「音楽で世界は変わらんかもしれんけど、例えばあなたの世界が明るくなって、そこから1人1人が変わって世界がどんどん変わって行くんじゃないかと思うんです。なので、今日あなたの世界を変えます」。ライブ序盤にVo./G.PONが告げたその力強い言葉からは、穢れのない力強さを感じた。
10/15にこれまでの歩みと想いが詰まったアルバム『正しい僕の作り方。』をリリースしたラックライフ。そのリリースツアーの門出となる一発目のワンマン“正しい僕の作り方。〜GOOD LUCK vol.30〜”が渋谷TSUTAYA O-Crestで行われ、人間味溢れる“らしい”ステージが繰り広げられた。
照明が落ち、S.Eとともにメンバーが舞台へ上がる。最後に満面の笑みで入場したPONの弾き語りをきっかけに熱狂のライブは幕を開けた。自由で力強い歌声が鳴り響く会場。「君のこと」を歌い出すPONは時折テンポを落としながら、語り掛けるようにじっくり想いを伝える。そのエモーショナルな姿にフロアはグッと引き寄せられ、程なくしてバンドサウンドへと流れ込む。
オーディエンスの温かいハンドクラップがフロアで鳴り響き、拍手に彩られた会場全体は音楽を心から楽しむ人たちの笑顔で溢れていた。手短に挨拶をした後、小粋なギターリフから始まる陽気なナンバー「フールズ」へ突入。温度を更に上げた会場に、間髪入れずに「雨空」が演奏される。突き抜けるような爽快感は優しく、心地良い。
続くMCでは、適度なユルさのある絶妙なトークで会場を和ませるメンバー。PONの「元気出していこう、元気ありますか渋谷!!」という煽りをきっかけに会場は再び熱狂の渦と化す中、名曲「ハートイズ」を演奏。
バンドの屋台骨を形成するDr.LOVE大石とBa.たくの強力なグルーヴに支えられ、一見冷静なようでいて驚くべき熱量で演奏するG.イコマ。そして体全体で音楽を表現し、ライブ感あふれる熱い歌声を絞り出すPON。その絶妙なバランスで成り立っているステージングからは、今まで培ってきた彼らの確かな実力がみえる。曲中に変拍子を織り交ぜるなど、巧みな演奏の中でもキャッチーさを失わないアレンジの妙が光っており、自然体で奏でられる力強いパフォーマンスには、安心して音楽に身を委ねられる説得力があった。
「俺はもう…何かで一杯よ」。本編最後の曲を前に、静かに語り出すPON。今回のアルバムを振り返り、今の等身大の想いを素直に伝える彼の言葉は、観る者たちの心に寄り添うようだった。その言葉をしっかりと受け止めるオーディエンスに「俺らと一緒に生きていってほしいなと思います」と言って「plain」を披露し、本編は終りを迎えるーー。
その後のアンコールでは、来年4/26“GOOD LUCK vol.33”で再びなんばHatchのステージに立つことを発表。期待に胸を膨らませる会場を「story」の演奏で盛大に盛り上げ、ツアー初日に相応しい華やかな幕引きとなった。
ライブハウスに風通しの良いサウンドを届けてくれたラックライフ。真っ直ぐな想いで紡がれた彼らの音楽は、澄んだ青空に響き渡るようにどこまでも鳴り響いていく。
TEXT:馬渡司