●今年のヘッドライナーは池田貴史さんによるソロユニット、レキシに決まりましたね。
清水:はい。これまでも池ちゃん(池田)には何回か“音泉魂”に出てもらっているんですけど、スケジュールの都合でいっつもお昼頃に出演してもらっていて。そしたら去年「打ち上げに残りたいから、トリやらせて」と言われたので「あ、いいよ〜」って。
●え!? それが動機だったんですか(笑)。
清水:毎年打ち上げは楽しくなるので、池ちゃんもずっと出たがっていたんですよ。なので実は去年のうちにトリが決まっていて、軸には困りませんでした。そこから池ちゃん合わせでブッキングを決めていって。
●今年は元SUPER BUTTER DOGのメンバーである永積タカシさん(ハナレグミ)や、レキシの新曲に参加しているキュウソネコカミの出演が決まっていますよね。
清水:全部が全部池ちゃんを意識したわけではないですけど、SCOOBIE DOは前から仲良しだし、フレデリックはレキシのことがすごく好きだし、コムアイちゃん(水曜日のカンパネラ)とかCharisma.comも最近の若手の中でも池ちゃんと面識のある人たちですし。あとは同じソウルミュージック / ファンクという意味ではSuchmosもすごく合うなと思ったし、ジャンルは違うけど岡崎体育くんもある意味互換性があると思うので。僕が勝手に思っているんですけどね(笑)。
●むしろそういう新しい組み合わせが楽しめるのも、ひとつの面白さですよね。
清水:過去にコラボした人もいいんですけど、新しい若い子と池ちゃんが同じイベントに並べば、若い人にレキシを知ってもらうことにもなるので、いろんな意味で広がりはあるかなと思ったりしています。
●今レキシは各所で話題になっていますよね。最近テレビでもよく見かけますし、若いお客さんが興味を持ってくれるような状況になっている気がします。あれだけ演奏が上手くていい音楽をやっているうえで、笑える歌詞なのが面白いんですよね。
清水:それはコミックバンドの基本なんですよね。演奏がめちゃくちゃ上手くないと、ホンマにバカにされるんで。クレイジーキャッツの頃からそうだと思うんですけど、基本的に笑いを取り入れる人は必ず演奏が上手くないとダメなんですよ。単にオモロいだけで終るなら、芸人さんが勝ちますからね(笑)。
●本職ですもんね(笑)。芸人さんと言えば、今年もガリガリガリクソンさんの参加が決まっていますが。
清水:もう腐れ縁ですよね。お客さんも“もうエエやろ”と思っているでしょうけど、僕らも思っていますし、本人も思っている気がします。ただガリちゃんは音楽が好で、いつもライブに来てくれるんですよ。なので「どうせ会場にいるなら、5分くらい出る?」みたいな。
●すごくフランクですね(笑)。“音泉魂”は毎年いろいろな催しをやっている“宴会場テント”というステージがありますが、そちらのラインナップはどうですか?
清水:まだ決めてないんですけど、池ちゃんが「全部のステージでトリをやらせろ」って言ってました。
●全部って(笑)。
清水:それは流石に無理ですけど(笑)。
●でも何がすごいって、池田さんなら大きいステージでもテントステージでもハマるんですよね。どんな場所でも上手に盛り上げちゃうというか。
清水:池ちゃんも結構苦労人なんでね、その分いろんな場所でいろんなことをやっているんですよ。レキシも最初は大阪のライブハウスに出ていて、お客さんが全然いないときもありました。
●今ではホールクラスも即完ですからね。
清水:当時はバンドを連れてくる余裕がないんで、大阪のミュージシャンと仲よくなってバックバンドをやってもらっていたんですよ。そうやって臨機応変でやってきているから、対応力があると思います。
●今までいろんな人とコラボしてらっしゃいますけど、ジャンルの振れ幅も大きいですよね。それだけ違うタイプの人とやっても上手くハマるっていうのはすごいことだと思います。
清水:そうそう、人と一緒にやるセンスもすごいですよ。キュウソは僕らもすごくビックリしたし、池ちゃんの人徳でみんなを幸せにできるっていう。本当にジャンルを選ばないんで、あの人はすごいなって思います。
●きっと池田さんには、人を惹き込む力みたいなものがあるんでしょうね。あと普段は曲数の少ない方なので、トリだと少しライブ時間も長い分、純粋に曲数がたくさん聴けるっていうのも嬉しいです。
清水:いつもはイベントだと3曲くらいがアベレージですからね。
●私が初めてレキシのライブを観たときは、30分で約1.5曲でした。
清水:そういうパターンになりがちなんで、なんとか5曲くらいは聴きたいですね。
清水:その中に怒髪天やフラワーカンパニーズ、THE COLLECTORSといったミドルも入ってきたんで、いつものごとく何がやりたいのかわからん感じになってきましたけど(笑)。
●ハハハ(笑)。でも大阪でこういうイベントが見られるのは“音泉魂”だけだと思います。
清水:他は元気なイベントが多いんで、スキマ産業的にやれたらいいなって思います。ただ毎年同じ人でやっていても広がりがないので若い血をどんどん入れていかないと、いろんなところが活性しないので。若い人たちが上の人たちと切磋琢磨してもらった方が、やっている方も見ている方も刺激になるので。去年はそれを2日に分けていましたが、今年は1日でやっているという感じです。
●今までもそういう意識はあったと思うんですけど、それが1日に凝縮されていると。
清水:前々から出てくれているミュージシャンとそのお客さんの年齢層は年々上がっていきますし、若手バンド目当てで新しく若いお客さんも増えてきているので、その分年齢層が広がっていると思います。
●今年出演する若手の人たちは、若年層に人気があって、かつベテランの人と合わせても面白そうな人たちばかりで楽しみです。またこれも定番化しつつありますが、THE COLLECTORSが2017/3/1に武道館ライブをするにあたって、今年も“音泉魂”で応援されるということで。
清水:まず怒髪天を2年前に応援して、去年フラカンで、次はTHE COLLECTORSがやることになったんで。“これは流れ的にやらねば!”という感じで。増子さん(怒髪天)がバトンを作ったんですよ。武道館のバトンを作って、それが今はフラカンのところにあるので、次はTHE COLLECTORSに渡すっていう儀式をしないといけないので。
●それがこの場で行われるんですね。
清水:そうですね。そういう意味では怒髪天とフラカンとTHE COLLECTORSっていうのは3点セットで、3組一緒であることに大きな意味があると思います。
●怒髪天やフラカンに続き、ベテランの人たちが初の武道館に挑戦っていう流れができているのはちょっとワクワクしますよね。
清水:それをみんなで応援することで、いろんなバンドが武道館を目指せるようになったらいいですね。
●いろいろなところに遊び心があるのも“音泉魂”の魅力だと思うんですが、今回もキュウソネコカミ改めキョネンオオトリの扱い方が面白いですよね。みんな発表を見た瞬間、大爆笑したと思うんですけど。
清水:キュウソが“RUSH BALL”への出演が決まったので、何か面白い打ち出し方ないかって考えたときに、2日間の壮大なフィナーレを飾ったバンドが今年はオープニングアクトっていうのは面白いんじゃないかと思って。“RUSH BALL”もキュウソも僕らもお客さんも、みんなが幸せになるにはどうすればいいかなって考えたらこんな感じになりました。
●その結果が、みんなが楽しめるものに繋がっていると。
清水:やっぱり“音泉魂”は他の音楽イベントよりも笑える要素が多いのが特徴だと思うので。でもちょっと油断していると笑いがちっちゃくなるというか、“そんなん1万人に通じるかい!”みたいなネタが点在してしまいがち。
●ウケる人にはドカッとくるけど、みたいな。
清水:そうですね。わかる人さえわかれば、みたいなのも多い。ミュージシャンも表現方法として直接的に訴える人と、池ちゃんみたいに一切言わずに人を笑顔にする方法があると思うんですよ。例えば、東北で大変なことがあったとき、みんなが心を痛めたじゃないですか。特にアーティストは“自分にできることはあるんだろうか”とか“この曲のこの歌詞は今やっていいんだろうか”っていろんなことを考えてしまいます。
●はい。みんな本当に悩んでいました。
清水:その中でミュージシャンとしてできることをやるんですけど、同じ東北を勇気づけることをするにしても、例えば猪苗代湖ズは直接訴えかける活動じゃないですか。でも池ちゃんみたいな人は、心を痛めていても直接的なことはなかなかやり辛いというか。でも人を楽しませてあげるっていうことでは、間接的かもしれないけど、直接的な人と同じだとは思うんですね。笑うことで辛いことを忘れるのもすごくいいなと思って。だからそういう音楽の在り方もあるのだっていう意味では、レキシをすごく崇拝しています。
●そういう人たちを見ていると、言葉じゃないところから主張や想いが感じられるような気がします。
清水:どっちも根底にあるのは同じやと思うんですけど、僕ら的には今年は特に池ちゃんがメインなので、人を笑顔にしようっていうのは頑張りたいなと思います。
●「笑顔にしたい」とおっしゃっていましたけど、今回のサブタイトルが「池田の変?」になっていたり、HPのデザインも和風でお城っぽい感じになっていたりするじゃないですか。こういう遊び心にはいつもにやっとします。
清水:最初は“池田編”にしていたんですよ。去年が“闘魂編”と“俺達の時代編”とかでプロレスを引っ掛けていろいろ置き換えていたんですけど、今年は池田個人推しにしようということで“池田編”にしていたんです。そしたら題字を池ちゃんに書いてもらうようお願いしたら、池ちゃんがやっていた“アフロの変”っていうバラエティ番組と引っ掛けて“編”を“変”に勝手にアレンジしはったんですよ。だから“じゃあ池田の変でいいかな”みたいな。
●そういう風にしようと話していたのではなくて、ご自身のアレンジだったんですね。池田さんにちなんで、会場も和テイストの雰囲気になったりするんですか?
清水:あんまりやるとお金がかかるんであれですけど、和テイストにはしたいですね。高床式倉庫とか作りたい。“なんぼかかんねん”っていう感じですけど。
●アハハハ(笑)。
清水:でも今思っているのは、お客さんの中で名字が池田さんの人がいたら、VIP扱いしようかなと思っていて。デザインをきんきらきんにした池田専用トイレとか、扇風機がついてちょっと涼しい池田専用ゲートとか、どーでもいいVIP感が出せたら面白そうですね。
Interview:森下恭子
Charisma.com / Cocco / THE COLLECTORS / Suchmos / 水曜日のカンパネラ / SCOOBIE DO / cero / 怒髪天 / ハナレグミ / フラワーカンパニーズ / フレデリック / 夜の本気ダンス / レキシ
【湯沸かしアクト】キョネンオオトリ 【入浴宣言】四星球 / ガリガリガリクソン 【湯あがりアクト】岡崎体育
開場10:00 / 開演11:30
前売¥6,800 中高生券¥4,000
オフィシャルHP→http://www.shimizuonsen.com/otodama/16/