2014年に平均年齢19歳でCDデビューを飾ったChu's day.が、昨年8月にリリースしたアルバム『GLITTER』に引き続き、早くも新作を完成させた。キャリア初となるミニアルバムは、自分たちをより強く表現したいという想いのもと、各メンバーが作詞/作曲に取り組む中で自分自身を見つめ直し、それぞれの個性と才能を開花させた楽曲を詰め込んだ、今後のChu's day.の指標となる1枚。自らの足で1歩ずつ力強く歩んできた経験と、その中で培ってきた想い、そしてバラエティ豊かなメンバーの人間性を感じてほしい。
「自分たちの足でこうやって地道にやっていくからおもしろいんだよなって思ったんです。誰かに道を作ってもらってシンデレラストーリーを歩んだとしても、そこに自分の努力とか苦労が無ければ過程を楽しめない」
●前作『GLITTER』の東名阪ツアーの感触はどうでしたか?
ERI:東京も名古屋も大阪も、それぞれお客さんの感じが違ってました。
AKARI:名古屋はもうとにかくエネルギッシュだったよね。
ERI:うん。東名阪ツアーの前から名古屋には頻繁に行っていたので「また来てくれたんだ!」みたいな感じで待っててくれた人が多かったんです。
●なるほど。
ERI:何しろ初めての東名阪ツアーだったので、最初は“お客さん来るかな?”みたいな不安もあったんですけど、実際に行ってみればそんなの全然感じないくらい盛り上がってくれて。
AKARI:嬉しかったね。
YU-NA:大阪もすごく盛り上がって、ERIがMCで噛む度にツッコミが入ったり(笑)。
KEITA:ちゃんとツッコんでくれたよね(笑)。
●東京の渋谷eggmanも大盛況だったらしいですね。
YU-NA:eggmanでは2回目のワンマンだったんですけど、チケットはソールドアウトで、全国各地からお客さんが集まってくれて。いちばんびっくりしたのは、アメリカから来てくれた人。
●え!
YU-NA:Youtubeを観ててくれたらしくて、LAから来てくれて。帰国子女のKEITAが通訳になって話したんですけど。
●それは嬉しいですね。
ERI:嬉しかったですね。“広がってるんだな”っていう実感がありました。
●そして今回のミニアルバム『WHAT I AM?』ですが、結構早いリリースペースですよね。
AKARI:間髪入れずに攻めようということで。
YU-NA:だから大晦日も元旦もレコーディングしていたんです。
●え? スケジュール的にキツかったということですか?
YU-NA:そうですね。もともと予定していたよりかなりキツくなってしまって。
●今作『WHAT I AM?』はYU-NAさんとAKARIさんが作詞/作曲した曲が収録されているじゃないですか。今までは歌詞をメンバーが書くことはありましたが、曲はプロデューサーのオダクラユウさんが作るのが基本だったと思うんですが、これは進歩ですよね。
4人:はい!
ERI:いつも曲を全部作った上で作品のタイトルを決めていたんですけど、今回は最初にアルバムのタイトルを決めたんです。『WHAT I AM?』を直訳すると“私は何者だ?”ですけど、やっぱり3枚目ということで、もっと自分たちを出していこうということがテーマだったんです。
●だから自分たちで作詞/作曲をやろうと。
AKARI:今まで2枚作品を作って、自分たちの中でも余裕が出てきて、やりたいことが増えてきたんです。ベースをもっと上手く弾きたいとか、いいフレーズを考えるだとか以外に。
YU-NA:もっと自分たちを表現したいと。
AKARI:1枚目のときから、作詞/作曲は自分たちでやりたいという想いがあったんです。でもそこまで追いついていなかったんですけど、それがやっと出来るようになってきたかなと。
YU-NA:ここで殻を破りたいと。だから今回はメンバーそれぞれが作詞/作曲にチャレンジして、1人40曲ずつくらいデモを作ったんです。なかなか形にならなくて、何度も何度も曲を作って。
●そういうチャレンジがあったんですね。
YU-NA:今までもメンバーそれぞれ作詞/作曲に挑戦していたんですけど、なかなかメンバーに聴かせるまでには至っていなかったんです。恥ずかしくて。でも今作のリリースが決まって、とりあえずいい曲でも悪い曲でも関係なくみんなで聴いて、ERIに1回歌ってもらってから判断しようと。
●おお、そこまでしたんですね。
YU-NA:今作は新曲5曲と既発曲のアコースティックバージョン2曲が入っていますけど、そもそもの予定としては去年の10月には5曲が決まっていないといけなかったんです。でも全然いい曲が出来なくて、当初の予定からかなり遅れて、結果的にすごくキツい制作スケジュールになっちゃったんです。夜中とか関係なく、曲が出来たら「ERI、これ歌って!」ってお願いして。
●ERIさん大変でしたね…。
AKARI:100曲以上歌っているということですからね(笑)。
ERI:夜中の3時とかに歌って、それを録って、デモを作って。
YU-NA:それを聴いて、また作り直して…その作業を2〜3ヶ月ひたすらやってました。
●ERIさんはみんなの曲を歌うわけで、それぞれの個性というかクセみたいなものは感じました?
ERI:あ、それはありました。「YU-NAっぽいな」とか「AKARIっぽいな」って。例えばAKARIは男勝りっていうか、すごく強い意志を感じるような曲が多いんです。
●え? AKARIさんが作詞/作曲をしたM-3「刹那雪」はすごくしっとりとした切ないバラードですけど…。
AKARI:「刹那雪」はいちばん最後に出来た曲なんです。言ってみれば、それまでは“かっこいい曲を作ってやろう”みたいな感じでやってたんですけど、なかなか上手くいかなくて。それで肩の力を抜いて、リラックスしたときにふっと出てきたメロディから「刹那雪」が出来たんです。それをみんなに聴かせたら「いいね」となって。振り返ってみると、自分の中から素直に出てきた音楽というか、飾らずに出来たから良かったのかなと思いました。
●背伸びしていたのかもしれないですね。ERIさんが歌詞を作ったM-5「チグハグ」はどうだったんですか?
ERI:この曲、ものすごく苦労したんです。メロディはかなり早い段階で出来ていたんですけど、歌詞が全然出来なくて。今作の制作期間でいうと、いちばん最初にメロディが出来ていたんですけど、歌詞が完成したのはいちばん最後だった(笑)。
●「チグハグ」はコーラスも多いし、ストーリー性もあるし、ライブ映えするような曲ですよね。
ERI:はい。ライブでやるのがすごく楽しみなんです。コーラスも多いし、お客さんとも掛け合いが出来るんじゃないかなと思うし。
●歌詞のどういう部分で苦労したんですか?
ERI:まずどういう世界観にしようかということで悩んでしまったんです。
YU-NA:そもそも「この曲はERI自身のことを書きなよ」ってみんなで言っていたんです。
●だから“チグハグ”というタイトルなのか…。
一同:アハハハ(爆笑)。
YU-NA:おっしゃったように(笑)、ERIってすごく個性が強いじゃないですか。キャラクターがおもしろいから、ERI自身のことを歌ったらおもしろくなるだろうなって。そしたらERIは「なるほど。私、自分のことなら書けるよ」と言っていたんですけど、何度も何度も書き直してて、30稿目くらいで気づいたんですけど、ERIって自分のことを何もわかっていなかったんです。
ERI:わかってないということもわかってなくて、今回の制作で気付かされました(笑)。自分のことを書こうと思ったんですけど、何も書けなかったんです。ちょっとかっこいい自分を書こうとして、そしたらみんなに「これERIじゃないよ」と言われて。それで何回も何回も書き直して、自分と向き合ったりもしたんですけど、まったくわかんなくて。
YU-NA:私たちが「ERIってこうだよ」って相当教えました(笑)。
ERI:やっぱり、ちょっと背伸びしちゃうクセがあるんですよね(照)。
YU-NA&AKARI:ちょっとじゃなくてめちゃくちゃあるよ!
●ハハハ(笑)。YU-NAさんが作詞/作曲をしたM-2「シンデレラストーリー」はどういう経緯で出来たんですか?
YU-NA:この曲はそもそも高校生のときにデモを作っていたんですよ。でも当時は、シンデレラストーリーに憧れたような歌詞だったんです。「私もシンデレラみたいに輝かしく成功したいな」みたいな。
●はい。
YU-NA:でも高校を卒業して、Chu's day.を3年前に結成して、今大学4年生で3月に卒業なんですけど…自分たちの足でこうやって地道にやっていくからおもしろいんだよなって思ったんです。誰かに道を作ってもらってシンデレラストーリーを歩んだとしても、そこに自分の努力とか苦労が無ければ過程を楽しめないよなって。
●うんうん。
YU-NA:最初の頃はやっぱりお客さんが居なかったけど、今はeggmanとかを埋められるようになって。お客さんが1〜2人のときがあったからこそ、今が楽しいと思うし、eggmanをソールドアウトできたのもより嬉しくなるじゃないですか。だから高校生のときに作った歌詞とは真逆の内容になったんです。Chu's day.は私がみんなを誘って、自分たちで始まったバンドなんですけど、すぐワンマンも出来たし、すぐCDもリリース出来たので、内情を知らない人は“大人が作ったバンドなんだな”とか“事務所の力が強いんだな”っていう目で見られがちなんです。でも“そういうことじゃないんだよ!”っていう想いを「シンデレラストーリー」の歌詞に込めていて。
●だから“ガラスの靴じゃ高く跳べないわ!”という歌詞があるのか。
YU-NA:だからこの曲は、今のChu's day.を歌っているんです。“君とならリミッターはいらない”という歌詞がありますけど、私1人だったら出来なかったけど、みんなとなら大丈夫っていう気持ちがあるんです。昔、業界の大人の人に「Chu's day.はアイドルっぽいから当て振りでポップな曲だけやりなさい」と言われたこととかあったんですけど。
KEITA:そういうこともあったね。
YU-NA:そのときのムカついた感情とかも歌詞に込めたりとか…グスン(泣)。
●あっ! 話しながらそのときのこと思い出して泣いてる!
YU-NA:すみません(泣)。
一同:アハハハハハ(爆笑)。
YU-NA:3年間やってきてそういうこともあったんですけど、今回自分たちで曲を作るとなったとき、そういうときの感情もちゃんと音楽として残しておきたいなというのもあって。
●“WHAT I AM?”というタイトルに込めた想いとか、制作の過程とか全部が、自分たちが表現したいことに繋がっているんですね。
AKARI:そうですね。自分たちのことが強く反映された曲が揃ったなと思います。
●めちゃくちゃ苦労したけど、バンドとしていい経験を積んだと。
YU-NA:はい。いちばん手応えを感じています。いちばん達成感もあるし。今まではちょっと恥じらいがあって、自分の曲を人に聴かせて「ダサい」とか言われたらどうしよう? とか思っていたんですけど、でも今回たくさん作って、散々「ダサい」と言われて(笑)、そこの壁は取っ払われたので、今作の制作が終わった今もずっと曲作りしているんです。「やっぱり曲を作るのって楽しいよね」って。
●いい作品になりましたし、今後が更に楽しみですね。2/26には3rd Anniversary ONEMAN LIVE “RIBBON → 4 SHINING”が控えていますが、どのようなワンマンにしたいですか?
ERI:今までで最大規模のワンマンなんですけど、楽しい日にしたいです。現時点ではみんなで意見を出し合っている段階で、具体的に何をするかまだ決めていないんですけど、3年間のいろんなことを詰め込みながら、集大成的なライブにしたいです。
AKARI:やりたいことがありすぎるよね(笑)。
YU-NA:うん。ERIがMCで噛むのがライブの定番みたいになってきてるので(笑)、そういうところも楽しみにしてもらいつつ、スペシャルな日にしたいです。
interview:Takeshi.Yamanaka
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