NUBOは大好きなバンドの1つだけど、僕はNUBOのどういうところが好きなんだろう? と考えてみた。5/4にリリースされたばかりのニューシングル『ありふれた今日を』を聴きながら。
初めて彼らのことを知ったのはいつだったか。たぶんミニアルバム『花咲く バイ・ザ・ミュージック』のリリース前だと思うから、2007年の秋頃だったのだろう。ライブでは2人のヴォーカルが常にステージの上を走り回っていて、楽器陣の一体感が気持ちよくて、人懐っこいそのステージにグッと惹き込まれた。実際に会って話してみてもその印象は変わらず…いや、むしろもっと人懐っこくて、純粋で、礼儀正しくて、絵に描いたようなバンドマンだった。
初めて知ってから9年。NUBOは真っ直ぐに進んできた。ステージではいつも汗を撒き散らし、口を大きく開けて歌い、叫び、気持ちが強すぎて時に空回りし(それも彼らの魅力なんだけれど)、抜群のグルーヴと熱いサウンドを放ち続ける5人。彼らの人柄はより濃く音楽やライブに表れるようになったと思うし、体温を感じさせる歌はより重みと深みと説得力を持つようになったし、ライブハウスで観客の感情を沸騰させる瞬発力はより強くなった。パンクでもなく、ギターロックでもなく、ミクスチャーでもなく、ラウドロックでもなく、ライブバンドには間違いがないのだけれど、シーンのどこにも当てはまらないようなその音楽を更に進化させ、泥臭く全国各地をまわり、よりバンドマンらしく成長してきた。いつ観ても、その時の彼らの気持ちや考えていることがすぐに伝わってくるようなライブをする彼らが、僕は大好きなのだ。
いつのインタビューだったか、Vo.tommyが「自分は特別なアーティストではなくて、特別なメッセージがあるわけでもなくて、どこにでも居るような普通の人間だ」というようなことを言った。いやいや、そんなことはない。ガツガツとバンド活動を続けるなんて普通の人には出来ないし、ステージの上で顔をくしゃくしゃにして輝くように笑える人間なんて、きっと世の中に一握りしかいないよ。
そんな彼らを見てきたからこそ、今回のシングル曲「ありふれた今日を」を聴いた瞬間にすごく嬉しくなった。心が温かくなった。「ありふれた今日を」で歌うtommyは、ステージの上で汗だくになって叫ぶ熱いtommyではなくて、なんというか、もう少し等身大というか、日常のtommmyのような感じがした。歌っている内容はめちゃくちゃパーソナルなことがモチーフになっているのだけれど、今までのNUBOよりもポップで、普遍的な響きを放っているような気がした。これからも駆け続けていくNUBOにとって、とても大切な何かがこの曲にあるような気がした。ライブでどんな顔をしてtommyが歌うのか、Vo.一成がどんな顔で泣くのか、早く観てみたい。この曲、たぶんやばい。
TEXT:Takeshi.Yamanaka