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Glider

普遍の風に乗ったグライダーがロックシーンの王道へと上昇していく

Glider_アーティスト写真USではグランジが全盛を迎え、UKではブリットポップが花開いた90年代前半に生まれた栗田兄弟と椿田兄弟を中心に結成された4人組バンド、Glider。60〜70年代の正統派ロックから始まり、洋邦・ジャンル・年代を問わず良質な音楽を消化吸収した彼らのサウンドは普遍的にして王道感すら漂わせている。1stアルバム『Glide & Slide』発売を機に、ソングライティングを担当する栗田兄弟に話を訊いた。

 

 

 

●Gliderは実の兄弟2組によるバンドなわけですが、最初からこの編成だった?

ユウスケ:最初にバンドを組んだ頃はリュウジ(Ba./ Backing Vo.)とショウヘイ(Dr./Backing Vo.)がまだいなくて、別のベーシストとドラマーだったんですよ。前のドラマーが辞めるタイミングで、2人が入って。当時はマサハルとリュウジのツインギター編成でしたね。

マサハル:リュウジがベースになったのは本当に最近で。前のベースが抜けた時に、他の人を入れても上手くいかないだろうなと思ったんですよ。そこでリュウジが自分から「俺がベースを弾くよ」と言い出してくれたんです(笑)。

●この4人であることが大事だった。

ユウスケ:僕は少し歳上なんですけど、マサハルとリュウジは小学校の頃から同級生で仲も良かったんですよ。そのリュウジの弟がショウヘイで…という感じで集まってバンドを組んで。メンバーが変わったりはしているけど、僕らは一番最初に組んだのがこのバンドなので他ではやったことがないんです。

マサハル:ごく自然に始まったバンドだけど、活動が途切れたことはないんですよね。

●4人のきれいなコーラスワークも、この編成だからこそなのかなと。

ユウスケ:椿田兄弟はわりと声が似ているんですけど、僕ら兄弟は声質が全然違うんですよ。でも4人でハモると意外に合ったりするので、根底では似ている声質なのかなって。たぶん他人同士の4人で結成していたら、こういうふうにきれいな形にはならなかったんじゃないかと思いますね。

マサハル:そこが他のバンドにはないと言えるところだと思います。

●今回の作品『Glide & Slide』は当初、リリース先が未定の状態で制作されたそうですが。

ユウスケ:レコーディング自体は1年前に行っていて。どこからリリースするとも決まっていないまま、レコーディングで作品を仕上げていったんです。レーベルが決まったのは後からで、制作中はただ作ることに専念していましたね。

●青木和義さん(Banda Planetario/葡萄畑)がプロデュースを担当されている経緯とは?

マサハル:青木さんは以前から僕らのライブをよく観に来てくれていて。アドバイスを頂いたり、色んな音楽を教えて頂いたりと何かとお世話になっていたんですよ。今回も音楽の聴き方や歌い方から「こういうふうに表現したほうがいい」というソウル的なところまで教えて頂いて、何から何までお世話になりましたね。

マサハル:「こうしろ」「ああしろ」と言われるわけじゃなくて、ごく自然にプロデュースして頂いた感じで。やりとりの中で色々と吸収していったんです。

●サウンドからは、年代やジャンルに偏らずに音楽を聴いていそうな感じがします。

ユウスケ:年代とかにこだわって音楽を聴くタイプじゃなくて、良いものは何でも聴くというスタンスですね。でも最初から色んな音楽を知っていたわけではなくて、ビートルズや(ローリング・)ストーンズを通して知っていったんです。そこから掘り下げていく内に、だんだん広がっていったという感じで。

マサハル:昔のロックを聴き始めたのは、両親の影響があって。そこから自分たちで掘り下げていきました。

●最初からこういう音楽性だったんですか?

ユウスケ:最初はオリジナル曲をやっていなくて、ビートルズをカバーしたりしていました。ハードロックも好きなので、レッド・ツェッペリンやTHE WHOの曲もやりましたね。でもオリジナル曲をやり始めた頃は、もう既に日本語で歌詞を書いていて。

●幅広い洋楽を背景に持ちながらも、日本語で歌っている理由とは?

ユウスケ:英語が喋れないし、苦手なので(笑)。曲を作り始めた頃から、英語で歌詞を書いたことはないんです。

●収録曲は、これまでの活動の中で作ってきたものの中から選んだ?

ユウスケ:レコーディング当時、ライブのセットリストに入っていた曲ばかりですね。このアルバムではライブ感にこだわったんですよ。ライブで実際にやっている感じを取り入れられたのは大きかったです。

マサハル:あとは自分たちの耳で判断してあんまりマニアックなものは避けて、“良い曲”と思えるものだけに絞っていきました。デビューアルバムというと衝動を閉じ込めた作品というイメージがあって。もちろん僕らもロックンロールが大好きなのでそういう作品の良さもわかるんですけど、今回はそこにあまりこだわらずに“良いな”と思えてグッと来る曲を集めた感じです。

●確かに冒頭からじっくりと聴かせるタイプの曲が続きますね。

ユウスケ:こういうミドルテンポの楽曲がGliderの得意とするところで、持ち味でもあるんですよ。M-7「Glider」がその典型的な曲だと思います。狙ったわけじゃないんですけど、自然と一方向に向かっていった気がして。だから、全体の統一感もあるんじゃないかな。

●すごく伸びやかなサウンドで、普遍的な空気感があります。

ユウスケ:そこが一番、自分たちが目指しているところでもあって。たとえばビートルズのレコードを聴いて古くさいと思ったことは全くないし、逆に「これは古くさいだけだな」と思うレコードは聴きたくない。ビートルズなんかは逆に新鮮に聞こえたりもするし、それが普遍的ということなんでしょうね。そういうところをGliderも目指したいし、それが一番の目標なんです。

●普遍的だし、王道感もあるというか。

ユウスケ:まさにそういうものを目指してるんです。

マサハル:周りからは「マニアックだね」とか「渋いね」と言われたりもするんですけど、自分たちではどこがそうなのかわからなくて。今やっていることがマニアックなんだとしたら、自分たちが頑張ってそれをもっと広めることで“王道”に戻してやろうという気持ちがありますね。自分たちは“王道”をやっていると思っているから。

●今後のイメージも既に見えている?

マサハル:次の作品は絶対にロックンロールアルバムを作りたいと思っています。元々、ロックンロールというものが自分たちの始まりだったので、それをもっと出していきたいですね。

Interview:IMAI

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