2016/2/29@心斎橋BIGCAT
GOODWARP / モハメド / ギャーギャーズ / Shout it Out / BLACKUR0 / まえだけんた
1番手を務めるのはまえだけんた。この日は特別に、ハーモニカプレイヤーの雪井良太(a.k.a. バッキー蛸笛)を迎えて登場! 彼の紡ぐ歌は、言霊のように力を持って私たちに届いてくる。その生活感が見える歌は、大人になった人たちこそいっそう響く歌ではないだろうか。
続くBLACKUR0が見せたのは、日本のみに留まらない世界を見据えたパフォーマンス。もはや“ライブ”という表現で片付けてしまうのが憚られるほどの芸術性だ。所作・声・音・照明すべてを含めて“表現”に昇華したトータルアートと言えるだろう。
モハメドは骨太かつテクニカルなアンサンブルで持って踊らせたかと思うと、MCでは面白トークと閏年コールで会場をひとつにする。プレイングのレベルはもちろん、場を盛上げるためのセンスも一級品だ。オールラウンドな才能を余すところなく発揮すると、このようなバンドができあがるのではないか。そう思わせるほどの才覚だった。
Shout it Outが持つ、若者の青さを感じさせる音は、青いからこそ混じりけのない純粋な気持ちが伝わってくる。最も印象的だったのは、「普通の日を特別な日にするために歌いにきました」と告げるVo./G.山内の言葉だ。4年に一度しかない日だからといって、特別なことがあるわけじゃない。だがこの場にいた人たちにとって、今日は忘れられない特別な日になったに違いない。
GOODWARPは極上のシティポップを鳴らし、フロアをダンスホールへと変貌させる。肩を揺らしてステップを踏みたくなるようなミドルナンバーたちは、子どもをちょっぴりムーディーでオトナな世界に招待し、大人にコドモの頃の遊び心を思い出させてくれる。グッドメロディで満たされた会場は、世代を超えてYOASOBIを繰り広げ、えも言えぬ多幸感が溢れていく。
トリを飾ったのはギャーギャーズ。そのサウンドはロックでありながら、どこか祭り囃子のような和の雰囲気を持っている。彼らの持つ“和の雰囲気”とは、美しい和楽器の音色を入れたり雅な和メロを取り入れるという直接的なものじゃない。夕日が沈む河原の雰囲気や下町にある商店街の活気のような、日本ならではの空気感を彷彿させるような音楽なのだ。日本人であることに誇りを持てるような、素晴らしい土着性を有している。なにより、それらを汗をまき散らしながら熱量高く鳴らす姿が最高にカッコいい。たったの30分で、彼らはいくつもの感動を生み出したのだった。