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ラックライフ Dr.LOVE大石インタビュー

メジャーデビュー記念・全メンバー個別インタビュー #2:Dr.LOVE大石 ソロインタビュー

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「バンドが年を重ねるごとに調子がよくなって当然というか。一歩ずつ前に進んでいく姿を後輩に見せたいというのもあるし、お客さんの期待も裏切らないのがバンドやと思っているから、絶対によくなっていないとダメだと思っているんです」
●大石くんはラックライフのリーダーなんですよね。

LOVE大石:そもそもバンドを組んだのも俺がキッカケなんです。高校1年生のときに、教室でPONが俺の前の席やったんですよ。俺はそのときからドラムに興味があったから「軽音部を見に行こうや」って声をかけて。

●2人ともバンドがやりたかったんですか?

LOVE大石:いや、PONは元々KinKi KidsやEXILEとかMr.Childrenとかシンガー系が大好きだったので、バンドにはあまり興味がなくて。たぶん、俺が巻き込んじゃったんですよね。

●そこから一緒にバンドを始めた?

LOVE大石:でも1年目はまず俺が裏切って、女の子ボーカルを入れたんです。部室でギターを弾いていたイコマに「ベースやってくれへん?」って誘って(笑)。それで別の友だちがギターを弾いて、SHAKALABBITSのコピバンをやっていたんですよ。

●最初はガールズバンドをやっていたんですね。

LOVE大石:それは半年くらいで終わったんですけど、高校2年生になったときにやっぱりバンドをやりたいなと思ったんです。そこでイコマには、ギターをやってもらうことになって。たくとは2年になってから仲良くなったんですけど、初めて出会ったときに右腕を骨折していたっていう…。

●そのインパクトが強かったと(笑)。

LOVE大石:そこから一緒に遊んでいるうちに「実は俺、軽音部やねん」って言い出したので入ってもらって、最初はノリで(PONを含めた)4人で結成したんです。結成した2ヶ月後には、初めてライブもやりましたね。

●その時点から、音楽でずっとやっていこうと思っていたんでしょうか?

LOVE大石:俺は思っていましたね。その前はずっと野球をやっていて、中学まではプロ野球選手になろうと思っていたんです。でも何故かグレちゃって、中学の途中で辞めたんですよ。

●途中でグレたんだ(笑)。

LOVE大石:小学校のときは、ソフトボールで4番ピッチャーのキャプテンだったんですよ。当時は「絶対に俺はプロになれる」と思っていましたね。でも中学で軟式野球部に入ったら、あんまり面白くなくて。そんなに強いチームじゃなかったというのもあるのかもしれないですけど、まず気合いが入っていないと思ったんです。それで「この中じゃできない」と思って、陸上部に入ったんですよ。

●へ?

LOVE大石:とりあえず自分を鍛えようと思って。長距離とかが得意だったんで、1人でひたすら走ったりしていましたね。1500Mを4分半で走ったりしていて、大会に出ると1位とか2位くらいな感じでした。

●そんなスポーツエリートの中学生だったところから、途中でグレたと。

LOVE大石:陸上で鍛えるのは好きやったんですけど、なぜ走っているのかわからなくなったんです。そこで面白いことがなくなったときに、音楽が好きな先生の影響で自分も好きになって。ギターを弾いているヤツもいたりして、“こんなのができたらモテるやろうな”とか思ってやり始めました。

●実際にやってみて、モテました?

LOVE大石:いや、モテなかったですね(笑)。

●ハハハ(笑)。それでも続けられているのは、バンドが楽しいから?

LOVE大石:ラックライフも楽しいけど、知り合いと一緒にライブや打ち上げをするのが楽しいんですよね。バンドをやっていたら友だちも増えるから、みんなでワイワイするのが楽しいというか。

●バンド活動自体が楽しい。

LOVE大石:ライブのブッキングで電話するのも楽しいですからね。スケジュールが厳しいという相手からOKをもらったときは本当に嬉しくて。「本当に俺らとやりたいと思ってくれたんやな」って思えるから。

●でもブッキングは大変じゃないですか?

LOVE大石:大変です。50バンドくらいに断られたことが一度あって、そのときは心が折れました(笑)。それでも助けてくれるバンドもたくさんいるわけで、バンドにいっぱい出てもらえたおかげでイベントも成功できている。ラックライフの音楽をいいと思っていなかったら、友だちでも出てくれないと思うんですよ。対バンとして一緒にやってくれるのは嬉しいし、そこで自信もつくというか。

●3/26に自主企画“GOOD LUCK vol.38”を開催したわけですが、なんばHatchでのイベント開催は3回目になりますね。緊張感や喜びも変わってくるものなんでしょうか?

LOVE大石:毎回越えてきますね。1年目や2年目よりも緊張するし、喜びも大きくなっています。自分たち的には、バンドが年を重ねるごとに調子がよくなって当然というか。一歩ずつ前に進んでいく姿を後輩に見せたいというのもあるし、お客さんの期待も裏切らないのがバンドやと思っているから、絶対によくなっていないとダメだと思っているんです。

●後輩たちに対する責任感もある。

LOVE大石:自分たちは、地元の高槻RASPBERRYっていうハコで育ったんです。もし自分たちが途中で落ちていってしまったら、そこの後輩たちに夢が見せられないというか。自分たちも高校のときから、そうやって先輩が上に行っているのを見て「俺らもバンドを頑張ろう」と思っていたから。自分たちなりに、その人たちを超えていこうという気持ちでやってきていて。今の自分たちの状況を客観的に見て、若い頃に憧れていた先輩バンドの絶頂のときを超えられているのかと考えたら、超えていると思ったんです。

●お!

LOVE大石:超えられているという確信があるから、それが自信にも繋がって。勝手な妄想かもしれないですけど、憧れていた先輩の絶頂期を超えてもっと上に進んでいる実感があるから、後輩にも夢を与えられているんじゃないかなと思うんです。俺は、負けず嫌いな部分があるんですよ。だから最初に「なんばHatchでブッ飛んだことをやろうぜ」と言い出したのも実は俺で。

●そうだったんですね。

LOVE大石:正直言って最初は怖かったですけど、地元にも慕ってくれる後輩たちがいっぱいいたし、彼らの助けもあって成り立っているイベントですね。後輩たちのイベントに対する想いも年々強くなっていて。彼らが「頑張っていたら自分たちもここに立てるんじゃないか」と思えるような夢のあるステージにしたいから、年々大きくしていかないとっていう。

●高槻の希望になっているわけですね。

LOVE大石:自分的には、ならないといけないと思っています。だから他のバンドに頼るんじゃなくて、まずは自分たちがもっと上にいかないと、このイベントも広がらないわけで。今は後輩たちの力を借りてやらせてもらっているけど、自分たちだけでも埋められるようなバンドにならないといけないと思うんです。

●今年のイベントを終えてみて、達成感はあったんでしょうか?

LOVE大石:達成感は強かったんですけど、まだ自分たちも未熟やなと思って。もっと自分たちの知名度があったら、ラックライフのことだけじゃなくてイベントのことも知ってもらえるから。そういう意味では、まだ足りなかったなっていう感覚はあります。でも今からメジャーデビューするというのもあるし、飛躍して来年に繋げていきたい。そこで初めてラックライフを知って、なんばHatchにも観に来たという人が「こんなイベントを3年前からやっていたんだ!」とか「もっと前から知っていればよかった。また来年も行こう」というふうに繋がっていったら、広がっていくかなと。

●メジャーデビューをキッカケに、さらに広げていくと。大石くんから見て、ラックライフというバンドの魅力はどういうところだと思いますか?

LOVE大石:嫌みがないというか、すごく正直なところですね。俺らは先輩に対してもそうですけど、特に後輩に対してはめっちゃアホを見せてあげられるような存在やし、友だち感覚でいられるバンドやと思うんですよね。ということは、距離感が近いというか。あと、PONが書く曲もずっといいと思っているし、PONが好きなバンドの曲は俺も聴いていたんですよ。そういうところで、誰でも気持ちがわかるようなバンドになりたいなと。

●でもPONくんに直接そういうことを言ったりはしないそうですね。

LOVE大石:そうですね。いいと思っているんですけど、いいと思った段階で既にアレンジを考え始めちゃっているんですよ。

●いい悪いを言う前に、頭が制作に向かっている。

LOVE大石:持ってきた瞬間に微妙だと思っていても、PONはいいと思って持ってきているわけだから。そこで「こういうアレンジにしたら、いい曲になるんじゃないか」って考えるんですよ。だから、どっちにしろ「いい曲やな」とその場では言わないんです。

●今回の『名前を呼ぶよ』について、PONくんが「プリプロの段階で初めてメンバーに歌い方をアドバイスされてカチンときた」ということを話していたんですが。

LOVE大石:ちょっとカチンときているやろうなっていうのはわかっていたんですよ。俺はいつもライブを録音しているので、それを持ち帰って聴いたりしていて。この前のなんばHatchで録音したものをメンバーに聴かせて、「ここがこうなっているから、ギターの音が微妙だった」というようなことを初めて言ったんです。

●論理的に説明しながら言ったと。

LOVE大石:「ここはこうやったと思う」っていうのを、音と映像を合わせて「どう思う?」って訊いたりして。「ブレイバー」も最初はめちゃめちゃ綺麗に歌っていたんですけど、それはライブとは違うんですよ。ライブ感を求めているわけだからと思ってそういうことを言ってみたら、めっちゃよくなりましたね。

●最近そういうことを感じるようになった?

LOVE大石:今までにも「ええ感じやな」と思う歌い方もあったんですよ。でも“ライブバンド”という感覚が染み付いていくうちに、音源がライブよりもめっちゃ綺麗に聞こえるなと思うようになって。もちろん、どれだけライブっぽく音源を録ろうとしても、実際のライブの方がワッてアガる印象は絶対に強くなるわけで。でもちょっとでも近づけるためのやり方として、テンション感は音源でも出すべきやと思うんです。

●それでPONくんに言ったわけですね。

LOVE大石:楽器のテンション感も要るけど、最終的にボーカルが綺麗に歌っちゃったらライブ感もクソもないなと思っていて。レコーディングで綺麗に歌うことは大事やし、PONもライブのことは想像していると思うんです。でも聴き直したときに「ライブの方がいい」って絶対に思うんですよね。もちろん音源の綺麗な感じが大好きっていう人も絶対にいると思うんですよ。でも自分が求めているものは何かと考えたときに、もうちょっと崩してもいいんじゃないかなと。

●「ブレイバー」は特にそういう感覚があった?

LOVE大石:この曲は特に「この歌い方だったら、グッとこない!」っていう感覚があって。俺もアレンジを上半身裸でフィーバーしながらやっていたのに、「その感じがないやん!」みたいな(笑)。それで「もうちょっとライブみたいにやってもいいんじゃないか?」と言いました。曲のアレンジについて話をするのは大体、PONと俺なんですよ。俺がドラムを組み立てるときに、ギターとベースに対して「こういうふうに弾いて」って言うんです。

●へぇ〜! リーダーっぽい!

LOVE大石:リーダーですよ(笑)。

●ハハハ(笑)。基本的にはPONくんが持ってきた曲を、バンドでアレンジしていく感じ?

LOVE大石:そうです。まずPONが弾き語りで持ってくるので、最初の段階ではバラード調のものが多いんですよ。でもPONもいろんなリズムを知っているわけじゃないし、そこに関しては俺の方が知っているから「そのメロディだったら、このリズムの方がいいんじゃない?」と言ったりして。PONは作っている本人やから「こういうふうに叩いてくれたらいいな」っていうのを想像していると思うんです。俺も「こういうふうに弾いてくれたら、こういうメロディがあるから、ドラムはこうしよう」って想像する。だから、一緒に作っている感覚になるんです。

●PONくんが持ってきた原曲を3人で広げていく感じというか。

LOVE大石:そうですね。たまにPONも新しい感じのメロディを持ってきたりするんですよ。今回の「名前を呼ぶよ」のメロディは「これはいろんなリズムでいけるな」と思ったので、自分なりに組み立てたりして。そういうパターンが多くなってきたから、自分的にもより広げられるというか。

●今まで以上に広げられるようにもなってきている?

LOVE大石:昔は最初の弾き語りのバージョンを元に考えていたんですよ。だから「そのリズムだったら、こんな感じでしかできないな」って勝手に思っていたんですけど、メロディだけを聴くようにすると「もうちょっとテンポを上げてもいいし、下げてもいいな」と考えられるようになって。そう考えたら、めっちゃ広がるなと。そのときは「俺、天才や」と思いましたね(笑)。

●メロディが生きていればPONくんは納得するから、最初の弾き語りの形を引きずる必要はないと。

LOVE大石:PONも、そこを引きずるつもりはないから。キッカケはPONが発信するんですけど、先に俺がアレンジを考えてくることも多いですね。

●ちなみに大石くんから見て、PONくんはどんな人?

LOVE大石:あいつはいちばん真面目ですね。俺がバンドのことを話している時も、PONがいちばん客観的な意見を出してくるんですよ。自分から発言はしないけど、まず俺が話してくることに対して「そこで話をしよう」って絶対に思っているんじゃないかな。そういう意味では、信頼してくれているんだと思います。

●たくくんはどんな人?

LOVE大石:たくは俺らが言った意見に対して、お父さん的な感じで文句も言わずについて来てくれる感じがしますね。そういう意味では、あいつがいないと成り立たない部分もあって。全員がワーッってなったらグチャグチャになってしまうので、そうならないように見守ってくれているというか。

●イコマくんは?

LOVE大石:曲アレンジのときに俺がPONにワッーて言い過ぎると、PONが殻に閉じこもることがあるんですよ。そこでイコマが「こうしたらどうや」ということを言ってくれたりして。イコマが言っていなかったら、取り入れていなかったようなものも多いんです。お互いに音楽のルーツが違うし、そういうときに「イコマがそれを言ってくれて助かったわ」と思うことがありますね。

●メンバーの役割分担が本当にハッキリしているんですね。最後に、ラックライフをやっていて最も幸せを感じる瞬間は何ですか?

LOVE大石:CDがリリースされたときですね。ライブもその一瞬一瞬はもちろん大事なんですけど、リリースされる日って自分たちが培ってきたものが一気にそこで出るじゃないですか。そういう日にいちばん幸せを感じます。

●では『名前を呼ぶよ』をリリースする5/11は、確実に幸せを感じているわけですね。

LOVE大石:そうですね。Twitterとかもめっちゃ見ますよ。「めっちゃよかったです」っていうリプライを見ると、すごく嬉しいですね。自分たちの活動が人に認められるときというか。ライブでも毎回幸せを感じるけど、それがいちばん突き詰められているのがリリース日やと思います。

interview:Takeshi.Yamanaka
Assistant:森下恭子

 
 
 
 

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