SPECIAL LIVE REPORT
ライブハウスツアー2013 “STAND OUT!”
2013/12/25@恵比寿The Garden Hall
2013年クリスマス当日、きらびやかに飾り付けられた恵比寿ガーデンプレイスの中を通って、その奥にあるガーデンホールへ。フロアに入って行くと、会場に集った大観衆が今か今かと始まりの時を待ちわびている。時間が経つにつれて期待がどんどん高まっていく中で、まずはステージにDr.茂木欣一が1人で登場。茂木のドラムに乗って、次から次へとメンバーが現れては自らの音を重ねていく。時にアグレッシブに、時に遊び心も交えながら9人のメンバーが音を奏でていく様子は、熱いセッションさながらだ。冒頭からアップテンポかつキラーなナンバーを連発し、オーディエンスを踊り狂わせる。
茂木がメインボーカルでThe Whoの名曲カバーを聴かせてくれたのに続いては、ユニークな催しが…。かつて茂木がパーソナリティを務めていたラジオ番組「JUSTA RADIO」をステージ上で再現し、リスナー(ファン)から寄せられたメールを紹介していく。まず1組目は、札幌からハネムーンで来たというカップルの声を紹介。2通目では彼女にプロポーズしたいという男性の声を聞き入れ、なんとその男女をステージに呼び込んでしまう。そして、メンバーと大観衆が見守る中でプロポーズが見事成功した瞬間は、会場中が祝福の喝采に包まれた。そんなハッピーな空気の中で3通目はサプライズでBa.川上つよしから、ちょうどこの日が誕生日だったB-Sax.谷中敦へのメッセージも飛び出し、暖かな空気がさらに広がっていく。
Led ZeppelinやDEEP PURPLEといった誰もがどこかで聴いたことのある名曲をTp.NARGOのハイトーンボーカルやKey.沖祐市のパワフルなボーカルでカバー、さらに必殺の「SKA ME CRAZY」で熱狂の渦を巻き起こした後に雰囲気が一変。照明を落としたシックなムードのステージ上で、沖のピアノソロが始まる。寂しげな和のメロディにじんわりと心を打たれそうになっているところに、沖が口笛で吹き始めた旋律はこれまた誰もが聴いたことのあるような…きゃりーぱみゅぱみゅ! 「にんじゃりばんばん」の笑撃カバーに、会場中が大きな笑いに包まれた。熱気と緊張感に溢れた演奏からエンターテインメント性も充実のステージングまで、“観る者を飽きさせない”とはまさにスカパラのことだろう。
「Diamond In Your Heart」からは、怒涛の終盤戦へ。音源ではthe HIATUSの細美武士をボーカルに迎えていたが、この日はG.加藤隆志がメインボーカルで熱く歌い上げる。「ルパン三世'78」の後に茂木がドラムソロを始めるが、よく聴いてみると別のドラムの音が聞こえるような…。すると茂木の背後に飾られた大きなバックドロップが上がり、10-FEETのDr./Cho.KOUICHIが登場! 2人によるドラムバトルで盛り上がった後で、10-FEETのVo./G.TAKUMAとBa./Vo.NAOKIも加わって全12人で「hammer ska」(10-FEET)を演奏する。最後は12/4にリリースしたばかりのシングル曲「閃光 feat. 10-FEET」を炸裂させて、本編の幕を閉じた。
熱狂冷めやらない中で行われたアンコールでは加藤からの感謝のメッセージに続いて、この時期ならではのクリスマスソング「クリスマスカ」を演奏。Per.大森はじめがトナカイのかぶりもので笑いを引き起こしつつ、再び10-FEETのメンバーもステージに登場して、12人での「DOWN BEAT STOMP」にて最後を締めくくった。2時間以上に及ぶライブも最初から最後まで、本当に充実しきった内容。フロントに立つメンバーが次から次へと入れ替わり、9人全員が主役…というよりも会場に詰めかけたオーディエンスも含めた“全員”が主役なのだ。こんなライブを味わわせてくれるのは、スカパラ以外にありえない。
最高のクリスマスプレゼントを贈ってくれたスカパラにとって、2014年は25周年Yearとなる。バンドコラボ3部作の第2弾となるシングル『流れゆく世界の中で feat. MONGOL800』を3/12にリリース、さらに5月からは大規模なホールツアーも予定され、彼らの動向からはますます目が離せない。何よりもまだ未体験の人にはぜひ、スカパラのライブを全身に浴びて欲しいと願う。
TEXT:IMAI
PHOTO:三浦憲治