NUBOが約2年ぶりに新作をリリースする。この2年間、彼らは全国各地のライブハウスで、自身のツアーで、イベントで、仲間たちのツアーで、フェスで、その“ライブ”を磨き抜いてきた。約2年ぶりにリリースするシングルは、そんな数々の現場で培ってきたものをぎゅっと凝縮し、かつ体脂肪率が限りなくゼロに近くなるまで鍛え抜いてきたような、ライブバンドによるライブのための新曲3曲が収録されている。
NUBOと聞いてまず思い浮かぶのは、感情を振り絞って全力疾走でライブをするヴォーカル2人の姿だ。汗だくになり、顔をくしゃくしゃにして、ステージを所狭しと暴れ回り、時には客席にまで身を投じる。人間としてタイプはまったく違うが、tommyと一成という2人のコントラストは、観ている者の心を惹きつける大きな魅力がある。
M-2「Allie」には、そんな彼らの人間味が溢れている。ネガティブをポジティブに変換していくアフォリズムは、結成当初よりNUBOの楽曲で数多く表現されてきたことだが、たくさんの経験を積んで己を自覚した末に綴られた「Allie」の想いには、どんなことがあってもブレない強さと優しさが同居している。
そして、ヴォーカル2人が自由に思い切り暴れまくれるのは、楽器隊3人の確固たるグルーヴがあるからこそ。ロックだけではなく、様々なビートの音楽を積極的に採り入れ、独自の音楽を生み出してきた彼らだが、ライブハウスという現場で培ってきた数多くの経験は、その音楽をよりタフに、いい意味でラフに、強靭なものへと成長させた。
M-3「Prime mover」を聴けば、どんなことがあっても決して崩れることがないNUBOのライブの光景が浮かび上がる。K-zooがアグレッシブに身を乗り出し、Wakaiが身体全体を使ってギターをかき鳴らし、前の4人を見ながら楽しそうにサブがドラムを叩く。極めてフィジカルなその演奏は、その場に居合わせた者たちをグイグイと巻き込んでいく吸引力が強い。
そして、“エンヤーコラ・サッサ”という日本独自の掛け声を昇華させたタイトル曲M-1「bonfire」は、ライブハウスで成長してきた彼らの、音楽とライブに対する宣言だ。今までにもライブをテーマにした楽曲はいくつも作ってきたが、この曲が放出するエネルギーははっきり言って尋常ではない。“えんやこら”という言葉には“多人数で力仕事をするときなどに息を合わせるための掛け声”という意味があるらしいが、まさにこれは多人数で(オーディエンスと)息を合わせて、力仕事(ライブ)をするための楽曲。もっと大げさに言うと、オーディエンスと、哀しみや怒りや争いといった感情を、力を合わせて踊り、昇華させるための楽曲。NUBOのネガティブをポジティブに変換するアフォリズム、ここに極まれりといったところだろうか。
NUBOの新作は、たくさんの経験を積んで大人になった、ライブキッズ5人の成長した姿を感じることができるはず。リリース後のツアーでは、一筋縄ではいかないライブ猛者たちが対バンに名を連ねているが、4thシングル『bonfire』を携えたNUBOは、このツアーで今まで以上に暴れまくってくれることだろう。
TEXT:Takeshi.Yamanaka