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Large House Satisfaction

新次元への扉を破壊して突き抜ける超攻撃的ラブソング

AP_LHS_main昨年7月に重厚な黒いグルーヴを前面に押し出したアルバム『in the dark room』を発表してから、1年4ヶ月。Large House Satisfactionが次に生み出したのは、前作とは全く別ベクトルの作品だった。今回の新作ミニアルバム『Sweet Doxy』では今まで以上にメロディと歌の魅力が引き出され、かつてないほどに耳馴染みの良い、開けた作品となっている。“ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2014”にも初出演を果たすなど注目度を高めている彼らが、今作を機にもう1つ上の次元へと突き抜けていく。

 

 

「前まではトゲトゲしい言葉が多かったんですけど、そういうものって一瞬で過ぎ去っちゃうんですよね。心に傷は残すとしてもすぐに消えるから、かすり傷みたいなもので。今回、素直に歌詞を書いた時に切ない部分や弱い部分が見えるっていうことは、それも俺が本来持っているものなのかなって」

●今作『Sweet Doxy』を初めて聴いた時にちょっと驚いたんですが、かつてないほどに聴きやすくて、開けた作品になっていますよね。

賢司:前作の『in the dark room』(2013年7月)では黒いグルーヴを前面に押し出したものを作ったんですけど、俺らがそういうことをやれるっていうのは前からみんな知っていたと思うんですよ。逆に今回は「こういうのはやらないだろう」と思われていることをやってやろうかなっていう感じでしたね。

要司:今回は初めて聴いた人でもパッと入ってこれる音や曲というものを作りたかったので、そういう感じは上手く作品に落とし込めたかなと思います。

●以前はラップ調の歌い方もしていたところから、今回はメロディアスな”歌”に振り切った感じがします。

要司:以前は韻を踏んだりとか言葉遊び的な感じで作っていたんですけど、前作あたりから少しずつ脱却していったというか。それはそれと認めているけど、もっと違うものを作った方が(聴き手に)響くのかなと思ったんですよ。だから今回は観念的なものじゃなくて、素直な言葉で歌詞を書いていて。メロディもよりわかりやすくした結果、ちゃんと”歌”になったんだと思います。

●“歌”を意識しながら、作ったりもした?

要司:今回はその気持ちが一番強かったかな。やっぱり歌がしっかり聞こえて、何を言っているかもわかって、良いメロディになっているのが大前提というか。それが6曲とも上手くいったかなと思っています。

●今までも”歌”を活かした曲はありましたが、そういうものだけを集めたような作品は初めてですよね?

要司:初めてですね。すごく開けている曲がたくさん入っているなっていう。前は曲も歌詞も、内向的な要素が多かったから。それはそれで認めつつ、今回はもうちょっと開いてみようかなと思いました。

●今までの歌詞はトゲのある強い言葉が多かったですが、今回の歌詞は人間の弱い部分や切なさが表現されているように感じました。

要司:前まではトゲトゲしい言葉が多かったんですけど、そういうものって一瞬で過ぎ去っちゃうんですよね。心に傷は残すとしてもすぐに消えるから、かすり傷みたいなもので。今回、素直に歌詞を書いた時に切ない部分や弱い部分が見えるっていうことは、それも俺が本来持っているものなのかなって。元から持っているものを素直に出せた歌詞ですね。

●今まではそういう部分を見せることに抵抗もあったのでは?

要司:はっきり言って、ありましたね。特に歌詞は色々なもので覆い隠すというか、本当に言いたいことをオブラートに包んで表現していたんです。悪いことではないと思うんだけど、それだけだと伝わらないかなと思って。そこは実感もあったし、俺自身も色んな人の曲を聴いている中でやっぱり素直に書いてあるシンプルな歌詞のほうが好きだから。

●そこで歌詞に対する考え方が変わったんですね。

要司:前までは一行一行のパンチにこだわるような書き方だったんですけど、今回は1曲1曲の歌詞がちゃんと文章になっているというか。ストーリー性があるっていうのはキャッチーなことだと思うので、そこの重要性を意識しながら歌詞を書いていきました。

●キャッチーさも意識していた?

要司:意識はしていましたね。でもメロディアスな部分やキャッチーな部分っていうのは、これまでも意識していたことではあって。もっとわかりやすくしなきゃダメだなと3人とも思っていたので、そこはすごく上手くいったと思います。

秀作:これまでの作品もわかりやすく作ってきたつもりなんですけど、今回はさらに伝わりやすいものにできたかなと。あと、ライブを想像した時にお客さんがノりやすくて、(音に合わせて)手を叩きやすいとかそういうイメージのできるものになったと思いますね。ライブで一発で伝わるような曲に仕上げました。

●ライブで一緒に歌えそうなフレーズも多い。

要司:それは歌を作っている時にも意識していましたね。やっぱり“ポップネス”っていうのが今回すごく重要なことだったから。“ポップ”っていうことは、曲を聴いてすぐ一緒に歌える言葉やメロディなのかなと思っていて。シンガロングしたり、ハンドクラップしたりすることでの一体感というのはポップにつながるなと思ったので、そういう要素をたくさん入れました。

●歌の面で言うと、M-2「Jealous」の歌い出しも驚きました。しゃがれていない、クールなトーンの歌声が今までにない感じで。

要司:そうですね。今まではああいうテンションで歌っていても、歌詞はトゲトゲしていたり暗い言葉だったりというのが多かったから。この曲やM-6「眩暈」は結構前からあったんですよ。

賢司:「Jealous」は昔、ライブでもやっていましたからね。今回の選曲をしている時にスタッフとも話し合っている中で、「良い曲だよね」という話になって。

●そこで採用されることになった。

要司:でも俺たちはその時、別の曲の方が良いと思っていたんですよ。「こっちのほうが良いな」と思いつつ、「Jealous」も一応持って行ったという感じだった。でもスタッフはみんな「Jealous」のほうが良いと言って、俺たちが良いと思っていた曲のことは良いって全然言わなくて(笑)。

●そこは意見が違っていたと(笑)。

要司:結果的にはもし俺たちが「良い」と言っていたほうの曲を入れていたら、今まで通りのアルバムになっちゃったかもしれない。…というか、そうなっていたと思うんですよ。そうじゃないものにできたのが、今回はすごく良かったです。

●ちゃんと他人の意見を取り入れたからこそ、開けたものになったんでしょうね。

要司:最初は「眩暈」みたいなテンポの遅い曲もライブでやりにくいし、「入れても大丈夫かな?」と思っていたんですよ。でも結果的に、俺が歌えば俺らっぽい曲に絶対なるから全然大丈夫だった。むしろ「Jealous」や「眩暈」がなかったら、今回の作品は成立しなかったかもしれないなって。

●この2曲が入っていることで、より広がりのある作品になっていると思います。

要司:ロックとか音楽を普段からよく聴くわけじゃない人たちにも、ちゃんと聴いてもらいたいっていう気持ちはあるんですよね。でもその人たちに寄せるっていう気持ちは特になくて。それは失礼だし、ダサいと思うから。俺たちが思う、聴きやすいメロディを一生懸命考えて作ったという感じですね。

●曲作りは大変だったりもした?

要司:実際、みんなが「良いな」って思えるメロディを作るのは難しいことだし、その上でオリジナリティも出すとなると相当に難しい。だから今回は曲作りが一番大変だったということになりそうなんですけど、実はそんなに大変じゃなかったですよ。曲作りや歌詞の制作も今までで一番スムーズだったくらいで。あまり煮詰まったりはしなかったですね。

●意外と制作は今まで一番スムーズだったと。

要司:M-1「トワイライト」は、ほぼ1日で作りましたからね。パッと曲とメロディが浮かんで「お、良いじゃん」となったので、ちょっと録ってみようということになって。仮歌を入れる段階でまだ歌詞がなかったので、それも30分くらいでババっと書いたんですよ。それをみんなに聴かせたら「これで良いじゃん!」となって、一文字も変えずにそのまま使っているんです。“降りてきた”っていうのが近いのかもしれない。

●必死にひねり出したというよりは、自然とすんなり生まれてきたわけですね。

要司:すぐ生まれましたね。M-3「Stand by you」もわりとすぐにできたんですよ。この曲は「速くて明るい曲が欲しいよね」っていうところから作り始めて。基本的なメロディを俺が作って、サビは田中さん(秀作)が作っているんです。

秀作:これもサビのメロディが降ってきたような感覚でしたね。

●「Stand by you」は今までで一番ストレートで、J-ROCK的な匂いもする曲だなと思いました。

要司:こういう曲もやって良いかなって。以前はストレートな曲をやるということに対して「恥ずかしい」っていう気持ちが少しあったんですけど、今はもうないから。俺らはすぐに“ひねり”を入れたくなっちゃうんですよね。そうすることで派手になるというか。でも今回もそれと同じやり方をしたらせっかくの曲が台なしになっちゃうと思ったので、どストレートにやってみました。

●派手に装飾しなくても、そのままで勝負できる曲が作れているという自信があるからこそやれたのでは?

賢司:そうですね。自信が持てたというか。歌詞も良いし、メロディも良い、音も良い。全てが良いので、いけるだろうって。

●ストレートな曲が多い中で、M-5「POISON」だけはちょっと異色な感じが…。

賢司:ライブでやると意外にそんなこともないんですけど、音源に関してはバカみたいな感じにしようと。

要司:女性コーラスや色んな効果音が入っていて。人力で変なことをやったりしていますね。そういうバカバカしいところも、キャッチーというか“ポップネス”の1つかなと思うんですよ。

●M-4「孤独の情熱」は、前作からの流れも感じさせる曲かなと。

要司:こういう黒いグルーヴで横ノリな感じの曲は、ずっと俺たちがやってきていることですね。黒いグルーヴ系の最新バージョンというか、“That's 俺ら”みたいな曲も入れたいなと思っていたんです。この曲に関してはいつもよりギターを色々重ねたりエフェクターを使ってみたりして、華やかな感じで作りました。

●これはラブソングなんでしょうか?

要司:そうですね。“俺と誰かについての話”っていう部分では愛の歌ではあるので、ラブソングです。

●今回はラブソングというのもテーマになっているんですよね?

要司:愛が詰まった6曲ですね。今までそういう歌は、自分以外の得意な人がやれば良いかなって勝手に思っていたんですよ。俺はもっと現実社会に生きている中でムカつくこととかを歌詞に書くのが得意だと思っていたから。だけど曲の良さをより伝えるためには、心に響いたほうが良いなと。そこでどういう歌詞が一番響くかと考えたら、やっぱりラブソングだなと思ったんです。愛を歌っている曲のほうが絶対的に響くと思うので、自然とそうなったのかな。

●そういう曲が揃っているから、『Sweet Doxy』というタイトルになった?

要司:最初に色々と案が出ていたんですけど、“超攻撃的ラブソング”というキャッチフレーズが先にあって。だったらアルバムタイトルもそういう雰囲気に寄せたいなということで、言葉を探していたんですよ。“Doxy”はどちらかと言えば“愛人”に近いニュアンスの“恋人”という意味なので良いかなと。そこに“Sweet”を付けたほうが色っぽくなるなと思って、このタイトルにしました。

●リリース後はツアーが始まります。

賢司:今回は対バン形式のツアーなんですけど、ラストはワンマンになっていて。対バン形式のほうも観てもらって、ワンマンと見比べてもらうのもまた一興かなと思います。ぜひライブへ遊びに来て欲しいですね。

秀作:前作は“闇”がテーマだったんですけど、今回は“光”を感じさせるような突き抜けた作品ができたと思っていて。全国の“Sweet Doxy”たちにはぜひファイナルの渋谷CLUB QUATTROに来てもらって、生で爆音を浴びて欲しいです。

要司:今まで恥ずかしがって出さなかった部分を今回はさらけ出しているので、渋谷CLUB QUATTROではみんなもさらけ出してくれたら良いなと。ライブでもさらけ出すつもりなので、ぜひよろしくお願いします!

Interview:IMAI
Assistant:馬渡司

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