新作ミニアルバム『Lady No.5』を今年7月にリリースし、その底知れぬ可能性を感じさせた矢沢洋子。この対談シリーズ連載では、日本から海外にまで至る精力的なライブ活動を繰り広げる彼女の幅広い交友関係からその魅力に迫っていく。第9回のゲストは最後のグループサウンズ、ザ・キャプテンズのリーダー傷彦(Vo.)。「愛ゆえに!」の決め台詞に失神者続出のライブを見せる薔薇王子との秘められた関係とは…?
●お2人の出会いは?
傷彦:最初は2010年の渋谷BOXXで初めて会って、楽屋で僕らの失神リストバンドを差し上げたんだよね。そしたら当日すぐ着けて、ライブをやってくれたんです。あれは嬉しかったなぁ…傷彦は失神するほど嬉しかった!
洋子:あはは(笑)。あまりにも着けすぎていたら、白地だったのでだんだん汚れてきちゃって。その旨を“傷様”にお伝えしたら、今度は2つ頂いたんです(笑)。
傷彦:すごく使い込んでくれてね。しかも似合うんだ、これが。
洋子:革ジャンに“失神”って結構合うんですよ。
傷彦:うん。Oiパンクだね。
一同:ハハハ(笑)。
●その時が初めての対バンだった?
洋子:ソロになってから最初のアルバム(『YOKO YAZAWA』)のリリースパーティーだったんですけど、そこにザ・キャプテンズに出て頂いたんです。初めて観た時はブッ飛びましたね。すごく良い意味で「何、このバンド!?」と思って。とにかく引き込まれるというか、一度観たら忘れられない感じは見習いたいなと思います。お客様巻き込み型ライブだなと。失神のくだりもすごく好きで、最初は「私も失神したい…」と思いましたね。
傷彦:失神してもいいんだよ。
一同:ハハハ(笑)。
●逆に傷彦さんから見た洋子さんのライブの印象は?
傷彦:初めて対バンしてから今までずっと成長し続けているなと思っていて。ボーカリストとして、どんどんスケール感が大きくなっているんですよね。ちっちゃいライブハウスで歌っていても、もっと大きな会場のイメージがいつも浮かぶ。
洋子:そんなことを言って頂けるなんて…。でも自分的にはまだ大きい会場とかだと、“どうしよう…?”ってなっちゃうんですよ。
傷彦:そうなんだ。でも大丈夫だよ。洋子ちゃんには強い守護霊が憑いているから。
●えっ、そうなんですか?
傷彦:前にラジオ番組に出させてもらった時に、その話をしたよね。
洋子:そうなんです。これまでもたまたま会った霊感が強い人に「お父さんの生霊というか、守護霊が憑いている」って3回言われたことがあるんですよ。
●傷彦さんも見えるんですか?
傷彦:僕はそういうわけではないんですけど、タロット占いをやっていて。
洋子:傷彦さんのタロット占いは当たりすぎて、ちょっと怖いんですよ。随分前なんですけど、私の女友達が5人くらい占ってもらって。恋愛について悪い占い結果が出た何人かが後になって、本当に不幸な結果になったんです!
傷彦:それ以来、僕は洋子ちゃんの女友達から恐れられているっていう(笑)。
●そんなエピソードがあったとは…(笑)。
傷彦:あと、僕は『成りあがり』と『アー・ユー・ハッピー?』が愛読書なんですよ。特に(本の中で)洋子ちゃんが生まれるくだりがもう泣けて泣けて…。本当に良い話なんです。だから、洋子ちゃんと実際に会った時も「こんなに大きく育って…!」っていう(笑)。
●父である矢沢永吉さんのファンでもあると。
傷彦:だから僕がいつか洋子ちゃんにやって欲しいのは、ベース・ボーカルなんですよ。
洋子:…実は私、今年からベースを練習していて。
傷彦:それは見たい! 絶対に良いよ…。
洋子:しばらく練習していたんですけど、立って弾いてみようと思ったら「あ、無理…」って。
傷彦:ウソッ! でも大丈夫ですよ…生霊が教えてくれます(笑)。僕がやって欲しいのは「ミスター・ギブソン」(キャロル)だね。あれは絶対にハマる。
●実際にキャロルの曲をやったことはあるんですか?
洋子:今やっている別のバンドのほうで「GOOD OLD ROCK'N'ROLL」と「レディ・セブンティーン」はやったことがありますね。あとは昔、ソロのライブで「ルイジアンナ」をやったこともあって。
傷彦:もはやロックスタンダードだからね。
洋子:わかりやすいし、キャロルを知らない人でもどこかで聴いたことがあるはずだから。じゃあ次にまたザ・キャプテンズとご一緒する時に、ラストのセッションとかでやりますか…何にします? やっぱり「ミスター・ギブソン」?
傷彦:「ミスター・ギブソン」はカッコ良いんだよなぁ…。
●これまでに対バンは何度もしているんですよね?
洋子:結構やらせて頂いていますね。
傷彦:あと、洋子ちゃんには僕らの音源に一度参加してもらったんですよ。『失神ロック』というシングルで…。
洋子:「キャァァァァァー!」っていう、叫び声を担当しました(笑)。
傷彦:他にも色んな人に参加してもらったんだけど、洋子ちゃんは一番パンチがあったね(笑)。
●ザ・キャプテンズのライブもかなりパンチがありますが、ステージングの参考になる部分も多いのでは?
洋子:本当にそうですね。やっぱり先輩たちのライブを観ている時は“どこを盗めるか”という感じになるので、ちょっとずつ参考にしているところはあって。
傷彦:最近の洋子ちゃんは本当に自然体でカッコ良いと思うよ。巻き込み型というところで言えば、洋子ちゃんは声だけで持っていけるから。この前も一緒に東北ツアーをまわったんですけど、お客さんをパフォーマンスと声だけでグイグイ引き込んでいましたね。
●お互いに共通点も感じている?
傷彦:僕から見ていると、洋子ちゃんの周りにはアーティスト気質の人が集まっていて。ステージに立つ人って、女の子でもどこかに男気があるものだから。男気と乙女心の両方を持っている人たちが集まっているなって思う。…というまとめでどう?
洋子:さすが…! 愛のプロですね。
傷彦:愛ゆえにーーーーー!
一同:ハハハハハハ(爆笑)。
Interview:IMAI