ジャズ界のレジェンド、山下洋輔氏やゲーム音楽の作曲家で著名な植松伸夫氏に大絶賛されたアヴァンギャルドトリオ・る*しろうの菅沼道昭。欧州を旅回り、東京スカパラダイスオーケストラと共にメキシコの巨大フェス“Vive-Latino”にも出演したプログレハードコアジャズバンド・Djamraの中来田正晴。3/29に行われる、ディープなイベント“プログレッシヴ・ジャングル”の開催に先駆け、出演者の中からキーマンとなる2人に取材を行った。海外での活動も多い彼らは、どこで出会い、どんなステージを繰り広げるのか? 心斎橋FootRock&Beersで起こる熱演の前に、この記事を読んで期待を膨らませてもらえたら幸いだ。
●Djamraとる*しろうが出会われたきっかけは何だったんですか?
菅沼:Pf./Vo.(金澤)美也子が、Djamraの曲が収録されたオムニバスCDをどこかからもらって聴いて、そこで初めて知りました。DjamraのDr.榎本くんも僕のことをドラムマガジンで知ってくれていたみたいで、それから関西のライブに呼んでもらったんです。それがきっかけで仲良くなっていって、それぞれのライブに行ったり来たりして…それから何年目だろう?
中来田:美也子さんが去年のDjamra結成20周年イベント“大成人式”の時に「ちょうど(一緒にやるようになって)10年なんだよ〜」って話していたので、11年目ですね。
●へぇ〜! 最初から意気投合という感じで?
中来田:最初は、お互い探り探りだったんですけど、初めてのツアーで榎本の家にる*しろうのみなさんが泊まりに来て。そこでみんなでお酒を飲んで、ドロ〜…っと。
●打ち上げでドロっと打ち解けた(笑)。お好きなんですね。
菅沼:そっちの方が楽しみで(ツアーに)行っているところもありますね(笑)。
中来田:「そのために頑張る!」みたいなところはあります(笑)。
●お酒の席では音楽の話をするんですか?
菅沼:うーん…。ほとんどバカな話ですよね(笑)。
中来田:音楽の話を真面目に語り合うっていうのは…。やっても最初の30分くらいで。
菅沼:あとは、お互いの海外ツアーに行った時の話とかを報告し合うっていうのはありますけど。
●海外ツアーの話ですか。
中来田:2012年にる*しろうが出演して、2013年にDjamraが出演した“FREAK SHOW”っていうドイツのイベントがあるんですけど、毎年いろんな国からお客さんが集まってくるフェスがあって。そのフェスの主催者にチャーリーっていう面白いおっちゃんがいるんです。いつも網目のタンクトップに短パンっていうルックスで、面白くて人の良いおっちゃんなんですけど。その人の話で盛り上がったりとか。
菅沼:そうそう。あの格好でライブを仕切ったり、それ以外は踊ったりしてる。いつも全身(汗で)ビチャビチャなんだよね(笑)。
中来田:いつもビチャビチャ(笑)。
●そういうフェスはどうやったら出演できるんですか?
菅沼:例えばヨーロッパって、ざっくり言っちゃうと口コミみたいな形で、ひょんな所で連絡が繋がったりするんです。僕らが“FREAK SHOW”に出演した時は、お客さんが「“Rock in Opposition”にも出たら良いんじゃないか?」って言ってくれたところもあって、去年“Rock in Opposition”に出演できることになったりとか。
●そんな海外に行った時の苦労話はありますか?
菅沼:催涙ガスを巻かれたことがありましたね。
●えぇッ!?
菅沼:フランスの黒人街でのことだったんですけど。僕らの前のバンドの演奏中に、外でいざこざがあったみたいで、お客がその腹いせで催涙ガスを巻いたらしいんですよ。僕らはその時2階のカフェで休憩していて。最初、喉がチクチクしてきて「(下の階で)唐辛子の料理でも作っているのかな?」くらいに思っていたんですよ。それが、だんだん涙も出てきてひどくなってくるので1階のステージに行ったら、演奏している人がゲホゲホいいながらやっていて。サックスが大変そうなんですよね。吹きっぱなしだから、涙も鼻水も出て。
●それでも演奏は続けるんですね(笑)。
中来田:それ格好良いな。
菅沼:日本だったら大事件になるんですけど「そんなことじゃ警察は呼ばないよ」って。でもやられたバンドはたまったもんじゃないですよね(笑)。
●確かに(笑)。3/29に心斎橋FootRock&Beersで “プログレッシヴ・ジャングル”を行いますよね。共演はいつぶりですか?
中来田:去年の春にDjamraの結成20周年のイベント“大成人式”に出てもらって以来ですね。今回は3/29に大阪でやってから、4/18に荻窪Rooster NorthSideでも一緒にやります。
●以前は企画イベントのために、“串かつ”の曲を作ったりしていたそうで。
菅沼:そうですね。あれはDjamraの企画したイベントで「お互い“串かつ”をテーマに曲をやろうじゃないか」っていうことになったんです。
●る*しろうの「94K2(串かつ)」は演歌的な要素がありますよね。それを聴いて中来田さんはどう思われました?
中来田:「そう来たか!」って思いましたね。Djamraの「94K2(串かつ)」も「人をどう笑わせるか?」っていうことばっかり考えながら曲を作りました。Djamraはインストバンドなので、音だけでどれだけ笑わせるかっていうところを意識しましたね。
●それぞれ笑わせることがテーマだったと。
菅沼:そう。それが最大のテーマ(笑)。
●どちらのバンドも活動の根本にユーモアがあるような気がします。
菅沼:そうですね。る*しろうは、ある種のユーモアだったり、人がやらないようなキテレツなことをやるのが楽しかったり。どこかひねくれた感覚を3人とも適度に共有しているところがあるんです。Djamraを見ていると、彼らはお笑いに対してかなり真剣なんですよね。おちゃらけた笑いじゃなくて、笑いを突き詰めるような感じで。シリアスな曲の中にユーモアが入っているので、すごく刺激的なんです。
●まったく予想が付かない曲展開ですもんね。
中来田:「ここまでちゃんと格好良いロックをやっていたやん! なんでそう行くの?」みたいな(笑)。
菅沼:ちゃんとフリがあるんだよね。真面目な部分があって、オチでストンと落とされる。最初に観るときはキョトンとするけど、後からジワジワ笑いが湧いてくる、みたいな。
●今回は「94K2(串かつ)」に続くコラボレーションはありますか?
中来田:今のところ何もないけど…。そんなこと言われたら、せないかん空気になるじゃないですか(笑)!
菅沼:じゃあ、何かあることにしておきましょう(笑)。
●じゃあ、今回何かあるかもしれないということで…!
中来田:まあ、せっかくサイコロを投げてもらったので(笑)。PJさんにも「元気にやってるで〜!」という所を見せつけたいと思います。
Interview:馬渡司
“プログレッシヴ・ジャングル”
2015/3/29(日) 心斎橋FootRock&Beers
OPEN / START 17:00 / 19:00
出演:る*しろう/Djamra/THB
more info→http://footrock.jp/