新作ミニアルバム『Lady No.5』を今年7月にリリースし、その底知れぬ可能性を感じさせた矢沢洋子。この対談シリーズ連載では、日本から海外にまで至る精力的なライブ活動を繰り広げる彼女の幅広い交友関係からその魅力に迫っていく。第6回のゲストは、THE NEATBEATSのMR.PAN(Vo./G.真鍋崇)だ。新作の表題曲を作曲し、MVにも出演した彼らと矢沢洋子の関係とは…?
●お2人が最初に出会ったのは?
洋子:真鍋(MR.PAN)さんは覚えていないと思うんですけど、初めて会ったのは青山のREDSHOESなんですよね。でも本当に「はじめまして」と挨拶したくらいで、深く話したりはしていなくて。
真鍋:イベントの打ち上げとかでよく会うよね。この間も俺らが渋谷でライブをやっていた時に、洋子ちゃんが途中から打ち上げに合流したりして。そういうのはすごく多いかな。
洋子:ちょうど「Lady No.5」のMVを撮影した翌日に、THE NEATBEATSが渋谷でライブだったんですよ。私も元々その日は渋谷へ飲みに行く予定があったので、打ち上げに合流したんです。
●打ち上げでは音楽について話したりするんですか?
真鍋:一切ないね(キッパリ)。
洋子:オモシロ話しかしないです(笑)。
●そういう中で交流は深めていったと(笑)。今ちょうど話が出た「Lady No.5」は、真鍋さんから楽曲提供を受けているんですよね。
洋子:最初は去年の初め頃に、真鍋さんにプロデュースをして頂きたいという相談をしたんですよ。その作品の中で真鍋さんに作ってもらった曲も歌いたいという話はしていて。でも色んな変更があって結果的に前作『Bad Cat』は父(矢沢永吉)がプロデュースすることになったので、その話は一旦なくなったんです。ただ「Lady No.5」の大本になるものは前作を作る以前からあって、歌詞は先にできていました。
●真鍋さんから「歌詞を先に書いてみたらどうか?」という提案をされたそうですが。
真鍋:今までやっていないことをやってみたほうが面白いかなと思って。まず歌詞があってから曲を作るのって、いつもとは逆でしょ?
洋子:真逆でした。いつもは先に曲があって、そこからイメージをふくらませて歌詞を書いていくので。
真鍋:メロディが先にあって歌詞を書いていくと、譜割りを考えてしまうから自由度が少ないんだよね。
洋子:考えちゃいます!
真鍋:逆に歌詞を先に作れば自由にやれるから、面白いんじゃないかなと。それで2曲作った中の1曲が「Lady No.5」で。
●曲はどんなイメージで作ったんですか?
真鍋:最初は自分の中で、洋子ちゃんのイメージやどんな曲にするかというのが特に定まっていなくて。「スージー・クアトロとかジョーン・ジェットみたいなイメージで」という話は一応したんやけど、まずはちょっと激しいやつとそんなに激しくないやつの2曲をやろうかという話になった。でもいつからか「父がこういう雰囲気の曲のほうが良いと言っているんです」という話が出てきて、いつの間にかお父さんの曲を作っているような感じになってきて…。「これはちゃんとしないとヤバいな」と思いましたね(笑)。
一同:ハハハ(笑)。
洋子:その時点ではまだ真鍋さんにプロデュースしてもらう予定で作っている段階だったんですけど、そこからどんどん話が変わっていって…。
真鍋:着地点がこういう形になるっていうのは、その時点では想像していなかったからね。俺が曲を作った段階ではイギリスっぽいものを意識していたのに、仕上がってきたものがすごくアメリカンなものだったので逆に面白かった(笑)。
●元々のイメージとは全く違う形になった。
真鍋:元々のデモはギター1本で作っているので、その時点ではアレンジのことまで自分では全然考えていなかったんですよね。
洋子:デモを頂いた時点ではまだアレンジが加わっていなかったので、すごくシンプルな感じだったんです。
●それが結果的にああいう形になったと。
真鍋:曲を作ってから時間がだいぶ経っていたので、「どうなったんだろう?」とは思っていて。(原曲のイメージとは)全然違うアレンジになったので、俺が聴いたら怒るんじゃないかと思われていたらしいんですよ(笑)。でも俺はそういうことで「何や、これは!?」みたいな感じにはあまりならないし、初めて聴いた時は逆に面白かったですね。「こんな曲になるんや!」みたいな(笑)。
●「Lady No.5」のMVには、THE NEATBEATSが革ジャン姿で参加しているわけですが。
真鍋:MVに出演を誘われた時に「スーツっぽい曲じゃないな」と思ったので、「じゃあ、革ジャンにしようか」っていう。俺らも革ジャンでMVを撮影するっていうことがなかったから、たまには良いかなって。
洋子:THE NEATBEATSがメンバー全員で革ジャンを着ている姿は初めて見ました。
真鍋:確かにやったことがないかもしれないね。
●もしまたプロデュースの話が来たら、何かやってみたいことはありますか?
真鍋:前回の話があった時は、フィル・スペクター的な感じでガールズポップな方向にしても面白いかなと思っていたんですよ。ポップな曲をやるのであれば、60年代のガールズグループ的な雰囲気も良いんじゃないかなと。
洋子:すごく楽しみにしていたんですけど…。
一同:ハハハ(笑)。
●いずれはアルバム1枚を真鍋さんがプロデュースしたりするというのも…。
真鍋:頼まれれば、俺は全然やりますよ。
洋子:本当にやりたい〜!
真鍋:もしまたやらせてもらえるなら、ライブでそのままやれるような形にしたいですね。
●MV同様に、ライブでも洋子ちゃんのバックでTHE NEATBEATSが演奏するのも面白いかなと。
真鍋:実際、MVの撮影のために練習したので、もう弾けるようになったからね(笑)。
洋子:ありがとうございます。そんなことがもし実現したら本当に素敵だと思います!
Interview:IMAI