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矢沢洋子×ニューロティカ

新連載! 矢沢洋子の「ニャンだこのやろう」特別拡大版 対談シリーズ連載・第1回ゲスト:ニューロティカ

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ニューミニアルバム『Bad Cat』を昨年11月にリリースし、別世界的な進化を見せつけた矢沢洋子。父でもある矢沢永吉が自身初のサウンドプロデュースを手がけた衝撃的な1枚は、通算4作目にして最高傑作となった。今勢いに乗っている彼女がJUNGLE☆LIFE誌上で新連載を開始する! 日本から海外にまで至る精力的なライブ活動の中で出会った、数々のアーティストたちとの対談シリーズ連載だ。記念すべき第1回のゲストは、今年30周年を迎えるニューロティカ。両者の出会いから今後の可能性まで見える、スペシャルな対談が実現した。

 

●カタルさんが矢沢洋子&THE PLASMARSのミニアルバム『ROUTE 405』で曲提供(「ROSY」)をされていたりもしますが、最初にニューロティカと知り合ったキッカケは何だったんですか?

洋子:元々、あっちゃんと私はボイストレーナーのりょんりょん先生(佐藤涼子)の誕生日パーティーで出会って。その時にたまたま席が近くて、お話しさせて頂いたんですよね。

●あ、ボイストレーニングの先生が同じなんですね。

洋子:りょんりょん先生の生徒さんはすごく多くて、そのパーティーにもたくさんの人が集まっていて…。

カタル:(あっちゃんが)一番の劣等生みたいですよ。

ナボ:先生もさじを投げたらしいもんね。

アツシ:「この人はもう無理だ」って初めて、さじを投げられた生徒です(笑)。

一同:ハハハ(笑)。

●そこが初めての出会いだったと。

洋子:2人で一緒に写真を撮ったりもしたんですけど、その時は連絡先も交換していなくて。あっちゃんはすごく酔っ払っていて、友人の方に引きずられるようにして帰っていきましたね(笑)。

カタル:引きずって連れて帰ってもらえるから、安心して酔っ払っちゃうんだよ(笑)。

●出会ってすぐに仲良くなったんですか?

洋子:いや、最初に出会った時から再会したのは、しばらく後で…。

アツシ:2年後くらいに、滋賀のライブハウスで再会したんです。

洋子:その時に楽屋で色々とお話しさせて頂いて、連絡先も交換したんですよね。そこで「私がやっているラジオ番組にゲストで来て下さいよ」という話をしていたのが実現して、あっちゃんとカタルさんが出演して下さったんです。その収録終わりに、私から「一緒に飲みに行きましょう」と誘って。

カタル:その後も洋子ちゃんはまだ収録が残っていたので、ウチら2人で先に飲んでいたら完全にできあがっちゃって(笑)。

●先に酔っ払っちゃたと(笑)。

洋子:私が遅れて着いた頃には、ベロンベロンになっていましたね(笑)。

カタル:しかもスタッフの方とかと一緒に来るのかと思いきや、洋子ちゃんが1人でふらっとやってきて…。

アツシ:「ええ〜!?」っていう感じで、一気に酔いが覚めちゃったよね(笑)。

●まさか1人で来るとは…っていう。

カタル:「3人だけでどうしよう?」っていう感じに最初はなっちゃった。でも洋子ちゃんは好きな音楽が近いせいか、普通に話が続くので話題にも困らないんですよね。だから結局は3人ですごく盛り上がって、場所も変えて飲み続けて、最後はゲーセンで大騒ぎっていう(笑)。

洋子:一緒にプリクラも撮りましたよね(笑)。

アツシ:最初は渋谷で飲んでいて、次に三軒茶屋に行ったんです。そこで「お互いの仲間を呼ぼう」という話になって…。

カタル:で、みんなが来る頃にウチらは酔っ払って帰っちゃったんだよね。最後は呼んだ友だち同士で飲んでいたっていう。

一同:ハハハ(笑)。

●洋子ちゃんが奔放で気取らない性格だから付き合いやすいというのもあるのでは?

アツシ:それは本当にありますね。最初は矢沢永吉さんの娘だという意識もあったんですけど、1〜2回飲んだ後にはもう「それは関係ないな」となれて。年齢は離れているけど、本当に同級生と喋っているような感覚なんですよ。同じバンド仲間っていうか。付き合いの中で、“遠慮”っていう言葉を取っ払ってくれたのが洋子ちゃんの性格でしたね。

●だからこそ曲提供の話にもなったわけですよね。

洋子:一緒に飲んでいる時にお酒の勢いもあって私から、カタルさんに「良かったら、曲を書いて下さい」という図々しいお願いをしたんです。

カタル:いやいや、その前からずっと俺の隣であっちゃんが「書いちゃえよ。曲書いちゃえよ」って小声で言っていたんですよ(笑)。でも自分の方から「曲を書かせてくれ」というのもどうかな…と思っていて。

アツシ:僕から洋子ちゃんにノリで「書いてもらっちゃいなよ。すぐ書けるから」と言ったんです(笑)。

カタル:「書けるから」って…。

●完全に人任せな…(笑)。

アツシ:そのノリのまま、トントンと話が進んで。まだ出会って3回目くらいだったんですけど(笑)。

カタル:タイミングも良かったんですよ。その時はちょうど洋子ちゃんが制作中だったので。最初は「次の作品でお願いするかもしれません」と言われていたんですけど、やっぱり制作中の作品に入れさせて欲しいと頼まれたので急いで作りましたね。

洋子:実際にすぐ曲を送って下さったんですよ。しかもその「ROSY」が推し曲になって、PVまで撮っちゃったという(笑)。

●最初はその予定じゃなかったんですね。

カタル:内緒で推し曲になっていたんです(笑)。

アツシ:ツアー中に2人でいたら、カタルに洋子ちゃん本人から「PVを撮りました」っていうメールが来て。「ええっ!? 俺の知らない内にPVも撮られてる!」って(笑)。

洋子:ニューロティカのメンバーにも出てもらえば良かったですね。そしたらもっと楽しいPVになったのに。

カタル:対バンした時に物販に立っていると洋子ちゃんのファンの人から「ROSY」について「良い曲を作ってもらってありがとうございます! いまや洋子ちゃんになくてはならない曲になりました!」って泣きそうな勢いで言われたりして(笑)。それはすごく嬉しかったですね。

●初めて洋子さんのライブを観た印象はどうだったんですか?

カタル:ロックだなと思いましたね。だから作曲を頼まれた時もイメージが浮かびやすくて、すごくやりやすかったです。「ライブではっちゃけられるような曲を」と思って、すぐに作りました。

洋子:いつかニューロティカをバックに、「ROSY」を歌ってみたいです。

アツシ:じゃあ、俺も客席でノる!

洋子:いやいや、あっちゃんはダンサーですよ(笑)。

アツシ:それは良いね(笑)。洋子ちゃんはパンチのある声量がすごくて…俺も欲しいなって思います。

カタル:「欲しいな」って言っちゃったよ(笑)。

ナボ:もう1回、ボイトレに通えばいいじゃん(笑)。でも確かに洋子ちゃんの声はすごいよね。

●逆に洋子さんから見たニューロティカの印象は?

洋子:今年30周年と長く活動されてることだけでもすごいと思うんですけど、それだけじゃなくて「観るだけでハッピーになれちゃう」というところがすごいなと。意外とそういうバンドって少ないと思うんですよね。観ている人が笑顔になれるっていうのは、自分もライブをやる側として1つの目標なのですごく憧れます。あと、あっちゃんのライブでの動きがすごく好きです。

カタル:動きはすごいよね。

洋子:腕をぐるぐる回したりするんですけど、無駄な動きがないんです。

アツシ:わっ!? …「無駄な動きが多い」って言われるのかと思った(笑)。

●逆でしたね(笑)。

洋子:ワチャワチャ動いているし、あっちゃんは計算していないのかもしれないけど、私は全てがすごくハマっているなと思うんですよ。

ナボ:後ろでドラムを叩きながら見ているけど、マイクの扱いが上手いんだよね。手品みたいな感じで。あれはすごいと思う。ああいうことができる人はあんまりいないね。…俺も誉めちゃった(笑)。

アツシ:自分でもわからない内に、ああいう感じになっちゃうんだよね。

●長年の活動の中で培われた動きというか。

アツシ:業界用語で言うと、「まだこいつは進化しているな」っていう(笑)。

洋子:業界用語じゃない(笑)。

ナボ:しかもまだ誰も歌は誉めていないからね。動きだけしか…(笑)。

一同:ハハハ(笑)。

●バンドとして、ニューロティカに憧れる部分もある?

洋子:ニューロティカは「本当の意味でのバンドだな」って思うんですよ。矢沢洋子&THE PLASMARSは今、そこに大きな課題を抱えていて。バンド名義ではあるけれど、私以外のメンバーはサポートしてもらっているののでどうしても「本当の意味でのバンドにはなれていないな」ということも感じてしまうんです。この前のツアーでもニューロティカやラフィンノーズみたいな先輩方のライブを観ていて、それを特に実感しました。

アツシ:去年、ウチとラフィンノーズがやっている“タンブリング・ツアー”に洋子ちゃんにも参加して頂いて。その時も僕と(ラフィンノーズのBa.)PONさんと洋子ちゃんで、お酒を一升空けちゃいましたね(笑)。

●お酒の話ばっかりじゃないですか(笑)。

洋子:ニューロティカはボーカルの歌が軸にはなっているけど、ベースもドラムもギターもみんなが活きているというか。良い意味で全員が「俺だ俺だ俺だ!」みたいな感じで前に出ている感じがして、変な遠慮がないんですよ。それはそれぞれに信頼しているからこそで、たとえばギターがどんなに暴走しても他の誰かが元に戻す。お互いに信頼しているから、100%以上の力でお客さんに向かっていけるんだなっていうのを感じていて。自分たちもそういう感じでやっていかなきゃいけないなというところで…悩んでいるんです(笑)。

カタル:PLASMARSのメンバーがもうちょっと遠慮しないほうが良いのかもしれないね。

洋子:一度バックのメンバーを全員、女の子にするのも試してみようかと思ったりもしているんですけど、なかなかメンバーが見つからなくて…。って、私の悩み相談室みたいになっていますね(笑)。

アツシ:ニューロティカは“何でもやっちゃう”というのがあって。「他人にはできないことをやっちゃおう。やるのはタダだから」と思っているんですよ。今までもアイドルと一緒にやったり色んなことをしてきたんですけど、「こんなことやってもいいかな?」ってメンバーに一応訊くんです。野村沙知代さんと一緒にやるというお話を頂いた時もメンバーに訊いたら、2人ともすぐ「いいよ」と言ってくれて(笑)。ウチらは「何でもできるバンドでいいかな」って思うんだよね。だから、洋子ちゃんも思いついたことは何でもやってみたらいいんじゃないかな。俺は色んな洋子ちゃんを見たい!

洋子:色々やってみます!

●では今後もカタルさんが曲提供したり…?

アツシ:もう地下では進めています。

カタル:本人の知らないところで進んでいるみたいですね(笑)。

●また勝手に(笑)。たとえば、ニューロティカの曲を洋子さんがカバーするのも面白いですよね。

洋子:よろしくお願いします!

アツシ:じゃあ、出しますか。『矢沢洋子、ニューロティカを歌う』みたいなアルバムを。

カタル:そのタイトル、昭和っぽくて良いね(笑)。

アツシ:じゃあ、1ヶ月くらいスケジュールをもらおうかな(笑)。今年、ニューロティカは30周年ということで、昔のメンバーと一緒にライブをしたりアルバムを作ったりする予定なんです。できることを全部やろうかなと思っているので、その中でぜひ『矢沢洋子、ニューロティカを歌う』も実現したいと思います!

一同:ハハハ(笑)。

Interview:IMAI

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