【9/5】フィッシュマンズ / METAFIVE / clammbon / 東京スカパラダイスオーケストラ / ハナレグミ(弾き語り) / 真心ブラザーズ / レキシ / TK(凛として時雨) / SCOOBIE DO / Analogfish / YOUR SONG IS GOOD / Polaris / bonobos / シンリズム / 赤犬
【9/6】キュウソネコカミ / クリープハイプ / サンボマスター / OKAMOTO'S / ハヤシ(POLYSICS) / グッドモーニングアメリカ / KEYTALK / a flood of circle / 四星球 / ドレスコーズ / 水曜日のカンパネラ / フレデリック / モーモールルギャバン / ヒトリエ / 朝の本気ダンス / セックスマシーン / DJピエール中野(凛として時雨)
【入浴宣言】ガリガリガリクソン
心地よい演奏と歌声で開場中アクトを務めたシンリズム。「ここで今日の盛り上がりが決まります。楽しんでいきましょー!」。そんな池田の呼びかけで、レキシの試合開始! キラッキラのキラーチューン「きらきら武士」に始まり「真田記念日」や「salt & stone」といった大阪にまつわる人物たちが登場する歌を入れて来る流石の選曲。最後は「狩りから稲作へ」。普段はトークが冴え渡り3曲ほどで終わることが多いが、今日はなんと5曲も披露!オーディエンスがグッズの稲穂を振る中、辺りをトンボが飛び交う風景はすっかり秋である。穏やかな気持ちでbonobosのライブへ向かうと、スカ調の陽気な「うつくしいなまえ」や、優しさに満ちた「三月のプリズム」で、胸の奥に暖かい気持ち呼び起こされた。
真心ブラザーズは前置きなしでダイレクトに曲に入る男らしい形でスタート。「GREAT ADVENTURE FAMILY」「人間はもう終わりだ!」を終え自己紹介をしたのち、更なる名曲を次々と繰り出していく。「音泉魂の成功を祈って“どか〜ん”とやります!」というVo./G.YO-KINGの言葉から、彼作曲の「どか〜ん」を一発かませば、会場もどっかんどっかん大盛上がり! またVo./G.桜井作曲の「ENDLESS SUMMER NUDE」では、秋めいていた会場に再び夏らしさが戻ってきたような気さえする。太陽の暑い日差しが肌を焼く中、Polarisの音楽はまるで一服の清涼剤のようだ。「光と影」「深呼吸」と、疲れた体に沁み入る音のシャワーが何とも夢見心地な空間を作り出す。そして大浴場ステージでは唯一の弾き語りであるハナレグミ。永積のまろやかな歌声で紡がれるバラードは天下一品で、SUPER BUTTER DOG時代の名曲「サヨナラCOLOR」では、客席から“おぉ…!”と歓喜の声が。「祝福」では作曲者であるYO-KINGを特別ゲストに迎え、二重奏&二重唱を奏で、そのまま永積が青春時代にずっと聴いていたという、真心ブラザーズの「のり弁女」を披露。ここでしか観られないような珍しい光景だ。ラストは「きみはぼくのともだち」でフィニッシュ! 辛いとき、寂しい時に支えになるのは、こんな曲なのだろう。東京スカパラダイスオーケストラは、楽器を自在に操りフロアを熱狂の渦に叩き込む! 「今日は久し振りの事をやろうと思います。そのためにこの男を呼びました」。Sax.谷中の紹介でリングに上がったのは、先ほどステージを終えたばかりのハナレグミ。彼のMCにより本日はKey.沖の誕生日だということが知らされ、「HAPPY BIRTHDAY SKA」を演奏! その後、ボーカルに永積を据えての「追憶のライラック」。「All Good Ska is One」ではオーディエンスが肩を組んで踊り出す! 屈託のない笑顔が弾ける時間、始終ほっぺが痛い。
曲そのものの素晴らしさに感動して涙が流れたのなんて、いつ振りだろう。clammbonのステージは、そんな瞬間の連続だった。「キラッ☆として良いですか?」というBa.ミトの導入から超時空シンデレラ、ランカ・リー(中島愛)の「星間飛行」。ポップなメロディの中にえも言えぬ美しさを感じる「雲ゆき」、20年前の自分たちに向けて歌詞を書いたという「便箋歌」、沸き上がる感情を押えること無くぶつけた「バイタルサイン」…そのどれもが、心を揺さぶって仕方がない極上の曲たちだ。続く結成20年を迎える歴戦のライブチャンプ、SCOOBIE DOのステージが素晴らしいことは語るまでもないだろうが、それでもこの時間がいかにグッとくるものだったかを伝えたい。フィッシュマンズのカバーである「疲れない人」にはバンドへのリスペクトが強く込められていたし、「君らが居なかったら音泉魂にならないんだよ。良くて音泉だ。魂がねえんだ。」という言葉にはお客さんに対する信頼と感謝がにじみ出ている。「音泉魂でしか出来ないことをする」という約束のもと、新曲「新しい夜明け」でスカパラホーンズとのコラボが観られたのも、イベントへの愛があるからこそでは無いだろうか。そんな彼らをして「周りは大先輩ばかり」と言わしめる、本日の出演者の偉大さを改めて実感。そしてレジェンド達が一堂に会した夢のようなユニット、高橋幸宏率いるMETAFIVEのライブ。「METAFIVEとしては初の大阪です。あまり時間がないのでバンバン曲をやります。バンバン踊ってください」。そう告げたかと思うと、グルーヴィーなサウンドがうねる新曲「Don't Move」やYMOの「Cue」など贅沢な音に酔いどっぷりと浸る。モノを知らない若輩者の私にでさえ、80〜90年代の空気を感じさせる圧倒的なオーラがそこにあった。
主催者の清水氏が十数年間作りたいと思っていた瞬間が、遂に実現する…その想いを受けると、嫌が応にも身が引き締まる。“ただ今より〜、本日のメインイベント〜60分1本勝負を始めます! 10年の歳月を経て、大阪の地に再び降臨!ザ・フィッシュマンズーーー!”。FM802飯室大吾氏によるプロレスのリングアナ風に宣言された幕開けを飾ったのは「Go Go Round This World!」。Vo.原田(clammbon)が舞うようにひらひらと踊り、続く「MAGIC LOVE」はメロウなナンバーに乗せてDr.茂木と原田の声がこだまする。「MELODY」「Weather Report」辺りから、なぜか理由の分からない涙が止まらなくなって、「ナイトクルージング」ではただただ音の波に身を委ねていた。ラストの「いかれたBaby」でフィッシュマンズのボーカル、故・佐藤の歌声が聞こえたとき、会場に言葉にならないどよめきが走る。そして佐藤から引き継ぐように後を請け負った茂木の歌声が、あたりに染み渡っていく。フィッシュマンズの音楽が呼んだ、一夜限りのマジックアワー。
湯あがりアクトの赤犬に関しては愛を持って割愛。
TEXT:森下恭子
セックスマシーンが、SET YOU FREEテントから遂に露天風呂ステージに! 「湯沸かし(オープニングアクト)だからって一等賞になっちゃいけないことはない。今日の出演者の中でいちばん人数の多いバンドになろうぜ!」。セクマシのライブではオーディエンスはみなゲストボーカルであり、共に歌った時点でメンバーの一員となるのだが、Vo./Key.森田の呼びかけに応じ推定1万人のゲストボーカルが大熱唱! 結成初ライブが今回の音泉魂というダークホース、朝の本気ダンスのステージは、いきなり超満員。京都の人気バンド・夜の本気ダンスの楽曲を完璧にカバーしオーディエンスをとことん踊らせた。
音泉魂初入浴(出演)のKEYTALKは、まずレーベルオーナー古閑氏の誕生日を祝ってG./Vo.寺中がビールを飲み干す! 景気付いたところで「パラレル」「sympathy」とキャッチ―なアンセムを続々投入していく。「太陽系リフレイン」ではG./MC/Cho.小野がフレデリックの楽曲「オドループ」のフレーズを混ぜたりとニヤッとするような演出がニクい。グッドモーニングアメリカも初入浴で、A.猪木のテーマ曲「炎のファイター」をSEにBa.たなしんが入場。「熱湯風呂にてファイヤーしたいと思います」と、熱湯の注がれたビニールプールに勢い良くダイブし、文字通り音泉入浴を果たす(良い子はマネしないでね)! そんなコミカルな面を持ちつつも、楽曲は胸を刺す歌詞が強く残る、音楽性の高いバンドなのだ。両者ともオモローを理解する清水音泉との相性は抜群だ。続いての熱湯CMでは、12/19(土)に行われるフラワーカンパニーズの日本武道館公演を応援するべく様々なバンドのボーカルが集結! 四星球の演奏に乗せて1番手はハヤシ(POLYSICS)で「恋をしましょう」。なんとこの1曲のためだけにわざわざ大阪まで駆け付けたらしく、その心意気がアツい。2番手は志磨遼平(ドレスコーズ)の「はぐれ者讃歌」。彼も12/19に東京で自身のライブを行うにも関わらず、この大役を引き受けたという。3番手は北島康雄(四星球)がフラカンから直々にリクエストを受け「深夜高速」を歌い上げる。2番に入ろうという辺りで(大半の人が予想していたかもしれないが)サプライズでフラカンの4人が登場! 新曲「消えぞこない」や、歌詞中に泉大津も出てくる「ファンキーヴァイブレーション」を演奏し武道館への加速を付けた。水曜日のカンパネラは、中毒性のある歌詞と個性が光るトークで自分色の空間を作り上げていく。「ドラキュラ」時のMCでは、各血液型毎に“血〜吸うたろか〜”のシンガロングを求めるコムアイ。AB型には「声は良いけど協調性ないねー」、A型には「優等生過ぎてつまんない」など、やらせた割に辛口なコメントを残していく(笑)。それが面白く感じられるのは、彼女の愛嬌がなせる業。最後は観客とハイタッチしながら走り去っていった。雨で足下が泥沼状態になると、普通ならテンションが下がってきてもおかしくない。しかしサンボマスター・Vo./G.山口がそれを串カツ屋のソースになぞらえて“2度付け”コールをすれば、みるみる熱気が増していく。「あんたがたとミラクルをおこしたいんです!」「おめぇらの可能性をくれないか!」。そんなアツい言葉から曲へと繋げていけば、いやが上にも盛り上がっていくのだ。
ドレスコーズはVo.志磨のバックバンドをOKAMOTO'Sが担当! 今日はシマ・オカモトとして各メンバーを紹介していたが、そのやり取りからも互いの信頼関係が見える。「夏にとどめを刺しましょう。また会うまでお体に気をつけてね。もうひとつ、“愛に気をつけてね”」と、最後に贈られたのは「愛に気をつけてね」。オーディエンスの手が左右に振られ、凄まじい一体感を生み出した。黄色い声が飛び交う中、クリープハイプのステージが始まる。Vo./G.尾崎が「キス以上のことをしましょう」と言い「HE IS MINE」! そこから「手と手」「エロ」とストーリーのある楽曲で惹き込んでいく。初めて音泉魂に出演した時は、全然注目を集められずに悔しい想いをしたという彼ら。3年目にして、今年は遂にほぼ全観客を魅了するまでに成長した。一歩ずつ階段を上っているのが目に見えて、何だか感慨深い。二日目の露天風呂ステージのトリを務めるのは、音泉魂的には若手の筆頭格・四星球! 真っ赤なフェニックス姿の北島が華麗に見参。「お客さんも若いし、なんか今までの音泉魂っぽくはないですよね(笑)。だから音泉魂によく出ている人メドレーやっても良いですか?」と言うと、奥田民生「さすらい」→筋肉少女帯「踊るダメ人間」→MONGOL800「小さな恋のうた」とお馴染みの名曲を繰り出していく。もう愛しか感じない。例年の音泉魂っぽくなったところで新曲「MOONSTAR daSH」へ。「妖怪泣き笑い」では「四星球15周年にはトリをさせてください!」と想いを込めてジャンプ! 2年後には、是非大浴場で彼らのトリを観たい!
クライマックスを飾るのはキュウソネコカミ。世界一感情のこもったコール&レスポンスが行われた「DQNなりたい、40代で死にたい」、愛すべき音泉魂に捧ぐ「ハッピーポンコツ」とダンサブルな音楽で1万人を踊らせる。曲が終わった後、MC中、ふいにポンポンっと花火が打上がり、何事かというように辺りを見回すメンバーたち。なんと終演後に打ち上げる花火を、音泉スタッフが間違えて数発打ち上げてしまったのだ(笑)。それをふまえ「お願いシェンロン」では筋斗雲(という名のボード)に乗ってオーディエンスの上までやってきたセイヤが「さっき花火が打てたって事は、カメハメ波の時にも打てるよな?」と空に向けて元気玉を送ると、それに合わせて再び花火が打上がる! この瞬間、会場にいる1万人がきっと同じ気持ちで笑顔を浮かべていたと思う。それは“音泉魂を全国に広めたい”という想いを持って戦った人たちが勝ち取った、奇跡の瞬間だった。
終演後は露天風呂ステージにて、ピエール中野(凛として時雨)による楽しいDJが繰り広げられていた。