前身バンドでの活動を経て2015年に現体制となった京都発のロックバンド、LOCAL CONNECT。美しいツインヴォーカルのハーモニーとダイナミックなロックサウンドを融合させた彼らの美学は、ライブハウスで1人でも多くの人に想いを伝えようとするバンドとしてのあるべき姿。ピュアでまっすぐな人柄がにじみ出る楽曲とステージには、LOCAL CONNECTというバンドのありのままの姿が投影されている。聴く者の心を直接揺さぶるネクストブレイカーが登場した。
●つい先日東京でのライブを拝見したんですけど、びっくりしたんです。2015年結成の新人バンドで、関西が地元で…言ってみれば完全にアウェーなイベントだったのに、すごくアグレッシブなステージで、完全にお客さんを味方にしたというか。ツインヴォーカルで2人ともすごく歌が上手いけど、“歌を聴かせる”というより、全力で気持ちを伝えるライブで。しかもヴォーカル2人だけじゃなくて5人全員の気持ちがビシビシ伝わってきて。どういうキャリアを積んできたんですか?
Daiki:僕らは今25歳なんですけど、前身となるバンドを16歳のときに結成したんです。高校生のときは遊び程度で、高校を卒業してメンバーそれぞれ別の道に進んだんですけど、19歳のときに“もう1回オリジナルのバンドをやりたい”ということでまた集まって。去年前のドラムが脱退して、今年から新メンバーのNatsukiを入れて「今年からまた新しくやっていこう」ということでLOCAL CONNECTというバンド名に変えたんです。
●ガッツリやるようになってからは6年位なんですね。
Daiki:でも最初の2〜3年くらいは地元の京都でしかライブをやったことがなかったし、“とりあえず京都でお客さんを付けてから他所に行こうかな”みたいな安易な考えだったんです。大学を卒業するときに、本気でバンドをやろうということになって。
ISATO:僕は就職が決まっていて、大学を卒業したらバンドを辞めようと思っていて。特に伝えたいこともなかったし。
●あら。
ISATO:楽しいのは楽しいんですけど、“俺はどうしてもバンドがしたいんだ”とか“歌いたいんだ”というものがなくて。だから就職が決まった大学3年のときに「辞めたい」ってメンバーに伝えたんですけど、「あと1年だけは歌ってくれ」と言われて。僕がそんなわがままなことを言ったにも関わらず、メンバーは更に気合いを入れてバンドに取り組むようになって、そういう姿勢を見て“こいつらやったら預けてもいいな”と思ったし、逆にヴォーカルとしては“こういうメンバーだったら引っ張りたいな”とも思ったんです。
Daiki:大学卒業の少し前に「本気でやっていくからこれからもよろしく」ってみんなで話して、そこでガッチリ固まった感じがありますね。
●いい話ですね。今のようなライブのスタイルになったのは何かきっかけがあったんですか?
ISATO:僕らはもともとバンドとか全然知らなくて、特にヴォーカル2人はR&Bとかブラックミュージックとかがルーツなんです。で、僕は初めてしっかりと観たバンドのライブがONE OK ROCKとFear, and Loathing in Las VegasとFLiPが出ていたイベントだったんです。そのときにめちゃくちゃ衝撃を受けて。“こんなにかっこいいものがあるのか”と。魂が剥き出しで、気持ちがビシビシ伝わってきて。“自分はこれがしたいんやな”と思ったんです。
Daiki:僕はかなり前なんですけど、SUPER BEAVERとジンのライブを観させてもらった経験がすごく今に繋がっていると思います。サウンド的なこともそうだったんですけど、“ライブを通して何かを伝える”ということを初めて体感したというか。
●ふむふむ。
Daiki:それは4〜5年くらい前だったんですけど、お客さんが惹きこまれていく感じがわかって、“こんなバンドになれたらいろんな人が元気になれるのかな”と思ったんです。
●2人のバンドの原体験みたいなものが、今のLOCAL CONNECTに繋がっている気がしますね。
2人:そうですね。
ISATO:歌を歌っていながらも、なんとなく気持ちが伝わってないということはどこかで感じていたんです。ライブ後に「歌上手いですね」とか言われてもそれが社交辞令だということは目を見たらわかるし、“メンバーが求めているヴォーカリストはこういうのじゃないな”と色々と考えて。それこそ僕もSUPER BEAVERやジンのライブは観せてもらったんですけど、そこに僕らが求めていた答えがあったし。歌が上手いということは最低限ある上で伝える力があれば、すごくおもしろいことになるんじゃないかと。
Daiki:しかもこの2人だけでは成り立ってないと思うんです。LOCAL CONNECTのライブの空気感を作ってくれているのは後ろの3人やと思うんです。
●うんうん。今回リリースした1stミニアルバム『過去ツナグ未来』は初の流通音源ですが、今までの活動の集大成的な作品なんですか?
Daiki:そうですね。前身バンドのときの曲もいくつか入っていて。だからタイトルを『過去ツナグ未来』にしたんです。
ISATO:未来だけ見ていたら今まで応援してくれていた人が置いて行かれた気持ちになるだろうし、もちろん僕らも今までやってきたことを自信にして新しく始めたという部分もあるので、過去と未来と繋ぐような作品にしようと。
Daiki:いちばん古いのはM-3「Paradise Lost」で、4年くらい前に作った曲なんです。いちばん新しいのはM-5「BLIND DAY」で、今年に作った曲なんです。だから本当に今までの集大成ですね。
●今作を聴いて思ったんですけど、すべての曲はポジティブな気持ちや希望に向かっているというか。
Daiki:ああ〜(笑)、そうかもしれないですね。“生きててよかった”と思えることが日々あるんです。逆に落ち込むこともよくあるんですけど、でも、しんどいことも嬉しいことも生きているから味わえることであって。そういう考え方が軸になっているかもしれないですね。
●めっちゃいいやつだ!
Daiki:ISATOも素直でめっちゃいいやつで、熱いし、“自分は1人で生きているわけじゃない”ということが根底にあるんです。後ろの3人も不器用だけど素直で、この5人に共通しているのはそういうところなんかなって思うんです。
●なるほど。
Daiki:バンドマンからは「お前らトゲがない」とか「もっとメンバーのこと嫌いになれ」とか言われるんですよ(笑)。
ISATO:そういうバンドもめちゃくちゃかっこいいしロックだなと思うんですけど、それを自分たちで表現するのはなんか違うんですよね。だから今のカタチがいちばん自分たちらしいのかなって。
Daiki:僕らの音楽は、バンドそのものだと思います。
interview:Takeshi.Yamanaka