「絶対生音主義」という主張のもと、ハードロックをルーツに感じさせる若干19歳とは思えない圧巻の技術力を持ったバンドル(バンドアイドル)、がんばれ!Victory。しかし元々は、楽器がヘタな子ども達が集まって結成されたというから驚きだ。普段はちょっと抜けている“ポンコツ5人組”は、これまで様々な困難に挑戦し成長を続けてきた。一生懸命に突き進む彼女たちの姿には、きっとアナタも胸を打たれるはず。ゴリゴリなサウンドをキャッチーなメロディーに乗せて、みんなに笑顔と感動を届けます!
■がんばれ!Victoryさんには、メンバー毎にキャッチコピーがあるそうですね。
れな:はい。普段の雰囲気や性格をそのまま表しているんですよ。
■例えば、れなさんは「天然リーダー」だそうですが。
みなみ:何にもないところで転んだりするんです(笑)。週に1回以上はこけるよね。
あやき:電信柱に突っ込んだりもするし。しかもケータイを見ているとかよそ見しているとかじゃなくて、普通にぶつかるんです。
■それは確かに天然ですね(笑)。みなみさんの「世間知らずの内弁慶」というのは?
しのぶ:みなみは楽屋でよくみんなを笑わせてくれるんですけど、ステージではカチコチになったりするから「内弁慶」って言われていたんです。でも初めは意味を知らなかったらしくて、褒められていると思って喜んでいたんですよ(笑)。
■しのぶさんの「風邪気味お母さん」は?
れな:ライブではMCを担当してくれたり、みんなの緊張を和らげてくれるお母さんキャラなんです。
しのぶ:ただ私はしょっちゅう風邪を引くんで、それがいつの間にかキャッチコピーになっちゃって…(笑)。
■あやきさんの「King of ポンコツ」は、なかなか強烈なキャッチコピーですね。
れな:寝坊したり、道に迷ったり、衣装を忘れたり、マイクの線を踏んじゃって抜いたり…毎回何かしら怒られているんですよ。
あやき:MCでも毎回噛みますね。出身なのに「佐賀県」が言えなかったり、バンド名を噛んだり…。
しのぶ:マネージャーさんから「頼むから、自分のバンド名だけは噛まないで」って言われてました(笑)。
一同:アハハハ!
■まゆこさんの「佐賀のゴジラ」も印象的です。
まゆこ:みんなは性格についてなのに、私だけちょっと由来が違うんですよ。このバンドでは今まで様々な企画を立てて挑戦してきたんですけど、その中にダイエット企画というのがあって。その時ダイエットに失敗したことがキッカケで、バンド名とキャッチコピーが変わったんです。
■元々は何と呼ばれていたんですか?
まゆこ:「弱メンタル特攻隊長」でした。猪突猛進なところがあるけど、悲しい映画のCMを見るだけですぐ泣いちゃうくらい涙もろいんですよ。
■それぞれの個性が出ていて面白いですね。そもそも、みなさんがバンドを結成したキッカケは?
しのぶ:小学6年生の時に、担任の先生が趣味で生徒にバンドを教えていて、上級生が校内発表会で演奏しているのを見ていたんですよ。
みなみ:それがすごくカッコ良くて、自分たちもやりたいと思って集まったのがこのメンバーです。
■声をかけたのはみなみさんなんですね。サウンドはハードロックを基調としていますが、以前からそういう音楽が好きだったんですか?
まゆこ:初めからそうだった訳ではなくて、元はみんなJ-POPを聴いていました。でもバンドを教えて下さった先生が、曲を作るにあたっていろいろアドバイスを下さったんですよ。
れな:その結果、一番最初に作ったオリジナル曲が割とハードロック寄りの曲になったんです。ライブでも「シブいね!」と言われる事が多く、その言葉が記憶に残っていて“これが自分たちのカラーなのかな”と思って勉強し始めました。
■作詞・作曲は誰が担当されているんですか?
れな:曲はまゆこが、歌詞はあやきが作ることが多いですね。ただ作詞・作曲自体は全員ができるし、最近はみんなで意見を出し合ってレコーディングする機会も増えました。
みなみ:まゆこが作ってくれる時は、「このフレーズはこの曲をちょっと参考にしたよ」ってこともありますね。
■一種のオマージュというか。
まゆこ:そういうニュアンスが入っていると「おっ!」って思う方もいるんじゃないかなと。初めて聴いて下さった方でもカッコ良いと思えるものにしたいから、いろんな曲の良い要素を練り込んでいけたらって感じですね。
■前シングル『ふらいはい!!!』のジャケットがDEEP PURPLEのオマージュなのも面白いなと思いました。演奏レベルも高くライブもカッコ良いですよね。
一同:ありがとうございます!
れな:サウンドではカッコ良さを、ボーカルではガールズバンドならではの良さを出せたらと思っています。最近はアイドルイベントに出させてもらう事も多くなってきたので、より伝わりやすいキャッチーなメロディーを意識するようになりました。
■今回のメジャーシングルも、メロディーはポップでキャッチーですよね。『全力!スタート / 夢のつづき』について、レコーディングはどうでしたか?
みなみ:本当に大変でした…。
しのぶ:「全力!スタート」はまゆこ作曲なんですけど、ギターのフレーズがすっごく難しかったんですよ(笑)。
まゆこ:打ち込みでデモを作ったんですけど、速すぎて「ちょっとスキルが…」ってことがありました(笑)。打ち込みだから成立する、みたいな。
■アハハ(笑)。でも、そういう経験が演奏力を上げる要因なんでしょうね。
れな:そうですね。なかなか自分から難しいことに挑戦しようとはしないから、課題にしてクリアしていかないと。前作を作ったときは前々作より難しくなっていたし、今作も前作よりさらにハードルが上がっていて。
まゆこ:メジャーデビューのタイミングだから、スタッフさんもメンバーも「このぐらいは挑戦するでしょ!」的な空気になっていたというか。レコーディング以外の面でも更にレベルが上がったように思います。
■今作のテーマやこだわりは何かありましたか?
しのぶ:メジャーデビューということで、「このタイミングでしか書けない曲にしたい」とみんなで話していて。「全力!スタート」も「夢のつづき」にしても、夢を追いかけることや、努力は絶対報われていくよっていうことを歌詞にしています。だから聴いて頂いた方に「ここで諦めないでもっと頑張ろう」という前向きな気持ちになってもらえたらと思って書きました。
れな:今回はみんなで作詞したんですよ。「夢のつづき」は、まず各々が1曲丸々書いてきて、それを組み合わせていきました。アニメ『ベイビーステップ』のエンディングという明確なテーマがあったので、みんな同じ方向を向いて書けたと思います。「全力!スタート」は、あやきが書いてくれたものを“今のタイミングで書けるものに変えていこう”ってことで、全員で言葉を出し合っていって。
みなみ:5人もいるといろいろな意見があって、まとめるのには苦労しました。でも曲ごとに根本は絶対ブレないように意識していたので、最終的には納得のいくものが出せましたね。
■明確なゴールがあったから、ブレずに進められたんですね。こうやって音源が完成した訳ですが、改めて今感じることは?
れな:制作面では難しいことだらけで、正直作っている最中はどんな作品になるのか想像できなかったんです。完成したときは「本当にできあがったんだな」っていう満足感があって、すごく嬉しかったですね。
しのぶ:ツアーでは北から南まで回らせてもらうので楽しみです! 基本は5人で演奏するバンド形式なんですけど、場所によってはアコースティック形式だったり、あやきとれなの2人がアコギと歌だけでライブをする会場もあるんですよ。それがドキドキというか。
■いろいろな形があるんですね。
れな:最近はライブハウス以外の会場も多いし、ショッピングモールだと家族連れの方やたまたま遊びに来ていた方にも観てもらえる機会ができるので、いろんな世代の人に楽しんでもらえたらと思います。
まゆこ:しかも今回のシングルは、初回盤や通常盤の他に“個人盤”が5種類あるんですけど、その中には未公開のデモ音源が入っていて。
しのぶ:それぞれに違うデモが入っているんですけど、どの曲が一番好きかを投票してもらって、1位になった曲を今後本格的にレコーディングをする企画もあるんです。曲自体はもちろん企画も合わせて楽しんで頂けると思うので、ぜひ全種類ゲットして欲しいです!
■その5種類というのは、各々が作ったものが自分の盤に入っているんですか?
まゆこ:自分が作った曲が入っているものもあれば、そうじゃないものもあります。
みなみ:私はれなの作った「Simple thing(仮)」が大好きなので、私の盤にこの曲のデモを入れています。
れな:「自分で買って投票する!」って言ってますからね。でもこの間「みなさんに聴いて頂きたい気持ちもあるけど、自分だけの曲にしたい」とも言ってました(笑)。
みなみ:だから、れなにはもう1回新しい曲を作ってもらおうと思います。それを私だけの曲にする(笑)。
■ガチでファンじゃないですか(笑)。でも全員が作曲できると、自分のバンド内でも他の人が作った曲を楽しめて面白いですね。
れな:そうなんです! ひとりだと制作で行き詰まることも多いでしょうし、いろんな色を混ぜられるから、このバンドだけの特別な個性になるんだと思います。
Interview:松山和司
Edit:森下恭子