10-FEET “ONE-MAN” TOUR
2014/3/26@Zepp DiverCity
6月にリリースされるコラボレーション・アルバム『6-feat 2』に参加する全6アーティストが突然乱入するという豪華かつサプライズ満載な内容となった今回のZepp DiverCityワンマン。約3時間という濃厚なライブの始まりは、こんなハプニングから始まった。
S.Eが始まりサーチライトのようにうごめく照明の中、颯爽と10-FEETの3人が入場する。ドラムの前に集結した後、Vo./G.TAKUMAの演奏と共に本編1曲目がスタートする。…と思いきや、途中で演奏を止め「おい、間違えた。最初からやるぞ」。「え!? ちょ…ちょっと待って」と戸惑うBa./Vo.NAOKIに「逆光で、手元が見えへんかった…まだ照明がガッって光ってないから大丈夫!」とTAKUMAが言い、入場を仕切り直すというハプニングが発生。そこでしっかりDVDとして発売されることを発表し、「まあ暗いし、ここは切れる(カット)から。でも俺らのことやし、ここは活かすから! 」と言い会場は大爆笑の渦に。事件を起こし、それすらネタにするまさかの展開にオーディエンスは早くもヒートアップ。早回しされるS.Eに乗って、再びドラムの前に結集するメンバーたち、かくして熱狂に溢れたステージの口火は切られる。
冒頭から飛ばしまくる展開に、すでに沸点を振りきったオーディエンスが狂喜乱舞する。mcを挟んで最初のゲストRHYMESTERが登場。宇多丸が「ラップの先輩とロックの後輩でぐちゃぐちゃにミックスしてこうぜ!」と言って「focus」が始まった。今までとは打って変わった跳ねるビートに混ざるヘビーなサウンド、それに乗る3人のボーカルが絶妙なグルーブを醸し出す。
続いてのゲストはFIRE BALL、東京スカパラダイスオーケストラ(以下スカパラ)のホーン・セクション4人、Tokyo Tanaka(MAN WITH A MISSION/Vo.)と立て続けに3組登場。それぞれ「STONE COLD BREAK」、「hammer ska」、「super stomper」を披露し、その後TAKUMAの中学の後輩、tricotのVo./G.中嶋イッキュウが登場。「ライオン」をしっとりと爽やかに歌い上げる。続くMCで「ほんま年がら年中ライブしているけど、今日を一番にするつもりで来たから」と「その向こうへ 」を3人で演奏した。その途中、 突如ROTTENGRAFFTYのVo.NOBUYAとVo.N∀OKIが乱入。5人で改めて演奏し、会場の温度は更に上昇する。巨大な波のようにうねるオーディエンス、それに乗るクラウドサーファー、目の前の観客は泣きながら大合唱し、汗も水も涙も一緒になって踊る会場の熱気はスモークのように雲になって、さながら熱帯雨林に迷い込んだかのような状態に。そして、本編の最後は「goes on」で幕を閉じた。
メンバーがステージを降りた後もオーディエンスの大合唱が終わらない中、10-FEETがステージへと戻る。そしてもう一度スカパラの面々を呼び、「僕らもそのスーツ、着たいです」とTAKUMAが言ったことから始まった彼らのコラボ曲「閃光 feat. 10-FEET」を演奏。先に出演したホーン・セクションに加えスカパラのメンバーが続々と登場し、ステージも会場もお祭り騒ぎに。次はROTTENGRAFFTYのNOBUYAとN∀OKIが再び登場。「AND HUG」を共に歌い「日本最高ー!音楽最高ーーー!!!」と叫び会場を湧かせた。
「さあ、最後行こか。何事にも終わりはあるよ、でも永遠やったらおもしろくないよな、土曜日も日曜日も、月火水木金があるからおもろいんかもしれんしな。明日からもいろんな辛いこと、楽しいことがあるやろうけど、ちゃんと楽しい時にそれを楽しいと思えるようにがんばりや」そうTAKUMAが言って、最後の曲「CHERRY BLOSSOM」が始まる。彼らの演奏に合わせてタオルが投げられ、会場は大合唱の渦へ…。
泣きながら合唱していた彼も、その隣で寄り添った観ていた夫婦も、拳を上げていたキッズたちにも同じように明日が来る。“その向こうへ その向こうへ”。10-FEETはみんなの背中を押すように、そして自身も一緒に全力で進むように、力強く演奏していた。
冒頭からライブならではのハプニングとサプライズが詰まった今回のワンマン。何より、それをものにする彼らの器の大きさを思い知った一日であった。
TEXT:馬渡司
PHOTO:HayachiN