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Mrs. GREEN APPLE

爆発的な広がりと革新を予感させる次世代型ロックサウンド

Mrs.GREEN APPLE_Progressive_Main_A写ライブハウス・シーンの最前線から今まさに火が点きつつある存在として注目を集めている、Mrs. GREEN APPLE。作詞・作曲・編曲の全てを手がけるフロントマン、大森元貴(Vo./G.)を核とした5人組バンドだ。世代を超えた普遍性を持つ歌詞とフックのあるメロディ、そして聴く者の心にまで届く歌声は特別な“何か”を感じさせる。まだ18歳〜23歳というメンバーの個性を活かしつつ、多彩な表情を見せるサウンドは次世代型ロックと呼ぶに相応しい。初の全国流通盤『Progressive』は、彼らの驚異的な進化と爆発的な広がりへの序章に過ぎないだろう。

 

「形あるものはいつかなくなっちゃうんだけど、その中で“何を大事にしようか?”というのを歌いたいと思った」

●Mrs. GREEN APPLEでは大森くんが作詞・作曲から編曲まで全てを手がけているということですが、最初からそういうスタイルだったんですか?

大森:そうなんです。僕は中学生の頃からDTMで曲を作っていたんですけど、自分でベースラインやギターリフからドラムパターンまで全部付けて…というのを最初からずっとやってきたから。

藤澤:デモの段階で、既にバンドサウンドになっているんですよ。みんなはそれを聴いて耳コピしたり、そこに自分の音をどう加えようかと考えていくというのが基本的なやり方ですね。

●最初に大森くんが作ってくるデモが出発点になっている。

大森:まずは「自分の頭の中で鳴っているのはこういう音だよ」というのをしっかり提示した上で、それぞれに色付けしていってもらう感じですね。印象的なリフとか曲の核になるような部分は全部作ってから、みんなに聴いてもらいます。

藤澤:だから、僕らは基盤がちゃんと出来上がったものを最初にもらっているんです。それも、「本当にデモなの、これ?」っていう…。

山中:「これをそのままCDにして、もらってもいい?」って言いたいくらいのレベルなんです。

大森:僕の作ったデモを(山中)綾華のお母さんは車の中で流していたりもするんですよ(笑)。

●まさに一般層にまで届く音楽性であることを、山中さんのお母さんが実証してくれている(笑)。歌詞で使われている言葉もフックはありつつ、基本的に平易なものが多いのもその要因なのかなと。

大森:そういう言葉を使おうとは思っています。僕自身、昔からTVで色んなバラエティ番組とかを見てきたポップな人間で。“ポップ”というのは、より多くの人に伝わる手段だと思うから。難しすぎる言葉を使うとやっぱり難しいものになっちゃうので、全年齢対象で届くようなものは意識しています。

●M-1「我逢人(がほうじん)」という曲名も禅語ですが、歌詞自体はわかりやすい言葉で書かれていて。

大森:“我逢人”はたまたま伝えたいこととぴったりの言葉だったので使ったんですけど、曲名は哲学的な意味を持っていたりするものが多いかもしれないですね。自分は(伝えるのが)簡単ではないことを歌いたいというか。「大切なことって、実は正解がないようなことばかりだな」と思うんです。そういうことを歌うのって気力も使うし、聴くほうも背筋を伸ばして聴かなきゃいけなかったりする。でもそういうことを伝えていかなきゃいけないなという命題が自分の中にあって、そのためには“わかりやすさ”も同じくらいのバランスで入っていないといけないと思うんですよ。

●そこのバランスもちゃんと意識した上で、歌詞を書いている。

髙野:僕は元貴の歌詞がすごく好きなんですよ。自分の人生観にも影響を与えそうな言葉があって、すごく伝わってくるんです。どの曲も毎回どこか大切な部分を歌っていて、そういうところから影響を受けていますね。自分自身、考え直させられるというか…。

藤澤:時々、説教されているような気分になるよね(笑)。

●聴く人にそれだけ考えさせる力を持った歌詞なんでしょうね。

髙野:デモの段階で歌詞も付いているんですけど、その完成度も高いので自分の中で曲のイメージが湧いてくるんです。そこから歌詞をみんなで読みながら、「自分はこういう曲だと思う」みたいな意見を出し合ったりもして。

大森:まずデモができた段階で、自分から「この曲からどういう景色が見える?」っていう話をしたりしますね。

●みんなのイメージを聞かせてもらう。

大森:デモはただの骨組みで、あとの塗装はみんなにしてもらうわけだから。「僕の中ではこうなっているけど、みんなはどういう色を付けてくれる?」という話をするんですけど、そこのイメージ共有はしっかりしておかなきゃなと。

藤澤:時には意見が違ったりもするんですけど、「他の人はこういうふうに思っているんだ。そう言われれば、確かに…」という感じで、みんなで少しずつ曲のイメージを固めていくんです。

●大森くんの書いてきた歌詞を元に、みんなでそこに解釈を加えていく。

大森:0(ゼロ)のところから一緒に曲を作っていくと、みんなの私情が入っちゃうと思うんですよ。でもまず僕がデモを作ることによって、メンバーはまっさらな状態で1人のリスナーとして聴けるから。そういうところでの意見って大事だなと思っていて、そこはみんなに助けてもらっていますね。

藤澤:歌詞の内容は抽象的なものが多くて、“これ!”というものがなかったりするんですよ。メンバーそれぞれの観点も違うから、きっとお客さんもイメージするものがそれぞれ違うんだろうなと思っていて。それは良さだと思うので、歌詞についてはみんなで噛み砕いて“どういうことを伝えたいのか?”、“お客さんが聴いた時にどう思うのか?”というところは今作『Progressive』を作る前にも話し合いました。

●歌詞に関しては、色んな受け取り方ができるように意図しているのかなと思いました。

大森:そうですね。たとえば映画を観終わった後に「このエンディングって、どういう意味だったんだろうね? どう思った?」みたいな話をするのが僕は好きなんですよ。そういうものを音楽で表せたら面白いなと思って。1つの曲を聴いた時に「これはどういうことを歌っているのか?」というものって、その人の人生観というか生きてきた経験に左右されたりするのが面白いと思うから。そういうルーツが自分にもあるので、それは意図的に表したいなと思って作っていますね。

●映画も色んな解釈ができますからね。

大森:色んな解釈ができるし、そこに不正解はないというのが面白いなと思って。

●映画や本だったり、音楽以外のものがルーツとして大きいのかなと思ったんですが。

大森:昔からメチャクチャ詳しいわけでもないので、音楽的なルーツというのはよくわかっていなくて。TVや映画だったり、むしろ音楽じゃないルーツから受けた影響のほうが曲や歌詞には強く出ているかもしれないですね。歌詞を全部読まないとタイトルの意味がわからなかったりするのは、それこそ映画がルーツになっているところなんです。最後まで観終わった時に「このタイトルってこういう意味だったんだ!」となる感じがすごく好きだから。

●後から発見する楽しさがある。

若井:元貴の楽曲はタイトルもすごく面白いんですよ。M-2「ナニヲナニヲ」だったり一見、存在しないような言葉が実は存在していたりとかもあって(※なにをなにをと質問攻めにしてその人が思っていることを考えさせる、哲学用語でいう“問答法”)。“我逢人”という言葉も元貴の曲で初めて知ったし、そういうのがワクワクにつながりますよね。「このタイトルでどんな曲調なんだろう?」みたいな感じで、ロックなのか明るい曲なのかフタを開けてみないとわからないようなところがあるから。

●曲調がバラエティに富んでいるのは、メンバーそれぞれの個性を映し出しているからなのかなと。

藤澤:しっかりと芯には“大森元貴”というものがある中で、そこにメンバーの人柄も織り交ざるようにはしてくれていると思います。

若井:たとえば僕がカッティングが得意だとわかったら、曲の中にカッティングを多めに入れてくれたりもして。

大森:みんなの得意なところや“美味しい”ところって人柄を見ればわかると思うので、そこがしっかり出るようにはデモ作りの段階から心がけているかもしれない。たとえば「綾華がこういうドラムを叩いたら面白いだろうな」とか、そういうことは考えながら作っています。ちゃんとメンバーそれぞれにスポットが当たるようなフレーズを箇所箇所に入れていたりもしますね。

●バラエティもありつつ作品としての統一感もあるのは、全体のテーマ的なものがあるからでしょうか?

大森:前回の『Introduction』が僕らの中では1枚目の作品なので、そこが基盤となっていて。前作では“無常感”を歌っていたんですけど、今回はそれを踏まえた上で「形あるものはいつかなくなっちゃうんだけど、その中で“何を大事にしようか?”というのを歌いたい」と思って、新たに曲を書き下ろしたりもしたんです。

●前作を作った時点で、既に次作のヴィジョンがあったんですね。

大森:ヴィジョンはありました。「こうしたいな」というか「こうしたら絶対に面白いよな」というのはちゃんと考えていましたね。

髙野:M-3「CONFLICT」とM-6「WaLL FloWeR」がこのアルバム用に新たに書き下ろした曲なんですけど、「こういう表現がしたいんだな」というのはデモを聴いた段階から伝わってきたんです。

●それくらい意図がしっかり込められた楽曲になっている。

大森:書き下ろしの曲は「なぜそういうことを伝えたかったのか」というのをしっかり意味づけなきゃいけない立ち位置にあると思うから…大変でした。やっぱり書き下ろすっていうことはその頃に伝えたかったものの“核”になる曲なわけだから、毎回すごく悩んじゃうんです。でも今回はどちらもすごく深く潜った曲になっていると思うので、やりきった感はありますね。

●『Progressive』という作品タイトルは、最初から決めていたんですか?

大森:(作品タイトルは)頭文字が“S”とか“P”とか“H”がいいなと自分の中で浮かんでいて。色んな言葉を探したんですけど、その中でもバチッとハマったのが『Progressive』だったんですよね。“革新”というか「これをしなきゃいけないんだな」というものを自分の中にしっかりと掲げることで「頑張ろう!」という意識をもう一度作って、そこから2曲を書き下ろしたんです。

藤澤:『Progressive』というタイトルが決まってからのレコーディングだったので、自分の中でも「進歩しなきゃいけないな」という気持ちはあって。楽曲の意味をみんなで改めて読み取ったりしたのも、そういうところもしっかりわかっていないと発信できないなと思ったからなんです。気持ちの面でも、自然に成長できたなというのは感じています。

●成長を実感できる作品になった。

大森:『Progressive』というタイトルはすごく意味を持つ言葉なので、それに恥じぬように負けぬようにという意味でレコーディングの時から「自分たちに勝とう」という意識があったから成長できたんじゃないかなと思います。

髙野:自分とバンド両方の成長につながった1枚だという喜びが一番強いですね。次のステップに一歩踏み出せたんじゃないかなと思えるくらいの作品ができました。

●次にやりたいことも既に浮かんでいる?

大森:次のことを考えるのが楽しいんですよね。僕の頭の中では色んなイメージがふくらんでいて、「早く実現したいな」と思っていた中での1枚だから。以前から「こういうアルバムを作りたいな」と思っていたのがやっと具現化できて、夢が叶った1枚でもあるんですよ。だから今は夢が叶っちゃったという寂しさもあり、次につながっていきたいなという気持ちもあって。

●今作は初の流通作品となるわけですが、次への新たな一歩でもあるというか。

若井:全国流通って、日本中に自分たちの音が届くっていうことじゃないですか。CDショップとか今までお客として行っていた場所に自分たちの音源が置いてあるというのは、ワクワクドキドキしますね。

山中:私は同じバンドのメンバーなんですけど、元貴くんの曲のファンでもあるので「みんなも早く出会って欲しいな」という気持ちがすごく大きくて。北海道から沖縄まで、日本全国に届いて欲しいなって思います。

大森:色んな人の手に届いてくれるような作品になったかなと思うので、僕も早く出会って欲しいですね。良いものができたという自信はあるから。自分たちも楽しみながら、みんなにも新しいものを見せていけたらなと思っています。

Interview:IMAI
 
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