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BACKDRAFT SMITHS

4人が刻む“伝説”の幕開けを告げる1stアルバム完成!

PH_Backdraft心地好いメロディとヒューマニズム溢れる歌詞のオルタナティブロックを鳴り響かせる4人組バンド、BACKDRAFT SMITHS。ダイナミックなプレーと人間味溢れるライブパフォーマンスでオーディエンスを魅了させてきた彼らが、遂に1stアルバムを完成させた。テレビ朝日系「最強銀河 究極(アルティメット)ゼロ 〜バトルスピリッツ〜」オープニング曲に抜擢された1stシングル『I Wish』を2013年12月にリリース後、昨年はツアーで各地をまわる中で実力を磨いてきた彼ら。そこでの経験値を昇華させた今作『Static Chronicle』の楽曲たちは、どれもが生々しいライブ感と鮮烈なグルーヴに満ち溢れている。疾走するサウンドが体現しているように、全力で走り続けていく4人が刻む“伝説”の幕開けを告げる一枚だ。

「本当に“これ以上ない!”というものを作ったから、あとはそれを生でやって広げるだけというか。1人1人に突き刺していきたいですね」

●初の全国流通盤シングルとしてリリースされたM-5「I Wish」はアニメ『最強銀河 究極(アルティメット)ゼロ 〜バトルスピリッツ〜』オープニングテーマにもなっていたわけですが、反響は感じましたか?

コニたん:今までは自分たちで作ってライブハウスだけで売っていたところから、初めて全国流通してTVでも流れたというのはやっぱり大きかったですね。

ナリ:全然知らない人が「アニメを見て、ライブに来ました」と言ってくれるのは嬉しかったです。

祐弥:色んな層の人が聴ける環境になったというのはあるのかな。自分たちだけでやっていた頃はライブハウスに来る人にしか届けられなかったけど、全国流通したことで色んなところに広がったとは思います。

●広がりを感じられたと。

優:その後にも新劇場版『頭文字D Legend1-覚醒-』の挿入歌をやらせてもらったりもして。去年は初めてガッツリとしたツアーをやったんですけど、地方でもそういうところで知った人が観に来てくれたりしたんです。まだ大きな火にはなっていないかもしれないけど、ポツポツと火種はつき始めているんだなというのはツアーで感じられました。

●ツアーはどのくらいまわったんですか?

祐弥:上は東北から下は四国までの20ヶ所弱くらいですね。

●地方ごとの特色を感じたりもした?

コニたん:東北の人は優しかったですね。温かい感じがするというか。人も含めて、ライブハウス自体がすごく良い雰囲気で。出演者もそうだし、ライブの雰囲気がすごく良いなと感じました。

優:あと、東北に行った時は、出会いもあって。ツアーに出る少し前に同じく『新劇場版 頭文字[イニシャル]D』の挿入歌をやった月光グリーンというバンドと2マンライブをやったんです。その後にツアーで東北へ行ったら、そのライブで僕らのことを好きになって観に来てくれたという人がいたんですよ。その人は東北の人で東日本大震災でもすごく被害を受けていて、「周りもグチャグチャで全ての気力を無くしてしまいそうな時に、私は音楽に救われたんです」という話を聞かせてくれて…。僕らのライブを初めて観た時に「すごく勇気をもらえたから、また観に来ちゃいました」と言ってくれたことがすごく嬉しかったのと同時に、「自分たちはすごく責任のあることをやっているんだな」と感じたというか。

●自分たちの音楽の影響力を知ったわけですね。

優:根本には自分たちが楽しくてやっているというのがあるんですけど、それがこうやって誰かの夢や希望になっているということを知って。その方はすごくライブが好きで全国色んなところへ観に行くような人なんですけど、あえてまだ東北ライブハウス大作戦の3会場には行っていないらしいんですよ。

●宮古KLUB COUNTER ACTION MIYAKO、大船渡LIVEHOUSE FREAKS、石巻BLUE RESISTANCEの3会場ですね。

優:「いつかBACKDRAFT SMITHSがその3会場のどこかでやるとなった時に、そのライブを観るのが私の夢です」とまで言ってくれて。そして次回のツアーでやっとBLUE RESISTANCEに行けることになったんです。誰かの夢を叶えると言ったら変ですけど、自分たちの活動が誰かのためになっていたりするというのはすごく幸せなことをやれているんだなと感じました。

●そういうことにも、ツアーでお客さんに触れ合う中で気付けた。

優:その人はもう涙を流しながら話をしてくれて、「こんな想いでライブハウスに来ている人がいるんだ!」っていうのを実感したというか。誰かを救うために音楽をやっているわけではないけど、僕らのアルバムを聴いてテンションが上ったり、通勤中の憂鬱な時にも「頑張ろう!」と思えるキッカケになれたりしたら良いなって。そしたら音楽をやっていて良かったなと思えるし、自己満足だけじゃない結果にもなるのかなと。

●ツアーをまわったことで、バンドとしての力も増したのでは?

優:自分たちを全く知らない人たちの前でライブをやるということが、ある意味では修行みたいな感覚で。僕らは基本的にメンタルが弱いんですよ(笑)。元々はその日のお客さんや対バンやライブハウスのことを考えて、それに合わせたライブをやってしまいがちだったんです。でもツアーに行ったことで、どんな空気の中でも「俺たちはこうだ!」みたいな感じで自分たちらしくあることの大事さを感じましたね。

ナリ:聴き方は人それぞれだから、もう「僕らのやりたいことはこれだ!」というものを自信を持ってやれば良いんだというのがすごくわかったんです。そういうところで心の経験値も上がっていくんだなと思いました。

●ツアーでの経験が楽曲に反映された部分もある?

祐弥:ツアー中に泊まったホテルで寝ずに歌詞や曲を書いている時もあったので、少なからず影響はあったと思います。曲に関してはライブで勉強になったところもあったし、歌詞に関しては「ツアーでこんなことがあったな」というのも出ていたりして。引き出しが増えたというのはあるかな。

●ツアー中にも曲作りをしていたんですね。今回の1stアルバム『Static Chronicle』の制作はスムーズだったんでしょうか?

祐弥:いや、当初は今年1月のワンマン(1/25@渋谷WWW)に合わせて、リリースする予定だったんですよ。そういう意気込みで気合を入れてやっていたんですけど…。

優:そしたら全然、間に合わなかったっていう(笑)。

一同:ハハハ(笑)。

●当初の発売予定からは遅れてしまったと。

祐弥:まさかのデビューアルバム発売延期という(笑)。やっぱりタイアップ曲の制作についても考えながらアルバムのことを考えて…となると、作業が間に合わなくて。次から次へと難題が出てくるような感覚だったんです。レコーディングの日程が決まっていて、歌録りをする当日の朝5時くらいにやっと歌詞のOKが出たということもありましたね。レコーディングの現場で優に歌詞を渡すっていう(笑)。

優:しかもレコーディングしている最中にまた歌詞が変わったりもして、「こういう感じになったんだ」という…。

●本当にギリギリだった。

祐弥:でも優は適応能力がすごいから、変更があってもその場で臨機応変に対応してくれるんですよ。英語の発音についても1つ1つインプットしているので、次のレコーディングでは全く失敗しなくて。どんどん適応能力を上げていってくれたおかげで、僕に甘えが出てしまったという…。

●タイアップに合わせて先に作った曲もあるわけで、ストックがあったわけではないんですか?

祐弥:タイアップが決まってから書いた曲も多かったですね。前身バンドの曲をリメイクしたものもあったし、書き貯めておいたものや新たに作ったものもありました。

●前身バンドの頃の曲も入っている。

優:M-9「Dance our waltz」は元々、「ワルツ」というタイトルで。その曲をリメイクして、タイトルも変えたんです。M-2「The Brave」も、「samurai」というタイトルで昔からありました。

祐弥:M-4「Selfish」とM-10「Infinity」も前身バンドからの曲ですね。あと、「I Wish」もそうなんですよ。

●「I Wish」も前身バンド時代の曲をリメイクしたものだったんですね。

祐弥:「I Wish」は特に歌詞で苦戦して…。そういう時にコニたんがLINEで「参考になるかわからないけど、俺なりに考えたものを送ります」と言って、送ってきてくれたんですよ。…まあ、それは1つも使わなかったんですけど(笑)。

●せっかく送ってくれたのに…(笑)。

祐弥:でも、それによって気持ちがグッと入ったというか。歌詞としては使わなかったんですけど、その気持ちがすごく嬉しくて。やっぱりデビュー曲だし、自分の中で「I Wish」はすごく大事な曲だと思っています。

●個々に思い入れのある曲があるわけですよね?

優:「The Brave」は変拍子を使っていたりして、当時は自分たちの中でかなり挑戦した曲だったんです。最初はめちゃくちゃ苦労したのもあって、いまだにライブでやる時はみんなの気が引き締まる曲というか。今回のアルバムに入れるにあたってアレンジを変えたりしているんですけど、昔から知っている人にはかなり変わったと言われますね。

●苦戦した曲だけに印象に残っている。

優:今作の中では一番トリッキーなことをやっている曲なんですけど、すごく良いスパイスになっているというか。あとは「Dance our waltz」も疾走感のある曲が多い今作の中では珍しく3拍子だったりして。他は自分で全部重ねているんですけど、この曲だけはコーラスに他のメンバーの声が入っているんですよ。原曲の時から演奏していて幸せな気分になれる曲だったので、「この曲はみんなでコーラスをしたいんだよね」とプロデューサーから提案が出た時もすごく良いなと思ったんです。

祐弥:ナリの声は入っていないんですけどね(笑)。レコーディングの日程が別だったので、その場にいた3人で録ったんですよ。

ナリ:でも、それって普段のライブと同じ状況で。ライブの時は、俺だけマイクを立てていないんですよ。…ちょっと寂しかったですけどね。「呼んでくれたらいいのに」って(笑)。

●ハハハ(笑)。前身バンド自体の曲は、アレンジも大きく変わっているものが多い?

祐弥:初期からやっている曲はメンバー全員よく知っているので、アレンジもやりやすかったですね。今作に入っている曲は昔のものと比べると全く別物で、その当時の色が消えちゃっているくらい“今のBACKDRAFT SMITHS”になっていると思います。

●今の成長した自分たちらしいものになっていると。

コニたん:でも難しくなったというよりは、シンプルになっているんですよ。最初はそのカッコ良さに気付くまでに、しばらく時間がかかったりして。やっぱり目立つことや余計なことをしたくなるんですけど、シンプルにしたほうがカッコ良くなるんだということをプロデューサーや周りの人たちに教えてもらった感じですね。自分たちでも純粋に「カッコ良いな」と思うものになりました。

祐弥:ストレートだよね。

●今回はどれもストレートで、ダイレクトに届くものが多いかなと。

コニたん:1stアルバムなので、勢いを重視したところがあって。バラード系の曲を入れようかという話にもなったんですけど、今回は1stだからいいやと。

●あえて勢いのある曲ばかりにしたわけですね。テレビ東京「パンクラス これが2015年メジャー格闘技だ」の挿入歌というM-3「PANCRASE」もそういうイメージで作ったんでしょうか?

祐弥:これは収録曲の中でも、ちょっと違うアプローチの曲なんですよね。歌から始まるんですけど、ちょっとゴリッとした感じでまさにパンクラスをイメージした感じですね。唯一、女々しさがない曲というか。恋愛のことを歌ってはいないし、生き様を歌っているんです。

●他の曲は女々しい?

祐弥:男の人が持っている、情けない部分ってあるじゃないですか。歌詞を書く上では、女々しい部分というのはなくてはならないものだと思っていて。そういうものがあるからこそ、成長していく過程も感じられると思うんですよ。歌詞では女性や恋愛のことについて書いているものが多いんですけど、そういうものとは全く違うのが「PANCRASE」ですね。

●M-1「Candle Flames」の歌詞も、生き様を歌っているのでは?

祐弥:そうですね。自分にすごく影響を与えてくれた人たちがいるんですけど、今はどこでどうしているのかもわからなくて。その人たちに「僕にもう一度教えて。あの感覚を取り戻させてよ」というようなことを歌っているんです。この曲も女々しさというか、「僕は1人じゃ生きられないんだ」というのが出ていますね。こういう曲も、優だから歌える感じがするんですよ。

●それはどういうところが?

祐弥:この曲の歌詞と優の歌声は、すごくリンクする部分があって。優が歌うと、ちゃんと円になってくれる感じがするんです。トゲを削ってくれるというか。

●優くんが歌うことで曲が完成するという部分もあるんでしょうね。

祐弥:バンド隊がオケを作ってから、最後に優が色を付けるという作業に入るんです。今回の歌録りには10時間くらいかかったんですけど、ずっと立って歌っているわけじゃないですか。その姿を見るだけでも感動したし、全部が浄化される感じがしたんですよ。最後に優が歌うということで作品が成立するというか、歌い終わったところで「やって良かったな」と思う瞬間があったんですよね。本当に感動しました。

優:歌い終わった後は、ヘロヘロでしたけどね(笑)。でもそこで置きにいった球を投げたりしたら、すぐに見抜かれちゃうから。やっぱり普通のリスナーが音源を聴いた時に一番耳につくのはメロディや歌だと思うから、そこは気合を入れて臨んでいて。ボーカルとして自分が一番見られているんだという意識と責任感は常に持っています。

●作品が完成しての充実感は大きかったのでは?

コニたん:レコーディングした日程はバラバラだったので、マスタリング後にまとめて聴いてみるとそれぞれの曲の思い出が浮かんできて。でもやっぱり「I Wish」が流れた時が、スタジオ内で「おおっ!」っていう感じが一番ありましたね。初めてのアルバムということで、曲間を1秒にするのか2秒にするのかにまでこだわったんですよ。曲順や曲間もすごく考えて作ったので、頭から通して聴いて欲しいなという気持ちがすごくあります。

ナリ:今作には、昔からの曲と新しい曲の両方が入っていて。新しい曲はこれからの僕らのスタイルを表していたりもするし、昔からある曲はバンドの根源になっているものでもあるんです。だからコニたんも言ったように、本当に1枚を通して聴いて欲しいですね。

●タイトルの『Static Chronicle』にはどんな意味を込めたんでしょうか?

祐弥:“Chronicle”には“古いもの”というニュアンスもあるので、昔からの曲も入っているということでそこが先に決まっていて。“Static”というのは“ノイズ”や“音”という意味合いもあるので、その2つを組み合わせました。“ノイズを綴った物語の本”といった意味ですね。これから歴史をどんどん重ねていって、すごく分厚い本になったら良いなと思います。これで終わりじゃなくて、スタートという意味も込めているんですよ。

優:昔の自分たちから今のBACKDRAFT SMITHSというものまで、このアルバムには詰まっているなと。今までがあって、今の僕らがあるという意味を『Static Chronicle』というタイトルに込めました。今まで応援してくれた人たちや今までやってきた活動を全部引っくるめて「俺たち、こういうものです」という想いがこのタイトルには込められています。

コニたん:今までやってきたことと、これからのスタートというか。“ここからまた行くぞ!”っていう感じがありますね。

●リリース後のツアーでまた新たに得るものもあるでしょうからね。

ナリ:新しいアルバムを持ってツアーを回る中で、また新しい人たちと出会いたいですね。このアルバムを聴いて色んなものを持って来てくれる人たちに、僕らの音楽というものをちゃんと示せたらなと思っています。

コニたん:すごくカッコ良いアルバムができたので、この武器を持って今回のツアーをまわって広めていきたいです。

祐弥:本当に「これ以上ない!」というものを作ったから、あとはそれを生でやって広げるだけというか。1人1人に突き刺していきたいですね。

優:僕らは基本的に東京で活動しているバンドだから、聴きたいと思ってくれた人が遠くに住んでいたら、なかなか生で会うことはできなくて。でもツアーで色んな場所に行くことで、楽しみに待ってくれている人たちと生で会える。それが僕らにとっても一番の楽しみというか。1stアルバムという最強の武器を引っさげていくわけだから、ライブをさらに楽しむためにぜひ予習しておいて欲しいですね。自分の知っている曲を生で聴いた瞬間の感動って、すごく大きいと思うから。「今から始まる僕らの伝説を一緒に見ようよ」という気持ちで、全国をまわってこようと思います。

Interview:IMAI

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