80年代のハードロックやヘビーメタルをこよなく愛する女子3人が1stミニアルバム『FIRST CRY 〜逆襲の産声〜』でデビューを果たしたのは、昨年3月のこと。そこから様々なイベント出演や対バンも経て、バンドとしての経験値を積み重ねてきた。そして紆余曲折を経て前任のドラムが脱退、新メンバーに初の男子メンバーとなるDr.NORIを迎えて生まれ変わった新生・WHERE’S ANDYが2ndミニアルバムをリリースする。TOKIE(unkie/LOSALIOS)をプロデューサーに引き続き迎えて完成した今作は、よりタフでハードなサウンドへと変貌。超キャッチーでありながら攻撃性と毒を増した楽曲たちはその名のとおり、“SECOND SHOCK”をもたらすはずだ。
●WHERE'S ANDY(以下ANDY)初の男性メンバーとしてNORIさんを迎えたわけですが、これまでにもメンバーチェンジはあったんですか?
CHIKA:初のメンバーチェンジで、初のメンズです。
NORI:初だらけ(笑)。
●正式に加入したのはいつ?
NORI:今年の3月頃ですね。本当に最近です。
CHIKA:(前任の)CHIBAchanが抜けたのも、今年の2月くらいなんですよ。
●ここ最近の出来事だったと。脱退の理由は音楽的な部分でしょうか?
CHIKA:音楽的な方向性の違いというよりは、バンドの将来像というか。見ている方向が徐々にズレていっちゃったんです。今回の作品を作っていく上で色々と話す機会も増えて、そこが見えてきた結果という感じかな。
●今作にも収録のM-4「a suicidal act」のMVには、まだCHIBAchanが出ていますよね。
CHIKA:去年の10月頃に撮ったんですけど、あの段階ではまだそういう話が全然出ていなかったんです。
●前作の1stミニアルバム『FIRST CRY 〜逆襲の産声〜』とは雰囲気の違う曲ですが、あえてそういう曲を選んだんでしょうか?
CHIKA:あの曲は特にANDYっぽくない曲なので、あえてMVにしたんです。“こんな一面もありますよ”という意味で作ったし、1stとは違うものにはしたかった。ライブで初めてやった時も、お客さんが「何? どうした?」みたいな反応だったので良かったですね。
●1stからはイメージを変えようと思っていた。
CHIKA:1stを作り終えてからまた色々と生み出していく時に、“攻めている”表現をしようかなと思ったんです。
●前作リリース後にツアーをまわったことで、心境が変わった部分もあるのでは?
MAI:以前とはライブの対バンとかも変わったし、色んなイベントに出たことで揉まれたところはありますね。
CHIKA:1stを出した頃は初めてのことばかりで、まだ何も知らなかったから。今も変わっている途中だと思います。色々と決心をしたことで変わってきて、“この先どうなるんだろう?”っていう感じですね。
●自分が変わってきている実感がある。
CHIKA:1年前とは何か違う自分というか。自分の表現やスタイルは、今回の『SECOND SHOCK』と共に変わってきているなと思います。やっぱりメンズが入ったことで、女の子3人だった時のバランスは崩れていて。音も見た目もそうですけど、今は後ろにアクの強い男がいることで、表現やスタイルが変わってきたのかな。
MAI:私は変わらず、やりたいことがやれているなと思っていて。CHIKAは“バーン!”と変わったと思うけど、私は“引き続き”な感じですね。
●CHIKAさんは特に大きな変化があったと。
CHIKA:性格的な部分もあるんですけど、私は“バーン!”って衝撃を受けたものを“ダーン!”って出すタイプだから。自分の中に入ってきた刺激を受けて、“今度はこういうことをやってみたいな”という感じで変わってきたのかな。
●そこはNORIさんの加入が、大きな刺激になったわけですね。
CHIKA:でも『SECOND SHOCK』の制作は、まだ女の子3人でやっていたんです。
●え、そうなんですか?
CHIKA:今作のドラムは、CHIBAchanが叩いているんです。だから私の脳内も、すごく複雑で…(笑)。その時はその時で一生懸命だったし、女の子3人の力を合わせてカッコ良いことをやろうという気持ちで作ったんですよ。でもリリースを前に、メンバーチェンジがあって。ドラムが変わるとなると色々と変わってくるから、そこでのサウンド面や見せ方をどうするかが難しいんですよね。
●制作時とリリース後でメンバーが違うというのは、確かに見せ方が難しいですね。
CHIKA:他の人にとっては『SECOND SHOCK』は新しい音源ということで楽しみにしてくれているだろうけど、私の中ではそこからもう前に進んでいるから。「次はどうしていこう?」と考えているし、みんなと同じところにはいないのでその時差はあるかもしれないなって。
●本人の中では完成させた時点で、その作品よりも次のことへと考えが移っている。
CHIKA:そうなんです。だから、出産後っていう感じかな(笑)。私は「これから育てていくにはどうしよう?」ということを考えているんですよ。洋服も買わなきゃいけないし、家計のことも考えなきゃいけないとか色々と思っている時に、みんなから「おめでとう! 赤ちゃんの名前は何にするの?」と言われている感じの“ズレ”かな。
●そこは当事者と他人との致し方ないズレというか。
CHIKA:みんなはまだ(今作を)手にも取っていないですからね(笑)。
●今作に話を戻すと、やはり1stから大きく変わったと思うんです。
MAI:日本語詞が多くなったことで、自然と曲の幅も広がりましたね。すごくポップな曲もあれば、面白い曲も真面目な曲もあったりして。1stは初期に作った曲が多かったんですよ。
●確かに初期衝動感が強かったですね。
CHIKA:そこでちょっと物足りなかった部分を今回は出していきたいなということで、“攻めている”感じを詰めてみました。2ndをどういうものにするかと考えた時に、もっと激しくしたかったんだと思います。でもラウドやメタルのバンドになりたいわけじゃないから、M-3「ダイアモンド」みたいな曲も入れたりして。
●ハードな1〜2曲目から、「ダイアモンド」で一気に雰囲気が変わる。
CHIKA:“ウワァァ!”となっていた私が“キラ〜ン!”って変わる感じですね(笑)。「a suicidal act」もそういう感じなんですけど、フラストレーションを溜め込んでいた暗い自分から抜け出した結果が「ダイアモンド」っていう感じかな。私が曲を作った時期で考えるとまずM-1「チャッキーイズカミング」で“KILL YOU”しまくった後に、「a suicidal act」みたいな曲ができて、最後に「ダイアモンド」を生み出したっていう流れなんです。
●「チャッキーイズカミング」は最初のほうにできたんですね。
CHIKA:この曲とM-2「MY HEART SONG」は初期からあった曲で、リアレンジして入れたんです。だからギターのアプローチも今とは少し違っていて、当時っぽい感じはありますね。
●「MY HEART SONG」も確かに、前作に近い匂いがあります。
CHIKA:「MY HEART SONG」は私がギターと出会った時の気持ちや想い、衝動が詰まった曲なんです。
●衝動をそのまま形にしている。
CHIKA:考えたりするよりも、とにかく言いたかったんだと思う。何かワンクッション置いて物語にするよりも、“バン!”って出ちゃう感じ。「a suicidal act」は絵本みたいな物語を頭の中で考えて書いたんですけど、そういう曲もあればM-5「ヒューマニズム」みたいに“ヤバいな、この世の中…”って思ったことをストレートに言っている曲もあって。
●そういう意味では、M-7「No Beer,No Life」も衝動的な歌詞ですよね?
CHIKA:これは“ライブで楽しく飲もうぜ!”っていう感じで、とにかく楽しい雰囲気になれば良いっていう曲ですね。実はCHIBAchanのことを歌った曲なんです。ビールがすごく好きで、いつも酔っぱらっていたから(笑)。
●そうだったんですね(笑)。M-6「Welcome to the jungle」はGUNS N' ROSESのカバーですが、この曲を選んだのは?
CHIKA:他にもルーツになっているバンドはいるけど、それを出したところで自己満足になっちゃうから。それならみんなが知っている曲で一緒に“イェーイ!!”って盛り上がれるほうがハッピーだなと思って。あとは、自分の声質を活かした曲というところを考えましたね。チューニングも原曲そのままでやったんですけど、「キーが高いな!」と思いました(笑)。
●このあたりのルーツはNORIさんも共通している?
NORI:僕も大好きですね。前にやっていたバンドで何回かANDYと対バンしたことがあったんですけど、プレイスタイルがカッコ良いなと思っていたんです。それはルーツにカッコ良いものを持っているからだろうなというのも感じていて。話してみたら実際にこういう音楽が好きなんだとわかったし、今回もGUNS N' ROSESのカバーを入れちゃうっていうところで“このバンド、面白いじゃん”って思いますね。
●だからメンバーにもなったわけですよね。
NORI:そこがなかったら、たぶん女の子と一緒にやるなんて考えていなかったので。女の子でハードロックをマジで好きな人って、あまりいないと思うんですよ。ファッションだけじゃなくて、ちゃんと楽曲にも本当のルーツとして出ているところが魅力ではありますね。
●NORIさんが入ったことで、バンドとしても強さを増したのでは?
MAI:メッチャたくましくなりました。
CHIKA:元々“ギャルバンなめんなよ!!”を合言葉にしていた頃は、女の子だけでどこまで頑張れるかというところで“甘えちゃいけない”と思っていたんです。でも今はそんなことよりも色々とやってみたいし、女とか男とか抜きにしてANDYをもっと良くしたい。カッコ良いと思ってもらうためには、フィーリングが合ってプレイも良いメンバーなら問題ないなっていう結果ですね。
●そんな最新のANDYを体感できるのは、今作リリース後のライブなわけですよね。
CHIKA:今作は今作で1つの作品として、みんなに聴いて欲しいんです。でもやっぱり今のANDYは日々成長しているので、それはライブに来て感じてもらえたらなと思ってますね。
NORI:“いいから、ライブに来いよ!”ってことだろ?
CHIKA:そういうことですね!
●では最後にハードロック的なシメをどうぞ(笑)。
NORI:うだうだ言ってねえで、ライブに来いよ!
一同:ハハハ(笑)。
Interview:IMAI / Assistant:馬渡司