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halos

“PLAY”し続ける道のりが生んだ新たな音の結晶

PH_halos地元・秋田で自主レーベルRolling Thunder Recordsを立ち上げ、個々の生活に根付いた音楽活動を続ける4人組バンド、halos(ハロス)。彼らがアルバムとしては3年ぶりとなる新作『PLAY』を遂に完成させた。日々のたゆまぬ活動によって磨かれたプレイヤビリティと遊び心に満ちたセンスが結実した珠玉の7曲は、いつまでも色褪せることのない鮮やかな輝きを放っている。

 

 

 

●今作『PLAY』は前作『ivy,ivy,ivy』(2011年)以来の新作(※シングルを除く)となりますが、雰囲気がすごく変わったように感じました。

草階:みんなに言われますね。でも自分たちからすると、「そうかな?」っていう感じで。

●変わったという自覚はないと。

草階:時間経過の中で、やる音楽の種類が増えてきたんですよね。営業でジャズを演奏したり、CMでテクノっぽい曲やボサノバ風の曲とか色んなオーダーを受けたりして。ドラム(Dr./Tb.諸越俊玲)はトロンボーンも吹いていて、そっちでは年間200本近くライブをやっているので、そういうスキルアップも反映されているんじゃないかな。今の100%とそれまでの100%が全然違うというのが、単純にあるのかなと思います。

●各自が音楽活動を続けていく中で吸収してきたものが、音に反映された結果というか。

草階:だから音楽的な部分では、そんなに変わったつもりはないんですよね。プレイスタイルもそんなに変わっていないと思うので、自覚はないです。

●ジャズ色を感じさせる曲もありますが、元々のルーツにあるんでしょうか?

草階:僕は全然なかったですね。ドラム(諸越)が吹奏楽を元々やっていてビッグバンドに入っていたこともあったので、その流れで何か一緒にやらないかというところからジャズギターを覚えようと思ったんですよ。halosの活動をしながら自分は音楽で生計を立てていきたいと思った時に、そういうものを避けて通るわけにはいかないなと。仕事として何でもやれなきゃいけないという状況から、勉強しました。

●営業やCMの話も出ましたが、現在は地元の秋田市で音楽活動をされているんですよね。

草階:バンドをずっと一生懸命やってきたけど、「これでは食えないぞ」と思ったんです(笑)。そこでどうしたら良いのかと考えたら、色んな音を作らせてもらったり、営業をやるっていうところに自然と行き着いたんですよ。「秋田でこういうことをやっていますよ」っていうのを打ち出していた時に、代理店の方とつながって。そこから色んな異業種の方とお付き合いが多くなったことで、仕事も増えていきましたね。今はバンドをしながら、仕事もさせてもらってというのが良いバランスでやれるようになってきたと思います。

●音楽を仕事にしつつ、バンドも続けられている。

草階:地道に長く活動していることをみんなが見てくれていて。「何だかんだ言ってブレないね」とは、ここ1〜2年でよく言われるんです。活動を途切れさせずに続けてきたことが、こうやって音にも出ているのかなと。今回も音楽的に変わったとは言われるけど、「違うバンドになった」とは言われないわけだから、良い変化なのかなと捉えています。

●曲作りはずっとしていたんですか?

草階:ずっと作っていたので、アイデアは100を超えていて。ただ前作リリースの1ヶ月後に(東日本大)震災があった影響で移住したりとか他にも色々あって、メンバー4人が集まって演奏する機会が少なくなったんですよ。集まるのが大変だというのもあって、今回はメンバーに曲を披露するのが遅れたんです。今まではメンバーに聴いてもらって反応が良かったものを選んだりしていたんですけど、それをやる時間もなかったのでバリエーション豊かな曲を並べることで「有無を言わさず決めよう!」みたいな(笑)。

●それでこの7曲になったと(笑)。レコーディングもスムーズだった?

草階:今までは山梨のスタジオで録っていたんですけど、今回は秋田で録ったんですよ。移動の時間もなく、まとまった時間が取れたことで自分の中では心の余裕がありましたね。秋田で素敵なスタジオを見つけて、いつものエンジニアと一緒にやることもできて。演奏面でもそれぞれ進化しているので、余裕のある時間の中で色んなアクセントやアイデアを入れられたのかなと。

●M-4「歯ブラシ」のラストのセッションはすごく遊び心を感じました。

草階:この曲だけは同じブースに集まって、全員が“せーの!”で録ったんですよ。最初はああいうアレンジじゃなかったんですけど、僕が急に「1・2・3」とカウントを始めたことでみんながハッとなって、アドリブでついて来ている曲なんです。その瞬間その瞬間でメンバーが感じたビートや僕の解釈とかが、面白さを生むと思うから。

●歌詞の内容も、以前とは変わっているんでしょうか?

草階:今までは情景を描いているものが多かったんですけど、今回はもう少し人間らしいというか。人の生活に踏み込んだものが多いのかな。これまでは聴く人それぞれの人生にそれぞれの曲が何かしらの形でハマるということを目指していたので、あまりカッチリしたストーリーを描くのを良しとしていなかったんですよ。でも「歯ブラシ」なんかは、自分のことを歌ったりしているんですよね。父とのことだったり、そういう曲を歌えるようになったのも変化の1つなのかなと。

●音楽的に変わったという意識はなくとも、ちゃんと進化は感じているのでは?

草階:進化なのか変化なのかはわからないですけど、今までで一番良いものができたっていう想いはありますね。今回はどれもリード曲になれるというか。今まではアルバムの中に「これはライブでは演奏しないな」っていうことで、ワンマンのセットリストからも省かれちゃったりする曲があったんですよ。でも今回は省くものがないというのが、物語っていると思います。

●リリース後にはワンマンも予定されています。

草階:CDはもちろんですけど、今回はフライヤーもMVも全てがすごく中身の濃いものになっていて。そういうところをみんなにひと目見せたいなっていう想いがあるので、ぜひライブを観てもらって共有したいですね。

Interview:IMAI
Assistant:馬渡司

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