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小熊あやめ

自由奔放過ぎる衝撃的ライブアイドル

IMG_6602自由奔放過ぎるキャラクターと強烈な毒舌で我が道を進み、観客を巻き込むライブパフォーマンスが話題を呼んでいる、小熊あやめ。“ハゲ祈りの会”や“闇金カーニバル”という言葉が気になったなら、まずはYouTube上でライブ動画を見てみて欲しい。“アイドル”という概念すら揺るがすような独自の活動を行う彼女の実態に迫る、初インタビュー。

 

 

 

 

 

●ライブの動画を拝見したんですが、小熊さんはMCの毒舌っぷりがすごいなと…。

小熊:元々ちょっとSっぽいところはあるんですけど、ライブでは完全に作っているというか、ステージに出たらああなっちゃうんです。ちょっと生意気なところはありつつ、日常では普通ですね。

●キャラクターを演じている部分もあるんですね。

小熊:私は元々メイドさんをやっていて、その時は完全にキャラクターを作っていたんです。でも今のキャラとは真逆で、当時はすごく可愛らしいメイドさんを演じていて。なりきるのが好きなのかもしれない。たまに「どれが本当なの?」って訊かれるんですけど、自分でも本当にわからないんですよね。家ではすごく静かだし、子どもの頃はむしろ人前に出るのが嫌いな、おとなしい子でした。

●それがなぜ今のようなキャラクターに…?

小熊:そこはやっぱりメイドさんを始めてからじゃないかな。高校までは、人前で国語の教科書を読む時すらアガッちゃうくらいだったんです。ただ可愛いものが好きだったので、メイドさんの格好をして働けるところがあるっていうのを知って働き始めて。途中から店長さんが「お店にステージを作って、アイドルっぽいメイド喫茶にする」と言い出した時に、私はそういうのが苦手だから辞めるって言ったんですよ。

●当時はお店のステージにすら立ちたくなかった。

小熊:でも「一番長く働いている子だから、ステージに立たなくても良いのでいて欲しい」って言われて。そしたらやっぱりお客さんから「何であやめちゃんはステージに立たないの? 立ってよ」って言われて、嫌々ながら立ったのがキッカケかな。そこから楽しくなっちゃった。どんどん慣れていったのかな。そしたら歌が楽しくなってきて、今度は“ちゃんとしたライブハウスで歌いたい”って思い始めたんです。

●そこから今のスタイルにまで行き着いた経緯とは?

小熊:話すと長くなるんですけど、元々は普通の4人組アイドルの一員として活動していて。それが解散してソロでやることになってから、最初はフリフリの衣装を着て普通に可愛いらしいステージをやっていたんです。でも2年くらいやってもお客さんが全然増えなくて“もう辞めようかな”って考えていた時に、とあるライブで“もう壊れちゃえ!”と思って、ちょっとおかしな感じでやってみたらそれがウケて…。そのまましばらく壊れた感じでやっていたら下ネタもMCにどんどん入ってきて、“ちんちん丸”っていう変なあだ名がついちゃったんですよ。

●“ちんちん丸”って(笑)。

小熊:アイドルが下ネタに走ると最後なんですよ。印象が付いちゃうし、もう戻れないっていう…。そこに手を出しちゃったんですけど、話題にはなってファンも増えたんです。その当時はステージを降りて、しっちゃかめっちゃかやっていたら、いつの間にかパフォーマンスのほうがメインになっちゃって。“私は元々歌がやりたかったのに、何でこんなことやってるんだろう?”と思い始めた時に、1つの区切りをつけるために“ちんちん丸の鎮魂祭”(2014年9月)というイベントをやったんです。そこで“ちんちん丸は星に行った”っていうことにしました。

●星に行ったんだ(笑)。そこでスタイルを変えた?

小熊:とりあえずステージから降りないっていう。下ネタのイメージを拭いたかったので、お客さんにも協力してもらったりして。アイドルって曲中とかにファンのかけ声があるんですけど、私の場合はそれが「ち〜んちん!」だったんですよ。

●ヒドいですね(笑)。

小熊:まずそこからやめて、「あ〜やめ!」に変えてもらって。歌もちゃんと歌うようになったんですけど、MCは変えずに毒舌でやっていたんです。ちんちん丸の時は、途中で歌わなくなったりすることも多くて。ちゃんと1曲通して歌うっていうのをやり続けていたら「あの子、ちゃんと歌えるじゃん」「よく聴くと良い曲じゃん」っていうふうに、曲がキッカケで興味を持ってくれる人が増えていったんですけど…。

●何か問題があったんですか?

小熊:でもどうしても“ちょっと面白いことをやりたい”っていう欲が自分の中にあって。「HEART GATE」っていう曲はタイトルを略すると“ハゲ”で歌詞もハゲの応援歌みたいになっていたり、「闇金カーニバル」っていう曲では曲自体はちゃんとしているんですけど、歌詞はお金っていう…。

●「闇金カーニバル」ではライブ中に賽銭箱を持って、そこにお客さんがお金を入れるんですよね。

小熊:よくわからない割引券みたいなのをネタで入れる人もいれば、お正月にはポチ袋にいつもより大金を入れてくれたりもして。あと、野外やお祭りみたいな場所だと、子どもたちが入れたがるんです(笑)。地域のイベントやお祭りでは、変なことをしていると子どもが寄ってくるんですよね。

●何か面白そうなことをやっているのが伝わるんでしょうね(笑)。でも現在配信中の「うそつきお天気」では、全然フザけていないですよね?

小熊:そうなんですよ。ライブは好き勝手に今までどおりやるんですけど、映像に残るものや曲はしっかりしたものにしようと最近は思っていて。たとえばTVで紹介されたのを見て気になった人が、ネットで調べてこの曲の動画を見た時に「この子、ちゃんと歌えるんだ」と思ってもらえるようにしたいから。

●パフォーマンスだけでは、飽きられる恐れもある。

小熊:一発屋だと言われることもありましたね。でもそれだけで終るっていうのが嫌で。だから作詞も作曲もできて歌も普通に歌える、何でもできる人を目指そうと思ったんです。ただライブは変えずに、今までどおり好きなことをやろうと思っていて。やっぱりMCが好きで観に来ている人も多いと思うから。

●アイドルよりも、色んなことができる人になりたい?

小熊:自分ではガチガチのアイドルとは思っていなくて、“何かよくわかんない人”みたいな(笑)。自分でもわかっていないというか。お客さんの中にはアイドルだと思っている人もいるんだろうけど、パフォーマーって言われる時もあるし、歌をちゃんと聴いてくれている人はアーティストだって言ってくれたり、色んな人がいますね。

●自分ではアイドルだと思っていないんですね。

小熊:別にアイドルじゃなくても私は良いんですよ。そこにこだわってはいないし、“歌って楽しければ良いや”みたいな感じで。歳も歳だし、今「アイドルです」って自分でハッキリ言っていたら痛いかなっていうのもあるし。

●ハハハ(笑)。一番やりたいことはやはり歌ですか?

小熊:歌がやりたいですね。決して上手くはないんですけど、ステージで歌うことは気持ち良いし、お客さんが笑ってくれると楽しいから。歌で大きなステージに立ちたいっていう気持ちがあるんです。私はバンドが好きなので、武道館によく行くんですよ。武道館がすごく好きで、ライブの告知は全部“日本武道館 ◯◯(※会場の地名)店”っていう書き方をしていて。日本武道館が本店になるんですけど、いつか本店に出たいなと思っています。

●9/6にはワンマンライブも予定されていますが、何か特別なことを考えている?

小熊:全く何も考えていないですね(笑)。普通のアイドルは楽屋でMCの練習をしたりするんですけど、私は全く何も考えずに行くんです。それはステージに出てからお客さんの感じを見て、喋ることを考えたいからで。その時の雰囲気で全部決めています。

●まさに“ライブ”をやっている。

小熊:アイドルのライブでは歌をCDで流して口パクをする人が多いんですけど、私はそれが全然理解できなくて。生でちょっと音を外したり、お客さんを煽ったりするからこそライブなんじゃないかなって思っているんです。私はお客さんに“この子、今日は何をやるんだろう?”みたいな感じで、毎回ドキドキしてもらいたいから。“今日だけしかない”ものを見せたいですね。

Interview:IMAI
Assistant:森下恭子

more info→ http://ogmaym.com/

 

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