独特なツボと非凡なライティングセンス、強烈無比なステージで中毒者が続出している東京カランコロン。
今年1月には“ワンマソフェス2012”を大成功させた彼らが、昨年10月にリリースしたシングル『少女ジャンプ』に続く2ndシングル『×ゲーム』を完成させた。
リード曲「×ゲーム」はいちろーがリードヴォーカルを務める純度とエネルギーの高い名曲。リリース後には東名阪での“ワンマソツアー”も決定。
めざましい成長を遂げる東京カランコロン、要チェックです!
●今作『×ゲーム』はどういう経緯でできた曲なんでしょうか?
いちろー:前作のシングル曲「少女ジャンプ」とは反対の感じですね。前作はうちらの今持っている勢いでポーンと出てきた曲で、かなり安産だったんんです。でも今作は結構時間がかかったよね。
せんせい:うん。前回とは真逆やった。
いちろー:せんせいがヴォーカルのリード曲が続いていたので、次に出すCDのリード曲は僕がリードヴォーカルになる曲にしたいと前から話していたんです。そんな中でこの曲ができて、アレンジがぼんやりしている状態でもいいと思う歌詞とメロディの力を信じてライブでやってみたんです。そこからアレンジをよりよくしていくために、プロデューサーの竹内さんと相談したりしながら、じっくりコトコト詰めていきました。
●今までいちろーさんはひとつのシーンや仮想世界のようなものを歌詞で描くことが多かったじゃないですか。でも表題曲「×ゲーム」は今までとはちょっと違う印象があったんです。メッセージソングというか。
いちろー:竹内さんに「思っていることを一度書いてみたらいいんじゃないか」と言われたんです。今まではそういうことを考えずに歌詞を書いてきたので、改めて立ち返って何を書こうかと考えたときにパッとできたのがこの歌詞だった。
●あ、そうなんですね。
いちろー:あまりメッセージソングは好きではなくて、むしろ嫌いなんですよ。"自分たちが楽しいと思うことをやる"というスタンスでやっているので"人に何かメッセージを伝えたい"というのは、なんかすごく傲慢な感じで嫌だと思っていて。この曲が出来上がったら"メッセージソングにとられるかもしれないな"とは思ったんですけど、実際には僕が思ったことをつらつらと書いただけなんです。押し付けるつもりはいし、ただ呟いているだけ。
●確かに言われてみればそういう歌詞ですね。
いちろー:バンドをやっていて、音楽をやっていて、最終的に僕らが思うことは、自分が楽しいと思うことを素直にやるということ。自分たちが楽しいと思うことに対して、どんな形であれ、エネルギーを使うということ。うちらはおもしろいと思ったらステージの上で馬鹿笑いもするし、ステージ上で泣くことはないけど(笑)、悲しければ泣けばいいと思う。自分がおもしろいと思ったことをやればいいというスタンスでバンドをやっているので。
●うんうん。
いちろー:僕らはライブをしたり、アートワークやグッズのデザインを作ったり、いい曲を作るという部分以外に、あまり面白味を見つけていないし、楽しくないならやらなくてもいいんじゃないかと思っていて。周りで音楽をやっている人の中にも楽しくなさそうな人がいるんですよ。そういう人を見ると"楽しくないのにやる必要があるのかな?"って思うんですよね。だから"バンドをやっていておもしろくないのなら、それはただの罰ゲームだよね"って。
●なるほど。そしてカップリングの「true! true! true!」は東京カランコロンの濃いところがドバッと出ている曲で。
いちろー:この曲は逆にセッションでできたような感じです。最初に全ちゃん(Ba.佐藤全部)がリフになっているベースを弾いたときに"いいな"と思って。圧倒的にすごいリフだと思ったから、それに負けないくらいにパンチのあるメロディにしようと。
せんせい:そこからはすぐにできたよね。
●ポップな曲なのに、間奏部分ではものすごい世界観を描くような緩急があるというか。相反する異物を合わせたときのような気持ちよさがある。
いちろー:これは常になんですけど、どれだけアイディア出せるかがうちらのスタジオワークのメインテーマで、そこでいちばん笑いをとったやつが勝ちなんですよね。あえて変なことをするのではなくて、無差別に出てきたアイディアを組み合わせてみて、うちらのセンスでいちばん笑えるものを選ぶというのが基本のスタンス。
せんせい:変なところはだいたい全ちゃんが言い出すんです。それでやってみたら「おもしろいからいいね」って。
いちろー:うちらはそこでストップがかからないタイプの人間だからね(笑)。
●そういうものがライブでの爆発力になっているんでしょうね。
せんせい:それこそ「×ゲーム」の歌詞に戻ってくるんだと思います。自分たちが楽しいと思うことをやっているだけ。常に自分たちがいいと思うことをやりたいし、自分たちが嫌だと思ったら絶対にやらないというスタンスでいるから、スタジオで「すっごくおもしろいね!」となれば周りに「これはちょっと…」と言われても「うちらは気持ちいいんだから、いいよね」って。
いちろー:その瞬間に自分たちがいちばんおもしろいと思ったものをやるっていうことが目標なんです。しかも、うちらは5人とも同じところで笑えるからやっていられるんだと思います。
●自分たちのやりたいことやスタンスを、アレンジャーさん達と一緒に制作をすることで改めて認識したんですね。
いちろー:そうですね。言われるがままにやっていたらアレンジャーさんやプロデューサーさんの作ったものになってしまうじゃないですか。それを自分たちのセンスで押し留めることで自分たちが何をやりたいのか改めてわかったし、成長できたと思います。今、いい感じで曲がたくさんできているんですよ。バンドとしてすごくいい状態で。
●おっ、楽しみですね。今後はどんな感じになるんですか?
いちろー:世の中の需要に合っているかはどうかわからないですけど(笑)、自分たちがおもしろいと思うものがたくさんできてます。
Interview:Takeshi.Yamanaka
Edit:Hirase.M