松山で結成し、数々のライブバンドたちとステージを共にしていく中で成長してきたメロディックパンクバンド、innocent。ライブハウスでたくさんの笑顔と出会うために鳴らされるそのサウンドとメロディが眩いばかりの輝きを放つのは、かけがえのないピュアな想いが込められているからこそ。全国のライブハウスで培ってきた経験の集大成とも言える1stフルアルバム『NANAIRO』には、そんな彼らの“らしさ”が存分に詰まっている。枠に収まりきらない表現力と世界観を武器に大きく羽ばたいていくinoccentの3人に、バンドにかける想いを訊いた。
●innocentは現メンバーになって4年目とのことですが、結成してからどれくらいになるんですか?
NITTA:10年です。オリジナルメンバーはもう僕しかいないんですけど、当時は今はもういない2人のメンバーと一緒に結成して。それで活動を続けていたんですけど、バンドに対するモチベーションの違いとかで何回かメンバーチェンジがあったんです。SHINYAが入ってからどれくらいになるんだっけ?
SHINYA:8年半くらいかな。
●MATSUBARAさんは?
MATSUBARA:4年くらいですね。
●MATSUBARAさんはそれまで別のバンドをやっていたんですか?
MATSUBARA:いや、サラリーマンです。
●え?
MATSUBARA:昔、SHINYAと別のバンドをやっていたんですけど、僕が24歳くらいのときにいろいろあって音楽を離れて就職したんです。でも“もう1回バンドをやりたいな”と思っていて、innocentの前のベースが抜けるときに「一緒にやらないか?」と声をかけられて加入したんです。
●なるほど。innocentが影響を受けたバンドは居たりするんですか?
NITTA:遠い存在っていうか、もともと僕はHi-STANDARDに影響を受けてバンドを始めたんです。激しくて英語で歌ってという。
●童貞捨てるか否かという時期にいちばん影響を受けたのがHi-STANDARDだと。
NITTA:童貞を捨てた後にHi-STANDARDから影響を受けました。
一同:ハハハハ(笑)。
NITTA:童貞を捨てる頃はMr.Childrenとかを聴いていて、童貞を捨ててからHi-STANDARDに影響を受けたんです。自分たちの力で活動を続けて、自分たちにしかないものを追い求めているところに惹かれて。自分もそういう存在になりたいなって。あと、近い存在でいうとOVER ARM THROWですね。ツアーとかに連れて行ってもらったんです。一緒にまわってライブを近くで観させてもらって、打ち上げとかも出させてもらって。そういう意味では、リアルに影響を受けたバンドですね。
●どういう部分で影響を受けたんですか?
NITTA:ライブに対する想いというかスタンスというか、何を大事にしているのか。ただ盛り上がればいいだけじゃなくて、そのバンドが持っている力や“らしさ”をステージで出せばすごいエネルギーになるということを教えてくれたのもOVER ARM THROWだし。
●innocentはNITTAさんが曲を作っているとのことですが、どうやって作っているんですか?
NITTA:ギターをジャーンと弾きながら作るときもあれば、何も持たずに…僕はラーメン屋でバイトしているんですけど…ラーメンの湯切りをしているときにメロディを思い浮かべたりしてます。
●「何も持たずに」と言いつつ、湯切りした麺は持ってますけどね。
NITTA:思いついたメロディの中で、自分がいいなと思ったものだけを弾き語りの状態でスタジオに持っていくんです。
●それを3人で完成させると。SHINYAさんとMATSUBARAさんのルーツはどういうところなんですか?
SHINYA:僕はPanteraで童貞を捨てたんですけど、メロコアとかパンクみたいなところはinnocentに入るまではあまり聴いてなかったんですよ。好きで影響を受けたのはPanteraやSlipknot。ヘヴィなサウンドがもともと好きで、メロコアはinnocentに入ってから色々と教えてもらって。
●「Panteraで童貞を捨てた」っていいキャッチコピーですね。MATSUBARAさんは?
MATSUBARA:僕はhideですね。その後、Hi-STANDARDやFULL SCRATCHとか、当時の日本のバンドをいっぱい聴いてました。
●今回リリースされる『NANAIRO』を聴いて思ったんですけど、innocentはメロコアを基調としつつ、風景が見えたり、心象風景が描かれているような世界観がすごく印象的だったんです。作り手の想いや感情がたくさん曲に込められているというか。
NITTA:曲を作るとき、僕の中で描いている風景や情景が結構明確にあったりするんです。例えばM-10「Midnight snow」とかは、真夜中に雪の中に居る状態とか、部屋の中から雪が深々と降っているところを見ている様子がハッキリとあって。
●まさに「Midnight snow」ですね。
NITTA:M-6「fantasy」でいうと、“非現実的な夢の世界にあなたを連れて行ってあげる、そのためには勇気を持って踏み出さないといけない”みたいな感情から、イントロのリフを作ったり、メロディを作ったりしているんです。
●かなり具体的なイメージがあるんですね。そこまで明確かつ抽象的なイメージがある場合、他の2人が理解するのは結構大変なことじゃないんですか?
SHINYA&MATSUBARA:大変です!
●即答した(笑)。
MATSUBARA:そのイメージも曖昧なんですよね。さっき「真夜中に雪が降っている」とか言ってましたけど、そういう具体的なイメージもなくアレンジを詰めますから。
●それは大変だな。
NITTA:更に僕は「こうだ」と思ったらその想いが強くなりすぎる傾向があって、曲に対しても「ここはこうじゃないと絶対にダメだ」と思ったら、そこから一歩も動かしたくなくなるんです。だから2人は大変だと思います(笑)。
●今作『NANAIRO』はどういう作品にしようと思ってとりかかったんですか?
NITTA:innocentらしさを出したいと思いました。作る前からそう考えていたんですけど、レコーディングまでに候補曲を15曲くらい用意して、そこから更にいいものを選んで最終的には11曲にして。作っていく過程で、“自分たちらしいものにしよう”という想いがより強くなったんです。
●その“らしさ”に関係するかもしれないですが、innocentは楽曲に込めた感情や想いの量が多いというか、表現しようとしているものがたくさんあると感じるんです。歌やメロディはもちろん、アレンジも含めて。メロディの展開も結構ダイナミックだし。
NITTA:そうですね。メロディの起伏は自分たちの個性だと思っていますし、でも作っていて起伏があり過ぎるのもダメだと感じるときもあるんです。自然な流れで表現するのが今回は難しかったですね。3人でアレンジを詰めていく中での新しい発見もすごく多かったし、自分がドラマチックな曲にしたいと思って悩んだりしたとき、2人から「こういうのはどう?」って言われてハッと気づくことも多かったんです。
●話していたり楽曲を聴いていてなんとなく感じるんですけど、NITTAさんは思い込んだらガーッと突っ走るタイプというか、想いや感情が強くて、それを音楽にそのまま注ぎ込んでいるタイプなんでしょうか。
NITTA:ああ~、そうですね。
●例えばM-11「Dear」はピアノ弾き語りみたいなアレンジですけど、歌いながらNITTAさん微笑んでますよね? 思わず気持ちが出ている。
NITTA:そうなんですよ。「Dear」は亡くなったじいちゃんの歌なんです。レコーディングのときにじいちゃんとの思い出が浮かんできて笑っちゃったりして。自然に感情移入できましたね。
●大切な曲なんですね。
NITTA:もともとメロディは昔からあったんです。でもじいちゃんが死んじゃったあと、このメロディを口ずさんてきたら“grandfather”という言葉がハマって。だからじいちゃんの曲にしようと。それがピアノにの音とハマったんですね。
●いい話だな…SHINYAさんとMATSUBARAさんに訊きたいんですけど、NITTAさんって純粋なんですか?
SHINYA&MATSUBARA:天然です!
●天然なんですか(笑)。裏表がまったくないというか、嘘が付けないというか。
SHINYA:まさにそうで、顔を見たらすぐにわかるんです。
MATSUBARA:嘘を付いたり意にそぐわないことがあると口が尖るんですよ。「このアレンジこっちの方が良くない?」って言ったら、「そうだね」って言いながら口が尖ってたり。それでも色々と話して納得したら、その口は解除されます。
●ハハハ(笑)。でもNITTAさんの純粋性がinnocentの音楽にすごく出ているんですね。彼だからこそこういうドラマチックなメロディが書けるんでしょうね。
SHINYA:そう思います。
MATSUBARA:天然だからこそ大変なことも色々とあります(笑)。
●ところでリリース後はツアーが控えていますが、ツアースケジュールにはマレーシアやシンガポールも入っていますよね。これ、どういうことなんですか?
MATSUBARA:Twitterで誘われたんです。「YouTubeでお前らの映像観たけどすごく好きだ」って。それで「シンガポール来る?」って言われたので「じゃあ行く」って。
●すごいな。ツアーは楽しみですね。
NITTA:リリースしていないときもちょこちょこツアーはしていて、そのときも1本1本大事にやってきたんですけど、今回はアルバムを掲げて、より自分たちの世界観を色濃く全国各地で見せることができたらなと思います。それを積み重ねてファイナルの松山ではさらに成長したinnocentを観せたいですね。
SHINYA:僕はNITTAのメロディを聴いていて“楽しい”とか“嬉しい”とか、すごくいい気分になれるんですよ。innocentを聴いてくれる人たちもおそらく同じように、ポジティブな感情になってくれると思うんです。だから今回のツアーは、全国各地でたくさんの人と気持ちを共有したいです。
MATSUBARA:やっぱりライブをするために曲を作って、それが今回のアルバムになったという感じなので、このツアーはいろんな人たちにとって、僕たちだけじゃなくてライブハウスに来てくれるきっかけになればいいかなと思います。
interview:Takeshi.Yamanaka
「泣きメロ」という一言ではかたづけられないほどメロディセンス抜群のinnocentの新譜。優しく切なく力強いそのメロディと絶妙に絡み合うパンク ロックサウンドは冗談抜きで絶品だと思います。四国の同志の魂の結晶、全国に響け!
AIR SWELL G./Vo.hamaken
サマーデイズ!! やっとこあいつらの新曲が聴けるって思ってる人も少なくないんじゃないかな…。メンバーチェンジがあったりと、バンドを続けて行く上で難しい状況にもなっただろう。全く知らない間柄でもないので…。でもそれを乗り越えて作り上げたこの『NANAIRO』一足先に聴かせてもらったけど、そりゃメロディ最高! もちろんオレにとってinnocentは特別なバンドの一つではあるから、いろんな感情が渦巻いてシンプルに聴けることは出来ないのかもだけど、それでも素晴らしい曲達だと思う。またライブハウスで再会できる日を楽しみに、お互いライブし続けまっしょ! どこまで半端ねーんだ。
DRADNATS Ba./Cho.YAMAKEN
innocentの曲はなんか妙にツボを突いてくるところがあるんです。メンバーが変わってもその真の部分はブレてないなって思います。優しい人柄が滲み出てるんでしょうね。素敵なバンドです。
dustbox Dr.REIJI
innocentと出会って8年が経ちました。初めて会った高松DIMEでのライブを今でも覚えています。なんとなく体が出来上がってきて、なんとなく大人になった感じがしますが良くも悪くもあの頃とあまり 変わっていない気がします(笑)。当時から楽曲に輝きがあって、曲を作るたびに輝きは更新されていました。今回の『NANAIRO』にも“それ”は見つけられました。3人へ、あとはそれを表現するだけだよ!
OVER ARM THROW Ba./Cho.鈴野洋平
昔っから対バンしてるけど、ちっとも大人になってない! 逆になんでいつまでもエバーグリーンな輝きを放てるんだっ!? 不器用さゆえの真っ直ぐなパフォーマンスと、青春真っ只中なメロディーの数々…俺みたいなオッサンのみならず、全てのメロディック・ラバーズを涙させるアルバムになったな!
THE STARBEMS Vo.日高 央
innocentおおおおおおーーー! やっとか! やっと出来たんか! お前ら何様や!! スターか!! 外タレか!! エアロスミスかーーーーー!! ってくらい待ってたよんっ♪ ポンコツ三人が極上の音楽やってるねんな~。innocentはほんまにええとおもう!! 人さえ知らなければ…(笑)。おめでとさん!!!!
SABOTEN G./Vo.キヨシ
ジャングルライフの読者のみなさんにだけ白状します。私は今回のinnocentのアルバムに全曲ゴーストライターとして参加しました。これが問題になればアルバムはCDショップから回収になると思います。ですので、発売後お早めにお買い上げください。同業者としてこんな嘘がつきたくなる程うらやましいアルバムでした。誤解がないよう言っておきますが、innocentはinnocent(無罪)です。
四星球 Vo./poem.康雄
NANAIRO発売おめでとう!! innocentとはなにげに長い付き合いで、サロンキティーでYUのアンプのヒューズがとんで話したのが最初かな(笑)。彼らもバンドの色んな壁を越えて、会う度にたくましくなってるのをいつも感じます。そんな彼らの甘くも激しくもあるアルバム。色んなもんが詰まってます!! ライブハウスで観るのが楽しみだ!! 本当にリリースおめでとう!!
GOOD4NOTHING Vo./G.U-TAN
自分達が初めて全国ツアーをまわった時からいつもサポートしてくれる仲間! ドラムのシンヤは同い年でいつもいじらせてくれる懐の深い優しい仲間! いつも楽屋で笑わせてくれるゆうちゃんと松ちゃん! innocent! リリースおめでとう! そしてありがとう! いつも気持ち良くて空気がいいメンバーが創り上げた音源。必ずみんなの心に響くでしょう!
EGG BRAIN Ba./Vo.田畑 邦彦
豪雨の車で聴いた事がそうさせたのだろうか。8月湿気混じりの澱んだ空気に合間見えたinnocentの音楽。東京の埃を顔に纏った僕をすっぴんにしてくれました。
rega G.井出竜二