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真空ホロウ

闇さえ受け入れて進む先には確かな光と次なるステージが広がっている

真空ホロウ NEW ALBUM『いっそやみさえうけいれて』発売記念 SPECIAL LIVE “いっそなまさえうけいれて〜真空ホロウをもっと“しろ”う。〜”
2017/5/18@下北沢MOSAiC

Ba./Cho.高原未奈を正式メンバーに迎えた新体制で2年ぶりのニューアルバム『いっそやみさえうけいれて』を5/17にリリースした、真空ホロウ。その翌日に“いっそなまさえうけいれて〜真空ホロウをもっと“しろ”う。〜”と題して、発売記念のスペシャルライブを開催した。なんとこの日は、アコースティックセットの第1部とバンドセットの第2部からなる2部構成。いずれも新作の収録曲にフィーチャーしつつ、異なる角度から“真空ホロウ”というバンドの魅力を描き出したイベントの模様をレポートする。

第1部はアコースティックセットならではの、着席でゆったりと観られる環境が整えられていた。場内が暗転するとまずはVo./G.松本明人が1人でステージに登場して、ギターを爪弾き始める。新作と同様に「いっそやみさえうけいれて(イントロダクション)」から、ライブがスタート。そして観客の手拍子に導かれるように、アコースティックアレンジの「レオン症候群」へ。激しいバンドサウンドの音源とは全く違う側面を垣間見られるのが、第1部の醍醐味だろう。「ハートの噛み痕」「#フィルター越しに見る世界」と新作の曲順どおりに次々と披露される中で、芯にあるメロディの良さを再認識した。

音源で予習してきたはずのファンに向けて、聴いたことのないアレンジで演奏することを“偏屈な性格が…”と松本は自嘲気味に話して笑いを誘ったが、そういうところも真空ホロウの魅力の1つだろう。過去作品より「誰も知らない」「マイ・バスティーユ」という2曲を挟んでのMCタイムでは、メンバー同士のユルい会話に和やかな空気が広がる。「第1部は楽しく行こうと決めていた」という言葉どおりリラックス感のある、穏やかな時間が流れていく。だが「カラクロ迷路」ではアコースティックながらも身体を揺さぶるビートを作り出したかと思えば、ラストの「ラビットホール」では終盤にかけてテンションの高まりと共に椅子から立ち上がって熱量に満ちた歌を聴かせてくれた。

インターバルを挟んで今度はオールスタンディングでぎっしりと観客の詰まったフロアに、「レオン症候群」のソリッドなギターが鳴り響いて第2部の幕が上がる。ステージ上に横並びだったアコースティックセットから打って変わり、サポートメンバーのDr.MIZUKIをバックにして松本と高原が前線に並ぶ逆トライアングル体制で、アグレッシブなバンドサウンドを発射していく。「ハートの噛み痕」では高原とのボーカルの掛け合いも見せ、新生・真空ホロウの新たな魅力も打ち出した。第1部と同様に、新作に入っていない楽曲も2曲披露。「虹」に続けて、未発表曲「仮想行列」も聴けたファンは幸運だっただろう。

「カラクロ迷路」の後に松本が「ここからもうラストスパート」だと告げると、後半戦は熱のこもったバンドサウンドに煽られて、会場のヴォルテージがどんどん上昇していく。伊東歌詞太郎から提供を受けた「さかみち」の力強い音と言葉も、ライブではさらにその強度を増すようだ。「みんなで日々の闇を受け入れて、もっと大きなところへ行きましょう」という宣言に続いて奏でられた「ラビットホール」では、光のほうへ少しずつ進んでいくような感覚に包まれた。最後は高原のベースソロによる「いっそやみさえうけいれて(アウトロダクション)」で幕を閉じたスペシャルな一夜。

どちらも素晴らしいライブだったが、1部・2部を共に見ることができたファンは、真空ホロウと新作『いっそやみさえうけいれて』のさらなる深みを知れたに違いない。自分の中にある闇さえも受け入れて新たな第一歩を踏み出した彼らは今、光のほうへと確かに進んでいる。

TEXT:IMAI
PHOTO:高田真希子

 

 
 
 
 

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