JUNGLE☆LIFE読者の皆さん、ご機嫌いかがお過ごしでしょうか。陰陽座の瞬火(Ba./Vo.)です。この度は僕たち陰陽座のニュー・シングル『青天の三日月』のセルフ・ライナーノーツを、との要請にお応えするため拙筆にて失礼いたします。
陰陽座の16枚目のシングルとなる本作『青天の三日月』は、表題曲、カップリング曲ともに、とあるオファーを受けて書き下ろした楽曲が収録されているのですが、楽曲の成り立ちを説明するのに不可欠なその“とあるオファー”の内容について現時点では口外すること罷り成らないという事情があり、読者の皆さんにとって非常にフラストレーションの溜まる記事になりますことをあらかじめお詫び申し上げます。これぞまさに世に言う「言いたいことも言えないポイズンな状況」に他ならないわけですが、歯がゆい気持ちはこのライナーノーツを書いている当の本人もご同様、という部分で溜飲を下げていただければ幸いです。
ともあれ、言えない部分は扨置きましても今回のシングル『青天の三日月』、特に表題曲の「青天の三日月」は、陰陽座のことを良くご存じの方には「待ってました!」と言っていただけるものであり、陰陽座のことなど知らない、知りたくもない、帰れ! 二度と来るな! という方にも陰陽座というのがどのようなバンドであるかを測る材料としていただける、極めて“陰陽座らしい楽曲”に仕上がっていると自負しています。ポイズンな部分はお話しできませんが、とにかく「何かを覚悟し、己の進むべき道を聢と見据える男(人間)の姿」を端的に描き出すような、皎潔な信念と熱く滾る情熱が疾走する、力強くも爽快感のある楽曲であることは、一聴して理解していただけるとお約束します。自分で言って恥ずかしくないのか、とのご指摘は甘んじて受けますが、恥ずかしがっていてはこの原稿を入稿することができません。本当に恥ずかしいこととはッ! “納期を守らないこと”だッ! と思いますので、そこはそれ、恥も外聞もなく自画自賛したいと思います。
信念や情熱をストレートに楽曲に反映させるため、構成や進行、およびリフやメロディに至るまで“ど真ん中を一直線に突っ切る”ようなものを心がけましたが、聴く方の感性によってその印象には違いが出るのかもしれないとも思いつつ、その違いこそが面白みであり、世に星の数ほど音楽が存在している理由であるとも思いますので、是非この楽曲が皆さんの感性のどの辺りに滑り込むのかお試しいただきたいと思います。
カップリング曲となる「ゆきゆきて青し」は、歌詞の世界観に於いて「青天の三日月」と直結しています。「青天の三日月」で歌われた物語の、時間軸上での“直後”にあたる楽曲が「ゆきゆきて青し」です。爽快感をすら感じさせる“覚悟の戦い”の幕が下り、ふと見上げた空に馳せる想い。そんな内容の楽曲であり、そのような雰囲気に仕上がっていると思います。“妖怪ヘヴィメタル”などと提唱する根暗そうなバンドが“空に馳せる想い”とは片腹痛いと正露丸、と思われるかもしれませんが、地面に這いつくばって呪いの叫びを上げる曲も演れば、空を見上げて思いを馳せる曲も演る、それが“陰”と“陽”を併せ持ったバンド、陰陽座の音楽理念なのです。残念でした。いや、残念ということはないでしょう。むしろこれは陰陽座のことを見誤っている方にとってはもっけの幸い、純利益とすら言いたくなる事実ではないでしょうか。ないですか、すみませんでした。
ということで、陰陽座の“陰”と“陽”が詰まったシングル『青天の三日月』を是非聴いてみてください。「ふざけたライナーノーツのせいで聴く気が失せた」という方も、そげなこと言わないで!
瞬火(Ba./Vo.)