音楽メディア・フリーマガジン

ラックライフ

すべての楽曲を観客1人1人に対して語りかけるように、その場でしゃべるように歌い、演奏したライブ

名前を呼ぶよレコ発ツアー東京編「ユビキタスを呼ぶよ」
2016/6/24(金)@渋谷eggman

LIVE_LL_main 満員のeggmanをユビキタスがガンガンに盛り上げた後、まだ熱の冷めやらぬステージにDr.LOVE大石、Ba.たく、G./Cho.イコマが現れて拍手と歓声を浴びる。笑顔で出てきたVo./G.PONがフロアを見た後、大石の前に3人が集まって声をかける。「変わらない空」でライブがスタートした。

PONの声とギターから始まった同曲は、まずしょっぱなからその声で観客を魅了した。透明度が高く、芯が強く、時にとてつもなく太くて感情を露わにするそのヴォーカルに、満員のフロアは酔いしれる。小気味よいバンドサウンドに持ち上げられるようにオーディエンスは興奮の熱を上げる。エンジンの回転数を上げるように「ブレイバー」「チキンボーイ」と重ね、笑顔のまま音をぶつけ合う4人は実に楽しそうだ。

何より驚いたのはPONだ。彼はまるでその場で初めてそう感じているかのように歌い、「あんたに向かって歌っていいか?」と観客に問いかけ、ステージを走り回る。当然のことながら楽曲は何ヶ月も(場合によって何年も)前に作ったものなので、その歌に込めた感情の鮮度はライブを重ねる毎に、日を重ねる毎に薄れていくものだろう。しかしPONは、みずみずしい感情のままに歌い、曲の途中であろうと思ったことを口に出し、それを自分のステージングとして昇華させている。彼はよくインタビューで「曲を作ったら作った時点で終わりではなく、歌い続ければ続けるほど曲に記憶や思い出が乗っかって、どんどん膨らんでいく」と語ってきたのだが、まさにこの日の彼は、歌に“今”の新たな思い出を塗り重ねるように、感情豊かに歌っている。輝くように歌う彼は、自然と観る者の意識を釘付けにする。

前半でアッパーに攻めた後、「音楽を一生懸命やりますので一生一緒に居てほしいです」と言って始めた「アイトユウ」で魅了し、「タイムライト」のキラキラとした中毒性の高いアンサンブルで魅せ、駆け抜けるようなグルーヴの「ストレンジマン」のグルーヴで会場を揺らし、本編最後は「俺たちがずっとやってきた11年間でいちばん大切なことを歌にしました。ライブハウスで出会った人たちに、あなたに」と言って「名前を呼ぶよ」をスタート。観客1人1人の目を見て歌いかけるような同曲に、オーディエンスは最後まで惹き込まれっぱなしだった。

アンコールでは7/27にリリースするシングル「初めの一歩」で軽快にフロアを揺らし、最後はPONが「音楽であなたの世界を変えに来ました、ラックライフです」「いつもありがとう!」「あなたに向けた歌!」と言って「フールズ」でガンガンに盛り上げて終演。4人がステージに登場した瞬間からステージを去るまでのすべての瞬間がライブで、すべての楽曲を観客1人1人に対して語りかけるように、その場でしゃべるように歌い、演奏したライブ。きっとこの日と同じライブは二度と観れないだろうし、この日と同じ感情は二度と味わえないだろう。

TEXT:Takeshi.Yamanaka
PHOTO:MASANORI FUJIKAWA

 

 

 
 
 
 

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