募金箱:4,933,510円
チャリティーリストバンド:1,610,020円
PAN四星球MONOBRIGHT(仮)ングTシャツ:25,000円
減災ヴィレッジオークションなど:126,000円
Deviluseブース:250,000円
JUNGLE★LIFE&umbroブース:20,000円
出店ブース・缶バッチ:集計中
計6,964,530円 (5.9時点)
もはや街ぐるみのイベントへと発展した、チャリティーミュージックフェス“COMIN’KOBE”。あいにくの雨に見舞われたものの、神戸・三宮駅に来た時点から、既にお祭り感が漂っていた。
「おいおいおい、人気バンドみたいやんけ! 朝イチからよくぞお越し下さいました!」。まずは景気の良い挨拶をかましたLIVE DAM Stageのトップバッター、キュウソネコカミがキャッチーでダンサブル楽曲でフロアをブチ上げる! “気になる”コールが妙に気になる「ファントムヴァイブレーション」、大定番の「DQNなりたい、40代で死にたい」など、印象的なコールアンドレスポンスの応酬が繰り広げられ、しょっぱなからフルスロットルで駆け抜ける。対となるSmartDAM Stageからは、激戦のWEBオーディションを勝ち抜いたMoccobondが登場。独特かつハイセンスなアレンジが魅力的な彼ら。幻想的でミステリアスな雰囲気を醸し出したかと思えば、アグレッシブなパフォーマンスで観客を惹き付けたりと、様々な展開でシーンごとに思わず見入ってしまう。
もはやCOMIN'KOBEではすっかりお馴染みのEGG BRAINは、いきなり「SEVENTEEN」を繰り出しオーディエンスを全力で煽っていく! 彼ららしい爽やかな曲もあれば「VITAMIN」のような荒々しい曲もあり、様々な表情を見せていた。「神戸から全国へ届け! 全国から世界へ響かせろ!」。Vo./G.ジョーイの言葉は、確かな重みを持ちらながらも不思議と胸にすぅっと入ってくる。その言葉に応えるように、会場からはシンガロングの嵐が巻き起こったのだった。続いては神戸が誇る“ロック界の奇行師”アルカラ。長年の経験で培われた演奏力や、独特なリズム感を持つ楽曲、クセになる歌詞でオーディエンスを踊らせていく! 「急遽出られなくなったcoldrainの気持ちを曲にしました」という流れから「チクショー」へと入ったり「ダイブについて唄った曲をやります」と言い円広志の「夢想花」を歌ったりと、Vo./G.稲村のMC力は今日も抜群に冴え渡る。彼らのライブはいつだって“その瞬間にしか見られない特別感”を感じさせてくるのだ。
詰めかけたファンたちにハンドクラップで出迎えられたHEY-SMITH。期待を一身に受けながら繰り出した一曲目「Endless Sorrow」では、イントロのホーンが鳴った瞬間にオーディエンスの怒号にも近い歓声が挙がる! あっという間に至ところでサークルが作られ、おのおのが思い思いにスカダンスをするフリーダムな空間ができあがった。特に印象的だったのは、「いちいち言葉にしなくても良いかもしれないけど、ちゃんと口に出して伝えたいから」と言い、“COMIN'KOBE”への想いを語ったVo./G.猪狩の姿。今この瞬間を楽しんでいるからこそ、楽しいだけで終わらせず、さらにその奥にある込められた意味に触れてほしい。そんな熱い気持ちを感じる姿だった。そこから移動したESP RED STAGEでは、ドラマチックアラスカが魅せてくれた。ハイクオリティーなバンドアンサンブルは、とても若干20歳とは思えない。ステージが体育館ということもあって、ボーカルに強いリバーブが効いていたのだが、それが「東京ワンダー」「星になる」といったクリーンな楽曲と良い具合にかみ合って響いていた。偶然にしろ何にしろ、ロケーションさえ味方につけたライブに“このバンド、何かを持っている!”と思わずにはいられない。
“COMIN'KOBE12”で、まさに歴戦の雄ならではのステージを見せつけた円広志が再びワールド記念ホールに登場! 「2年前のライブが忘れられへんくて、どうしても参加させてくださいとお願いしました。短い時間だけどよろしく!」と宣言して始まったライブ。まずは弾き語りでじっくり聴かせたところで、ワイルドなハードロックを投入しボルテージをあげていく。リアルタイムで聴いていた人たちはもちろん、若い人たちからの声援も数多く聞こえてきて、彼が持つ“歌の力”のすばらしさを再確認する。「夢想花」でキッズたちが歌詞に合わせてジャンプしたり、サークルを作ったりする光景は、まさに“COMIN'KOBE”ならではだろう。
戸川純の「好き好き大好き」をSEに現れたつしまみれ。Vo./G.まりが「あーゆーれでぃーとぅーつしまみれ!?」と言うと、会場から言葉にならない叫び声が返ってくる。それだけで、バンドとファンの信頼関係が伝わってくるようだ。脳みそをショートさせる激しいパンクチューン、スピーディーでワンダーな曲、浜辺の熱いひと時を彷彿させるセクシーなナンバーなど、つしまみれワールド全開の楽曲が次々と繰り出されると、もはやオーディエンスはトランス状態。頭はグラグラ、体はフラフラになるまで騒ぎまくっていた。“80歳まで3ピース”の看板はダテじゃない!
ある意味今イベントでいちばん注目を浴びていたのは、COMIN'KOBE実行委員長・松原氏の茶番に巻き込まれた(笑)PAN・MONOBRIGHT・四星球ではないだろうか。なぜか「We are the world」をBGMに無駄に壮大な雰囲気で登場した3組。なぜかそれだけでもう面白い(笑)。そこから一旦四星球、MONOBRIGHTメンバーがハケていきPANのライブがスタート。「直感ベイベー」「Z好調」(Short Ver.)などアッパーチューンを次々叩き込み、途中ではVo.川さんの見事なスローイングによるパン投げも。そこからメンバーが入れ替わり、MONOBRIGHTが登場! スカやレゲエ、和テイストなど様々な要素をドッキングさせた変態的(褒め言葉)ダンスナンバー「踊る脳」でオーディエンスを絶頂へ導いていく。再びメンバーが入れ替わり、四星球が登場。この日演奏した「絶対音感彼氏」ではサビに合わせて振り付けがあるのだが、Vo.康雄の巧みなMCによるレクチャーを受けると、会場にいるほぼ全員が踊り出す! 最後には3バンド全員がステージにあがりB.B.クイーンズ「おどるポンポコリン」を大熱唱! 25Mプールを水上オートバイで駆け抜けたかのような、ハチャメチャであっという間の25分間だった。そして雨の野外ステージも関わらず、グッドモーニングアメリカを待つファンたちで地面が埋め尽くされていたKissFMSTAGE。「キャッチアンドリリース」で観客の心を掴めば、「空ばかりみていた」ではシンガロングが響き渡る。あらゆる人に届くような開けた楽曲に乗せて、Vo./G.金廣はふいに胸に刺さるような言葉を放つから、どうしてもその歌が頭から離れなくなるのだ。ひとりジーンとしていると、MCでBa.たなしんが恒例の自己紹介(たなしんが「冬でも短パン」と言うと、お客さんが「寒くない!」と応えるお約束的やりとり)のNEWバージョンを披露。「夏でも短パン」「キモくない!」のコールアンドレスポンスが響き渡る大学は、なんだかよくわからない妙な高揚感に包まれていった。
ついに迎えたクライマックス。ガガガSPの出番がやってきた。いきなり「線香花火」「つなひき帝国」といったライブナンバーを連発すれば、誰もが口々に歌い出す。“COMIN'KOBE”で観るガガガSPのライブはいつも以上にグッとくるが、今年いっそう言葉がじわりと身に沁みてくるようだった。特に印象的だったのはVo.コザック前田がMCで語った言葉。「パニック障害のときに、まっちゃん(松原氏)にトリとして誘われて、正直できるわけがないと思った。どう考えてもできるわけがないのに誘ってくるから“こいつ、ほんまに嫌いやわ”と思った。でも、呼んでくれたからこそ今がある」。立ち上げ当初から松原氏と共に“COMIN'KOBE”の歴史を作ってきたガガガSPがこのイベントにかける想いは、きっとひとしお大きいものだったろう。10周年であるイベントの本編最後に、震災に向き合おうとする被災地の人々の姿が歌われた「満月の夕」を残していった彼ら。このイベントが開かれる意味を、改めて考えずにはいられなかった。
「震災から10年目のときに始めた“COMIN'KOBE”。このイベントが、僕が(復興活動などを)何もしていなかった期間と同じ10年を迎えられたことが、僕にとって本当に特別なことです。ありがとうございました」。そう語った実行委員長・松原氏。阪神淡路大震災の時、何もしなかった自分への罪悪感から“自分を支え、守ってくれた人たちのために何ができるか”を考えて生まれたこのイベントが、今では多くのアーティスト、オーディエンス、スタッフ、ひいては神戸という街さえもまきこんだ大きな存在となっている。それは松原氏が本気で“恩返しをしたい”と思って動き、その気持ちに感化された人たちが同じように本気で“力になりたい”と思いながら活動してきたからではないだろうか。何かに対して本気で取り組む姿は、理屈じゃなく感覚で震えるものがある。だからこそ、心から応援したいと思えるのではないだろうか。
今この文章を読んでくれているあなたへ。もしも、多くのアーティストが本気で愛している“COMIN'KOBE”に興味を持ってくれたのなら、ぜひ一度このイベントに参加してみてください。本当に良いイベントです。
そして、“COMIN'KOBE”に来てくれたあなたへ。もしこのイベントを大好きだと思ってくれたなら、この一日がすごく楽しかったと思ってくれるなら、来年もまたここに来たいと思ってくれたなら。そのために“自分にできることはあるだろうか”ということを考えてみてほしいのです。自分が良いと思ったもののために、好きになった人たちのために、何ができるだろう。その想いに、あなたが自分なりの答えを見つけてくれたなら、これほど嬉しいことはありません。願わくばこの文章が、あなたにとって“考えるキッカケ”を生み出してくれますように。
TEXT:森下恭子