高校を2014年3月に卒業し、新たな世界へと活動のスタートを切った5人組ガールズバンド、たんこぶちん。進学する者もいれば、バンド活動に専念するメンバーもいて…とそれぞれの道は分かれたが、今まで以上に精力的な動きを彼女たちは見せている。2014年6月からは自主企画“We are the Girls Band!!!!!”を定期開催し、Chelsyや姫caratなど数々のバンドと対バンを重ねる中で実力と経験値を高めてきた。さらには映画『ハイキック・エンジェルス』の主題歌にも抜擢されるなど、注目度もこれまで以上に増してきた充実の時間を経て、いよいよ1年ぶりの2ndアルバムをリリースする。
『TANCOBUCHIN vol.2』と題された、今回のアルバム。ライブと並行して制作されていたという今作からは、この1年での成長をはっきりと見て取ることができる。オープニングチューンのM-1「Alright!!」から、軽快かつエネルギッシュに放たれるバンドサウンド。2本のギターとベース、ドラム、そしてキーボードがバランス良く絡み合い生み出すグルーヴは、ライブでの実践あってこそだろう。M-4「トゲササル」での哀愁すら漂わせるソリッドなサウンドも、今までにない新鮮さを持って響く。また、M-3「涙」のような切ないバラードでは情感たっぷりに歌い上げる、MADOKA(Vo./G.)の歌唱力/表現力の進化も明白だ。
その成長や進化とは裏腹に、女子高生バンドとしてデビューした彼女たちならではの“ピュアネス”も健在。M-2「うたひかれ」やM-5「Re:GiRL」で見せる元気いっぱいな快活さは、5人がまだ高校を卒業して1年足らずの10代の少女であることを思い出させてくれる。つい先日、2014年末の12/19に渋谷TSUTAYA O-Crestでのワンマンライブを観た時にも感じたのだが、そこがバンドにとって次なる進化の余地でもあり、新たな課題と言えるかもしれない。エヴァーグリーンな感性を維持したまま、大人の女性としての魅力や普遍的な深みをいかに体得していくか。たんこぶちんがもう1つ上のステップに上がるため、超えるべき壁はそこにあるように思う。
だが、そこに至るヒントは既に今作で示されてもいる。ボーナストラックとして収録されている、「泣いてもいいんだよ」がそれだ。事務所の大先輩でもある中島みゆきがももいろクローバーZに提供したものを、バンドバージョンでカバーしたこの曲。痛みや苦しみに泣いてしまうことを受容しながらも前を向いて生きていく姿勢を示した楽曲の世界観に引っ張られるように、彼女たちの歌と演奏は“大人”の表情を自然と漂わせている。“泣き虫な強い奴なんてのが いてもいいんじゃないか”という歌詞のとおり、内面に秘めた人間の本質を変える必要などない。子どもの純粋性が放つ美しさと、大人の何があっても生きていく強さを併せ持って進んでいけばいいのだから。
2015年も、たんこぶちんの歩みは止まらない。3月にはリリース記念のワンマンライブも予定しているが、そこではまた進化した姿を見せてくれることだろう。テーマソングとも言うべき「We are the Girls Band!!!!」で歌っているように、“ゴールが見えない世界をかき分け”ながら彼女たちは力強く歩き続けていく。
Text:IMAI