GOLLBETTYの解散後、ソロ活動をしていたVo.G-YUNcoSANDYが新たに結成したバンド、トライアンパサンディ(通称:トラパ)。GOLLBETTY時代からの盟友G.MISSYやex.ketchup maniaのDr.WANIなど強力なメンバーと共に、昨年3月に1stフルアルバム『PLANET of the TRIAMPERSAND』を発表した。そこから1年4ヶ月を経て、新作ミニアルバム『Reflection"A"』をリリースする。同期を取り入れたダンスロックチューンも威力を増し、数々のキラーチューンが満載の今作。ここから彼らの進化はさらに速度を増していく。
●元々は“G-YUN”名義でソロ活動していた時のサポートメンバーが、トライアンパサンディのベースになっているんですよね?
G-YUN:そうですね。そこからバンドにしようとなって、トライアンパサンディが始まったんです。
●今作『Reflection"A"』のM-4「ring+A+ring」の歌詞中に“Since【2012.10.3】”というフレーズが出てきますが、そこが始まりの日だったんですか?
G-YUN:前作の1stフルアルバム『PLANET of the TRIAMPERSAND』では「ROLLY-POP」という曲がパイロットソングになっていて。実はその曲を作ったのは、まだソロ活動をしていた時期だったんですよ。その時もバンドと同じようにサポートメンバーと一緒に曲作りをしていたんですけど、「ROLLY-POP」ができた時にみんな「来た!」という感覚になったんです。
●「ROLLY-POP」が結成のキッカケになった?
G-YUN:でもリリースする機会もなく、曲作りは続けている状況の中で「このメンバーでバンドを組んだら良いんじゃないか?」という話が持ち上がって。そこから「ROLLY-POP」みたいな曲を基盤にした音楽性でバンドをやってみようとなったのが、2012年の10月3日だったんです。
HIDE:Ryo-Hey(Arranger.)は、打ち込みとか同期系の技術に強くて。彼が入る前は、本当に楽器の音だけのバンドサウンドだったんです。「ROLLY-POP」は単純に楽曲としての良さもありつつ、同期が加わることでの広がりをすごく感じたんですよ。そこに可能性を感じたというか。僕もちょうど今後の人生について考えていた時期だったけど、この曲ができた時に「これだったらもう一度バンドをやってみたい」と素直に思えました。
●メンバーもバンドになることをすぐ受け入れられた。
MISSY:曲作りの方法とかも含めて、やっていることはバンドと変わらなかったですからね。ウチら的にはバンドにすることに何の抵抗もなくて、むしろG-YUNの言葉待ちだったんです。「いつ言い出すんだろうね?」っていう感じで、メンバーは待っていました(笑)。1回メンバー全員で飲み会をした時に、俺らはG-YUNがそこで言うだろうなと思っていたんですよ。でもその時は全く言い出さなくて…。
WANI:ずっと待ちながら飲み続けていたのに、「結局、言わないのかよ!」って(笑)。
●肩透かしにあったと(笑)。
MISSY:その後、カラオケまで行って(笑)。
WANI:さんざん飲んで楽しんで、「あれ? これって何の会だっけ?」みたいな(笑)。
一同:ハハハ(笑)。
G-YUN:超楽しかったですね(笑)。私としてはバンドになることで、サポートの時とは違ってギャラが発生しなくなるということを気にしていて。バンドにするなら事務所も離れようと思っていたので、本当にゼロから始めることになるけど「それでも良いのかな?」という気持ちもあって、言い出せなかったんです。
●結局、いつ言ったんですか?
G-YUN:後日、スタジオで会った時ですね。
HIDE:スタジオにメンバーが集まっているところにG-YUNがやってきたので「あの時、何で言わなかったの?」と言ったら、ドッと笑いが起きて(笑)。
●それはいつ頃?
G-YUN:2012年の5月頃ですね。ソロの頃から曲作りはしていたんですけど、その時点でバンドでも活かすことになったのは「ROLLY-POP」くらいで。それを基盤にするということ以外は方向性も何となくしか見えていなかったので、メンバーと一度話し合ったんですよ。そこで新曲を作っていこうという話になって、そこから2〜3ヶ月はずっと曲作りをしていました。
●トライアンパサンディでは、GOLLBETTYともソロとも違う全く新しい音楽をやろうと思っていた?
G-YUN:「新しいものができるだろうな」という可能性は感じていました。MISSYと私は長年一緒に曲作りをしているんですけど、GOLLBETTYの時ともまた違う感じというか。Ryo-Heyも加わって曲作りをしている時に出てきたMISSYのギターリフにも、私は新鮮さを感じて。同期という新しいものに触れることで私も今までにないメロディが湧いてきたし、それと同じようなことがMISSYにもあったんだと思います。だから今までとは全然違うことがやれるっていう感覚はありましたね。
●Ryo-Heyくんが作る同期の音が新鮮で、そこに刺激された部分が大きい。
MISSY:Ryo-Heyはドラムの打ち込みもあっという間にやるし、俺が弾いたギターをその場で録った上に自分のベースを乗せて、さらにカッコ良い打ち込みも乗せていくっていう一連の作業が本当に早くて。スピーディーに曲ができていくのが、すごく楽しいんです。あと、ツインギターが楽しかったというのもありますね。HIDEさんは俺の知らないコードをたくさん知っているので、そういうものが曲に乗っていくのもすごく楽しいし、刺激されたというか。
●メンバー間で刺激されることが多かった。
G-YUN:そういう中で、発見がいっぱいありましたね。
●前作『PLANET of the TRIAMPERSAND』を作ったことで、バンドとしての方向性が見えた部分もあるのでは?
G-YUN:私は逆に見えなくなった部分のほうが多かったですね。前作の楽曲はすごく幅が広かったので、新たな作品へと向かう時に「次に作る曲で方向性が決まってしまうんじゃないか?」という不安があったんです。前作で見せた振り幅が広かった分、何でもできちゃうというか。「どこにでも行くことができる自分たちをこれからどうしていこう?」というところですごく迷って、曲ができなくなりました…。
●どの方向性に進んでいくかで迷った。
G-YUN:すごく悩みましたね。今作に至るまでにこれだけ期間が空いてしまったのは、そこに対して慎重になりすぎてしまった部分もあって。オリエンタルな感じや宇宙っぽい音という特徴はいくつかあるんですけど、全体のイメージはふわっとしているというか。「やりたいことはこれです!」と明確な言葉にすることが、メンバー内でもなかなかできなかったんです。
●そこからどうやって今作に辿り着いたんでしょう?
G-YUN:自分は考えすぎなんだっていうことがわかったんです。メンバーからはカッコ良い楽曲が上がってきていたので、自分もそれに合わせて「メロディや歌詞をカッコ良い感じにしたほうが良いんじゃないか?」とか色々と考えちゃったんですよ。そしたら本当に何もできなくなっちゃって…。でもメンバーと色々と話していく中で、「どんなに幅のある曲を作ってきたとしても、G-YUNがメロディを付ければトライアンパサンディとしてまとまるから大丈夫だよ」と言ってもらえたのが大きかったですね。
HIDE:G-YUNは自分自身に課しているハードルが高いから、何となくのアイデアは持っているのに出してこないんですよ。でもそういうものを聴かせてもらったら「良いじゃん」となることもあって。
●メンバーはトラックを作る時に、何か方向性を決めていたんですか?
HIDE:やっぱり“同期”感ですね。原曲はJ-POPっぽい感じでも、アレンジの段階でそういう要素を入れていくんです。最初からそこを目指して作っているわけではないんですけど。
MISSY:作り方がちょっと不思議で…。Aメロを先に作っていても、Bメロは全体の流れを考えずに作るんですよ。セクションごとにカッコ良いものを作っていって、最後にパズルを組み合わせるように合体させる感じというか。
G-YUN:MASAMUも「自分が思っているところと全然違う方向に(曲が)行く」と言っていましたね。
MASAMU:展開が読めない感じで、全く予想できない流れになっていくから。僕は正式なメンバーに最近なったことで、曲作りの流れも見られるようになって。「この作り方、すごいな…」と思いました(笑)。
●確かにトリッキーな曲展開が多い。
HIDE:メンバー間でもお互いに「俺はこういう感じで弾くから、そっちはこう弾いてよ」みたいなものがないんですよ。何か要求し合っているわけじゃないけど、結果的に絶妙なギターラインができあがったりする。だから、たとえばM-1「カガミヨカガミ」やM-3「SOSes!!」では曲中にずっと緊張感があって。それは予定調和な進行じゃないからかなと。
G-YUN:私もトリッキーな展開の曲にメロディを乗せることで、どうやって上手くつなぐかっていう挑戦をたくさんしていて。だからメロディを付けるのが楽しいし、収まるべきところに収まりたくない。トライアンパサンディのボーカルってすごく難しいんですけど、色々と発見しながらやっていく作業はとても楽しいですね。
●ちなみに今作に関しては、まだRyo-Heyくんがベースを弾いているんですよね?
G-YUN:結成1周年の記念ライブを去年の12/6にやった後にRyo-Heyを交えて、今後どうしていくかを話し合ったんですよ。彼は他にも色んな音楽関係の仕事をしているので、バンドとして活動をガッチリとはできない状況になっていることに責任を感じていて。そこで新しいベースを入れて、Ryo-Heyは曲作りの部分で今後も関わっていくということに決まったんです。MASAMUが正式に加入したのは今年の5月からで、その時点では今作もほぼ完成していたから。完成した直後の横浜でのライブ後に、正式に加入してもらいました。
●MASAMUくんも既にバンドに馴染んでいる?
MASAMU:みんな年上だから、自分も頑張らなきゃなという気持ちが強いですね。サポートの頃から移動中や打ち上げも含めて、1人1人のメンバーと意識的に喋るようにはしていました。
WANI:何人か一緒にスタジオで合わせた中で、個人的には一番好きだったんですよ。若くて勢いもあるし、音作りも良かったから。パフォーマンスも様になっていて、トラパのライブにも上手くハマっているように思えたんです。だから俺は「メンバーにするならMASAMUが一番合っているんじゃないかな」とはよく言っていて。
HIDE:ある打ち上げで、MASAMUとガッツリ話す機会があったんですよ。その時に俺とWANIで「もしトラパに入れなかったとしても、音楽を続けていく気はあるのか?」みたいな感じで結構お尻を叩いたんです。そしたら次のスタジオ練習で、MASAMUが新しいベースを買ってきて…。プレイヤーが新しい楽器を買うことでモチベーションを引き上げるという気持ちはすごくわかるんですよね。その姿を見てWANIが「俺は結構嫌いじゃないぜ」と言っているのを聞いて、「こいつ(WANI)、カッコ良いな…」と思いました(笑)。
一同:ハハハ(笑)。
●この5人でバンドとしても固まって、今作も完成したというところでまた新たに見えたものもあるんじゃないですか?
G-YUN:今回は自分の中で答えを探しながら、レコーディングしていた感じなんですよ。悩んでいることもひっくるめて全部そのままで、カッコ良いと思えるものだけを形にしていって。それをライブで自信を持ってやって、みんなを楽しませるっていう単純なことで良いんじゃないかなというのが、辿り着いた答えなんです。でもそれって結局は最初から持っていたものだったから、新たに見つけたというよりはまわりまわって元に戻ったという感覚のほうが近いかもしれないです。
●でもちゃんと進化も実感しているのでは?
G-YUN:たとえば曲作りのやり方だったり、トラパが持っている難しさについてはもう楽しむことができるようになったので、そこについてはステップアップできましたね。1周まわって辿り着いた場所は同じかもしれないけど、ちゃんとレベルアップはできているなって思います。
Interview:IMAI