大阪府堺市出身のGOOD4NOTHINGとTHE CHINA WIFE MOTORSが“地元に恩返しをしたい”という想いで昨年スタートした音楽フェス“SAKAI MEETING”。音楽だけではなく地域の文化や商業、カルチャーも含めての繋がりを大切にしたいというそのテーマはたくさんの人を巻き込み、初開催となった昨年は多くの出演者や堺市の人々、そして音楽ファンが集まり、出演者たちの気持ちが溢れるステージを心ゆくまで楽しんだ。あれから1年、今年も“SAKAI MEETING”の開催が決定。昨年開催したとは言え、GOOD4NOTHINGのメンバーによると今回の開催までにも色々な苦労があったという。主催者、関係者、出演者、観客…たくさんの想いが集まって開催された“SAKAI MEETING2014”は、その場に居合わせた全員の気持ちが溢れた、温かくて他にはない音楽フェスだった。
堺市の竹山市長やハローキティ(子宮頸がん予防啓発プロジェクト)も参加したオープニングセレモニーを経て、いよいよ“SAKAI MEETING2014”がスタート。BiG-iの建物の中にステージは4つ、様々なバンドTシャツ/イベントTシャツに身を包んだキッズたちによって、会場はとてもカラフルで、それぞれの笑顔に“全力でフェスを楽しもう”という気持ちが溢れている。何より驚いたのは、GOOD4NOTHINGとTHE CHINA WIFE MOTORSのメンバーが主催者とはいえ、客エリアでも両バンドのメンバーがところ狭しと走り回って働いているところ。更に、出演者や関係者も気軽に観客と話している光景を目にする。地元密着型ならではというか、バンド主催フェスならではというか、まるでライブハウスのような温かい空気感が会場全体を包んでいるのだ。利休ステージでもるつオーケストラ、堺STAGEではHEY-SMITH、鉄砲STAGEでSUNSET BUSがライブを始め、会場全体の温度が急激に上がっていくのがわかる。
堺出身/在住のlocofrankによる気迫溢れるエネルギッシュなステージ、サークルモッシュで観客が暴れたRADIOTS、PAN → SABOTEN → GARLICBOYSというライブハウスシーンを代表する猛者たちによるキッズ垂涎の流れに、汗だくのまま走ってステージ間を移動するオーディエンス。「俺たちがいちばん最高のライブだ!」とばかりに強烈なライブを繰り広げる出演者、そして“SAKAI MEETING2014”を一音残さず楽しもうという貪欲な観客たち。どのバンドも、そのステージからはこの“SAKAI MEETING”に出演した理由と想いがビシビシと伝わってくる。主催2バンドと同じく、地元を大切にしてフェス“GUNMA ROCK FESTIVAL”を主催しているG-FREAK FACTORYのステージがその最たるもので、凄まじいほどの想いに溢れたライブに観客は大歓声。GOOD4NOTHINGとTHE CHINA WIFE MOTORSの想いが出演者や観客1人1人に伝わり、最高の時間と空間を作り上げているのだ。
BiG-iを埋め尽くす熱気と興奮と歓声はどんどん大きく熱くなっていく。SHANKやROTTENGRAFFTY、Crossfaithといった必見のライブが繰り広げる流れに、朝から暴れまくっているであろうキッズたちは疲れも見せずに大興奮。dustbox、ザ50回転ズ、SECRET 7 LINE、グッドモーニングアメリカが熱狂させた後、興奮冷めやらぬ仁徳STAGEに登場したGOOD4NOTHINGの4人が、想いのすべてを音の1つ1つに込めて音を振り絞り、客席エリアは今日最大の盛り上がりのままカオス状態に突入、ダイブやモッシュが乱発する。
利休STAGEのUZUMAKIがまるで絨毯爆撃のような激しいライブで盛り上げた後、トリのTHE CHINA WIFE MOTORSが想いと気持ちと感情と汗と涙と笑顔がほとばしりまくったライブで魅せる。「2015年、2016年と、ずっと堺でやり続けたいと思う」という彼らの言葉に、オーディエンスは歓喜の声。最後はGOOD4NOTHINGのメンバーもステージに乱入して大団円。1日中、愛と気持ちと音に包まれたキッズたちは、満足した笑顔で会場を後にした。
THE CHINA WIFE MOTORSがライブで演った「in the city」の“ガキの頃に受けた衝動のカケラが夢のカケラ”という歌詞に、“SAKAI MEETING”がたくさんのキッズに愛されている理由があるのではないだろうか。ガキの頃に受けた衝動のままに音楽フェスを立ちあげ、そしてたくさんのキッズに新たな衝動を与えている“SAKAI MEETING”。来年もまた遊びに来よう。
TEXT:Takeshi.Yamanaka