好きなアーティストの楽曲をカラオケで歌おうとして、自分が歌いたい曲が入ってなかったというのはよくある話だが、「なぜあの定番曲が入ってないんだろう?」とか「なぜあのアーティストの曲が入ってないんだろう?」と疑問に思ったことがある人は少なくないはず。JOYSOUNDうたスキミュージックポスト特集第2弾となる今回は、大野賢治や木下直子が所属するレーベル・エコーズエンターテインメントの代表で、今後JOYSOUNDうたスキミュージックポストの活用を考えておられる柴正明氏に、インディーズレーベルのカラオケ配信事情と“カラオケ”というコンテンツの可能性について訊いた。
大野賢治・木下直子所属レーベル
エコーズエンターテインメント
代表取締役
尼崎LIVESHOT BLANTON代表
柴 正明
●レーベルサイドの視点からすると、所属アーティストの楽曲をカラオケで配信するということはプロモーションの一環なんですか?
柴:そうですね。でも自分自身が子供の頃はカラオケに歌いに行ってましたし、ミュージシャンの人たちも“カラオケに入れたい”という気持ちは強いんですよね。特にインディーズの人たちなんかは“自分の楽曲がカラオケに入るということはすごいことだ”と思っていたりするんです。だからレーベルとしてはその想いを汲んであげたいんですけど、やっぱりカラオケ業者さんに正規のルートで楽曲を入れようとしたら、権利や契約条件面の交渉もあるし、当然のことながら過去のCD販売実績など関係しますし、ハードルが高かったりするんです。
●なるほど。
柴:通常のカラオケ配信は、カラオケ業者さんがMIDI音源を作るんですよ。だからそこにかかるコストも生じますし、いろいろと条件があるのは仕方がないことだと思うんです。そういうことをクリアした上で「お願いします」と言える場合はカラオケ配信をやっていただきたいんですけど、なかなかそういうわけにもいかなくて。そしてプロモーションという視点で考えた場合、カラオケに楽曲を入れるのは新しいファンを獲得するというより、今のファンの人たちに楽しんでもらうという観点なんですよね。
●お客さんの満足度を上げるものという。
柴:だから“お客さんを広げていかないといけない”という段階のアーティストにとっては、どうしてもお客さんが広がることに繋がるプロモーションの方に力を注ぐことになるかもしれないですよね。
●確かに。
柴:でもミュージシャンは“カラオケに入れたい”という想いが強くて。僕が今レーベルとして携わっている大野賢治というミュージシャンの曲を1曲カラオケで配信したんですけど、すごく喜んでました。特に大野は30代だからカラオケで歌ってきた世代だし、ずっとフリーでやってきたミュージシャンからしたら、夢のような話なんですよね。
●ほう。
柴:それが『うたスキミュージックポスト』ではすごく気軽にできるじゃないですか。だからこの存在を知ったときはすごく便利だなと思いました。
●一方で、ファンの人たちはカラオケで好きなアーティストの楽曲が配信されることをどう思っているんでしょうか?
柴:大野の場合、やっぱりファンの人たちはすごく喜んでくれて、歌いに行って、採点の画面を携帯で撮って送ってきてくれたりしていました(笑)。
●SNSなどを経由して?
柴:そうですね。特にフリーやインディーズでやっている人たちは、メジャーで活動している人たちに比べたらファンの母数がそこまで多いわけではないですけど、それでもファンの人たちが喜んでくれるというのは、ミュージシャンにとってもレーベルにとっても励みになりますからね。
●なるほど。
柴:それに今は、カラオケの楽しみ方も変わってきていると思うんです。“一人カラオケ”の略で“ヒトカラ”という言葉が浸透しているじゃないですか(※“ヒトカラ”は株式会社エクシングの登録商標)。昔は「みんなでワッショイ!」というのがカラオケの楽しみ方だったと思うんですけど、今は多様化しているんですよね。音楽自体が多様化しているように、エンドユーザーの楽しみ方も多様化しているというか。
●はい。
柴:そういう意味で、カラオケで楽曲を配信するということは、ファンの人たちに楽しむためのコンテンツを1つ提供するということなんですよね。それにSNSが普及して以来、アーティスト縛りのオフ会やコミュニティがSNS上で生まれたりして、そこでカラオケを活用したり。だからカラオケは、プロモーションという枠組み以上の可能性があると僕は思うんです。
●なるほど。カラオケとSNSがファン同士のコミュニケーションツールになっている。
柴:ヒトカラで歌うとか、ファン同士で歌うっていう、カラオケの新しい楽しみ方が増えているんですよね。ヒット曲がたくさんあった時代と、音楽や音楽の楽しみ方が多様化している今とでは楽しみ方も違うというか。ニコ動で流行った曲をカラオケで歌うことが流行った時もあったじゃないですか。もともとコアな人たちの間でしか流行っていなかったものが、ランキングの上位に入るような時代ですからね。可能性はすごく大きいと思います。
エコーズエンターテインメント所属アーティスト
大野賢治
http://ono-ken.net/
木下直子
http://kinoshitanaoko.com/
株式会社エクシングが提供する、誰でも簡単に楽曲や動画をJOYSOUNDのカラオケで配信できるサービス。音源素材、背景データ(カラオケ演奏中に流れる背景映像)、歌詞データなどを準備し、専用アップローダーを使ってデータをアップ。カラオケテロップなどを作成して背景映像/画像を付けて完了。24時間以内にデータが反映され、「JOYSOUND MAX」「JOYSOUND f1」という機種が置いてあるカラオケ店で歌うことが出来る。「好きな曲がカラオケで配信されていない!」というファンや、「どうして大切なあの楽曲がカラオケに入ってないんだ?」というミュージシャンの強い味方となるシステムだ。
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