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3人の個性を突き詰めた先に生まれた3曲は、1つのテーマで繋がっていた

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前作『湾岸に架かる「A」』をリリース以降ツアーで各地を回ったり、関西最大級のライブハウスサーキットイベント“MINAMI WHEEL 2014”への出演を果たしたりと、様々な経験を積んできたhowlsend。それらから培ってきたものを活かし生まれたのが、ニューシングル『クロム』だ。収録されているのは、3人の個性が色濃く現れた3曲。それらはまったく異なるカラーでありながら、不思議とある1つのテーマで繋がっていた。

 

 

●ミニアルバム『湾岸に架かる「A」』から約11ヶ月振りの音源となりますが、リリース以降の活動はどうでしたか?

岩井:前作のツアーでは初めて行く会場も多かったんですが、そうなると対バンもライブハウスの方もいつもと違うわけで。初めて会った人たちから、いろんな意見が聞けたことは大きかったですね。

梅本:曲作りにもかなり変化がありました。前作は自分のやりたいことをそのまま詰め込んだんですけど、今作はまずメンバーの意見を聞いて、その上で自分がどう表現していくかを考えていったんです。

高塚:ひとつひとつのことに時間をかけた分、濃い内容で進められたかなと思います。

●ひとつのものに対して、全員でしっかり話し合いができた。

梅本:歌だけでなく、各パートに対しても相談や提案が増えましたね。

岩井:それぞれの個性をもっと入れるために、かなり話し込みました。作曲の方法も、これまでは僕が打ち込みで大まかな骨組みを作っていたんですよ。でもこのシングルでは各パートで考える部分が大きくて、特にベースは「デモはベース抜きでくれ」っていう意見があったくらいなんですよ。

高塚:そのメリットも大きくて、レコーディングをするときに「こんなフレーズを叩いていたのか」っていう風にしっかり耳を傾けてくれるようになりました。メンバーの個性を考えながら、良いモノをひとつひとつ詰め込めた作品だと思います。

●3人で一緒に骨組みを作っていったんですね。

岩井:骨組みがあると、形が決まっている分自由度が限られていたんですよ。でも今回はスタジオでもアレンジを煮詰めて密にやり取りができました。その分大変でしたけどね(笑)。

梅本:「どうしたらええねん!」って、レコーディングブースで罵声を浴びせ合うという(笑)。

岩井:作詞もかなり難航しました。M-1「クロム」がいちばん新しく作った曲なんですけど、歌詞がなかなか決まらなくて。言いたいことはあるんだけど、全然言葉がハマらなかったんです。メロディーありきだと譜割的に制限もかかってくるし、伝えたい意味という部分でも、自分の中で適切な言葉が浮かばなかったりして。そしたらだんだん歌の響きも“カッコよく聴こえないな”って思うようになっちゃって…。

●スランプにハマってしまったんですね…。

岩井:最終的にレコーディング当日まで悩み抜いて。最初の頃と比べると、原型がないくらい変わりました。

●具体的な曲のテーマはあったんですか?

岩井:表面上「クロム」は“宝石”について、M-2「愛を謳う」はちょっとひねくれた形で“愛”を、M-3「astrologia」は“星”を表現しています。でも共通してその中に込めているのは“生きる”ということなんです。生きることを、それぞれ違う角度から見ているんですよね。ただ最初からそうするつもりだったわけじゃなくて、作っていくうちに自然となりました。「astrologia」はかなり昔に作ったもので、今作の中でもいちばん古い曲なんですけど、大きなテーマは共通しているように感じます。

●では「愛を謳う」も以前からあった曲?

岩井:そうですね。3年ほど前に海外で見た光景がキッカケで生まれたんです。カンボジアで人々の生活をかいま見て、自分の生活とのギャップから何か感じることがあって。その時から“こういうことを伝えたい”というイメージはあったんですけど、曲として完成したのは半年前ですね。当時受けた衝撃も相まって、ちょっとショッキングな言葉も入っていて。

高塚:今回の収録曲は、3曲とも全然色が違うんですよ。例えば「クロム」は僕らの中でも特に速い曲で、全力疾走しながらぶつかっていくようなイメージなんです。そこから2曲目に行くと、外国のニュアンスというか、ノリ方が変わるんですよ。「astrologia」になると包み込むような雰囲気の音になって、また違った世界感になっています。

●サウンド的に一貫性があるわけではなく、それぞれ違った個性が際立っていると。それが自然と“生きる”というひとつのテーマに沿っていったのは面白いですね。

岩井:一言に“生きる”と言っても、いろんな意味合いがあると思うんです。例えば他の人の人生についてだったり、今の自分の人生だったり、同じ人間でも環境が変わったときのことだったり…同じテーマではあるけど、曲のアレンジから見える景色は違ってくるんですよね。

高塚:“前作と比べてこういう演奏ができるようになったんだな”と、変化や成長を噛み締められるものができたので、今は“我ながらよく作ったな”と思います(笑)。

●着実にステップアップを感じられた?

高塚:そういう部分もありますし、逆に失った部分もあるんです。でも新しいことができるようになるのは、自分達にとって武器だと思うので。

梅本:メンバーと寄り添い合うことで見えてくること、新しくできることが増えてきて、表現の幅が広がったように思います。これからライブをすることで見えてくる物もあるだろうし、どこまで広げていけるかも楽しみですね。ツアーが終わった頃には曲の聴こえ方も変わっているかもしれない。

岩井:さんざんお互いに寄り添ったという話をしましたけど、正直僕としては相変わらず我を通した部分も結構あったりして…(笑)。それでも“こうしたい”という意志を汲み取ってもらえた結果、本当に良い出来栄えの作品になりました。それに応えるためにも、これからもみんなが唸るような曲を書いていきたいと思っています。

Interview:森下恭子

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