センセーショナルなメジャーデビューを果たした1stシングル『コースター』以降も、精力的なライブ活動を展開してきたKEYTALK。昨年の11/17には恵比寿LIQUIDROOMでインディーズ最後のワンマンライブを大成功させた彼らが、その日の熱気溢れるライブ音源も収録した2ndシングルをリリースする。これまでとは環境を変えて制作されたという新曲2曲は、共にKEYTALKらしくも新たな挑戦も見える意欲作だ。初回限定盤付属DVDに収められたバラエティ番組風の映像作品も含め、4人の魅力を余すことなく満喫できる必携のニューアイテム!
●昨年11月に恵比寿LIQUIDROOMで、過去最大規模となるワンマンライブを行ったわけですが…。
小野:楽しかったですね。自分たちのワンマンとしては今までで一番大きな場所だったので、興奮の2時間っていう感じでした。実はそんなに鮮明には覚えていないんですけど…。
寺中:僕も終始緊張していたので、ほとんど覚えていなくて。冒頭のSEに合わせて大声で歌っている時に、酸欠みたいになったんですよ。そこで「うわっ、めっちゃ緊張してる!」って気付きましたね。
首藤:本当に、細かい内容はあんまり覚えてないんですよね。…本当にやったのかな?
●ハハハ(笑)。それくらい緊張していたと。
八木:あっ、思い出しました! 僕、3曲目くらいまでずっと泣いていたんですよ。
他3人:ええっ!?
●メンバーも気付いていなかった?
小野:知らなかったですね。新情報が…(笑)。
八木:お客さんが自分たちの曲でこんなに盛り上がってくれているということに感動して、ずっと泣いていて…。何曲目かで危ういミスをした時に「泣いている場合かっ!」って、冷静になりました(笑)。
●そんな感動と熱気が今回のライブ音源のほうには詰まっているわけですね(笑)。
小野:1stシングル『コースター』の時にもライブDVDが付いていたんですけど、その時とは違う選曲になっていて。ライブの定番曲だったり、また別の一面が見せられるような選曲になっていますね。
●作品全体でも『コースター』とは違う一面が見える?
首藤:「コースター」が疾走感溢れるギターロック的な曲だったし、次はもうちょっとポップなものを出すのかなと勝手に思っていたんですよ。でもさらに激しい曲に決まったので、個人的には意外でした。M-1「パラレル」は元々ネタだけがあったものをプロデューサーさんたちと一緒に詰めていった結果、すごくカッコ良い曲になりましたね。M-2「サイクル」は、このシングル用に巨匠(寺中)が急遽書き下ろしました。
●既存のストック曲から選んだ感じではない?
首藤:ストックはあったんですけど、今回のシングルについては新しい曲を入れようということになって、結果的にこの2曲になりました。どっちもライブで映えそうな曲なので、楽しみですね。
●特にコーラス部分はライブで盛り上がりそうです。
首藤:そこは意識して作りました。今作はプロデューサーもエンジニアもスタジオも、今までと全部違う環境で作ったんですよ。これまではカッチリとした正確な演奏や歌を録ることを意識してきたんですけど、今回はあえて荒い感じにしたというか。リズムのよれや音程のズレも味と捉えて、テイク選びをしたんです。プロデューサーのナラサキさん(COALTAR OF THE DEEPERS/特撮ほか)は、生の音にすごくこだわる方で。
●今回はナラサキさんがプロデューサーだったと。
首藤:そうなんです。あの方はギタリストなので、ギターの音も今までにないくらい綿密に作っていって。今回からはドラムテックの方も付いたので、すごく迫力が出ていると思います。音源からもライブ感を感じられる作品になったんじゃないかな。
●プロデューサーがいつもと変わったことで、作り方にも違いはあったんでしょうか?
小野:全然違いましたね。録り方も今までと全然違って、たくさん録った中から良いテイクを選んだりしたんですよ。歌のディレクションも細かいニュアンスまでナラサキさんがアドバイスしてくれたので、そこが一番違うんじゃないかな。
寺中:今までも個人個人では考えていたと思うんですけど、具体的に「歌詞がこういう内容だから、こういう感情を出したほうが良いんじゃない?」みたいに言われたことはなくて。それによって歌う時の意識が変わったぶん、今までとは違う感じで録れたかなと。
●歌詞の内容を考えた上で歌うことを意識した。
首藤:1つ1つの言葉の意味が伝わるような歌い方だったり、歌詞が主役になるようなディレクションをしてもらって。テイク選びも今までは歌い手と作曲者で決めていたんですけど、今回はほとんど全部ナラサキさんに選んでもらったんですよ。歌のテイストは『コースター』と比べて、ガラッと変わっていると思います。
●そこの違いもライブ感につながっている?
首藤:そうですね。分かりやすいところで言えば、歌い方が力強くなりました。実際、ライブの時は2人ともパワフルに歌う場面が増えているので、そういう意味ではライブ感が歌にも出ていると思います。
寺中:自分も今までよりライブのイメージに寄せた感じで、今回は歌いましたね。
●ドラムもライブ感を意識したんですか?
八木:今回は録ったものをほぼ直さず、演奏したままの音になっているんです。重心の低い感じでしっかり音を鳴らすっていうことをテックの人と一緒にやって、それでライブ感を出そうとしました。ドラムの音作りだけじゃなくてプレイの仕方とかまで教えてもらったので、かなり完成度が高いものになった気がします。
●メンバー全員、音への意識が変わったわけですね。
首藤:今回はあえて今までと違う環境に挑戦することで、バンドとしての経験値を高めようということだったんです。初めてのことも多くて、結果としてレコーディングで学ぶことも多かったので、意味のあるものになったと思いますね。ただ単純に音源を作ったというだけじゃなく、経験値も高まるレコーディングだったと思います。
●曲作りに関しても、新たな試みがあったりする?
寺中:「サイクル」は、今までやったことのないやり方で作りました。今まで自分は基本的に鼻歌からメロディを作っていたんですけど、今回は初めてサビのメロディをギターで作ってみたりして。あと、先にオケを作ってから、そこに早口言葉っぽい感じでハマる歌詞を考えていったんですよ。初めての作り方だったので、個人的にはチャレンジした1曲ですね。
●この曲もナラサキさんと一緒にやったんですよね?
寺中:ナラサキさんにテンポを変えてもらったことが一番大きかったんです。今までやったことがなかったので、テンポが早いと早口言葉的に歌うのが難しかったんですよ。最初のデモの段階からはテンポをかなり落としてもらったおかげでシックリきて、歌いやすくなって。曲全体の完成度も上がって、締まった感じがしました。
小野:「サイクル」のギターは巨匠の作ったデモ通りに弾くと、サビのメロディとぶつかってしまうところをレコーディング中に発見して。そこをどうしようかと考えた時に、ナラサキさんにダブリング系のアレンジを提案されて試してみたんです。それによって広がりが出たし、あとは初のドロップDチューニングも使いましたね。今までやったことがなかったので、「こういうふうになるんだ」っていう感じですごく勉強になりました。
●武正くんは同じギタリスト同士だからこそ、参考になることも多かったのでは?
小野:ギタリスト目線もプロデューサー目線も持っている人だから、曲の広げ方とかもすごく面白かったです。
●リズム隊はどうでした?
首藤:「サイクル」は、ベースがちょっと大変でしたね。普段のKEYTALKのBPMより若干ゆったりしているので、ちょっと慣れないテンポで。録ったままのテイクでもカッコ良い演奏になるように意識したら、テイク数が増えちゃって…。でも結果的には、グルーヴが出せたので良かったです。
八木:僕も「パラレル」より苦労した気がします。曲の雰囲気的にあんまり突っ込みすぎるとカッコ良くない気がしたので、逆にちょっと引っ張る感じを出すのが難しかったですね。
●遅めのテンポが難しかったんですね。
首藤:そういう意味では、「パラレル」と逆かもしれないですね。ノリ的な部分では「パラレル」は突っ込みまくったほうがカッコ良いくらいなんですけど、逆に「サイクル」はグッとためるカッコ良さみたいなのがあって。結果的には良い感じに曲調がバラけて、それぞれに主張はありながらもKEYTALKらしいバランスの良い2曲になったなと思います。
●最終的にはKEYTALKらしい作品になっている。
小野:ずっとKEYTALKを聴いてくれている人には新しい一面も見せられるし、今までの作品と比べてもライブの熱量が一番伝わる音源だと思うんですよ。今作で初めてKEYTALKを知ってくれた人がライブに来たくなるような作品になっているんじゃないかな。
●今後もたくさんスケジュールが決まっているので、ライブで聴くのが楽しみですね。
小野:『コースター』リリース後にライブをかなりやってきたことで演奏技術が上がったところも、『パラレル』では聴かせられているんじゃないかな。そのちょっとした違いにも耳を澄ませて聴いてもらうと、よりいっそうKEYTALKが楽しめると思います。これからも北海道から沖縄まで全国各地へ行くつもりなので、CDを聴いて気になったらぜひホームページをチェックしてライブへ遊びに来て欲しいです。
寺中:ツアーをまわっている中で、1本1本ライブのレベルが上がってきていて。単に上手くなっているというよりも、ライブを重ねるごとに新しいことができるようになっている感じなんですよ。できればツアーも2本以上観てもらえたら、違いが見えて楽しいと思います。
首藤:最近はバンドが1日1日という単位で成長しているというか、上にかけ昇っていくのを実感していて。『パラレル』は現在のKEYTALKが出せる100%最高のものが作れたと満足していますが、今「もっとすごい曲を作りたい」と思ったらもしかしたら作れる予感がするんです。毎回違うライブになると思うので、その日その瞬間のKEYTALKを感じ取って欲しい。
●では最後に八木くん、どうぞ!
八木:えっと…個人的に2013年はドラムが本当にスランプで…。
●あ、去年はスランプだったんだ(笑)。
八木:でも年末のライブラッシュで回復の兆しが見えつつある中で、『パラレル』を録ったんです。年が明けてライブをまた始めてからはさらに良くなってきている気がするので…(急に大声で)スプリングツアーと全国ツアーは大変なことになりますよ!! なので、みんな来てね!
一同:ハハハ(笑)。
Interview:IMAI
Assistant:馬渡司