音楽メディア・フリーマガジン

ROTTENGRAFFTY

響く都の漢たちが命を削る場所

NOBUYA&N∀OKI
“ロットンの日2017” 直前インタビュー


ROTTENGRAFFTYが2003年頃からスタートさせた主催イベント“ロットンの日”は、回数を重ねるに従い、メンバーにとって、そして観客にとって非常に大切な場所へと成長していったという。6/9はキュウソネコカミとの2マン、そして6/10はワンマンで開催される今年の“ロットンの日2017”。開催まであと1ヶ月となった今月号では、Vo.NOBUYAとVo.N∀OKIに“ロットンの日”について、ライブについて、これからのバンドについてじっくりと訊いた。

“ロットンの日2017” 直前インタビュー #1

「色んなものを観て、“俺らにはわからんわ”って最初は思っていても、やってみて始めてわかることもある。吸収したいですね」

●今までROTTENGRAFFTYのライブをいっぱい観てきましたけど、その中で昨年の“ポルノ超特急2016”でのライブがいちばん良くて。感動して何回も泣いてしまいました。

N∀OKI:泣けるんですか?

●泣けるよ!

N∀OKI:他は誰のライブで泣きました?

●10-FEETとか。

N∀OKI:京都のバンドが好きなんですかね?

●曲に共感するとかの泣きじゃなくて、歴史もあるしROTTENGRAFFTYのメンバーとお客さんの感じを見たら…。今日も泣きそうになりましたよ(※取材は4/16に開催された“ザ グレートロックンロール 関ヶ原2017”ライブ直後に実施)。

N∀OKI:今日泣くところあったっけ?

●「響く都」(3rd アルバム『This World』収録)とかヤバいですやん。初めて観るお客さんも多かったでしょうけど、客席が一体になるあの感じがヤバくて。高校野球観たら泣くのに近い感じかもしれない。

N∀OKI:ああ〜、そういう感じか。嬉しいですね。

●それくらい去年の“ポルノ超特急2016”が良かったんです。自分たち的にはどうだったんですか?

N∀OKI:“ポルノ超特急”は2001年にライブハウスから始まった歴史があるんですけど、去年は初の2daysっていうこともあったし、京都パルスプラザでやってきて3度目の正直というか、やっと見えてきた感じはあります。もちろん改善点はまだまだあるんですけど、自分的に“いい2日間になったな”と思いますね。僕がそう思っていても周りが違っていたらダメなんですけど、出演者も観に来てくれた友達にも「良かったよ」って言ってもらえて。

●京都パルスプラザでの開催3年目にして初めて感じた?

N∀OKI:うん。メンツも含め、トータルでどんどん倍々になっていったのも良かったですね。

●なるほど。NOBUYAくんはどうですか?

NOBUYA:10-FEETがやっている“京都大作戦”とは違って、出演していただいたバンドと芸人と来てくれたお客さんに、“こんな京都もあるんや”っていうROTTENGRAFFTYなりの京都のあり方を感じてほしかったんです。それに去年はちょうど日程的にクリスマスだったので、僕らからのクリスマスプレゼントとしてみんなに楽しんでもらえればいいなと思っていたんです。でも終わってみたら、逆にみんなからROTTENGRAFFTYへのクリスマスプレゼント、みたいな感じで貰ったものがすごく多くて。悔しかった。“逆やん”と思って。

●悔しかったんだ(笑)。

NOBUYA:“何なん?”と思って。

●今日のライブを観ても、あの日の延長線上という感じがしたんです。ライブの作り方とか盛り上げ方とかが、今現在に繋がっているような気がするんですけど、ライブが変わってきた感覚は自分でもありますか?

N∀OKI:“ええライブをせなアカン”っていうのは根底にはあるんですけど、ライブに挑む姿勢は10年以上前と今とでは気持ちが違いますよね。

●どう違うんですか?

N∀OKI:(リリースがなかった)沈黙の5年間も含め、“ライブでしかのし上がられへん”っていうところというか。CDが売れにくい時代になっていって、HPの高いライブバンドが残っていくみたいな。一歩でもコケるとグラつくのは目に見えているから、いい悪いは毎回あるんですけど、1回1回踏みしめて越えていかないとアカンっていうのは、フェスだろうが小さなライブハウスだろうが関係なくあります。1回きりっていう気持ちで毎回やっていますね。

●そういう、気持ちの部分が変わったと。

NOBUYA:僕はヴォーカリストだから、ステージに上がるまでは歌とメッセージは120%のものを用意していこうっていう意識は今すごくあります。

●昔と比べて?

NOBUYA:はい。極端な話をすれば、メッセージがなくても“こいつの歌を聴いたら泣けるな”っていうところまでいきたいっていうのが目標なんです。「ありがとう」すらも言いたくない。歌だけで伝えるっていうのが究極なんじゃないかなと思って、ヴォーカリストとしてはそこに向かっています。

●なるほど。

NOBUYA:バンドとしては、“ここまではいこうぜ”っていうバンドで決めた合格点があって、そこまでにいくのに時間はかかったけど、“今日のライブは合格点だな”っていうライブはできるようになって。“じゃあ次はどこにいくねん?”と考えたら、あとはステージに立った時に感じたことを表現しないといけないレベルまで僕たちは来ていて、そこを模索しているっていうのはあります。

●そうなった場合、予定調和というより、ステージに立った時の瞬発力とかが重要になってきますよね。

NOBUYA:そうです。それができればもっと大きいバンドになれるんじゃないかなと思っていて。もちろんメンバーで打ち合わせもするけど、それって合格点を作るための打ち合わせなので。だから何かのミスやトラブルがあると、そこに届かない時もあると思うんです。準備をしつつも、あとはその場に立って感じたことをどれだけ表現できるのかっていうところだと思いますね。10-FEETのライブを観ているとそう思います。俺らはまだそこまではできていないと思うので。

●10-FEETとは方向性とかやり方は違うと思いますけど、今日も改めて観て、ROTTENGRAFFTYのテンションの振り切れ方や気合の入り方って、血管がちぎれそうなくらいすごいじゃないですか。それがどんどん増している感じがするんです。

N∀OKI:どれだけ脳内にエンドルフィンを出すかっていうところですね。

NOBUYA:そういうテンション感だけは負けたくないですね。

N∀OKI:別に怒っているわけではないんですけど、“何であんなにブチ切れてるの?”みたいなテンション感があるバンドは、周りを見渡してもそこまではいないから。俺らは毎度入口からテンション高いじゃないですか。それを続けてきたから、どんどん磨きがかかっているんじゃないかなと思います。

●言われてみると、昔はそういう人たちが多かったかもしれない。

N∀OKI:どんどん緩やかになっていくじゃないですか。長く続けていくとどんどん優しい曲になっていって、達観した感じが出てくると思うんですけど、俺らはどんどん馬鹿になっている感
じがある(笑)。

“ロットンの日2017” 直前インタビュー #2

「“ロットンの日”は、あの時の答え合わせでもあるし、今の答え合わせもあるんです。“じゃあ未来はどうするの?”っていう答え合わせでもある」

 

●ところで、そもそも“ロットンの日”はいつから始まったんですか?

N∀OKI:たぶん2003年だと思います。

●「たぶん」ってちゃんと覚えてないんか(笑)。きっかけは何だったんですか?

NOBUYA:“3.6MILKの日”ってやっていたでしょ?(3.6MILKが3/6に開催していたイベント)

●あっ、やってた!

NOBUYA:それをいいなと思っていて、メンバーに「“ロットンの日”やってみいひん?」って言ったら、最初はみんな乗り気じゃなくて。

●ハハハ(笑)。

NOBUYA:“ロットンの日”は結成日でも記念日でもない、ただのゴロ合わせの日じゃないですか。だから乗っかりたくない気持ちはわかるんだけど…。

N∀OKI:そういう感じだったから、1回目やった後2年くらい空いたんですよ。だからみんな覚えていないんです。

●“ロットンの日”は、“ポルノ超特急”とは違う定義づけがあった?

N∀OKI:無いっすね。単純にゴロ合わせだけです。

NOBUYA:ゴロ合わせですけど、その日はワンマンをKYOTO MUSEでやったら喜んでくれるんじゃな
いかなっていう。

●リリースとかのレコ発とかではなくて。

NOBUYA:レコ発とか関係なく、地元の京都でやることができたらええんちゃうかなっていう発想
です。でも何年かやっていくと、僕ら以上にお客さんが…。

●「今年もやるんでしょ?」みたいな感じになると。

NOBUYA:そこに強い意義を持ってくれているお客さんが多くて、そこにメンバーも触発されて続けてきた感じはあります。お客さんが大事にしてくれるから、俺らもその日を大事に思えてきたというか。

●それが2003年?

N∀OKI:2003年か2004年くらい。

●その頃からずっと来てくれているお客さんはいるんですか?

N∀OKI:いないかもしれないですね。

NOBUYA:いや、“ロットンの日”だからもしかしたらいるかもしれないです。戻って来てくれた人はいますよ。昔観に来ていて最近また来るようになった人は、僕の友達でもいるので。

●最初はぼんやりスタートしていたものが、次第にお客さんのものにもなっていったと。“お客さんにとっても大事なイベント”ということを自覚し始めたのはいつくらいですか?

N∀OKI:4回目くらいですかね。2回くらい空いてまたやり始めて。日程にとらわれたら動かせなくなってくるじゃないですか。“絶対にやらなアカン”っていうのが嫌だったので。

●イベントをやるためのイベントみたいになっちゃうと。

N∀OKI:そう。だから2年目はやらなかったりとか、そういう感じになっていって。さっきも言ったように、どんどんお客さんに求められるので、やらなアカン気持ちになっていって続けていったら、当たり前になってきたっていう感じですね。

●“ロットンの日”は、テンションとか気持ちは違いますか?

N∀OKI:俺は一緒ですけどね。

NOBUYA:“ロットンの日”にワンマンをすることが多かったので、答え合わせをするみたいな感覚はあるかな。どのライブでも死ぬ気でやっているのは一緒ですけど、“ロットンの日”は懐かしい曲をやったりとか、普段は聴けない曲も聴けるワンマンでもあるので、“なんでこの曲で泣いてんねやろ?”とか、“なんでこの曲で笑ってんねやろ?”とかは、ライブ中に思うことが多いかな。

●お客さんはお客さんで思い出があるんでしょうね。

NOBUYA:例えば「切り札」(アルバム『CL∀SSICK』収録)をやった時に、号泣しながら手を挙
げているおっさんとかを見たりすると、“当時ちゃんと聴いていてくれてたんやな”と思ったり。“ロットンの日”は、あの時の答え合わせでもあるし、今の答え合わせもあるんです。“じゃあ未来はどうするの?”っていう答え合わせでもあるかな。

●ROTTENGRAFFTYは、ライブを大切にしてきたバンドじゃないですか。それはお客さんを大切にしてきたこととイコールだと思うんですね。お客さんって、今のROTTENGRAFFTYにとってどういうものですか?

N∀OKI:支えてもらっているもの。オナニーじゃないから、“お客さんいらん!”っていう感じではないし。一体感はありますね。

●最近のライブの一体感はすごいですよね。

N∀OKI:何もないところから、ザ・マンパワーっみたいな感じで作っているわけじゃないですか。男でも女でもブチ切れている人を見るとこっちもアガるし。日頃大人しい人ほどライブでブチ切れて発散していると思うんですよ。

●そんな気はします。

N∀OKI:クサい言い方で言ったら、運命共同体みたいな感じかもしれないですけど、いつでも出ていって、いつでも帰ってこれるような場所だし、“この人のライブはしょうもないな”と思ったらもう足を運んでくれないシビアなものだから、別に囲うつもりもないし

●依存するような関係ではないと。

N∀OKI:でもいる時はすごくホットで。「冷めたらいつでも言ってくれていい」みたいな。だから、学校みたいなものかな。

●学校?

N∀OKI:卒業もある、みたいな。好きでずっと留年している人もいれば、もっと大人な音楽を求めて卒業していく人もいるし、同窓会の感じでまた戻ってくることもある。3年間はいるけど、18年間追いかけ続けている人は多分いないから。お客さんに1度「自由な学校みたいなライブ」と言われたことがあるんです。

●確かに自由ですね。ヤンキーばかりいそうだけど(笑)。

N∀OKI:色んな時間割があって。

●なんとなくその感覚はわかる気がする。

N∀OKI:どっちが生徒で先生か、もはやわからないんですけど。

●ステージの上にもヤンキーいますもんね。

N∀OKI:先生も一緒になってやるみたいな。だからお客さんが先生かな(笑)。先生の前で披露している感じかもしれない。

●そうかもしれない(笑)。

N∀OKI:立場が逆に変わることもありますけど、学校っていう感じはあります。

●NOBUYAくんにとってお客さんはどういう存在ですか?

NOBUYA:去年の『So…Start』のワンマンツアーで、自分たちの合格点はここって決めて、あとは発展問題でステージに上がった時に何を思って何を吐けるかっていうところだと思うので、いつもツアーの時は「俺らは京都からやって来たROTTENGRAFFTYだ」って言うんですけど。

●はい。いつも言っていますよね。

NOBUYA:『So…Start』のツアーの時は、「俺らもお前らもROTTENGRAFFTYだ」って変えたんですよ。

●あ、その言葉を聞いただけでちょっと感動する…。

NOBUYA:ステージに立つ前はそんなこと考えていなかったですよ。

●その時に思ったんですね。

NOBUYA:ステージに立った瞬間に思って言ったことが、いちばんのリアルかなと思います。

●だんだんそういう感覚になったんですね。お客さんとの関係性もそうだし。

NOBUYA:ワンマンだったし。

●ええ話や。

N∀OKI:ホンマに学校ですね。

 

“ロットンの日2017” 直前インタビュー #3

「色んなものを観て、“俺らにはわからんわ”って最初は思っていても、やってみて始めてわかることもある。吸収したいですね」

●“ロットンの日2017”ですが、6/9はキュウソネコカミと対バンで、6/10はワンマンライブですよね。なぜキュウソネコカミを誘ったんですか?

N∀OKI:ずっと“ポルノ超特急”には出てくれていたんですけど、ライブハウスでガチンコで対バンっていうのはなくて。

●いつからお近づきになったんですか?

N∀OKI:3年前の“ポルノ超特急”からです。ずっと「やろう」って言っていたので、今回やっと一緒にやれることになりました。ロックの日とキュウソネコカミでどっちも“9”で合っているし、単純にキュウソネコカミとやってみたいっていうのもあります。

NOBUYA:キュウソネコカミはやっぱり、ライブの時のテンションがいいですよね。

●そういえばテンションの振り切れ加減はROTTENGRAFFTYに近いかもしれない。

N∀OKI:俺らの時代であの感じはいそうでいいひんよな、みたいな。熱いんだけど、俺らとは違う熱さがあって。エンターテインメントとしてみんなを楽しませることもやるし、カッコいいのも面白いのも感動するのも全部あるじゃないですか。そういうのも含めて、盛り上がっているなとは思います。

NOBUYA:最近は“新しいバンドが出てきた!”と思っても、すぐ消えちゃうでしょ。

●続けるのはなかなか難しいですよね。

NOBUYA:キュウソネコカミが残っている理由って、ライブがめっちゃいいからだと思いますね。ハンパじゃないライブをするバンドなので、ツーマンでやりたかったんです。どっちもテンション芸のバンドですけどね(笑)。どっちがテンションが高いかみたいな張り合いになりそう。

●何歳くらい離れてるんですか?

N∀OKI:もうあの子ら47歳くらいでしょ?

●めっちゃ先輩やんけ!

N∀OKI:遅咲きなんじゃない(笑)。

NOBUYA:実際は10歳くらい下だと思います。

●そんなに歳が離れた人とガチンコでできるっていうのがヤバいですね。

NOBUYA:快くOKしてくれて。

N∀OKI:歳が上とか下とか関係なく、いいバンドとはやりたいですね。

●ROTTENGRAFFTYは結構なベテランなのに、そういうところは関係ない。

N∀OKI:うん。単純に“いいバンドだから”っていうのが大きいですよ。「生意気な小僧だ」って言っているヤツに限って、萎んでいっているので。

●ハハハ(笑)。

N∀OKI:どんどん距離をおいて、縦社会の感じだけでやっていったらそこで止まっちゃうじゃないですか。やっぱり色んなものを観て、“俺らにはわからんわ”って最初は思っていても、やってみて始めてわかることもある。吸収したいですね。それはロック以外でもそうですし、ヒップホップでもレゲエでも関係ないです。

●ライブでどうかっていうところが大きいんですね。

N∀OKI:そう。カッコよかったらOK。

●それと6/10はワンマンということですが、今回のアーティスト写真は2005年と同じ構図のものを、現在のバージョンで撮り直したものですよね。スーツで赤いネクタイして、更に目隠ししている写真。

NOBUYA:もともと僕の中で「カタカナの“ロットングラフティー”でライブをやりたい」っていうのがあって。去年の“ポルノ超特急”が2daysだったので、1日目を“ロットングラフティー”で、2日目を“ROTTENGRAFFTY”でやれば、喜んでくれる人がいるんじゃないかなと思って提案したんです。

●うんうん。

NOBUYA:結果的に、“ポルノ超特急”をそういう意味合いでやるのは違うなと思って実現はしなかったんです。でもそれをいつかやりたいなと思っていて。だから今回のアーティスト写真でやったという感じです。

●“ロットングラフティー”でライブをやるというのは、昔の曲をやるということ?

N∀OKI:そうなるけど、それだけだと過去を振り返っているだけになるから、現在進行形も織り
交ぜつつですけどね。

●いつまでカタカナ表記だったんでしたっけ?

N∀OKI:2010年です。アルバム『This World』の時に英語表記にして、字画が絶望に向かっていっているんです(笑)。

●字画が絶望?

N∀OKI:カタカナ表記は字画が最強だったんです。

●あ、字画姓名判断ね。パインフィールズ所属になったのを機に表記を変えたんでしたね。

N∀OKI:その時に何か面白いことをしようと思って、バンド名を変えるまではしなくていいと思ったから、イメージを刷新するために英語表記にしました。

●ワンマンではどういう曲をやるかはもう決めているんですか?

NOBUYA:まだ決めてないですけど、自分の中では“これいいな”とか“ライブでやったら面白そうやな”っていうのはあります。

●最近全然ライブでやっていないような曲も?

N∀OKI:あります。俺もやりたい曲があるので、これからみんなで調整していく感じですね。

NOBUYA:6/10のワンマンは“過去・現在・未来”を見せたいと思っているんです。

●お。

NOBUYA:そういうコンセプトにしたのも、昔の曲をやった時に笑ったり泣いたりしてくれるお客さんがいたっていうのもあるし、最近僕らのことを知って応援してくれる人は“この曲何?”って思ってくれればいいなと思って。そこも答え合わせだし、発表した瞬間に感情が爆発している人もいると思うんです。

●そうでしょうね。

NOBUYA:最近僕らを知った人は、“今こんなROTTENGRAFFTYを観れるんや”っていうことで、すごくワクワクしてくれるような要素がいっぱいあるライブにしたいですね。カタカナ表記も英語表記もどっちも“ROTTENGRAFFTYなんや”と思ってくれたらいちばんいいかなと思います。

 

“ロットンの日2017” 直前インタビュー #4

「今回の“ロットンの日”で“過去・現在・未来”を見てもらって、それを踏まえてのアルバムだから。期待してもらっていいと思います」

●そういえばROTTENGRAFFTYとか“ポルノ超特急”のお客さんって、年齢層が幅広いですよね。

N∀OKI:家族連れもいるし、子どももいる。子どもが産まれた当時は子育てに忙しくても、10年も経てば落ち着いてきて、子どもを連れて来てくれたり。お母さんも昔に帰れるし、子どもからしたら初めてのライブでドキドキするじゃないですか。

NOBUYA:前回のツアーで、40本以上がっつりまわった時に、帰って来てくれた人がいっぱいいるなと思って、それが嬉しかったんです。地方とかは、「ROTTENGRAFFTYが久々に私の地元に来る!」という感じで、旦那や子どもを連れてきたりしてくれて。

N∀OKI:ここまで続けてきたからこそ感じられる境地です。

●そういうの嬉しいですね。

NOBUYA:そういう光景を見たから、“ロットングラフティーをやらないとな”と思ったんです。

●人生で初めて買うCDがROTTENGRAFFTYっていう子どももいるかもしれない。

N∀OKI:もうラッキーパンチですよ。

●ラッキーパンチ(笑)。

N∀OKI:確率的にはラッキーパンチです。その子の人生からしたら、一生残ると思うので。そういう出会いをどんどん増やしていかないとね。

●“ロットンの日”は楽しみですね。

NOBUYA:楽しみですね。そういえば最近スタジオに入ってて改めて気づいたんですけど、僕ら昔の曲のほうがキーが低いんですよ。

●え? そうなんですか?

NOBUYA:今の曲のほうがキーが高いという。

●テンションがだんだん上がっているから?

N∀OKI:いや、キーが単純に上がっているだけ(笑)。普通は逆なんだけど。

●何か理由があるんですか?

N∀OKI:単純に高いほうがグッとくるっていうのもあるし。だから昔の曲を改めて聴くとめっちゃ発見がある。“あれ? 歌いやすい!”って。

●もっとゴリゴリしていたということ?

N∀OKI:ちょうどええキーだったんです。ちょっと足りひんくらいというか。でも今はギリギリのところで出していて、エモくなっています。

●昔は自分たちが歌う前提で作っていたけれど、今は“どういうライブをしたいか?”とか“どういう曲を表現したいか?”という前提で作っているからなのかもしれないですね。

NOBUYA:そうです。ここまでいったらライブがエモくなるとか。

●それは面白い発見ですね。

NOBUYA:だから“ロットンの日”に向けてのリハは楽しいんです。

N∀OKI:ライブで1回くらいしかやったことない曲もリハで合わせてて“この俺が作った曲、ええ曲や!”って思う。

●そういう曲もあるのか。

N∀OKI:あります。“隠れアワビ”みたいな曲。

●“隠れアワビ”って何やねん(笑)。そういう曲、ライブで新曲を披露するように、もしかしたらレギュラーになるかもしれないですね。

N∀OKI:そうですね。長くやってきたからこそ新旧を混ぜられるっていうのもあるし。

NOBUYA:事前に全く合わせていないような昔の曲を「次のスタジオでやってみよう」ってメンバーに連絡して、実際にスタジオで合わせてみると「これライブでやったらめっちゃいいだろうな」っていう発見もあって。

N∀OKI:簡潔な曲もあれば、“これはもたへん”と思うくらい長い曲もあったり。

●ハハハ(笑)。間がもたへん(笑)。

NOBUYA:昔の曲をやるっていうのは、バンドにとっていい刺激だと思いましたね。単純に楽しいし。

N∀OKI:ほったらかしにしていた子どもが、めちゃくちゃエリートになってきて帰ってきたみたいな。

●当時とアレンジは変えているんですか?

N∀OKI:変えていないです。当時は同期とかもあまり使っていなかったので、そこまで難しくないんです。だから完コピですよ。こういうこともなかなかできることじゃないから、“ロットンの日”で確認しに来て欲しいし、ぜひ今までのアルバムをもう1回聴き直して欲しいですね。ベストアルバムも出してるんですけど、それには入っていない“隠れアワビ”があるので(笑)。

●だから“隠れアワビ”って何やねん(笑)

N∀OKI:“隠れアワビ”はキングレコードから出ているアルバムとかに多いんですけど、そこを掘り下げてから来てもらいたいですね。

●その話を聞いたら更にめっちゃ楽しみになってきた。キングレコード時代、懐かしいな〜。

N∀OKI:当時は「俺らがキングレコードを背負う」みたいなことを言うてましたよね(笑)。

●言ってた(笑)。ところで、最近のライブでめっちゃエモい新曲をやっていますが、“ロットンの日”も未発表の曲はやるんですか?

N∀OKI:それはわからないです。

●内緒?

NOBUYA:でもさっき“過去・現在・未来”って言ったので。

●お、なるほど。曲は作っているんですか? あのエモい新曲のタイトルは?

N∀OKI:内緒です。ショムニです。

●“ショムニ”て何やねん(笑)。他にも新曲はできているんですか?

NOBUYA:KAZUOMI発信の曲を何曲か聴いていて、“めっちゃこの曲好き”っていうのがあったりします。録り終わっている曲でも、“これライブでやるの難しいな”というのもあるんですけど、基本的にKAZUOMIの中で“ライブでやらない曲は作らない”っていうのがあると思うんです。だから全てライブを想定している楽曲だし、待っていてくれるファンには“ROTTENGRAFFTYやな”って思ってくれる曲だと思う。

●おお。新曲できてるのか。

NOBUYA:そういえばこのまえN∀OKIが作ってきた曲も聴かせてもらったんですけど、N∀OKI節が炸裂していて、めちゃくちゃいいなと思ったし。

●お、N∀OKIくんの曲もあるんですか。

N∀OKI:普段から曲はいっぱい作っているけど、小出しにしているんです。

●あんまり一気に持ってくるのは嫌ということ?

N∀OKI:そうです。

●恥ずかしがり屋か。

N∀OKI:それもあるし、自分の中で満足しているんです。

●ハハハ(笑)。

N∀OKI:弾き語りのライブをできるくらいはありますよ。自分の曲を自分で弾いて歌えないとア
カンなと思っていて、そのレベルで作って、いい曲を小出しにしています。

NOBUYA:基本的にN∀OKIが作ってくる曲のメロディは俺には作れないものなので、大好きなんですよね。今回も“これ好き!”っていう曲があります。

●それもいつか形になるんですね。楽しみです。

NOBUYA:歌詞も良かった。

●歌詞もできているということは、曲としては完成しているんですね。

N∀OKI:バンドでのアレンジはまだですけどね。

NOBUYA:でもいざレコーディングが始まったら早そうですね。『Walk』からアルバムを出していないので、それを超えるアルバムを作りたいですね。

●わ! アルバム楽しみ!

N∀OKI:『Walk2』をね。

●それ適当に言ったでしょ!

N∀OKI:適当に言いました(笑)。

NOBUYA:今回の“ロットンの日”で“過去・現在・未来”を見てもらって、それを踏まえてのアルバムだから。期待してもらっていいと思います。

N∀OKI:ホンマに次のアルバムで、今後が決まっていくような感じがしますね。今までやってきたROTTENGRAFFTYを全部詰めたようなアルバムになると思います。ホンマにそういう気持ちで作らないと時代は変わらないし、喧嘩してでもいいものを作らないとヤバいっていう危機感も持っているし、“また次がある”とか、“落ちたらもう1回這い上がればいい”なんて思っていないから。

●その感じ、いいなぁ。

N∀OKI:緩やかでも上がり続けていきたいんですよ。大袈裟に聞こえるかもしれないけど、みんなの命を削った集大成がアルバムだと思うから、色んな層に届いて“ヤバいやん”っていうものを作りたいと思います。だから最後のアルバムくらいの気持ちでやっていますね。今までもそうやってきましたし。

●今のライブのテンション感も、きっとそういう想いの発露なんでしょうね。

N∀OKI:そうですね。“これでわからんかったら仕方がない”くらいの意気込みでアルバム作りを
しています。現状に甘んじている場合ではないので。

●“ロットンの日”以降も忙しいですね。

N∀OKI:曲作り、レコーディング、ライブに忙しくなりそうですね。

Interview:Takeshi.Yamanaka
Assistant:室井健吾

 

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