2ndアルバム『1暴2暴3暴4暴5暴6暴、東洋のテクノ。』から約1年。
数々のステージでその才能と狂気を見せつけてきた0.8秒と衝撃。。“現代のモリッシー&ジョニー・マー”とシーンの注目を一身に集めてきた彼らが、史上最高到達点を記録するEP『バーティカルJ.M.ヤーヤーヤードEP』(またもタイトル長し)を完成させた。
炸裂するビート、錯乱するリズム、加速する鼓動、絡み合う旋律、涙する男、叫ぶ女…今作には、まるで生き急ぐ夏の日の蝉の如き0.8秒と衝撃。の今とすべてが詰まっている。
シャウトは塔山さんのパートのイメージだったのに、最近私の方に認識が変わってきたんですよね。自分もびっくりしているんですけど。(J.M. / 歌とモデル)
"鼓動感"みたいな感じかもしれませんね。そこにいい言葉が乗れば、スピリットとして響くんじゃないかなという感覚があります。(塔山忠臣 / 歌とソングライティティング)
●塔山さんを見ていると、ある意味すごく不器用だと感じるんです。思ったことをすぐに口にするタイプだから、作らなくてもいい敵を作ることもきっとあるだろうし。でも、それは塔山さんが作り出すものの核にもなる重要な部分でもあるのかなと。不器用かもしれないけど、生き方としては間違ってないと思うんですよね。
塔山:いやいやいや。
●そういう姿勢は0.8秒と衝撃。の音楽にも必要不可欠な気がして。自分がどうやって生きていくのかをはっきりと持っているというか。そういう覚悟というか芯みたいなものはいつ形成されたんでしょうか?
塔山:バンドをやりだしたときから、最初からありましたけどね。
J.M.:たぶん性格が元からそうなんですよ。喧嘩を売られたとして、相手が何かを言ってきたことに対して塔山さんも黙っていないじゃないですか。そうすると、大勢が塔山さんの方が強くなっちゃうんですよ。口も上手いし、怖いので。
塔山:めっちゃ悪い奴みたいやん。
J.M.:そんなときに警察が来たら塔山さんの方が悪い人に見えちゃうんです。
塔山:なんで警察が出てくるねん! 書けるかそんなもん!
●ハハハ(笑)。
J.M.:本人が悪くない場合でも、その後の行動によって塔山さんの方がパッと見では悪く見えちゃうんです。
塔山:だから金がなくなって、貧乏になっていくわけですよ。追い込まれてね…。世間を上手く渡れないんです。
J.M.:でも別にそういう人がいてもいいかなって思うんですよ。
塔山:いや、わざわざ人の悪口を言うもんじゃないよ。
●悪口というか、正直なだけだと僕は思ってるんですけど。
J.M.:誰もが言わなかったら世界が回らないと思うんです。そういう人がいないと。
塔山:どんな規模で考えているんだよ。
●前作『1暴2暴3暴4暴5暴6暴、東洋のテクノ。』をリリースした1年前と比べるとバンドを取り巻く状況もめまぐるしく変わってきて、見えている景色も違ってきているんじゃないかと想像するんですが。
塔山:そうですね。自分自身の気持ちは変わっていないんですけど、取り組み方は変わってきましたね。特にライブでなんですけど、前までは自分のやりたいことをやって帰る、悪く言えばヤリ逃げだったわけですよ。
●ヤリチンだったと。
塔山:でもついてきてくれる人がちょっとずつ増えてきているから、その人たちとぶつかり合えたかなという。例え伝わっていなくても、何かをぶつけたいじゃないですか。全然俺たちのことを知らない人たちにもぶつけていかないといけないわけだから、ビビって遠慮するんじゃなくて、"ちゃんとやれたかな?"という確認をするようになりました。自分の守っているものを変えないからこそ、ちゃんと変わらず続けていけているのかなと思うことが変わりました。
J.M.:ふ~ん。
●J.M.さんはどうですか?
J.M.:…ん?
塔山:「ん?」ってなんやねん! タメ口をきくな!
●タメ口は別にいいんですけど、ものすごく人ごとでしたね(笑)。
J.M.:2ndアルバム『1暴2暴3暴4暴5暴6暴、東洋のテクノ。』が1stアルバム『Zoo&LENNON』とはガラッと変わったので、それによって歌い方もやっぱり変わるし、私の立ち位置も変わったんですよ。今まではややコーラスに徹していたものが、攻撃性の方に寄ったというか。
塔山:前までは、立ち位置的に"女の子っぽさ"を要求していたんですよ。
●可愛いしね。
J.M.:そうそう(笑)。
塔山:でも昨年秋頃のフェスで振り切って、めちゃくちゃにやったことがあって。それがすごく評判がよかったんです。俺たちがぐちゃぐちゃにやるからJ.M.はもっと女の子でいた方がいいのかと思っていたんですけど、乗っかってきて乱打戦になった方がみんなに伝わったんですよね。
J.M.:ちょっと前までは、シャウトは塔山さんのパートのイメージだったのに、最近私の方に認識が変わってきたんですよね。自分もびっくりしているんですけど。
塔山:でもその振り切れている感じがいいんですよ。音源では出していたんですけど、ライブではそこまで振り切れてはいなかったんです。でも最近は、曲とかライブのお客さんの雰囲気とか、むしろライブ自体に俺たちも変えられていっているというか。
●"全身凶器"と怖れられた塔山さんも人だったと。
塔山:ライブでみんなの求めているものになりたいわけじゃなくて、応えたいんです。求められているエネルギーの上を行きたいんですよ。そう考えたときに、みんなの求めているものって"もっと"なんです。「俺たちはこんな感じのことができるんやぞ!」と言っても「もっと来てほしい」という顔をするんです。それに応えたくて、俺たち自身もライブで作られていく感覚がある。ライブがあるから、音源にも振り切れ感が出てくるんです。
●この1年でアーティストとの交流も増えたと思うんですが、そこから受ける刺激とかはありますか?
塔山:いちばん最初に仲良くさせてもらったのはPOLYSICSのハヤシさんとか。そこからthe telephonesのメンバーとか、グッドモーニングアメリカのたなしんとかにもライブを観てもらって。ファンと違って、アーティストを納得させるにはライブがよくないとダメじゃないですか。例え音源が革新的だったとしても、作っている者からしたらやり方が見えるんですよね。だからライブを直で観たときに好きになってくれることが多いんです。
●うんうん。
塔山:逆に言うとけっこうシビアじゃないですか。ライブがダメだったらダメなわけですから。俺らよりも売れている先輩が多いわけで、そんな先輩方のライブを観たり、そこで自分の性格からくる部分と照らし合わせたりして。そこで気づいたのは、自分たちが本当にやりたいことをやっていく上で必要なものを彼らは持っているんですよね。そういう部分にすごく刺激を受ける。
●おお、なるほど。
塔山:さっきの作らなくてもいい敵の話じゃないですけど、彼らには"ここを押さえるからこそ、こういうことが言えるんだ"というところがあると思うんですよね。ちゃんと自分たちの言いたいことを言うためには、ここはちゃんとしないといけないという部分。精神的な意味でも、実際的な意味でもね。
●そうですね。
塔山:でも俺たちは先輩たちではないから、俺たちは俺たちのやり方を作っていく。でも自分たちのやり方を作ってきた先輩たちを見ることはすごく勉強になるんです。彼らのやり方を真似するという話ではなく、彼らを作ってきた歴史を聞いているとすごく刺激を受けますね。だから、0.8秒と衝撃。も自分たちのやり方を作っていきたいなと思います。例えば、それが自分たちらしいのであれば、むちゃくちゃな怒りの方向でもいいんですけど。でも俺の場合その過程に行くまでにゴチャゴチャと揉めてしまうこともあるので…。
●ハハハ(笑)。
塔山:まあそれはそれでいいと思うんですよ。
J.M.:いいと思う!
●それはそれでいいと思いますけどね(笑)。
塔山:でもやっぱりそれは俺1人の意見であって、メンバーとかスタッフとか、周りに味方がついてきていますからね。今回こうやってインタビューしていると楽しいんですよ。でも、今作をレコーディングした後にTwitterで「もうインタビューをしたくない」ということを書いたんです。
●そのツイート見ました。「もうインタビューはbounceの人だけでいい」みたいなこと書いてましたよね。
塔山:うるさい! うるさい!
J.M.:アハハハハハハハハ(爆笑)。
塔山:でもね、前にやった取材も今日もすごく楽しくて。まあいろんな大人に疲れていたんです。少年としては。
●もう少年じゃないけどね。
塔山:インタビューの話もそうなんですけど、実際にやってみたら楽しいんですよ。自分の一時の感情だけで決めてしまったら、俺はいいんですけど…俺はバンドメンバーを「サポート」と言われるとすごく腹が立つんですけど…メンバーをサポート扱いしているのと同じだなと思ったんです。俺が何かやったとしても、メンバーは「いいですよ」と言ってくれるんですよね。だからこそ、やってはいけなかったというか。今までのことは後悔していないけど、これからの選択肢としては、それがかっこいいと思うんです。メンバーが「いっちゃえ!」と言うときこそ、俺がしっかり考えなきゃいけない。諸先輩方はそれができているんです。媚びるわけではなく、自分たちの意見をちゃんと通せるようにしているんです。そういう強さみたいなものを、せっかく味方が増えてきたんだから俺も持ちたい。
●せ、成長している!
塔山:今日インタビューをやっていて楽しいし、ファンの人からも「インタビューを読みたい」っていうDMがすごくいっぱい来たから、俺はいいけど待っている人がいるということに気づいたんです。それにインタビューをしてくれる味方の人もいるわけですから。実際にやってみたら楽しいわけだし…これが人生の難しいところです。
●めんどくさい性格ですね(笑)。
塔山:実際にやってみないと分からない質なんですよね。人間って弱いから、世の中で嫌な思いをいっぱいしていると、全員が敵に見えちゃうんです。レコーディングで疲れて、いろいろあって、塔山パルプンテになっていたわけですよ。その塔山パルプンテがインタビューについて書いちゃったんだけど、やってみたら楽しかったと。
●遠回りかもしれないけど、いいと思いますけどね。頭で考えるんじゃなくて、行動の1個1個で理解していくという。
塔山:そうそう、確認しながらできていいですよ。中途半端に合わせるんだったら喧嘩をしてでも仲良くなりたいという性格ですからね。
●ところで今作についてですが、前作は簡単に言うと"怒り"みたいな高揚感…勃起している感じだったんですよね。今作はそういう"勃起感"もありつつ、射精後の寂しい感じというか、哀しみのようなものをすごく感じたんです。
塔山:ああ、分かるなぁ。
J.M.:そういうことをすごく聞きたかったです。
塔山:そうやな。
●どういうことを?
塔山:「勃起」という言葉を聞きたかったんやろ?
●「射精」という言葉も?
J.M.:誰か! この2人セクハラですよ!
●前作にはないけど、1stアルバムにはこの哀しみに似たものがあるんですよね。でも、1stアルバムよりもリアルな感情として感じる。
J.M.:なるほどね~。
●なぜそう感じたのかいろいろと考えていて気づいたことがあったんですけど、どの曲の歌詞にも"涙"という言葉が出てきているんです。意図的ではないにせよ、何かしら感情的なものが表れているのかなと。
塔山:そこは俺たちも出来上がってみて気づいたのがおもしろいところなんですが。
J.M.:結果的に、今までの音源を混ぜた感じになったと思っていて。
●ああ~。
塔山:1stと2ndではまったくテイストが違うじゃないですか。今回はまた違った第三のものを作ろうと思っていたんですけど、結果的には2枚のいい要素も入っているように感じますね。新しいこともやりつつ、両方の好きだった要素も入っているのかな? あくまで結果論なんですけど。今回は決めごとせずに、やりたいことを全部ぶち込んでみて、そこから曲にしていったんです。1回全部入れてみて、いらないものを省く感じ。と言っても、入れる段階で"これしかない"というものを詰め込んでいったんですけど、最終的にポップソングとかロックソングとかの音楽という形で突き抜けるものを与えるように持っていきました。だから、"こういうことを書こう"というよりも、自分たちのやりたいことをやった。
●なるほど。
塔山:バンドを取り囲む環境も変わったわけじゃないですか。大切なのはその変わった自分をちゃんと出せているかどうかということであって、今までのことは意識せずに、今の自分を見せることを重視しましたね。今の自分は何をやるのかというところをやってみて出てきた結果なので、すごく満足していますよ。
●今作の"哀しみ"についてはメロディも関係しているように思うんですけど、塔山さんはメロディをどういう解釈で作っているんですか?
塔山:音としてのアレンジの一環でもあるんですけど、言葉を運ぶ大事な要素じゃないですか。アレンジの音で日本語は表現できないわけで。"歌う"っていうところもあるんですけど、重視しているのはリズムとの混ざり具合。リズムに音階はないわけで、イメージ的にはリズムとのユニゾンという部分もあります。
●ふむふむ。
塔山:リズムと一緒になって曲を太くすることもあるし、離れてバイバイしてまた戻ってくるというスリリングな感じも出したい。だからメロディはアレンジだけど、心を届ける担い手なので大事ですよね。歌がないとたぶん曲を書いていてつまらないと思う。誰かが「アレンジでごちゃごちゃしているのも好きだけど、やっぱり歌が好き」というメールをくれたことがあって、すごく嬉しかったんですよね。そこは自分でこだわっているところなので。でも、よくありがちな歌モノじゃなくて、こういうトラックに絡んでいく歌にしたい。だから俺がちょっと嬉しいと思うのは、エンジニアの人がカラオケに行って俺たちの曲を歌ったらしいんですけど、10秒くらいで消したらしいんです。「歌えない!」って。
●確かに絶対歌えないと思う。
塔山:それが俺にとったら嬉しいんですよね。俺たちが試行錯誤してやっていることは歌えないくらいのレベルなのに、"歌が好き"と思って聴いてくれている人がいるんですよ。それがすごく嬉しい。まあカラオケで歌えなければ回数は伸びないんですけど。
●カラオケには入っているんですね。
スタッフ:僕も「町蔵・町子・破壊」を歌ってみたけど無理でした。雰囲気が出ない。
塔山:だから、俺がいかにレベルの高いことをやっているか! ということですよ。あれを踊りながらやっている俺ってすごいでしょ?
●「俺」っていうか、2人がすごい(笑)。
塔山:J.M.は全然すごくないよ。
J.M.:塔山さんは褒めてもらうことが次への栄養になるから、周りが褒めてあげるとぐんぐん伸びます。
塔山:だからちょっと女性に強く言われたら、本当に勃たなくなりますよ。びっくりするくらいです。
●マジですか。
塔山:"俺ってダメだな。エゴマゾなんだな"と思いました。山中さん(インタビュアー)もマゾでしょ?
●僕もそうかなあ? 確かにちょっと言われたことをすごく気にするかも。
J.M.:繊細?
●繊細というか、自分でもややこしい感じなんですよ。ちょっと腹が立つこととかなにか気になることを言われたりしたら2~3日の間は楽しく生きていけない。
塔山:一緒ですよ。
J.M.:ちょっと似ているもんね(笑)。
塔山:でもたぶん俺の方がデカいですよ。
●たぶん僕の方がデカいですよ。
塔山:いやいやいや! もしデカくても、めっちゃ被っている感じですよ。
●めっちゃ被ってないですよ。
塔山:僕なんてズルズルですよ。
J.M.:うるさい!
●前作のインタビューで「自分の中、人間の中に流れるビート感を表現したい」とおっしゃっていたんですけど、その発言とさっきの話からすると、曲全体でビートを奏でているようなイメージもあるし、逆に曲全体でメロディを奏でているようなイメージもあるんでしょうか? そう考えたら「実験的なビートなのにライブで客が踊る」ということが説明できるような気がするですが…。
塔山:俺は"内容はつまんねえな"と思うような小説でも、何の意味があるのか分からなくても、言葉のリズムで読めるんですよね。
●あ、それ分かる!
塔山:"なんだこれ?"っていう。あの感じは意識してやっています。文章のリズムが本当に独特で、読んでいて止まらなくなるんですよね。そういう小説とかが好きだから、前後の脈絡がなくても、意味的に切っちゃいけないところだったとしても、リズムとしての正解があったりする。そっちの方が引っかかるんですよ。だから僕はリズムを炸裂、錯乱させたいんです。1+1=2じゃなくてもっと違う書き方をしたいんですよ。リズムが活きるのであれば。そういう意味で曲重視なんだと思いますね。曲のメロディというよりもリズム感というか。
●全体的なリズム感のようなもの?
塔山:"鼓動感"みたいな感じかもしれませんね。そこにいい言葉が乗れば、スピリットとして響くんじゃないかなという感覚があります。そういう理論です。
●あと前回も言ったんですけど、2人の歌い分けとして、J.M.さんに依るところが大きくなってきているのが如実に出ていますよね。そういう関係性がすごくいいなと思って。例えばM-3「ボンゴとタブラ、駆け抜けるリズム。」とかその象徴で、歌詞としていちばん重要なメッセージは彼女に託している。こういうものを聴いてしまうとなんだか震えるんです。
塔山:前回の取材で山中さんに言われたことがすごく印象に残っているんですよ。「男女のツインヴォーカルじゃなくて、2人で1つに聴こえる」みたいなこと。
●はい。言いましたね。
塔山:俺はそれがすごく嬉しくて。どちらかが目立つんじゃなくて、2人でいてこそのヴォーカルというのが理想なんです。その言葉がずっと残っていたから、今作はそこを意識しながら作業を進めていたんです。もう印税をちょっとあげてもいいくらい。
●え? マジで? 何%?
塔山:あげないですよ!
●ちぇっ。
塔山:もう帰れ! 帰れ!
J.M.:アハハハハ(笑)。
塔山:自分たちで作っているときは夢中だから、言われるまで気づいていなかったんですよね。言われて初めて"そうなっているのなら俺たちとしてはけっこう理想だな"と思ったんです。感情表現とか暴れたいこともそうですし、バラードをやるときのしっとりした感じもそうですけど、2人のヴォーカルだからこそ起こるケミストリーが出てきているのかなと思います。目指しているところですね。
●冒頭のライブの話にもそれは共通しているんでしょうね。
塔山:そうですそうです。それができてきたんですね。それまでは分けてやっていたんですけど、意外と絡まり合った方がロックとして健全なんだなと思って。伝わるんですよね。
●うんうん。
塔山:そこでちょっとリミッターをかけちゃうと、絶対に伝わらないんですよね。1回全部をバーンとやってみる。今作もそこがテーマでした。リミッターをかけないというか。とにかくやりたいことを全部詰め込む。
●そしてリリース後は初のワンマンがありますね。
塔山:ワンマンは新曲もやりますし、楽しみですね。自分たちの時間だけでライブをやるのは初めてですからね。やりたいことをやれる。もうMCが長くても怒られないぞ!
●今までもやりたいことをやっていましたけどね。
塔山:いや、あんなもんじゃないですよ。もっともっといきます。今まではペッサリーレベルですよ。
●もう何の話か全然わからない。
塔山:最初から「避妊するぞ!」って言っているレベルです! でも、ワンマンはそうじゃない!
●制限するものは何もない、ということか。
塔山:何もない! 危険日極まりないですよ。7/27はそういう意味でも危険日です。自分たちにも緊張を与えて、それで成長してやろうと思っているんです。単純にウケがいいものを出すというより、けっこうな緊張の中で準備もやっていて。その緊張を利用して成長してやりたいなと。自分たちの刺激になるような、筋肉で言うと筋繊維を全部切りまくるようなことをやりたいです。
●肉離れしまくると。
塔山:そうですそうです。その間にプロテインを摂れば"超回復"といって筋肉の繊維の量が増えるんです。
●太くなるんじゃないんですか?
塔山:それは間違った知識です。『TARZAN』を読んだ方がいいですよ。筋肉の細かい繊維が増えるんです。獣神サンダー・ライガーも言っていました。「マッスル・コアを食べたらマッチョになれるよ!」って。
●そうですか。
塔山:だからワンマン以降すごくなるために、ワンマンには賭けています。みんなも見たいと思うけど、俺たちも限界の俺たちを見たい。
●さすがハードMですね。
Interview:Takeshi.Yamanaka
Assistant:Hirase.M
シャウトは塔山さんのパートのイメージだったのに、最近私の方に認識が変わってきたんですよね。自分もびっくりしているんですけど。(J.M. / 歌とモデル)
"鼓動感"みたいな感じかもしれませんね。そこにいい言葉が乗れば、スピリットとして響くんじゃないかなという感覚があります。(塔山忠臣 / 歌とソングライティティング)
●塔山さんを見ていると、ある意味すごく不器用だと感じるんです。思ったことをすぐに口にするタイプだから、作らなくてもいい敵を作ることもきっとあるだろうし。でも、それは塔山さんが作り出すものの核にもなる重要な部分でもあるのかなと。不器用かもしれないけど、生き方としては間違ってないと思うんですよね。
塔山:いやいやいや。
●そういう姿勢は0.8秒と衝撃。の音楽にも必要不可欠な気がして。自分がどうやって生きていくのかをはっきりと持っているというか。そういう覚悟というか芯みたいなものはいつ形成されたんでしょうか?
塔山:バンドをやりだしたときから、最初からありましたけどね。
J.M.:たぶん性格が元からそうなんですよ。喧嘩を売られたとして、相手が何かを言ってきたことに対して塔山さんも黙っていないじゃないですか。そうすると、大勢が塔山さんの方が強くなっちゃうんですよ。口も上手いし、怖いので。
塔山:めっちゃ悪い奴みたいやん。
J.M.:そんなときに警察が来たら塔山さんの方が悪い人に見えちゃうんです。
塔山:なんで警察が出てくるねん! 書けるかそんなもん!
●ハハハ(笑)。
J.M.:本人が悪くない場合でも、その後の行動によって塔山さんの方がパッと見では悪く見えちゃうんです。
塔山:だから金がなくなって、貧乏になっていくわけですよ。追い込まれてね…。世間を上手く渡れないんです。
J.M.:でも別にそういう人がいてもいいかなって思うんですよ。
塔山:いや、わざわざ人の悪口を言うもんじゃないよ。
●悪口というか、正直なだけだと僕は思ってるんですけど。
J.M.:誰もが言わなかったら世界が回らないと思うんです。そういう人がいないと。
塔山:どんな規模で考えているんだよ。
●前作『1暴2暴3暴4暴5暴6暴、東洋のテクノ。』をリリースした1年前と比べるとバンドを取り巻く状況もめまぐるしく変わってきて、見えている景色も違ってきているんじゃないかと想像するんですが。
塔山:そうですね。自分自身の気持ちは変わっていないんですけど、取り組み方は変わってきましたね。特にライブでなんですけど、前までは自分のやりたいことをやって帰る、悪く言えばヤリ逃げだったわけですよ。
●ヤリチンだったと。
塔山:でもついてきてくれる人がちょっとずつ増えてきているから、その人たちとぶつかり合えたかなという。例え伝わっていなくても、何かをぶつけたいじゃないですか。全然俺たちのことを知らない人たちにもぶつけていかないといけないわけだから、ビビって遠慮するんじゃなくて、"ちゃんとやれたかな?"という確認をするようになりました。自分の守っているものを変えないからこそ、ちゃんと変わらず続けていけているのかなと思うことが変わりました。
J.M.:ふ~ん。
●J.M.さんはどうですか?
J.M.:…ん?
塔山:「ん?」ってなんやねん! タメ口をきくな!
●タメ口は別にいいんですけど、ものすごく人ごとでしたね(笑)。
J.M.:2ndアルバム『1暴2暴3暴4暴5暴6暴、東洋のテクノ。』が1stアルバム『Zoo&LENNON』とはガラッと変わったので、それによって歌い方もやっぱり変わるし、私の立ち位置も変わったんですよ。今まではややコーラスに徹していたものが、攻撃性の方に寄ったというか。
塔山:前までは、立ち位置的に"女の子っぽさ"を要求していたんですよ。
●可愛いしね。
J.M.:そうそう(笑)。
塔山:でも昨年秋頃のフェスで振り切って、めちゃくちゃにやったことがあって。それがすごく評判がよかったんです。俺たちがぐちゃぐちゃにやるからJ.M.はもっと女の子でいた方がいいのかと思っていたんですけど、乗っかってきて乱打戦になった方がみんなに伝わったんですよね。
J.M.:ちょっと前までは、シャウトは塔山さんのパートのイメージだったのに、最近私の方に認識が変わってきたんですよね。自分もびっくりしているんですけど。
塔山:でもその振り切れている感じがいいんですよ。音源では出していたんですけど、ライブではそこまで振り切れてはいなかったんです。でも最近は、曲とかライブのお客さんの雰囲気とか、むしろライブ自体に俺たちも変えられていっているというか。
●"全身凶器"と怖れられた塔山さんも人だったと。
塔山:ライブでみんなの求めているものになりたいわけじゃなくて、応えたいんです。求められているエネルギーの上を行きたいんですよ。そう考えたときに、みんなの求めているものって"もっと"なんです。「俺たちはこんな感じのことができるんやぞ!」と言っても「もっと来てほしい」という顔をするんです。それに応えたくて、俺たち自身もライブで作られていく感覚がある。ライブがあるから、音源にも振り切れ感が出てくるんです。
●この1年でアーティストとの交流も増えたと思うんですが、そこから受ける刺激とかはありますか?
塔山:いちばん最初に仲良くさせてもらったのはPOLYSICSのハヤシさんとか。そこからthe telephonesのメンバーとか、グッドモーニングアメリカのたなしんとかにもライブを観てもらって。ファンと違って、アーティストを納得させるにはライブがよくないとダメじゃないですか。例え音源が革新的だったとしても、作っている者からしたらやり方が見えるんですよね。だからライブを直で観たときに好きになってくれることが多いんです。
●うんうん。
塔山:逆に言うとけっこうシビアじゃないですか。ライブがダメだったらダメなわけですから。俺らよりも売れている先輩が多いわけで、そんな先輩方のライブを観たり、そこで自分の性格からくる部分と照らし合わせたりして。そこで気づいたのは、自分たちが本当にやりたいことをやっていく上で必要なものを彼らは持っているんですよね。そういう部分にすごく刺激を受ける。
●おお、なるほど。
塔山:さっきの作らなくてもいい敵の話じゃないですけど、彼らには"ここを押さえるからこそ、こういうことが言えるんだ"というところがあると思うんですよね。ちゃんと自分たちの言いたいことを言うためには、ここはちゃんとしないといけないという部分。精神的な意味でも、実際的な意味でもね。
●そうですね。
塔山:でも俺たちは先輩たちではないから、俺たちは俺たちのやり方を作っていく。でも自分たちのやり方を作ってきた先輩たちを見ることはすごく勉強になるんです。彼らのやり方を真似するという話ではなく、彼らを作ってきた歴史を聞いているとすごく刺激を受けますね。だから、0.8秒と衝撃。も自分たちのやり方を作っていきたいなと思います。例えば、それが自分たちらしいのであれば、むちゃくちゃな怒りの方向でもいいんですけど。でも俺の場合その過程に行くまでにゴチャゴチャと揉めてしまうこともあるので…。
●ハハハ(笑)。
塔山:まあそれはそれでいいと思うんですよ。
J.M.:いいと思う!
●それはそれでいいと思いますけどね(笑)。
塔山:でもやっぱりそれは俺1人の意見であって、メンバーとかスタッフとか、周りに味方がついてきていますからね。今回こうやってインタビューしていると楽しいんですよ。でも、今作をレコーディングした後にTwitterで「もうインタビューをしたくない」ということを書いたんです。
●そのツイート見ました。「もうインタビューはbounceの人だけでいい」みたいなこと書いてましたよね。
塔山:うるさい! うるさい!
J.M.:アハハハハハハハハ(爆笑)。
塔山:でもね、前にやった取材も今日もすごく楽しくて。まあいろんな大人に疲れていたんです。少年としては。
●もう少年じゃないけどね。
塔山:インタビューの話もそうなんですけど、実際にやってみたら楽しいんですよ。自分の一時の感情だけで決めてしまったら、俺はいいんですけど…俺はバンドメンバーを「サポート」と言われるとすごく腹が立つんですけど…メンバーをサポート扱いしているのと同じだなと思ったんです。俺が何かやったとしても、メンバーは「いいですよ」と言ってくれるんですよね。だからこそ、やってはいけなかったというか。今までのことは後悔していないけど、これからの選択肢としては、それがかっこいいと思うんです。メンバーが「いっちゃえ!」と言うときこそ、俺がしっかり考えなきゃいけない。諸先輩方はそれができているんです。媚びるわけではなく、自分たちの意見をちゃんと通せるようにしているんです。そういう強さみたいなものを、せっかく味方が増えてきたんだから俺も持ちたい。
●せ、成長している!
塔山:今日インタビューをやっていて楽しいし、ファンの人からも「インタビューを読みたい」っていうDMがすごくいっぱい来たから、俺はいいけど待っている人がいるということに気づいたんです。それにインタビューをしてくれる味方の人もいるわけですから。実際にやってみたら楽しいわけだし…これが人生の難しいところです。
●めんどくさい性格ですね(笑)。
塔山:実際にやってみないと分からない質なんですよね。人間って弱いから、世の中で嫌な思いをいっぱいしていると、全員が敵に見えちゃうんです。レコーディングで疲れて、いろいろあって、塔山パルプンテになっていたわけですよ。その塔山パルプンテがインタビューについて書いちゃったんだけど、やってみたら楽しかったと。
●遠回りかもしれないけど、いいと思いますけどね。頭で考えるんじゃなくて、行動の1個1個で理解していくという。
塔山:そうそう、確認しながらできていいですよ。中途半端に合わせるんだったら喧嘩をしてでも仲良くなりたいという性格ですからね。
●ところで今作についてですが、前作は簡単に言うと"怒り"みたいな高揚感…勃起している感じだったんですよね。今作はそういう"勃起感"もありつつ、射精後の寂しい感じというか、哀しみのようなものをすごく感じたんです。
塔山:ああ、分かるなぁ。
J.M.:そういうことをすごく聞きたかったです。
塔山:そうやな。
●どういうことを?
塔山:「勃起」という言葉を聞きたかったんやろ?
●「射精」という言葉も?
J.M.:誰か! この2人セクハラですよ!
●前作にはないけど、1stアルバムにはこの哀しみに似たものがあるんですよね。でも、1stアルバムよりもリアルな感情として感じる。
J.M.:なるほどね~。
●なぜそう感じたのかいろいろと考えていて気づいたことがあったんですけど、どの曲の歌詞にも"涙"という言葉が出てきているんです。意図的ではないにせよ、何かしら感情的なものが表れているのかなと。
塔山:そこは俺たちも出来上がってみて気づいたのがおもしろいところなんですが。
J.M.:結果的に、今までの音源を混ぜた感じになったと思っていて。
●ああ~。
塔山:1stと2ndではまったくテイストが違うじゃないですか。今回はまた違った第三のものを作ろうと思っていたんですけど、結果的には2枚のいい要素も入っているように感じますね。新しいこともやりつつ、両方の好きだった要素も入っているのかな? あくまで結果論なんですけど。今回は決めごとせずに、やりたいことを全部ぶち込んでみて、そこから曲にしていったんです。1回全部入れてみて、いらないものを省く感じ。と言っても、入れる段階で"これしかない"というものを詰め込んでいったんですけど、最終的にポップソングとかロックソングとかの音楽という形で突き抜けるものを与えるように持っていきました。だから、"こういうことを書こう"というよりも、自分たちのやりたいことをやった。
●なるほど。
塔山:バンドを取り囲む環境も変わったわけじゃないですか。大切なのはその変わった自分をちゃんと出せているかどうかということであって、今までのことは意識せずに、今の自分を見せることを重視しましたね。今の自分は何をやるのかというところをやってみて出てきた結果なので、すごく満足していますよ。
●今作の"哀しみ"についてはメロディも関係しているように思うんですけど、塔山さんはメロディをどういう解釈で作っているんですか?
塔山:音としてのアレンジの一環でもあるんですけど、言葉を運ぶ大事な要素じゃないですか。アレンジの音で日本語は表現できないわけで。"歌う"っていうところもあるんですけど、重視しているのはリズムとの混ざり具合。リズムに音階はないわけで、イメージ的にはリズムとのユニゾンという部分もあります。
●ふむふむ。
塔山:リズムと一緒になって曲を太くすることもあるし、離れてバイバイしてまた戻ってくるというスリリングな感じも出したい。だからメロディはアレンジだけど、心を届ける担い手なので大事ですよね。歌がないとたぶん曲を書いていてつまらないと思う。誰かが「アレンジでごちゃごちゃしているのも好きだけど、やっぱり歌が好き」というメールをくれたことがあって、すごく嬉しかったんですよね。そこは自分でこだわっているところなので。でも、よくありがちな歌モノじゃなくて、こういうトラックに絡んでいく歌にしたい。だから俺がちょっと嬉しいと思うのは、エンジニアの人がカラオケに行って俺たちの曲を歌ったらしいんですけど、10秒くらいで消したらしいんです。「歌えない!」って。
●確かに絶対歌えないと思う。
塔山:それが俺にとったら嬉しいんですよね。俺たちが試行錯誤してやっていることは歌えないくらいのレベルなのに、"歌が好き"と思って聴いてくれている人がいるんですよ。それがすごく嬉しい。まあカラオケで歌えなければ回数は伸びないんですけど。
●カラオケには入っているんですね。
スタッフ:僕も「町蔵・町子・破壊」を歌ってみたけど無理でした。雰囲気が出ない。
塔山:だから、俺がいかにレベルの高いことをやっているか! ということですよ。あれを踊りながらやっている俺ってすごいでしょ?
●「俺」っていうか、2人がすごい(笑)。
塔山:J.M.は全然すごくないよ。
J.M.:塔山さんは褒めてもらうことが次への栄養になるから、周りが褒めてあげるとぐんぐん伸びます。
塔山:だからちょっと女性に強く言われたら、本当に勃たなくなりますよ。びっくりするくらいです。
●マジですか。
塔山:"俺ってダメだな。エゴマゾなんだな"と思いました。山中さん(インタビュアー)もマゾでしょ?
●僕もそうかなあ? 確かにちょっと言われたことをすごく気にするかも。
J.M.:繊細?
●繊細というか、自分でもややこしい感じなんですよ。ちょっと腹が立つこととかなにか気になることを言われたりしたら2~3日の間は楽しく生きていけない。
塔山:一緒ですよ。
J.M.:ちょっと似ているもんね(笑)。
塔山:でもたぶん俺の方がデカいですよ。
●たぶん僕の方がデカいですよ。
塔山:いやいやいや! もしデカくても、めっちゃ被っている感じですよ。
●めっちゃ被ってないですよ。
塔山:僕なんてズルズルですよ。
J.M.:うるさい!
●前作のインタビューで「自分の中、人間の中に流れるビート感を表現したい」とおっしゃっていたんですけど、その発言とさっきの話からすると、曲全体でビートを奏でているようなイメージもあるし、逆に曲全体でメロディを奏でているようなイメージもあるんでしょうか? そう考えたら「実験的なビートなのにライブで客が踊る」ということが説明できるような気がするですが…。
塔山:俺は"内容はつまんねえな"と思うような小説でも、何の意味があるのか分からなくても、言葉のリズムで読めるんですよね。
●あ、それ分かる!
塔山:"なんだこれ?"っていう。あの感じは意識してやっています。文章のリズムが本当に独特で、読んでいて止まらなくなるんですよね。そういう小説とかが好きだから、前後の脈絡がなくても、意味的に切っちゃいけないところだったとしても、リズムとしての正解があったりする。そっちの方が引っかかるんですよ。だから僕はリズムを炸裂、錯乱させたいんです。1+1=2じゃなくてもっと違う書き方をしたいんですよ。リズムが活きるのであれば。そういう意味で曲重視なんだと思いますね。曲のメロディというよりもリズム感というか。
●全体的なリズム感のようなもの?
塔山:"鼓動感"みたいな感じかもしれませんね。そこにいい言葉が乗れば、スピリットとして響くんじゃないかなという感覚があります。そういう理論です。
●あと前回も言ったんですけど、2人の歌い分けとして、J.M.さんに依るところが大きくなってきているのが如実に出ていますよね。そういう関係性がすごくいいなと思って。例えばM-3「ボンゴとタブラ、駆け抜けるリズム。」とかその象徴で、歌詞としていちばん重要なメッセージは彼女に託している。こういうものを聴いてしまうとなんだか震えるんです。
塔山:前回の取材で山中さんに言われたことがすごく印象に残っているんですよ。「男女のツインヴォーカルじゃなくて、2人で1つに聴こえる」みたいなこと。
●はい。言いましたね。
塔山:俺はそれがすごく嬉しくて。どちらかが目立つんじゃなくて、2人でいてこそのヴォーカルというのが理想なんです。その言葉がずっと残っていたから、今作はそこを意識しながら作業を進めていたんです。もう印税をちょっとあげてもいいくらい。
●え? マジで? 何%?
塔山:あげないですよ!
●ちぇっ。
塔山:もう帰れ! 帰れ!
J.M.:アハハハハ(笑)。
塔山:自分たちで作っているときは夢中だから、言われるまで気づいていなかったんですよね。言われて初めて"そうなっているのなら俺たちとしてはけっこう理想だな"と思ったんです。感情表現とか暴れたいこともそうですし、バラードをやるときのしっとりした感じもそうですけど、2人のヴォーカルだからこそ起こるケミストリーが出てきているのかなと思います。目指しているところですね。
●冒頭のライブの話にもそれは共通しているんでしょうね。
塔山:そうですそうです。それができてきたんですね。それまでは分けてやっていたんですけど、意外と絡まり合った方がロックとして健全なんだなと思って。伝わるんですよね。
●うんうん。
塔山:そこでちょっとリミッターをかけちゃうと、絶対に伝わらないんですよね。1回全部をバーンとやってみる。今作もそこがテーマでした。リミッターをかけないというか。とにかくやりたいことを全部詰め込む。
●そしてリリース後は初のワンマンがありますね。
塔山:ワンマンは新曲もやりますし、楽しみですね。自分たちの時間だけでライブをやるのは初めてですからね。やりたいことをやれる。もうMCが長くても怒られないぞ!
●今までもやりたいことをやっていましたけどね。
塔山:いや、あんなもんじゃないですよ。もっともっといきます。今まではペッサリーレベルですよ。
●もう何の話か全然わからない。
塔山:最初から「避妊するぞ!」って言っているレベルです! でも、ワンマンはそうじゃない!
●制限するものは何もない、ということか。
塔山:何もない! 危険日極まりないですよ。7/27はそういう意味でも危険日です。自分たちにも緊張を与えて、それで成長してやろうと思っているんです。単純にウケがいいものを出すというより、けっこうな緊張の中で準備もやっていて。その緊張を利用して成長してやりたいなと。自分たちの刺激になるような、筋肉で言うと筋繊維を全部切りまくるようなことをやりたいです。
●肉離れしまくると。
塔山:そうですそうです。その間にプロテインを摂れば"超回復"といって筋肉の繊維の量が増えるんです。
●太くなるんじゃないんですか?
塔山:それは間違った知識です。『TARZAN』を読んだ方がいいですよ。筋肉の細かい繊維が増えるんです。獣神サンダー・ライガーも言っていました。「マッスル・コアを食べたらマッチョになれるよ!」って。
●そうですか。
塔山:だからワンマン以降すごくなるために、ワンマンには賭けています。みんなも見たいと思うけど、俺たちも限界の俺たちを見たい。
●さすがハードMですね。
Interview:Takeshi.Yamanaka
Assistant:Hirase.M