ミニアルバム『Bad Cat』を昨年11月にリリースし、別世界的な進化を見せつけた矢沢洋子。日本から海外にまで至る精力的なライブ活動を繰り広げる彼女が、対談シリーズ連載をJUNGLE☆LIFE誌上で敢行する。第5回のゲストは日本のアイリッシュ・パンク・シーンの最重要バンド、JUNIOR。KAZUKI(Vo.)とGo!(Tin Whistle)の両氏を迎えての対談は、テーブル上に次々と空けられていく缶ビールと共に進んでいった…!
●それでは皆さん、よろしくお願いします!
一同:よろしくお願いします〜(乾杯)。
洋子:KAZUKIさんは、お酒を飲む時はビール派ですか?
KAZUKI:まずはビールが飲みたくなるね。次は焼酎…酔っ払ってわけがわからなくなったら、もう何でも(笑)。
●よく一緒に飲んだりもするんですか?
Go!:いや、そんなには。打ち上げくらいかな。
KAZUKI:ライブにゲストで参加してもらって、ポーグス(The Pogues)の「The Fairytale of New York」を2回歌ってもらったね。ポーグスとか興味あった?
洋子:私の元マネージャーがJUNIORやCRACK THE MARIANと一緒に教えてくれたんですけど、ポーグスはそんなにガッツリ聴いたことはなくて。「The Fairytale of New York」はもちろん英詞だし、かなり頑張って覚えました(笑)。
●洋子さんがゲストで参加したのは、今年3月の“THE WILD ROVER”(@新木場STUDIO COAST)ですよね。
洋子:そうです。その前に初めて一緒に歌わせてもらったのが、去年11/11の下北沢CLUB Queでのイベントで。ちょうど私の誕生日の前日だったんですよ。初めて一緒に歌わせて頂いた時は、JUNIORのお客さんたちが受け入れてくれるかすごく不安だったんです。でも意外と最初から受け入れ体制が整っていて、終わった後で色んな人が声をかけてくれて嬉しかったですね。
●実は、かなり前から洋子さんはJUNIORと共演したいと言っていたんですよね。
洋子:そうなんです。
Go!:ウチらのお客さんから、ラジオでJUNIORの曲が流れていると聞いて。そしたら、洋子ちゃんが自分のラジオ番組で流してくれていたんだよね。それで「何だ、何だ?」となって、俺もネットで調べて矢沢永吉さんの娘だというのも知った。
洋子:最初の出会いにさかのぼると、mixiなんですよ。私がJUNIORのコミュニティに入っていたら、ドラムのAtsushi(Armstrong Jr.)さんからメッセージを頂いたんです。
Go!:へえ。
洋子:でもその時は特に連絡先を交換するとかでもなく終わって、その後にTwitterで私が偶然Atsushiさんを見つけてフォローして。フォローを返して頂いたのでメッセージをやり取りして、連絡先も交換したんですよ。
●最初はAtsushiさんだったんですね。お2人と洋子さんの交流はいつから?
Go!:対バンしてからだよね。
洋子:最初に対バンしたのは渋谷Milkywayで、2011年の8月でしたね。でもその時は緊張もあり、ほとんどお話はしていないんです。
Go!:でも打ち上げで飲みには行ったよね?
洋子:行きましたね。対バンも多かったので、本当にご挨拶程度でした。
KAZUKI:その時に初めてちゃんと喋ったな。
●お2人が初めて洋子さんのライブを観たのもその時ですよね?
KAZUKI:そうだったね。「THE WILD ONE」を歌っているのを見て、「やっぱりロックンロールか…」と思った。
●最初はやはり、矢沢永吉さんの娘というイメージが強かった?
KAZUKI:強かったね。
Go!:そのイメージも強いし、“どんな感じだろう?”っていう興味があったよね。最初にライブを観た時は、俺もやっぱり「スージー・クアトロの曲を歌うんだ…」と思ったなぁ。
洋子:それは先輩方によく言われますね。
KAZUKI:ロックンロールの歌を歌う女性って、そんなにいないから。
洋子:女性で「THE WILD ONE」のカバーをしている人って、実はそんなにいないんですよね。皆さんもそのことをよく言って下さるから、「THE WILD ONE」にしておいて良かったなと思います(笑)。
●そういうのも、打ち解ける1つのキッカケにはなりますよね。
Go!:今はもう(矢沢永吉の)娘さんという意識も消えつつあるよね。
KAZUKI:だって、それはもう否定できんわけやん。男に生まれるか女に生まれるかというのと同じで、生まれるところは選べんから。でも生まれたら、そこからどう生きるかは自分が決めることで。
●そういうところで洋子さんは、矢沢永吉さんの娘に生まれてロックンロールをやっているという…。
KAZUKI:それは素晴らしいと思うよ。色々、嫌だと思ったことはあるんやろうけど、そこは選べんわけやし。そこからどう生きるかっていうのは自分の勝手やから。
洋子:でも今は楽しいですね。ここ何年かは特に。最初はとりあえず歌をやりたいということで活動を始めたけど、その時はどういうジャンルが自分に合っているかとかもわからずにとりあえず与えられたものを歌っていた感じで。でも今は自分のやりたいことや好きな音楽というのがハッキリしてきたのですごく楽になったし、わかったからこそ開き直れた部分もあって。そういう部分で、先輩たちともオープンな気持ちで話せるようになったから。もちろんお客さんが少なくて「ウワ〜!」ってなる時もあるけど、ここ何年かは楽しい気持ちのほうが完全に勝っていますね。
Go!:いいね!
KAZUKI:「楽しい」って思えるということは、自分のしたいことができてるっていうことやから。
●そもそもバンドやロックンロールをやっていなければ、出会っていなかったかもしれないわけですよね。
洋子:確かに出会っていなかったかも…。
KAZUKI:でも自分がそれをやっていなかったことは考えられないよね。「もしバンドをやっていなかったら何をしていたか?」なんて考えたこともない。(プシィッと新しい缶ビールを開ける音)
●…いつの間にか結構、飲まれていますよね?
KAZUKI:うん。それであっという間に気が付いたら、朝やからね。
Go!:(小声で)明日、ライブですよ…。
一同:ハハハハハ(笑)。
Interview:IMAI