2014/4/25@SHIBUYA-AX Act:Crossfaith / Miss May I / coldrain
トップバッターはCrossfaith。観客が埋め尽くすAXのフロアに「We Are The Future」が爆音で鳴り響き、大きなサークルモッシュが3つ渦を巻き、会場全体が揺れる。重くて鋭いCrossfaithのサウンドが意識の隙間を塗りつぶす。Tamano(Program / Vision)が奏でる「Monolith」のメロディにキッズたちは拳を掲げて応え、Vo.Koieが「一緒に踊ろうぜ!」と叫んで始まった「Jägerbomb」では、“踊る”と言うより“暴れる”に近い混乱状態に突入。ステージの5人はもちろん、観客も最初からハイテンション。Koieが「今回のツアーはガチンコ対決やねん! 誰がいちばん楽しむかの対決や!」と叫んでウォールオブデス。Koieはオーディエンスの先頭に立ち、道を切り開いていくかのように感情を加速させる。汗だくのオーディエンスは全身全霊でライブを楽しみ、暴れ、宙を舞う。クラウドのいたるところからダイバーたちが打ち上がってはステージ方向へと流れ、フロアは完全にカオス状態。予想はしていたが、“OUTBURN TOUR 2014”はヤバい。全員が本気なのだ。
続いて登場したのは、Crossfaithとcoldrainがかねてより日本に呼びたかったというアメリカのMiss May I。両バンドが彼らを呼びたかった理由は、音を聴けばすぐにわかった。重厚感がハンパなく、更に鋭くて破壊的なメタルコアサウンドの中に光るキャッチーな要素。そのバランスは完全に我々のツボだ。客に対して容赦がない攻撃的なプレイながら、その根底には愛を感じさせるステージングにオーディエンスは熱狂。Miss May Iの掌握能力は抜群で、フロアでは幾度となくサークルモッシュが繰り返される。音に乗って全力で暴れる観客に、メンバーが更にテンションを上げて感情を露わにしたプレイで魅せる。ステージダイブ、ウォールオブデス、ヘッドバンギングとフロアを沸かせに沸かせ、ステージで強烈な存在感と強力な音を放ち続けた5人。おそらく初めて観たであろう観客たちは、体力を残すことなど微塵も気にすることなく暴れまくった。
そしてトリはcoldrain。サーチライトのように青いライトが客席を照らし、大きなバンドロゴが降りてきて輝きを放ち、大きな歓声が起こる。楽器陣4人がステージに現れ、無数の肩車が客席に発生。Vo.Masatoが登場していよいよ狂宴がスタートした。
ヨーロッパツアーを経て、世界標準へと成長したステージに観客は大熱狂。研ぎ澄まされたアンサンブル、すべてを破壊するヘヴィなサウンド、そして類まれなるMasatoのカリスマ。1曲目の「To Be Alive」から会場の興奮は限界を超え、「The Revelation」、「Adrenaline」とライブアンセムを放つ毎に地鳴りのような歓声が大きくなっていく。この日、やや喉の調子が悪かったMasatoは「全力で8本やってきて喉が潰れてしまった。お前らの力を貸してくれ!」と叫び、「Die tomorrow」を全員で大合唱。逆境をものともしないタフなステージにオーディエンスは熱狂し、数えきれないほどのダイバーが舞う。更に強靭なバンドへと成長を遂げた5人が放つ楽曲は、音の1つ1つが重くて鋭く、必死で受け止めないとこっちの意識が潰れてしまいそうになるほどのエネルギーに満ちている。coldrainが鳴らすラウドロックは、生きていることの証なのだろう。
CrossfaithのKoieは「憧れていた洋楽のバンドをみんなにもっと知って欲しかった。そして、海外のバンドと比べても日本のバンドは全然負けていないことを知ってほしかった」と言った。Miss May Iは国境の壁をものともせずに日本の愛すべきクレイジーな音楽ファンたちを熱狂させた。そしてMasatoは「もしかしたら音楽だけは壁がないかもしれない」と言った。単なるツアーではなく、主催者や出演者の想いが詰まった“OUTBURN TOUR 2014”。次の時代を自らの手で切り開いていこうとする彼らの意志を感じた、素晴らしいライブだった。
TEXT:Takeshi.Yamanaka