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新作の世界観を存分に堪能し、次への期待感も生み出した2部構成のツアーファイナル。

2015/12/18@渋谷WWW
『其れは、繙かれた結晶の断片。或いは赫奕たる日輪の残照。無限反復する紋中紋の
一綴りで、託された意思を継ぐものは、雄心勃勃として表象の蓋然性を検証する。』TOUR

PH_te_mainニューアルバム『其れは、繙かれた『結晶』の断片。或いは赫奕たる日輪の残照。』を2015年8月に発売し、10月から全国各地でリリースツアーを開催してきたポストロック/インストゥルメンタルバンド、te'。tachibana(Dr.)が一時脱退した後、オリジナルメンバーのyoko(Dr.)をサポートに迎えた初めてのツアーとなる。新作まではtachibanaがドラムを担当していたこともあり、音源で聴かせたサウンドが新体制でのライブではどう表現されるのか楽しみにしていたファンも多かっただろう。

 

場内の照明が落とされると、ステージ後方の大きなスクリーンに映像が映し出される。おそらく曲名であろう文章が、次々とこちらへ向かって飛んでくるようなイメージだ。映像とSEが流れる中で、メンバーがステージに登場。不慮の交通事故により肋骨を骨折したというhiro(G.)は、イスに座ったままでの演奏となる。アルバムのオープニング同様のSEが鳴り終わると、いきなり激しい演奏が始まった。

座ったままながらもギターをかきむしるhiroは、今にもイスから立ち上がりそうな勢い。冷静沈着にバックからバンド全体のバランスを整えるkono(G.)、センターで身体を揺らしながら太いビートを鳴らすmatsuda(Ba.)、そしてソリッドなリズムを叩き出していくyoko。tachibanaの熱気漂う強靭な演奏とは異なりつつも、しっかりとte'のサウンドにマッチしたyokoのドラムは新鮮に聞こえる。今までとは違う、新たなte'の可能性も垣間見せた。

途中で気付いた人も多いだろうが、間に挟み込まれるインタールードも含めて新作を全て曲順どおりにライブで演奏してみせた第1部。メンバーがいったん下がり、ステージ上のスクリーンにまた映像が映し出されていく。SEがどんどん激しくなっていく中で、4人が再び登場すると第2部のスタートだ。エッジィなギターの音から始まると、1曲目からhiroが観客に手拍子を煽る。新作の世界観を表現することに徹していた第1部とは打って変わって、第2部はオーディエンスとの一体感を生み出していくような、まさに“ライブ”らしいライブ。

ようやくという感もある、この日初めてのMCでhiroが語った「第2部は長いアンコールみたいなもの」という言葉のとおり、第1部よりもメンバー自身もリラックスして音楽を楽しんでいたように思う。合間にhiroとkonoによるMCでのユルいやりとりも挟みつつ、フロアをどんどん盛り上げていく。「最後までブッ飛ばしていきます!」という言葉に続いて、終盤戦はまさしく怒涛の勢い。ラストはもはやイスに座ってはいられなくなったhiroが立ち上がり、ステージ最前でギターを弾き倒してみせた。

メンバーがステージを去った後、スクリーンにはまたしても映像が映し出される。セットリストやスタッフクレジットがエンドロールのように流される様を見ていると、まるで2本立ての映画を鑑賞したような満足感に包まれた。最後には2016年の東名阪ワンマンツアーも発表され、歓喜の声を上げたオーディエンス。そこでまた彼らはきっと新たなサウンドスケープを見せてくれるに違いない。

TEXT:IMAI

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