながらプロデュースするという名監督で。“これとこれはこういう関係で、ここはこれをこうやって入れて”みたいな感じで、頭の中で将棋をしながら音楽を作っていく人だと思います。そういうところも本当に面白かったですし、新しい風を入れられて良かったですね。
●M-1「A New Journey」やM-4「BRAND NEW WORLD」という曲名もありますが、どんどん新しいことに挑んでいく姿勢が見えるというか。
ASH:今はみんな“失敗しないように”とか“できることを全力でやる”というような風潮にあると思うんです。それはそれで良いと思うんですけど、僕は“できないかも?”と思うことに挑戦しちゃう“無謀さ”みたいなものが性質としてあるんですよ。“これはできないかな?”と思ってもやってみて、失敗したら「すみません! 失敗しました!」って謝れば良いだけだから。
●失敗を恐れていない。
ASH:挑戦をする上で、失敗は考えないですね。それよりも“いけるっしょ?”みたいな、成功するイメージを常に持っています。もし失敗したとしてもひどく落ち込むことはないけど“悔しいな”とは感じるので、“次は絶対できる!”というふうに考えるんです。
●そういうトライ&エラーを繰り返した先に今作は完成したわけですが、自分でも一歩先に進めた感覚がある?
ASH:1歩先に行けたとは思うんですけど、1歩先に行くごとにまたその先が見えるから。埋まった伸びしろの先に、また新しい伸びしろが見えてきている感じです。永遠にこのイタチごっこは続くんでしょうね。だから「よしできたぞ! これは良いアルバムでしょ」と言った次の日には、「もっとこうすることができるはずだ」と言っている感じで。
●挑戦という意味では、7/28のTSUTAYA O-EASTでのワンマンもその1つですよね?
ASH:チャレンジですね。でも遅かれ早かれ踏まなきゃいけないステップだと思うので、頑張りたいです。まずはアルバムを聴いてもらって、毎週火曜日のインスタライブで生歌も歌っているのでそこでASHの歌や音楽に触れてもらって、それが生で数十メートル先でも本当に表現できているのかどうかを確かめに来て欲しいなと。今回はツアーをやらない分、地方のみんなにも来て欲しいなと思っています。
●その先も見据えていたりするんでしょうか?
ASH:僕自身は見据えていますけど、こればかりは自分だけでは決められないことだったりもして。だんだん関わってくれる人も増えてきているので、みんなで色々と話し合いながら進めていきますよ。でも全ては7/28次第ですね。コケたらそこでおしまいだから。
●それくらいの覚悟を持って挑んでいく。
ASH:もし7/28がスカスカだったら、ビジネス的にもやる意味はないですからね。でもそこに対しての不安はないし、ビビってもいないんです。たとえO-EASTに10人しかいなかったとしても、自分の仕事はそれを伝説のライブにできるかどうかであって。そこを覆していくのが、俺たちエンターテイナーの仕事だから。
Interview:IMAI
Assistant:室井健吾
Chapter 1:ASH DA HERO BARKS連載『TALKING BLUES』× JUNGLE☆LIFE
スペシャル対談 feat. HYDE #1 インスタライヴのぞき見生中継編はこちら
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