心地好いメロディとヒューマニズム溢れる歌詞を生々しいオルタナティブロック・サウンドに乗せて鳴り響かせる4人組バンド、BACKDRAFT SMITHS。今年5月の1stアルバム『Static Chronicle』リリース以降は全国各地をツアーで駆けまわりながら、その爆発的な力を持ったライブに磨きをかけている。今回は9月から既に2周目のツアーに入っている4人に、ツアーでの実感とエピソードを訊くスペシャルインタビュー。ツアーファイナルの11/28(土)@下北沢GARDENに向けて、バンドは確実に進化を続けているようだ。
●今回のツアーを振り返るというところで、まず初日の千葉LOOKはいかがでしたか?
祐弥:初めてのアルバムを持って1発目のライブだったので、気合は入っていましたね。
コニたん:ツアー初日は千葉LOOKという、(バンドシーンにおける)慣わしみたいなのがあるじゃないですか。僕らも千葉LOOKから始めたいという想いがあったので、やっぱり気合はすごく入りましたね。店長さんもすごくファンキーな人で、ここ最近はずっと担当してくれていて。今回も「1周目と2周目を両方、千葉LOOKから始めたい」という話をしたら、スケジュールを組んで下さったんです。
●今回はツアーを2周まわるんですよね。
コニたん:そうなんです。11/28のツアーファイナルに向けて、各地を2周して行こうという話になって。同じ会場もあれば、(地域は同じでも)違う会場のところもあるんですけどね。
●アルバムリリース時のインタビューでは石巻BLUE RESISTANCEでライブすることへの想いを話していましたが。
優:自分の中では、すごく感慨深かったです。ライブもすごく良かったというか。以前に「ここでBACKDRAFT SMITHSのライブを観るのが夢なんです」と言ってくれていた人も観に来てくれていて。すごく感動してくれて、ライブが終わった後に「これにバンド名を書いて下さい」と木札を下さったので書いてきました。
コニたん:でも変に気合を入れていたわけでもなく、「いつもどおりにやろう」という感じでしたね。前から東北のお客さんは温かいと思っていたんですけど、この日は特に人の温かさを感じるライブでした。
ナリ:対バンの人も色々と良くしてくれたりして、東北の良さを本当に感じましたね。
●地元のバンドとの対バンで感じたこともあった?
ナリ:その地域の空気というのを、まずそこで感じるんだと思います。対バンの人たちと挨拶した時にも明るく接してくれたりして、最初から温かさを感じることが東北は特に多かったですね。
●東北では良い経験ができたと。
優:あと、東北1本目の盛岡へ向かう前には事件もあって…。出発する当日の朝に、ナリと連絡がつかなくなったんですよ。
●何があったんですか…?
優:集合時間になっても来なくて、30分くらい待ったんです。でもこのままだとライブに間に合わなくなっちゃうというので、3人だけで先に出発して。そこから2時間くらい連絡が取れなくて、「事故ったんじゃないか?」とか色々と心配して警察に問い合わせたりもしたんですけど…、結果的にただの寝坊だったという。
一同:ハハハ(笑)。
●寝坊だったんだ(笑)。
優:(ナリは)1人だけ悠々と新幹線でやってきて、俺らが車で到着したらライブハウスの前に立ってニコニコしながら手を振っていましたね(笑)。
ナリ:ご迷惑をお掛けしました(苦笑)。
●他のメンバーはそういう失敗はなかった?
祐弥:ライブ当日に寝坊とかはなかったですね。
優:ツアーに出てしまえば、他のメンバーも一緒にいますからね。そういえば今回は大体、誰かと一緒の部屋で寝ているんですよ。
コニたん:ホテルは2人部屋だったり、祐弥の実家では4人で同じ部屋で寝たりしていて。
●誰かのイビキがひどくて眠れないとかは?
祐弥:イビキがひどい人はいないんですけど、コニたんは呼吸音がすごいんですよ。「フシュ〜…フシュ〜」みたいな(笑)。あと、優は寝ている時にやたらと動くんですよね。だから布団をガサガサする音がずっと鳴っていて。
コニたん:動くよね〜。俺は気にしちゃうから、優とは部屋が一緒になりたくない(笑)。
祐弥:だから、俺と優が一緒の部屋なことが多いのか!
●仕組まれていた(笑)。
コニたん:部屋割りは俺が決めているんです(笑)。
優:そうだったんだ…。でも意外とみんな疲れているから、すぐに寝ちゃうんですよね。だから、あんまり気にならなくて。
●ちなみに祐弥くんは?
ナリ:祐弥は寝言がすごいですね。いきなり話し始めるんです。
祐弥:それは移動中の車であったことですね。俺は運転免許を持っていないのでツアー中は助手席に座って、運転手が眠くならないように話しかけたりしているんです。だから1人だけずっと起きていたんですけど、それでも落ちちゃた瞬間があって。四国を移動中に誰かが何か言った気がしたんですよ。「この辺って、橋とかある?」って言われた気がして、起きているフリをしようと思ったのか、とっさに「橋あるし!」って言ったんです。
優:こっちは全くそんな会話をしていないので、「えっ!?」っていう(笑)。
●寝ぼけていたと(笑)。
祐弥:実際は何も言われていないんですけど、夢の中では地元の高知をディスった感じで「橋とかもないんでしょ?」みたいなことを言われていたんでしょうね…。起きなきゃ良かったと思いました(笑)。
●真面目な話に戻しますが(笑)、ツアーを経て自分たちの進化も感じられた?
祐弥:曲自体はレコーディングしている時と何も変わってはいないけれど、演奏している僕たちとそれを観ている人たちの間に歌詞やメロディとは別のところで新たなテーマが不思議とできあがってくるんです。
●新たなテーマ?
祐弥:CDとはまた違ったライブアレンジになっているけれど、そんなことじゃなくて。上手く言えないけれど、ライブ空間が良い感じに進化できている…。僕らはいつもどおり、精一杯演奏してるだけなんです。でもみんながそれを感じていて、自然に進化している曲を楽しめていますね。まあ、1周目のツアーが終ってちょっとは上手く演奏できるようになったのかな? (笑)。
●その進化を2周目では見れるわけですね。
優:1周目と2周目で、セットリストも変えようという話をしていて。1周目で自分たちが感じた「もっとこういうふうに伝えたいよね」というものを、2周目には織り込みたいんです。曲が進化して行くと同時に、僕らのパフォーマンスも変わっていくと思いますね。
●成長を実感できるツアーだった。
優:スタートした時は「今できる最強のセットリストだ。これで最強のライブができる」と思っていたところから、ちょっとずつ「もっとこうしたいよね」というものが出てきていて。“成長”って、そういうことなのかなと。
ナリ:バンド全体で成長できているというか。色んな想いが乗ってきて、色んなことを経験して、バンド全体として確実に進化していると思うんですよ。色々と積み重ねてきた結果を、ツアーファイナルでは出せれば良いなと思っています。
●ファイナルに向けて、これから2周目のツアーでさらに高めていくわけですよね。
優:これから2周目が始まると、今よりもっと「こうしたい。ああしたい」というものが出てくる気がしていて。ファイナルはワンマンということで曲数もいつもより多くなるので、そこで「まさにこれがBACKDRAFT SMITHSの1stアルバム『Static Chronicle』です!」というものをガッツリ出せたら良いなと思っています。
(※次号では、ツアーファイナルに向けたメンバーの意気込みを掲載!)
Interview:IMAI