AIR SWELLのhamakenが使っている、独特なシェイプのギター。何を隠そう、あのギターはAddicTone CUSTOM GUITARS(以下AddicTone)がhamakenのために制作した世界に一本だけのギター「CZ-01」だ。AddicToneは2012年に立ち上げられた日本のギターブランド。最高グレードの材から生み出される製品は、一線で活躍するプロミュージシャン達から高い支持を得ている。今回はそのAddicToneの代表、渡辺祐氏とhamakenを迎え、至高の一本「CZ-01」とAddicToneの魅力を存分に語ってもらった。
hamaken:(CZ-01を取り出して)格好良くないですか?
●さっそくギター愛が溢れ出ていますね(笑)。普通のストラトキャスター(以下ストラト)とシェイプが逆ですよね。
渡辺:レフティギターに見えるけど、リバースヘッドの右利き仕様なんです。「これ、ひっくり返して作っただけでしょ?」ってよく言われるんですけど、意外と大変なんですよ。このモデルを作るにあたっていろいろ工夫をしています。
hamaken:しかもラージヘッドなんですよね。
渡辺:AddicToneのオリジナルのヘッドシェイプもあるんですが、カスタムオーダーではそういうこともできます。
●カスタムオーダーというのは?
渡辺:アメリカやカナダの材木屋から直接材を買い付け、USAの工房で材を加工をしてから日本で塗装、組み込みを行っている製品ですね。今AddicToneラインナップはUSA製のUSA Custom ,日本製のJPシリーズ、USA材を日本で組み込むカスタムオーダーの3種類があるんです。
●なぜ、あえてアメリカから買い付けるんですか?
渡辺:アメリカの方が材の種類が豊富なんです。日本で40~50万円はするハイエンドギターのメーカーに卸しているアメリカの材木屋から、同じ材を直接買い付けて日本に持ってくる。その分、日本の材を仕入れるよりもコストは掛かるんですけれども、自分で工場を持たずに組み立てることで採算を上手くつけて、結果的に同価格帯のギターよりはるかに良い材を使いコストも下げる事が出来ています。
●小規模で制作するから他のメーカーよりコストがかからないと。今回は自分のためのギターということで、hamakenさんのこだわりはありました?
hamaken:はい。「ボディは4Kg以上(普通より重い)」、「金属のパーツも重いものがいい」みたいな細かいところまで注文しました。
●ギターは重い方が好み?
hamaken:軽いギターはやっぱり音が軽いんですよね。金属パーツも重みがあってしっかりしている方が、ちゃんとコシのある音が出るんです。
渡辺:ジャンルによっては軽いモデルが好きな人もいるけど、hamakenくんの場合はもともと重いギターを使っていたりとか「レスポール系の音が良い」って、出したい音像が決まっていたんです。なのでボディはマホガニーにメープルのトップを貼って重くしたりしましたね。
●hamakenさん的に一番こだわった部分は?
hamaken:一番こだわったところは…全部(笑)。強いて言うならハムバッカー(以下ハム)かな。
●ピックアップにこだわりがあると。
hamaken:やっぱりハムじゃないと、ミュートした時の質感もズンッて言わないので、重めのロックを演奏するのは厳しいんですよね。でもクリーンの音色はシングルコイルの方が好きだったので、ボリュームノブをプルアップするとシングルコイルの音色になるようにしてもらいました。
●おぉ! そんなギミックがあったんですね。じゃあ分厚いハムの音を出したい時はノブを押し込んで。
hamaken:音をカリッとさせたい時はノブを引っ張ると。
●良いとこ取りをしたかったと。
渡辺:CZ-01にはひとつしかピックアップが付いていないけど、そうやって音色にバリエーションが出せるようになっていますね。オーダーを受ける側としては要望は理解できる範囲だったんですけど、それ以上に見た目のこだわりを強く感じました。このギター、簡単に言うと弾きにくいんですよ(笑)。ボリュームノブも本体の上にあって弾き難いはずなんですけど、hamakenくんのプレイスタイル的にギターを低く持っているから邪魔にならない。
hamaken:普通のストラトだとボリュームノブが下にあるじゃないですか。だから低く持つと体を屈めないと届かなかったんですけど、CZ-01はノブが上にあるから調節しやすいんです。だから本当に自分のプレイスタイルに合っているギターだなと思いますね。
●そうやって作られたこだわりのギターですが、アフターケアもしっかり対応してくれるそうで。
hamaken:そうなんです。僕はけっこうワガママだから、ことあるごとに工房に持って行っては調整してもらいます。このCZ-01も「太いネックが良い」って言って作ってもらったんですけど。使ったら本当に太すぎて(笑)。
渡辺:いざライブで使ってみたら「手が疲れる…」って言って、また僕のところに持ってきたんです(笑)。なのでネックをリシェイプして再調整しました。こうやってミュージシャンと直でやりとりできる機会が持てるっていうところもあって、渋谷に事務所を構えているんです。
●なるほど。
渡辺:まだAddicToneとして作ったギターは40本くらいなんですけど、hamakenくんや買ってくれたバンドマン、スタジオミュージシャンがきっかけでAddicToneを知ってくれる人やオーダーしてくれる人が増えてきました。少しずつそういう口コミでクオリティが証明されてきていると思います。
●最後に渡辺さん、hamakenさんから読者に向けて一言。
渡辺:僕もプロミュージシャンとしてやっていた経験があって、ミュージシャン側の大変なことも分かっているので、そこをサポートしたいです。AddicToneはアーティスト価格っていうのもあったりしますので、気になった人は「AddicToneを使いたい!」っていうアピールをどんどんしてもらえたらと思いますね。
hamaken:僕みたいに細かい注文をしたら他のメーカーでは高くて手が出せないんですよ。でもAddicToneならそれよりも安く作ってもらえます。そういう意味でもめちゃくちゃオススメです。このギターの凄さはライブに来てもらったら一番分かると思いますけど、何よりも、世界で一本だけのギターですから。
Interview:馬渡司
■AddicTone CUSTOM GUITARS オフィシャルサイト
(渋谷 事務所で随時試奏が可能)
http://www.addic-tone.com
■AddicTone CUSTOM GUITARS オフィシャルTwitter
https://twitter.com/addictone_gtr
■ここで取り上げきれなかったCZ-01の魅力はhamakenのブログで!
http://ameblo.jp/airswell/entry-11746470874.html