2016/10/17@なんばHatch
キュウソネコカミ / 女王蜂 / 夜の本気ダンス
“音楽ファンと音楽やアーティストを、簡単にはほどけない結び方でつなげたい”…そんな想いを込めて、毎回タワーレコードとキュレーターとなるアーティスト1組が共同で企画を行うライブイベント“Bowline”。今回はキュウソネコカミをキュレーターに迎え、彼らが本気でカッコ良いと思うバンドだけを招いて計4ヶ所での開催となっている。2本目であるなんばHatchに集ったのは、キュウソにとって古くから縁のある2バンドだ。
トップバッターは夜の本気ダンス。Dr.鈴鹿が「踊れる準備はできてますかー!」と高らかに叫び「Crazy Dancer」へ! 続いて、イントロのどこか不穏なギターサウンドとクリアなサビのギャップがたまらない「Oh Yeah」に繋げていく。どの曲にも印象深いリフが組み込まれていて、一撃で記憶に残るキャッチーさが魅力的だ。そしてVo./G.米田がスタイリッシュにネクタイを外したところで「fuckin' so tired」。米田はつま先を滑らせて華麗なステップを見せ、間奏ではG.西田とBa.マイケルがそれぞれソロで魅せる。そこからすかさず「B!TCH」へと繋げば、歌詞の通りハイになったオーディエンスと共に、なんばHatchを巨大なダンスホールへと変えていく。ラストは大定番の「WHERE?」でフィニッシュ! 新メンバーが加入し新体制となった夜の本気ダンスが、そのポテンシャルの高さを存分に発揮した。
2番手の女王蜂は、ズバ抜けた個性とカリスマ性が絶え間なく輝きを放っていた。まずは刹那的な歌詞と繊細なメロディが光る「金星」から始まり、色香漂うムーディーな「ヴィーナス」ではファンがジュリ扇を振って踊り出す! 「金星」から「ヴィーナス」という曲順は、言葉遊びも合わさってなんともお洒落。その後も繰り出されるハイセンスな楽曲や、女声的な高音と男声的な低音を使い分けるVo.アヴちゃんの表現力には思わず舌を巻く。特に「売春」のように、2人の男女が語り合っているような曲ではその真価を存分に感じられた。「デスコ」に入ると、黒スーツ姿でビシッと決めていたアヴちゃんが突然上着をはだけジャケットを放り投げ、ついにはボトムまで脱ぎ捨てる。そして先ほどのスーツ姿と対称的な、なんともセクシーな衣装にチェンジ! さらに途中キュウソでお馴染みの「ヤンキー怖い」コールを挟むなど、楽曲だけでなくひとつひとつの動作にもう釘付けだ。
トリを務めるのはもちろんキュウソネコカミ。本イベントのグッズである“コスプレTシャツ&マント”を着用したVo./G.ヤマサキが、スーパーマンよろしく腕を突き出したポーズでメンバーに運ばれつつ登場! ヒーローのおでましに会場が沸き立つ中「GALAXY」からスタート。「KMTR645」ではKey./Vo.ヨコタがレキシの池田氏をオマージュしてアフロを被るシーンも(笑)。また3曲目の「記憶にございません」では、“嘘つき”というセリフ部分で、女王蜂のアヴちゃんがそのフレーズを言うがためだけに登場! なんと豪華な一言だろう。ここでヤマサキが「昔の曲やろうぜ!」と言うと、インディーズ時代のライブ定番曲「困った」を披露。さらにこれまた懐かしい“社会のしがらみ”(メンバーが日頃のうっぷんや最近の出来事を書き連ねた段ボール箱)を用意したヤマサキが、それ客席に放り込み、しがらみを潰すべく箱に向かってダイブ! 10/26リリースの「わかってんだよ」のような新しい曲もあれば、アンコールでは1stアルバム収録の「キュウソネコカミ」もあり、新旧の代表曲をたっぷりと味わったこの夜。昔とはまた違う成長した姿を見せつつも、現状に甘んじることなく噛み付いていく姿勢は変わっていないと実感した。上を目指し続けるハングリー精神を失わない彼らと、そんな彼らが共に音楽シーンに噛み付いていきたいと思う仲間達がこの先作っていくまだ見ぬ未来に、その生き様を刻みつけてほしい。
TEXT:森下恭子
PHOTO:Viola Kam [V'z Twinkle Photography]