2014/9/6(土)・7(日)@大阪・泉大津フェニックス
■出演(入浴順)
<9/6(土)> 【大浴場ステージ】怒髪天/四星球/ OKAMOTO’S / THE BACK HORN /サンボマスター/ O.P.KING / THE BAWDIES / SCOOBIE DO 【露天風呂ステージ】爆弾ジョニー/オワリカラ/ Theピーズ/ DOBERMAN / SAKANAMON /ドレスコーズ/アルカラ
[入浴宣言]レイザーラモンRG [湯あがりアクト] DJハヤシ
<9/7(日)> 【大浴場ステージ】キュウソネコカミ/ ORANGE RANGE / POLYSICS /東京カランコロン/筋肉少女帯/ MONGOL800 /ユニコーン/フラワーカンパニーズ 【露天風呂ステージ】TOMOVSKY /ハルカトミユキ/赤い公園/真心ブラザーズ/ GRAPEVINE /人間椅子/a flood of circle [入浴宣言]ガリガリガリクソン [湯あがりアクト]ニューロティカ
初日の入浴(開会)宣言を務めたのは、レイザーラモンRG。「黒い服を着がち♪ (怒髪天あるある)」「靴が汚れがち(オトダマあるある)」など、恒例の“あるある”を唄い上げて笑いを誘う。そして大浴場ステージライブの壱番風呂は、RGのあるあるでも紹介された怒髪天。いきなりヒットナンバー「オトナノススメ」!間奏では誰に言われるでもなく自然とオーディエンスが手を振ることから、いかにこの曲が親しまれているか伝わってくる。「フェスでは3つの“分”が大事。水分、塩分、そして兄貴分!兄貴分は我々で補給していただければ」と、Vo.増子がユーモアあるMCを披露したのち、オトナの漢らしさ全開の熱いライブで沸き立たせた。対照的に、爆弾ジョニーは若さとパッション溢れるステージで魅了する。ピースフルなロックンロールをブチかませば、体感温度は一気に沸点を突破!観客がクラッカーを一斉に鳴らしたり、BGMに合わせて脱ぎ出したり、キマグレンの「LIFE」を歌い出し「OTODAMA違いでした(笑)」とおどけてみせたり、エンターテインメント性に富んだパフォーマンスが面白い。もちろん、面白さを語るなら四星球を忘れてはならない。サウンドチェック時に「絶対音感彼氏」のメロディに合わせて、“清水音泉あるある”を披露!“温泉を推してる割にシャワーで済ませがち”と、思わずクスッとしてしまう(本人たちにとっては笑えないが)ギャグをはじめ、至る所にネタを仕込んでいる。そんな中でも「僕らは、今日全世界でやっているイベントの中で、オトダマをいちばん楽しい祭にするために来ました!」と、語る姿にはグッとせずにはいられない。これぞ“日本一泣けるコミックバンド”の本領。音出しと言えば、OKAMOTO'Sも印象的だった。映画『アナと雪の女王』の主題歌「Let It Go」をVo.オカモトショウが歌い上げる姿も新鮮だったし、サザンオールスターズの「勝手にシンドバッド」は熱量の高い彼らのスタイルととても合っていた。ガレージサウンドがアツい「SEXY BODY」、グルーヴィーでカッティングが心地良い「JOY JOY JOY」など、真っ昼間から酒を片手に踊りたくなるナンバーを続々と繰り出していった。
Theピーズは、いぶし銀なロックンロールを響かせる。「オトダマ10周年おめでとう。愛してます」と、シンプルで愛に満ちた言葉を贈ったのち、MC少なめのノンストップな展開で駆け抜ける。決して多くは語らないが、その姿勢がまたシビれるほどカッコいい。理屈抜きで、肌で感じるという点は、続いて大浴場に登場THE BACK HORNもそうだ。まるで命を燃やしながら発しているような、ヒリヒリするほどリアルな音楽に思わず圧倒される。
サンボマスターは、Vo./G.山口のMCから始まった。「清水音泉は10年もオトダマを続けてアホじゃねえかと思う(笑)でも、アホなことを10年間やり続けられますか?アホでミラクル起こそうぜ!」。そんな親愛の念に満ちたコメントを告げ「ミラクルをキミとおこしたいんです」を披露すると「アホ10年!」と熱いコール&レスポンスが響き渡る!さらに新曲「愛してる愛して欲しい」のMCでは、清水音泉にこう教わったと語る。「愛してもらいたかったら、愛さなきゃいけないんだよね」。彼らの言葉は、いつだって愛に満ちていて、私たちの心を動かすのだ。11年振りに復活したO.P.KINGのステージには、感慨深いファンも多かったのではないだろうか。「ミサイル畑で雇われて」「Rock'N'Rollが必要だ」「OVER」と、曲ごとにメンバーそれぞれが代わる代わるボーカルを執るスタイルで歌い上げていく。肩肘を張らないどこまでも自由な様子でありながら、これだけのオーディエンスの心を奪うアクト、流石です。そんな中ぽつぽつと降り出していた雨も、徐々に豪雨となっていった。だが、THE BAWDIESの「濡れない温泉なんてないでしょ?」という言葉で一気に会場がヒートアップ!逆境をプラスに変えていけるバンドの底力はものすごい。軽快なモータウンビートの「EMOTION POTION」、ミックスボイスのシャウトに心を奪われる「HOT DOG」など様々な楽曲と圧倒的な演奏力でオーディエンスを上げていく姿が最高にクールだ。またアルカラもリハからガッツリと魅せてくれた。「半径30cmの中を知らない(レゲエVer.)」で、オーディエンスと共に「睡蓮花」を熱唱!オトダマの出演者たちは、本当に遊び心を忘れない人ばかりだ。あと人の歌を歌い過ぎだ。またMCで「さっき志磨くん(ドレスコーズ)に聞いたんやけど、雨を降らせたのはドレスコーズらしいです。そんなドレスコーズに」と「チクショー」への前フリを入れるのも彼ららしい。最後には30年先までオトダマが続くようにとの想いを込めて「ミ・ラ・イ・ノ・オ・ト」を熱唱。
「ヘイ エブリバディ、ウィーアースクービードゥー!」。お馴染みの挨拶と共に、初日のトリ、SCOOBIE DOが登場! 「PLUS ONE MORE」のファンキーなリズムにつられて、誰もが踊り出す!「真夜中のダンスホール」で会場をダンスフロアへと変えた後は、新曲の「結晶」。スクービーが持つ色気が漂いつつも、今までとはまた違ったカラーのある曲だ。そしてここから、怒濤の大ヒットナンバー「トラウマティック・ガール」「Back On」を立て続けに繰り出す!そしてラストは「Little Sweet Lover」を放り込んで、ステージを去っていった。
そこで、すかさずわき起るアンコール。大勢のオーディエンスに迎えられ、最後にデビュー曲にして超名曲「夕焼けのメロディー」を披露する!トリという責任重大な舞台でも、彼らのやるべきことはいつでも変わらない。持てる力を全て出し切る。それこそが最高のライブを作り上げる鍵なのだ。大感動の後は“湯あがりアクト”DJハヤシ(POLYSICS)が宴会芸を披露して10年目のオトダマ初日は笑顔で幕を閉じた。
2日目の入浴宣言はガリガリガリクソンとリー5世によるDef Techのカバーユニット“デブテック”!「My Way」のオケを流しながら、オーディエンスを煽り会場を沸き立たせる。さらにその後「今日誕生日の人がいたら手を挙げて〜!」と、お客さんの中から1人をステージに招き、誕生日プレゼントを進呈!お客さんにとっては、一生モノの思い出になったことだろう。そしてライブアクトの先陣を切ったのは、いまや清水音泉の代表バンドのひとりとも言えるキュウソネコカミ。「良いDJ」「KMDT25」「ファントムヴァイブレーション」といったキラーチューンが来ればオーディエンスは狂喜乱舞。さらに、音泉への愛がたっぷり詰まった清水音泉非公式ソング「清水音泉ぶっとばす(仮)」で音泉を称える“YEAH!”コールが響き渡る!このオトダマを盛り上げようという、並々ならぬ気合いを感じるステージだった。2日目の露天風呂壱番風呂はTOMOVSKY。クールな目線でもってポジティブに明日を見据えた「さしだせ」、飾らない言葉が涙腺を刺激する「我に返るスキマを埋めろ」…まるで本人がそのまましゃべっているかのように、ありのままを吐き出した言葉。それがこんなにも人の心を動かすものだから、心から笑って心から泣けて、ライブが終わった後には悪いものが全部落ちたかのようにスッキリとした気持ちになるのだ。初出演のORANGE RANGEの曲はこんな快晴にこそ相応しい。「Hello Sunshine Hello Future」「以心電信」とデジタルサウンドが際立つ2曲を放ち、眩しいほどの日差しがよく似合う「サディスティックサマー」、そして「お願い!セニョリータ」のイントロリフでテンションはブチアゲ!Vox.HIROKIが思わず「感動的な景色になってきた」と漏らすのも頷ける盛り上がりをみせたのだった。
「 歌って踊ってよろしくねー!」。G./Vo.ハヤシの鶴の一声から「Baby BIAS」でPOLYSICSのライブが幕を開ける。鉄板曲「Let's ダバダバ」の後は新曲の「Sun Electric」。RPGのオープニングを思わせるようなイントロに始まり、夏の太陽を彷彿させるサビへと駆け抜けていく疾走感抜群の1曲だ。その後も繰り出されるアッパーチューンの応酬!息付く間もないほどの展開に全観客が沸き立った。そして真っ白な衣装に身を包んで登場した赤い公園。その高いエンターテインメント性と音楽性を見事に昇華させたライブで、オーディエンスの目を釘付けにする。「みんなともっといい関係になるために、この曲を持ってきました。私たちがなりたい関係は!」。そうVo./key.佐藤千明が問いかけると、「絶対的な関係」を演奏! わずか100秒の中にいくつもの聴きどころが散りばめられ、彼女たちのセンスの良さが伺えた。続いてBa.佐藤全部が巨大なけん玉を持って登場した(笑)東京カランコロン。発表会よろしくお辞儀をしたところで「泣き虫ファイター」へ。Vo./Key.せんせいが身振り手振りを加えながら歌う姿が可愛らしい。初の大浴場ステージということで緊張も伺えたが、自分たちのペースで、彼ららしい個性的かつポップな楽曲を響かせていく。歴戦の雄である筋肉少女帯は、Vo.大槻が「今日はTV( BS12ch「大槻ケンヂの日本のほほん化計画」)が入っているから、俺たちをoasisだと思って盛り上がってくれ!体(テイ)でいいから!」と煽る(笑)。それに応えるように、フリでなく心から全力で腕を突き上げるオーディエンス。「日本印度化計画」では学園天国式コール&レスポンス、そして「踊るダメ人間」ではダメジャンプ(腕をクロスさせて跳ぶ)と、全体参加型のライブを展開。
アコースティックギターの美しい音色を鳴り響かせたGRAPEVINE。「スロウ」「風待ち」「光について」など、名曲の数々…柔らかな声と優しいメロディーが、心の琴線に触れる。本人たちも「いつの時代のイベントだよ」と笑っていたが、年代を超えた人たちが集まる、文化祭的雰囲気こそオトダマの魅力だろう。次いでお馴染みの登場SE「Enjoy Yourself(MONGOL800ver)」で琉球の音色が鳴りだせば、誰もが踊り出して彼らを出迎える。どれほど多くの人がMONGOL800を待ち望んでいたかが伝わってくるようだ。「大阪の“ちゅらかーぎー(美人)”に捧げます!」と言うと「Oh Pretty Woman」を熱唱!しっとりとしたバラードを挟みつつ、ラストは「DON'T WORRY BE HAPPY」でピースフルでハッピーな代表曲で締めた。ユニコーンは、言葉を語ることなく1曲目「KEEP ON ROCK'N ROLL」を掻き鳴らした。そのクールな姿勢がまさにロックンロール…! 「夢見た男」ではなんとBa.EBIが巨大フラフープを回しだし、会場から拍手喝采(笑)。そんなお茶目な所もまた彼ららしい。「服部」のような往年の名曲から最新曲まで、幅広い楽曲で観客を魅了する。月が照らす中聴く「Feel So Moon」は格別だった。
遂に2日間の大トリ、フラワーカンパニーズのステージだ。Ba.グレートマエカワのオーバーオールも、この日はキラキラのスパンコール仕様。(通称シルバースパンコールグレート)。「オトダマの小林幸子枠を狙っている」と笑いを誘いつつ「はぐれ者讃歌」「脳内百景」「ロックンロール」と曲を展開していく。途中に挟まれたメンバー紹介では、改めて彼らの絆を再確認。そして「最高の夏」が終わると、「ここからがアンコールだ!」と、間髪入れずに「真冬の盆踊り」へ! 出演者も続々とステージに登場し、みんなでよさほい踊り! なぜかグレートを真似た格好をしている人も多く、「俺の親友のグレートはどれだ」とVo.鈴木が笑っていたほど。文句なしのピカイチなアクトだった! 花火が打ちあがった後は“風呂あがりアクト”のニューロティカが汗と笑いと感動を撒き散らしていた。
出演者にもお客さんにも愛されるオトダマ。こんなに個性的で楽しいイベントが大阪で10年間続いていることが、本当に嬉しく思える。来年もまたこの場所で笑い合えますように!
TEXT:森下恭子