音楽メディア・フリーマガジン

あの日の夜、VELTPUNCHと僕らはひとつになった。

台風21号が日本を縦断したあの日の夜、VELTPUNCHと僕らはひとつになった。

結成20周年記念ワンマンライブ
“VELTPUNCH 20th Anniversary Special LIVE -Final-”
2017/10/22@渋谷CLUB QUATTRO

VELTPUNCHの結成20周年を記念して今年3回下北沢SHELTERにて行われてきた“VELTPUNCH 20th Anniversary Special LIVE”が、渋谷CLUB QUATTROにてファイナルを迎える。この日は衆議院選挙の投票日であり、台風21号が日本列島を縦断した日でもあった。雨風が激しく吹きすさぶ中、渋谷CLUB QUATTROに集まった多くのオーディエンス。中には海外から来たと思われる人もおり、年齢層も実に幅広く、VELTPUNCHと彼らの鳴らす音楽が20年間多くの人に愛されてきたことが伺える。

ドラムだけのSEがしばらく続いた後、“もうすぐはじまるよ VELTPUNCHのライブがね”という歌が入る。客席からは歓声が上がり、興奮が高まっていく。メンバーが登場して大歓声、Vo./G.長沼が「VELTPUNCH始めます」と告げてライブスタート。フロアを埋め尽くしていた観客がステージ方向にギュッと殺到し、腕を振り上げて声をあげる。「killer smile」の殺傷力の高いメロディが降りかかる。1曲目から会場の熱は一気にMAXへ。

「CRAWL」のイントロが鳴るだけで大歓声、客がVELTPUNCHの音楽をどれくらい愛しているかがビシビシと伝わってきてたまらない。Ba.Vo.ナカジマアイコと長沼のハーモニーで紡がれる極上のメロディをQUATTROに集った全員で愛でる至福。ライブの素晴らしさ、音楽の素晴らしさを実感する。

そしてMCで20年の感謝を告げた後に「THE NEWEST ROCK」という流れには思わずぐっとくる。なぜならば、同曲は長沼自身が「VELTPUNCHらしい編曲ができている分だけサビでは素直になりやすい」とインタビューで語ったように、オーディエンスに対する想いが綴られた楽曲。長沼が弦をビシビシとビンタしつつ激しく鳴らす。熱き想いをスパークさせるメンバーと、想いを溢れさせてフロアで暴れるオーディエンス。相思相愛の美しい関係なのだ。

かと思ったら、感動しているこちらをあざ笑うように長沼が「パンティが見たい!」と叫んで「The panty makes me crazys」で狂喜乱舞し、ダイナミックな展開の新曲「Modern Psycho Dance」で緊張と解放の快楽へといざなっていく。ミュージシャンとしての美学を感じさせるほどの構築力はさすがのひと言。VELTPUNCHの醍醐味を味わい尽くす。そしてミラーボールがまわる中で心地よく始まった「DIC 954」を客と一緒に大合唱し、多幸感に包まれたままメンバー紹介に入り、コール&レスポンスで一体感に包まれる。

そしてなんとここでメンバーチェンジ。G.荒川とDr.浅間がステージを去り、登場したのは初期メンバーのDr.遠藤。そう、彼らの20周年を記念したこの日のワンマンは、時系列的にメンバーチェンジをステージの上で再現するという、とてもスペシャルなものだった。

長沼、アイコ、遠藤の3ピースは、音が太くて荒々しい。20年くらい前に作ったという「Repeat」、そして「gone too long」で暴れまくる。遠藤は陶酔型ドラマーとも言うべきか、頭を激しく振って身体全体で演奏するその姿を観ているだけで惹き込まれる魅力を持っており、さっきまでのステージとはまた違った趣があってたまらない。

そして次にステージに現れたのはG.姫野。「Mouse Of The Pain」「Parfect Days」とバンド中期の名曲をフルテンションで披露する。「fragile」では姫野がペットボトルでギターの弦を弾き、ステージの4人が更に攻撃的になっていく。凶暴なセッションが美しいアンサンブルを作り出し、目の前に珠玉の情景を描いていく。

「ここで真面目な話をします」と言って長沼がふざけた話をしたMCの後、Dr.遠藤がDr.浅間へとバトンタッチして「造花の街」「KAION」。イントロでいちいち大歓声が起き、客が大喜びする光景に思わずにんまりしつつ、「Fighting Pose」の姫野とアイコのハーモニーに舌鼓を打つ。

G.荒川が再び登場し、いよいよライブはクライマックスへと突入。2本のギターで美しい旋律を描いていく「Cyndi...come back」でフロアは一気に沸騰し、長沼が即興的弾き語りで観客への感謝の気持ちを歌いつつ「クライマーズハイ」。そしてキャン玉がどうとかいうMCの後に「VELTPUNCHはやめません! 25周年、30周年とみなさんに会えるのを楽しみにしています!」と長沼が叫び、「HINOIRIのテーマ」で盛り上げた後、姫野が乱入して遠藤が袖で見守る中「Your corolla」で本編最後の大暴れ。更にアンコールではツインドラムというとても珍しいセットで「Crash Crash Crash」。覆面をした姫野がトリック・オア・トリートとばかりに客席でお菓子を撒き散らし、ぐちゃぐちゃになって大団円。

彼らの音楽的な魅力と爆発力、類まれなるサービス精神と美学を存分に味わい尽くした夜。VELTPUNCHと僕らはひとつになった。

PHOTO:みてぃふぉ
TEXT:Takeshi.Yamanaka

 

 

 
 
 
 

VELTPUNCHの作品をAmazonでチェック!!

 

  • new_umbro
  • banner-umbloi•ÒW—pj