音楽メディア・フリーマガジン

RUSH BALL☆R

2016/5/14@大阪城音楽堂

Amelie / BURNOUT SYNDROMES / GOOD ON THE REEL / mol-74 / 感覚ピエロ / ココロオークション / フィッシュライフ / ホロ / 忘れらんねえよ

 

ホロ一番手は和製轟音ロックバンド、ホロ。駆け抜けるようなメロディの中に和のテイストを感じさせる「閃光と雷鳴」に始まり、オイコールが沸き上がった「ドローイング」。そしてMCでは「俺らのようなジャニーズ系のバンドを呼んでくれてありがとうございます」とジョークを飛ばす。「コントラスト」までは迫力あるサウンドで圧倒される曲が続いたが、最後に繰り出されたのは、スローバラード「心臓」。オーディエンスを楽しませる力に磨きがかかった中でも揺るがない、彼らの真髄を見た気がする。

 

フィッシュライフ 「最高の一日にしましょう!」と快活に告げたフィッシュライフは、一撃で脳髄に刺さるキラーフレーズで心の奥深くにある衝動を突き動かす。その音楽からは、周りの人たちと一緒に作ること、たくさんの人の支えがあって成立することの大切さがにじみ出ていた。きっと人間の力の素晴らしさを知っているからこそ、人を動かせるような歌が歌えるのだろう。「フィッシュライフでした、ありがとうございました!」。オフマイクで叫んだその言葉は、いちばん後ろの席までしっかりと届いていた。

 

 

 

 

 

BURNOUTBURNOUT SYNDROMESはまっすぐな青春文學的ロックと面白トークで場に笑いの渦を巻き起こす。爽やかな青空のもとに響き渡る澄んだ青い曲は格別で、そのうえ演奏だけでなく、ヘッドマイクを付けたBa./Cho.石川が縦横無尽に動き回りしゃべりで惹き付けるのも面白い。会場からほど近くに距離に住んでいるというG./Vo.熊谷は「ここは自分にとって憧れの場所」という想いがあったらしい。そんな場所に彼らを連れて行ったという「FLY HIGH!!」は、あふれんばかりの情感をたたえていた。

 

mol-74ハイトーンなウィスパーボイスと、耳馴染みの良いサウンドが魅力のmol-74(モルカルマイナスナナジュウヨン)。1曲目の「グレイッシュ」から、どこかトライバルで非現実的な空気を作り出すドラミングが印象的で、1音1音が脳の奥深くに刻まれていく。まるでボーカルに寄り添うように柔らかく優しく響くサウンドと、声質を最大限に活かす美しい旋律が溶けあって紡がれる数片の詩…場を派手に盛り上げるタイプではなく、不思議と涼やかな風が吹き込み、周りの雰囲気まで自分たち色に染め上げる。

 

AmelieAmelieは、この日唯一の女性ボーカルバンド。紅一点のVo./G./Piano.mickは複数の楽器を駆使しており、ときにソリッドなギターロックをかき鳴らし、またときにはキーボードにチェンジしてエモーショナルなピアノロックをフロアに突き刺す。シーンごとに様々な表情を見せつつも、そこには一貫して“メッセージを伝えたい”という想いが溢れていた。「誰かを愛することのできるあなたに、この曲を」というセリフと共に贈られた「ヒーロー」を聴いたとき、特にそう感じたのだった。

 

ココロオークション雨バンドとして度々MCでも触れられていたココロオークションだが、本日は快晴の中の野外ライブ。メジャーデビューも決まりいっそうの活躍が期待される今、以前より更にアンサンブルに磨きがかかり、バンドの芯がより強固となったことが伺える。そして野外にぴったりな、夏の夕暮れ時の情景が浮かんでくる「蝉時雨」では、風の音や日差しさえもが曲を引き立たせるスパイスになっていた。ロケーションさえも音楽に昇華できるのは、彼らの大きな才能だろう。

 

忘れらんねえよ昔説教した後輩バンドに金を貸してくれと言ったり、結婚してしまった好きな子の側にいるために犬にしてくれと懇願したり、世の中ばかばっかだと叫ぶちっぽけな男だったり…忘れらんねえよの曲は、ともすれば情けないと切り捨てられるかもしれない。それでも私たちが彼らに惹かれるのは、内にブレない芯が通っているからだ。荒波に揉まれてもがきながらも、胸の灯火を消さず懸命に進んでいくガムシャラさ…その姿勢こそが、リスナーの胸を打つに違いない。

 

 

 

 

 

GOTRGOOD ON THE REELの「素晴らしき今日の始まり」を聴いたとき、私は凄まじい衝撃を受けた。“消えないキズがあります 咲かないハナがあります 言えないコトバがあります 守れないイノチがあります”“それでも愛するから”。誰しも叶えたい夢や伝えたいこと、守りたいものがある。かといって、それらが全て成就することなんでまずない。それでも生きていかなければならない辛さと、それでも愛することのできる強さ…ほんの20秒ほどのフレーズに、究極の人間讃歌を見た気がした。

 

感覚ピエロ今年のトリは、昨年“RUSH BALL”のATMCステージにも出演した感覚ピエロ。まずはビートの効いたリズムでオーディエンスに火を点けると、ライブが進むごとに徐々に導火線が短くなっていく。そして「Japanese-Pop-Music」で一気に爆発! 人波が上下に揺れる姿は現実離れした光景に思えるほどの迫力だ。次いでMCでVo./G.横山が公園で見たカップルの話をしたかと思うと、すかさず「リア充大爆発」を投入(笑)。リア充への怒りをシンガロングで発散する会場は、不思議な一体感に包まれていく。最初から最後まで、全曲キラーチューン級の圧倒的な破壊力を持ったステージだった。

TEXT:森下恭子

 

  • new_umbro
  • banner-umbloi•ÒW—pj