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ラックライフ Ba.たくインタビュー

メジャーデビュー記念・全メンバー個別インタビュー #3:Ba.たく ソロインタビュー

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「ライブって、お客さんが見えるじゃないですか。MCで笑っていたところからキュッと変わる瞬間のみんなの顔も好きやし、曲を聴いているときにむっちゃいい顔をしてくれている人がいると”やっていてよかったな”って思います」

●今日はソロインタビューということで、よろしくお願いします。

たく:僕、インタビューがすごく苦手なんですよ。

●えっ! なぜ苦手なんですか?

たく:パッと話を振られたときに、言葉に詰まっちゃうんですよね。普通に喋っているときは大丈夫なんですけど、取材はめっちゃ緊張しますし、いいことを言おうとしすぎてワーッてなっちゃう。それに元々、人見知りなんですよ。

●逆に1人でいても、苦ではないタイプだったりする?

たく:全然、苦じゃないですね。

●バンドの活動がない時は、1人で何をしているんですか?

たく:最近は行っていないですけど、前はフットサルをよくやっていたんですよ。mixiで個人参加できるフットサルのコミュニティがあって、「××日の××時に××でやってます」みたいなのを見つけて参加していて。誰も知らないようなところに1人でフットサルにいって、フットサルして帰ってくるということをしていましたね。

●それって、人見知りにはできないことでは…?

たく:バーで6年くらい働いていたことがあるんですけど、それは人見知りをなくすためだったんですよ。最初は「どうも」くらいしか言えなかったんですけど、「とりあえず何でもいいから喋れ」と言われて。人見知りって、仲のいい人とは全然喋れるものじゃないですか。要は、切り口がわからないのが人見知りやなと思ったんです。「何でもいいから言え。自分が拾えることを拾ったらいいから」っていうアドバイスをもらって、なるほどなと。

●怖がらずに、自分から何かをやれば大丈夫だというのがわかった。

たく:実際に人見知りじゃない人の言動を見ていても、そんな感じじゃないですか。ワーッと言って拾えるところを拾っているだけで。そこで度胸がつきましたね。

●バンドでステージに上った時も緊張しない?

たく:ステージでは緊張しないですね。行くまではちびりそうなくらいなんですけど、いざSEが鳴って出るとそれが吹っ飛んでいくというか。昔からそうですね。

●そういえばラックライフの前身バンド“マキシム☆とまと”に誘われたとき、たくくんは右腕の骨が折れていたそうですね。

たく:いや、それは入る1年くらい前のことですね。みんなが僕を認識したのが、その姿だったんですよ。

●ヤンキーだったんですか?

たく:ヤンキーではないです(笑)。まあ、ケンカはあったりしたんですけど(笑)。出会った当時、パキーンと折れてしまっていて…。恥ずかしいから、この話はちょっと…(笑)。

●若気の至りということでいいんじゃないですか(笑)。バンドは元々やろうと思っていたんでしょうか?

たく:思っていました。親父がフォークギターをやっていたんですよ。その影響で、自分も中2のときにフォークギターをやり始めたんです。

●お父さんは音楽をやっていた?

たく:親父の時代って、フォークの全盛期だったんですよ。音楽で食っていくことも考えていたみたいなんですけど、18歳で和歌山から大阪に出てきてオカンと知り合って。もう仕事もしていたらしいから、そういうのはやらなかったんでしょうね。でも子どもができてからも、ピアノは趣味でずっと1人で弾いていたらしいです。

●そんなお父さんの影響でギターを始めたと。当初はベースではなかったんですね。

たく:中3の文化祭にギターで出たんですけど、そのときに初めてベースっていうものの存在を知ったんですよ。友だちがベースを弾いているのを見て、「めっちゃ渋いやん」と思って。「ベースっていいな」と思ったキッカケが有名なアーティストとかじゃなくて、友だちが弾いている姿なんですよね。そういうのもあって、高校1年のときは軽音部に入ったんですけど、バンドはやらずにずっとバイトをしていたんです。

●部室にはほぼ行かなかったと。

たく:ただの幽霊部員ですね。先輩から「バンドを組もうぜ」って言われたんですけど、それが嫌だったからバイトをして。その後、高1の最後の方にサッカー部に入ったんですよ。そこで今のメンバーと仲のいい子たちと、自分も仲良くなったのがキッカケですね。

●そこで今のメンバーと一緒にやるようになった?

たく:仲良くなって遊んでいるときに「軽音部なん?」って訊かれて、ベース志望だと言ったら「ちょうどええやん! やってや!」っていう。本当に軽いノリですね。

●その時にベースを始めたわけですね。

たく:でも最初の頃はまったく面白くなかったですね。ベースって、1人で練習していても全然楽しくないんですよ。

●いつ頃から楽しくなったんですか?

たく:ラックライフになって、2年目くらいですね。ノリが出せたら、めっちゃ気持ちいいっていうのがわかって。あと、パッと浮かんだフレーズがめっちゃカッコよかったりするのも楽しいんです。1人で練習するときも、クリックに合わせてやるのも、ノリができるようになってからは楽しくなりました。

●基本的には人と合わせる方が楽しい?

たく:楽しいですね。今はレコーディングのときにわりと一斉にバッと録るんですけど、昔は1パートずつ録っていたんです。最初にドラムの音があって、次にべースが入って、ギターが入って…という中でどんどん広がっていくのがすごく楽しくて。ああやって1つずつ積み上げていく感じは、レコーディングする楽しみでしたね。

●なるほど。ラックライフは今年で11年目になるわけですが、今まで辞めようと思ったことはない?

たく:あります。マキシム☆とまとに入って半年くらいで1回、「辞める」って言っていますからね。「この日で辞めます」と言っていたライブが終わった後に、イコマの家にみんなで行ったんですよ。そこで「今日は楽しかったな」みたいな話をしているときにメンバーから「やろうよ」って言われて、「そうやな」って。

●あっさりとまたやることに(笑)。

たく:本当にそんな感じの気持ちでしかやっていなかったんですよ。そもそもがバンドは楽しかったけど、しんどかったから「辞めるわ」って言った感じで。

●その時はなぜ「辞める」と言ったんですか?

たく:高1のときはずっとバイトをしていてお金があったのに、(バンドを始めてバイトを辞めてから)急になくなったというのもあると思います。あと、ちょうど学校も面白くなくなってきた時期だったんですよ。めっちゃ辞めたかったんです。

●バンドだけじゃなくて、学校も辞めたかった?

たく:地元の友だちが留年してから高校を辞めて、フリーターになったんですよ。そいつとめっちゃ仲がよくて、週7で遊んでいたくらいだったんです。僕の家に週3で来て、バイト終わりに週4で向こうに僕が行って…みたいな生活をしていて。新年も2人でボウリングに行ったりとか、そっちの生活が基準になっていたから。そういうフリーターの友だちが何人かいたので、自分も辞めたいなと。

●そういう生活に流されそうになっていたと。

たく:高校2年のときがいちばん学校に行っていなかったし、勉強もあんまりしていなかったんですよ。留年したら絶対に辞めてやろうと思っていたんですけど、ギリギリ進級できてしまって。それで高校も続けていたんですけど、高3の終わりでとうとう留年してしまったんです。そこから父に頭を下げて「行かせてください」と言って、1年ちゃんと通って卒業しました。

●留年した1年間は高校に通いながら、バンド活動をやっていたんでしょうか?

たく:やっていました。当時は他のメンバーが大学生だったから、どこかに遠征するとなると自分は学校を休んだり早退したりしていて。保育士になりたかったんですけど、保育士か音楽かっていうのを1年間考えていましたね。

●結果的にバンドを選んだ?

たく:そこで“やっぱり音楽をしよう”と思ったんです。卒業したときも親から「いつまで音楽やるの?」と訊かれて、「23歳で何も見えていなかったら辞める。ちょっとでも光が見えているなら続ける」と言って。「その先、27歳で同じくらいの光の見え加減だったら辞める」とも言っていましたね。そしたら親も「わかった。じゃあ応援する」と言ってくれて。

●そこで家族と約束をした。

たく:それからちょうど23歳くらいのときにインディーズレーベルからCDを出すという話があって、25歳くらいで今の事務所に入って。そして、27歳でメジャーデビューが決まったんです。親が今もその約束を覚えているかはわからないですけど、今は応援一択ですね。

●ずっと気持ちがブレずに、バンドを続けられている?

たく:いや、23歳でみんなが社会人になるタイミングとか25歳のタイミングとかではありましたね。23歳の時には地元の子たちとは遊ぶ基準値が全然違っていたから、忙しいと思われて誘われなくなったりして。25歳になると周りで結婚する人も増えて、みんなは安定した収入があって…お金のことも大きかったですね。結婚するっていうのは、そういうことも必要だから。

●不安になったりもした?

たく:先のことも全然わからないし、不安になりましたね。

●でも10年以上続いているわけじゃないですか。たくくんがラックライフというバンドを続ける魅力とは、何なんでしょう?

たく:ライブでの生の音やパフォーマンスを含め、PONの声や作る曲が本当にすごいと思っているんです。ライブ中のMCでも、フザけてみんながワーッてなったあとにキュッと締めるのは、いつも隣で見ていてすごいなと思っていて。空気が変わりますもん。そこがいちばんですね。CDでも曲の感じはわかると思うんですけど、ライブに来てもらって初めてわかることの方が多いから。

●PONくんの声と曲とMCがすごいというのは、ずっと前から思っていた?

たく:いや、いつ頃からかPONが変わったんですよね。明確にいつからかはわからないんですけど、めっちゃよくなり始めて。5年くらい前から変わり始めて、3rdアルバム(『my contents』)くらいのときにはすでに思っていましたね。

●何が変わったんでしょうか?

たく:発言力ですかね。言葉に重みがあるというか。どう変わったかと言われるとわからないですけど、作る曲も変わってきて。PONが作ってきた曲を「いい」と思っていても、僕らは言わないんですよ。PONからは「言って」って言われるんですけど(笑)。

●それはなぜ?

たく:僕らからするとPONが作ってきてくれたものをどういうイメージにしていくかというので頭がいっぱいいっぱいになるから、言う暇がないんですよ。

●口にはしないけど、「いい」とは思っている。

たく:思っています。今回のCDで言えば「ブレイバー」は今までにまったくない感じだし、「あんな曲を作っていた子が急にこんな曲を作れるようになるんや。すごいな」と。

●面と向かって言ったことはあるんですか?

たく:昔、「めっちゃいいわ」と言ったことはあります。今ではもう、こっ恥ずかしいんですけど(笑)。PONだけじゃなくて、大石やイコマに対してもそう思いますね。

●他の2人に対しても敬意がある。

たく:メンバー内でいちばん仲がいいのは大石なんですよ。ツアーでホテルを取るときも同室やし、プライベートでもちょくちょく飲みに行ったりしていて。でも高校生のときは空気が全然読めない子だったんですよね。

●大石くんが?

たく:はい。ず〜っと「俺やで!」みたいなタイプだったんです。それが大人になって周りに叩かれ、でもメンタルは強いから空気もある程度は読めるようになって。言葉は相変わらず下手くそでキツい言い方をよくするんですけど、音楽の面ではずっと真面目にリーダーとしてやってくれています。

●彼はアツいですもんね。

たく:そこは変わらないですね。後輩と喋っているのを聞いていると、「大人の人みたいな話するやん」って思うこともあったりして(笑)。めちゃくちゃ優しいんですよね。

●なるほど。イコマくんは?

たく:イコマはギターのフレーズとかがすごいなと思いますね。あと、彼はパソコンや機械類もほぼ独学で勉強していて、ちょっとオタク気質というか。機材についてもよく知っていて、僕が今使っている機材も彼のオススメで買ったものなんです。

●機材面でもお世話になっていると。PONくんはマイペースな人なのかなと思うんですが。

たく:マイペースですね。今回のシングルについてリリースが決まったのは、去年の年末だったんですよ。でもそこから年始一発目のスタジオのときには、3曲くらい候補を作ってきてくれて。マイペースなんだけど、ケツを叩けばできちゃう子でもありますね。

●追い詰められた時も力を発揮する。

たく:ライブで見ていても、本当は“のびのびやっていた方がいいな”とは思いますけどね。本人も褒められて伸びるタイプだと、ずっと言っていますから。

●ラックライフをやっていていちばん幸せを感じる瞬間というのは、やはりライブでしょうか?

たく:やっぱりライブですね。ライブって、お客さんが見えるじゃないですか。MCで笑っていたところからキュッと変わる瞬間のみんなの顔も好きやし、曲を聴いているときにむっちゃいい顔をしてくれている人がいると「やっていてよかったな」って思います。メンバーもスタジオでは見せない顔をしますからね。

●メンバーの顔を見ても、幸せを感じる?

たく:感じますね。「やっぱり楽しいなぁ」って。今はもう何周目かっていうくらい、メンバー同士の仲がいいんですよ。元々はイコマと僕ってあんまり喋らなかったんですけど、しょうもないイジリ合いを何周目かでするようになって。ちょっと前に「あ、今って仲良いかも?」っていうのは思いましたね。

●特に男同士は、長く付き合えば付き合うほど照れくささが出てくるものじゃないですか。それもなく、今でもしょうもないイジリ合いをやれていたりすると。

たく:照れくささは出ますよね。でもそれも楽しいから、全然いいんです。元々アホの集まりなんで、今そういうことをやってもお互いに知らない仲じゃないし、「やってみたらもっと楽しいやん」みたいに思っているから。主にフザけるのは大石が多いんですけど、それをイコマが冷たい目で見て笑うっていう(笑)。

●そういう瞬間も幸せ?

たく:「ええなぁ」って思います。

●おじいちゃんが「家族が仲良くて、わしゃ幸せじゃ」って言っているみたいな…(笑)。

たく:それがいちばんでしょ(笑)。仲良くてテンション高い方が、何でもいいようにいくじゃないですか。

interview:Takeshi.Yamanaka
Assistant:森下恭子

 
 
 
 

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