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HONDALADY

ハピネスとブルースと、あと何とも言えない気持ちが縦横無尽にループ!

AP_HONDALADY“アシッドフォーク界の魂のふるさと”として、全国の肉食系サブカル食いしんボーイズ&食べたガールズたちの支持を受け続けるHONDALADY。結成18年目も狂い咲き(サンダーロード)状態継続中の彼らが1年ぶりの新作『LOOPER LOOPER』を完成させた。ポリスの名曲「見つめていたい」へのアンサーソングとも言うべきストーキング・ディスコチューンから、話題のアイドル・ゆるめるモ!のメンバーが参加したデス昭和ディスコなどなど、ハピネスとブルースと、あと何とも言えない気持ちが縦横無尽にループする全7曲。ここに描かれる姿はあなた自身かも?

 

 

「歪んだ愛情って、ちょっとチャーミングというか。僕自身は惹かれてしまう部分があるので、そういうものを上手く形にしたいなと思って」

●ウーパールーパーがジャケットなのは、今作のタイトルが『LOOPER LOOPER』だからですか…?

マル:まぁ、そうですね。…ダジャレっていうか。

●ダジャレ以外の何物でもないですよね(笑)。

Die:ハハハ(笑)。

マル:ジャケットより先にタイトルを考えたんですけど、“ループするもの”というイメージが今回はあって。ループする人生ということを考えていたり、ダンスミュージックもループの多い音楽だったりするので、“ループ”という言葉を絡めたタイトルにしたいという話はしていたんですよ。…そこからのダジャレですね! 世の中の9割はダジャレでできていると思うので…。世の中の構成物はダジャレが9割ですよ!

●2回言った(笑)。

Die:おっさんになった感じがするよ…? (笑)。

マル:ダジャレにするところが、おっさんくさい(笑)。とにかく“人生のループ感”みたいなものがここ数作のコンセプトになっていたので、“ループ”という言葉を入れたかったんですよ。そしてウーパールーパーといえば世代的に80年代くさいものの象徴としてあるので、これは題材にするしかないんじゃないかと。それをDieちゃんに話したら、ちょうどウーパールーパーのフィギュアを作っている作家さんがいると探してきてくれたのが、このジャケットの人形だったんです。

●ものすごく派手な色で、インパクトがあります。

Die:アメリカのフィギュア作家さんが作ったものなんですけど、レイヴカラーでちょうど良いなと思ったんです。ちゃんと許可ももらって。

マル:素晴らしいですよね。ゆるキャラだし…。

●確かに。80年代のウーパールーパーは、現代のゆるキャラブームを先取りしていたとも言えますね。

マル:そうですね。そこを今あえて、この2014年に。

Die:“忘れるな”と。“元祖ゆるキャラはこれだぞ!”というのを前面に押し出したジャケットです(笑)。

●“リメンバー・ウーパールーパー”と。…“リメンバー・パールハーバー”ふうに言ってみましたけど(笑)。

Die:オヤジ化してますね(笑)。

マル:やっぱりダジャレですね! 世の中の9割はダジャレなんですよ。

●また言った(笑)。M-4「LOOPER LOOPER」はタイトルを決める前からあったんですか?

マル:タイトルのほうが先ですね。

Die:アルバム全体のイメージが見えてから、タイトル曲を作った感じです。今回は全体的に世界観が暗いので、明るい曲が何かあっても良いかなって。

●この曲には女性の声も入っていますが。

Die:これは今イチオシのアイドル、ゆるめるモ!のメンバー2人(けちょん+ももぴ)に協力してもらいました。けちょんには前作(『ON PATROL』)のジャケットにも出てもらっていたのですが、この曲に女性の声を入れたいなということでお願いしたんですよ。

●そんなアイドルが参加した曲もあれば、1曲目の「寝ずの番」はまるでストーカーのような歌詞で…。

マル:ストーキング・ソングですね。この歌詞を夜中に1人でウンウン唸りながら書いている自分の姿は、かなりヤバいと思います(笑)。これを書くキッカケになったのは、僕が大好きなポリスの「見つめていたい(原題:Every Breath You Take)」という曲で。あれってすごく美しいラブソングとして歌われているんですけど、歌詞を紐解いていくとストーキングそのものなんです。(直訳すると)“君が吐く息全てを見つめていたい”って、猟奇的じゃないですか!?

●その解釈、ポリス・ファンに怒られますよ(笑)。

マル:歪んだ愛情って、そういうものかなって。切り取りどころさえ間違えなければラブソングとして通用するんだけど、…これ(「寝ずの番」)は切り取りどころを間違えた例ですね。

一同:ハハハハハ(爆笑)。

●あえて間違えてみたと。

マル:事象は同じようなものです。ただ、ちょっと紙一重なところがあるなと…。

Die:フィルタが違うからね(笑)。

●まあ、遠くから見つめているだけなら、ギリギリ犯罪ではない…のか?

Die:訴えられはしない(笑)。

マル:下手すりゃ、会ったこともない女性かもしれないですからね。

●たまたま電車で見かけた女性とか(笑)。Dieさんもそういう願望はありますか?

Die:ないです(キッパリ)。ファン目線というのはあっても、その人の生活を見たいとは思わないですね。そこまで行くと、相手に迷惑だなという自制心があるので…。

マル:この曲の主人公も自制心があるから、特に何もしないんですよ。(相手の家の周りを)ずっとパトロールしているだけで。別に即物的な意味で覗きたいというわけじゃないんです。その人の人間味みたいなところを垣間見たいなという欲求は常に持っていて! …って、目を見開いて言うことじゃないですよね(笑)。

●ギラついている(笑)。

マル:曲調もギラついたディスコっぽい感じだったので、ちょうど良いなって(笑)。ある意味、前作収録の「叱られたい」に通じるところはあるんじゃないかなと。

●歪んだ性癖シリーズですね(笑)。パトロールしているという意味では、前作のタイトル『ON PATROL』にもつながっていると言えるのでは?

マル:確かに。警備している感じですからね。そういう歪んだ愛情って、ちょっとチャーミングというか。僕自身は惹かれてしまう部分があるので、そういうものを上手く形にしたいなと思って書いた曲ですね。

●基本的に歌詞は日頃、マルさんが思っていることを歌詞にしているんでしょうか?

マル:そうですね。等身大の自分というのを特にここ数年は意識しています。背伸びもせず、若ぶりもせず、ありのままでということを歌詞の世界観としては意識していて。なるべく歌詞はオンタイムなものにしたいなというのがあるんですよ。

●M-2「キッズ・アー・ノット・オールライト」の歌詞は、昔の自分を思い返しながら書いている感じですよね。

マル:“中二病”という言葉って、曲解されている気がしていて。この曲は“過去って恥ずかしいものなんだけどな…”というのを歌詞にしているんですよ。

●“無邪気にBoon読んでた頃”とか(笑)。

マル:恥ずかしいですよね(笑)。だから“あんまり過去を美談として話すべきじゃない”という自分への戒めとして、この曲があるというか。“キッズ・アー・オールライト”ってパンクの常套句として“若さこそ全て”みたいな意味で使われていると思うんですけど、“そんなことはないぞ”っていうイメージでラップの部分は書いてもらいました。

●急にラップが始まるので驚きました(笑)。

マル:ちゃんとしたラップが入っています(笑)。『SRサイタマノラッパー』という映画のラップ監修を担当した、P.O.P ORCHeSTRAという人たちにやってもらったんですよ。テーマだけはこっちで決めて、ラップ部分は彼らに書いてもらったんです。

●歌詞のテーマは全編で一貫している。

マル:“ここではないどこか 今ではないいつか”という歌詞があるんですけど、そう思いつつも“そんなことを思っているヤツらはクソだ”みたいな部分もあって。常にどっちの気持ちも持っているんですよね。

●相反するような感情が同居している。30代って、ちょうど狭間の世代だと思うんですよね。だから、M-3「M-AGE」の“先人たちにはいつも足蹴にされて 若人たちにはいつも苛立ってて”という歌詞にもなるというか。

Die:俺たちの世代は中途半端な位置ですからね(笑)。

マル:会社で言えば、中間管理職というか。本当にそういう世代感が出た曲ですね。“ミドルエイジ”という意味で「M-AGE」というタイトルにしたんですよ。

●“許すまじ我が人生”というのも実際に思っている?

マル:できるだけ今の気持ちをストレートに表現しようと思って歌詞を書いているんですけど、この曲はすごく端的に書けていると思いますね。“後悔ばかりの人生”みたいなところは多少あって、“あそこでああしていればもっと行けていたのにな…”みたいな(笑)。そういう巻き戻し願望みたいなものはあるんです。かと言って巻き戻せるわけではないから、覚悟しないといけない部分だとわかってはいて。

●過去に戻りたいけど、戻れないとわかった上で自分がどうするか考えて生きていく。

マル:過去を振り返れば享楽的な時期もあったけど、自暴自棄にはなっていないんですよね。ちょっとは前を向いている気がするし、“捨てていない感”があって。捨てたところで、何も残らないから。そういう感覚は日常から持っています。最後のM-7「咳をしても一人VII」はこれまでに「II」と「IV」をリリースしているんですけど、3曲並べて聴くと時代の流れを感じますね。やっぱり数字が若い曲のほうが享楽的な感じがするんですよ。

●そこが歳を重ねるにつれて、変わってきている?

マル:昔は“どうでもいいや〜”みたいなところがあって。でもそれって問題を先送りにしているだけなので、先に進むにつれて重くのしかかってきている感じがします。「VII」では“もう後がないな”っていう。

●そういう意味では、わりと重い曲なんですね…。

マル:重いですね。これは僕のライフワークみたいな曲なんですよ。生活の中で周りとのギャップみたいなものは常日頃から感じているから、そういうものを歌にしたい。思っていることを全部吐き出せるような曲にしたいなと思っています。

●M-5「愚仮面」も今の心境を歌っている?

マル:そうですね。“理想が高すぎていつも裏切られているんだけど、最終的には理想に追いかけまわされている”という歌詞です。

●理想を追いかけることが、逆にプレッシャーになるというか。

マル:そういう人って多いと思うし、それで潰れてしまう人も多いから。理想を高く持つことだけが正解ではない気がするんですよね。それは“逃げ”ではないし、僕らの曲を聴いた人がちょっとでも勇気を持ってくれると良いなと思います。

●自分のことを等身大で歌うことで、同じような心境の誰かを勇気づけられるものになっている。

マル:これまでのアルバムと比べても、今の自分を切り取った感覚はありますね。“こうしようぜ”とか話し合ったわけじゃないけど、(作品の方向性が)バシッと見えた気がしていて。

●その切り取り方がHONDALADYならではかなと。世の中には「諦めるな!」とか背中を押すようなメッセージ性を持った曲のほうが多いわけですからね。

マル:そういうのは苦手なんで(笑)。

●ハハハ(笑)。

Die:でもそういうバンドのほうが売れるし、人気も出るんだよね。

マル:背中を押されて「よし、俺もがんばるぜ!」と思う人もいれば、背中を押されると「そういうの、俺ちょっと苦手なんだけどな…」って思う人ももちろんいるわけで。僕らはそういう人に向けて音楽をやっている気がします。

●ちなみにここまでにまだ触れていないM-6「ロシナンテ」も、同様のメッセージ性を持った曲なんですか?

マル:このタイトルはドン・キホーテが乗る馬の名前から取っているんですよ。ドン・キホーテって、正直すぎるヒーローというイメージがあって。ちょっと憧れている部分もあれば、ちょっと軽蔑している部分もあるんです。そういうところをモチーフにして、自分なりに書いてみた曲ですね。でもキッカケは別なんですけど…。

●キッカケというのは?

マル:僕らの曲で「俺なんて」(『ギミアブレイク』収録)というのがあるんですけど、ライブのセットリストにスタッフが冗談で「ロシナンテ」とよく書いていたんですよ。「あ〜、ロシナンテね」とか言われるのが悔しくて、もう「ロシナンテ」っていう曲を作ってやろうっていうところから始まった曲ですね。

●結局、ダジャレっていう…。

マル:まぁ、世の中の9割はダジャレですからね(笑)。

一同:ハハハ(笑)。

Interview:IMAI

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