2016/7/14@梅田Zeela
NINYOACT(梅田) / S.C.B(仙台) / TIMELINE(渋谷) / ヱヰ十(新宿) / NORTHTED WORKS(新潟) / 高橋隆造(福井) / OLD over NEW(安城) / WHITE GLINT
全国各地のライブハウスから選出された、代表バンドがぶつかり合う“仁義なき戦い”。今年は昨年よりさらに規模を拡大し、全22会場から選出された精鋭たちがしのぎを削り合った。
トップバッターを務めたのはOLD over NEW。PCを使って楽曲を演出するVo./Prog.SHiNYAと、エフェクトをかけた特徴的な声が耳に残るG./Cho.佑将の2人が織りなす“エンタメロックSHOW”が、のっけからフロアを暖めて後ろのバンドにバトンを繋げていく。
続く高橋隆造は「一緒に回っているうちに全員のファンになった。だからこそぶっ倒しにいきたい」と熱い気持ちを語る。込められた“言葉にならない言葉”を、歌で伝えようとするその姿は目頭を熱くさせた。
NORTHTED WORKSは、登場時に手を合わせお辞儀をする。実はVo.Toshikiが体調不良で仁義ツアーの3公演分の出演ができなかったのだ。だからこそ復活を遂げて初のライブである今日は、懸ける想いも一入だろう。そう思わせるほどに、強い意志を感じさせるステージが突き刺さる。
音圧と重低音で心を射抜いたヱヰ十。ハードコアな楽曲で凄まじい迫力を見せながらも、そのジャンルにあまり触れて来なかった人間さえも惹き込む、不思議な心地よさがある。高いライブ力で観るものを虜にしていく、人に薦めたくなるステージだ。
「代表でも何でもないただのバンドです」。そんな潔いMCから始まったのは、昨年O.A.を務めたWHITE GLINT。爽やかで疾走感バツグンの楽曲から、人の背中を押すような優しい曲まで、様々な表情を見せるギターロックで勝負。
TIMELINEは、歌が全面に飛び出す“言葉の力”が籠ったバンド。「僕にとって音楽は暖かいものでした」と語るVo./G.羽山の言葉にも得心するくらい、温度のある人間味溢れた音楽が辺りを柔らかく包み込んだ。
目が覚めるような勢いと高いポテンシャルを見せつけたS.C.B。純粋にカッコいいと思える洗練されたセンスと、愛嬌のあるMC、腕を突き上げたくなるようなエモさ…ライブで感じられるあらゆる魅力が詰まったすばらしい時間を体感した。
トリを務めたのはNINYOACT。聴く者を圧倒する迫力と、高揚させるアドレナリンをまき散らしている。梅田Zeelaの代表として、ここがファイナルのつもりで一滴残らずすべてを振り絞り輝きを放っている。本気の人間だけがだせる“命を燃やす”感がにじみ出た気迫のステージ。
“誰にも負けない”という闘争心を燃やしながら、ライバルたちと切磋琢磨するのが“仁義なき戦い”のひとつの特徴であることは間違いない。だがそれだけでなく、バンドが度々発言していたのは、「後ろのバンドに良い状態でバトンを渡したい」という繋ぐ意志だ。今年の“仁義なき戦い”では、ライバルを打ち倒すだけではない、共に手を取って戦えることの強さを目の当たりにした。
TEXT:森下恭子